E501系電車(E501けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交直流通勤形電車。常磐線の輸送改善用として209系電車を基本に設計した車両で、常磐線の交流電化区間では初の4扉車である。常磐線では、東京への通勤圏が取手駅からさらに牛久、土浦方面に伸び、取手以北の利用者が増え続けてきたが、取手以北は石岡市にある気象庁地磁気観測所への観測障害を避けるために交流電化となっており、4扉ロングシートの103系は直流専用のため使用できなかった。直流電化区間を北に伸ばすことは前記した理由から不可能であり、既存の403系・415系は1982年(昭和57年)以降にロングシート車である415系500番台や1500番台(ステンレス車)を導入したものの、ともに3扉車であるため、混雑時の対応には限界があった。さらに、土浦市や牛久市の商工会議所や選出国会議員などが中心となった「県南常磐線輸送力増強期成同盟会」が常磐線「快速電車」の延伸という要望を当時の運輸省などに継続的に行っていた。これは沿線のイメージアップのために近郊形電車ではなく4扉の通勤形電車を投入して欲しいという要望であった。これらの問題を総合的に解決するために、日本初の交直流通勤形電車として製造された。当初は、415系電車のほかに上野 - 取手間で運用されていた103系の置き換えも視野に入れて開発された。ラッシュ時は4扉ロングシート車の収容力を活かして概ね好評であったものの、本系列の本格投入を睨んだ1997年(平成9年)3月22日のダイヤ改正時に日中の土浦以北から上野への直通列車が大幅に削減されたこと、(全車ロングシートによる)座席数が減少したこと、当初はトイレ設備がないなどで長距離での運用に不向きであったことから、1997年で製造が打ち切られた。基本設計は209系と同様であるが、使用線区の性格や直流・交流両用のため、装備する電装品などの違いがある。車体は、先頭部と台枠の一部を除いてステンレス鋼を使用した、209系と同様の軽量ステンレス構造を採用する。相違点としては、強度確保及び交直流床下機器艤装スペースの観点から、外板厚を 1.2 mm から 1.5 mm に、台車間距離を 13,300 mm から 13,800 mm に延長した点である。先頭車後位の連結器はE217系電車と同様の衝撃吸収タイプを用いる。客室部の側窓は209系各区分と同様、車端部を除き固定窓を用いた。後年に窓を開閉可能にする改造工事が施工された。客用扉は片側4か所に両開き式引き戸を設け、片側1か所を残して締め切ることが可能な「3/4扉閉」スイッチを装備する。1995年製の編成は営業開始後に後付け改造したが、1997年製の編成は落成時から装備している。直流区間と交流区間を隔てるデッドセクションでの主回路の切り替えはATS-P地上子により自動で行われる。手動切り替えも可能である。基本的に電動車2両に主要機器を分散搭載するM1M2ユニットを採用し、M1車(モハE501形)には主変圧器、主変換装置、集電装置といった主回路機器を、M2車(モハE500形)には主変換装置・補助電源装置といった補機類を搭載するが、床下機器スペースの都合上で空気圧縮機はユニット上り側の付随車(クハE500形、サハE500形)に搭載される。落成時はドイツ・シーメンス製GTOサイリスタ素子によるCI3主変換装置を採用していた。JRの電車では唯一の採用例で、発車・停車時の磁励音は音階である、ドレミファソラシドを奏でるような独特なものであった。なお、信頼性の問題から、5両の付属編成は2007年に、10両の基本編成は2012年にVVVFインバータ装置を東芝製IGBT素子のものに交換した。本系列の起動加速度は2.0km/h/sである。主電動機は かご形三相誘導電動機 を用い、出力は209系の 95 kW から 120 kW に向上した。これは交流関連機器の搭載による自重増に対応するためである。最高速度120km/h を達成するため、歯車比はE217系と同じく16:97(≒1:6.06)である。補機用の電源として、5両給電が可能な静止形インバータ(SC45、定格容量 210 kVA、AC 440 V)を5両あたり1基搭載する。補助電源装置の電源は主変圧器の3次巻線とすることが多いが、本形式の場合は主変換装置のコンバータ出力を電源としている。空気圧縮機は209系と同様のものであるMH3096-C1600Sスクリュー式を採用する。吐き出し容量は1,600L/minである。パンタグラフはひし形のPS29であったが、2014年12月~2015年1月にかけて全ての付属編成がシングルアーム形に交換されており、基本編成も2015年2月より交換工事が進められていたが基本・付属の全編成の交換が完了した。軸梁式の軸箱支持機構をもつボルスタレス台車で、枕バネに空気バネを用いたJR東日本一般形電車の標準的な仕様である。209系で採用されたDT61・TR246をベースに、自重の増加による車軸の変更、歯車比の変更による駆動装置の変更(電動台車のみ)が施されたDT61C(電動台車)およびTR246D(付随台車)を装着する。ヨーダンパは準備工事のみとしている。内装は209系と変わらないが、座席表地の配色が異なり、一般席は常磐線のラインカラーである中距離電車の青色を座面部分に、快速電車の緑色を背もたれ部分にそれぞれ採用している。また、川崎重工業製の編成では車端部の座席脇にドア部分にある仕切りと同様のくぼみがある。つり革も209系と同一のものであるが、1997年製の編成以降は若干丸みを帯びた形状に変更された。優先席付近は、E233系電車の同付近のものに準ずる。車内照明は直流電源による。デッドセクション通過時には自動的に蓄電池供給に切り替わるため、基本的に消灯しない(交直流切り替えが手動で行われる場合は、この限りではない)。なお、空調装置や車内ドア上部のLED案内表示器の電源は静止形インバータ (SIV) から供給される三相交流であり、デッドセクション通過時には停止する。全編成ともトイレは設置されていなかったが、2007年3月ダイヤ改正での運用区間変更に伴い、2006年10月 - 2007年2月にかけて基本編成の1・10号車および付属編成の1号車にバリアフリー対応トイレが設置された。2003年(平成15年)10月より車内自動放送が導入され、2007年3月までに、E531系に準じる放送に変更され、2015年2月より自動放送が更新され、現在では全編成が、英語案内の駅名の発音が日本語に準ずるものになっているものの、E231系やE531系は出口案内、乗り換え案内、次の停車駅(2005年8月頃より、特別快速のみに限定されたため廃止)の順に流れるのに対し、本系列の場合は出口案内放送がなく、乗り換え案内のみの放送となっている。1995年(平成7年)に基本10両編成と付属5両編成各1本が、1997年(平成9年)に基本10両編成と付属5両編成各3本の計60両がそれぞれ川崎重工業と東急車輛製造で製造され、勝田電車区(当時)に配置された。1995年12月1日から、常磐線の上野 - 土浦間で営業運転を開始し、普通列車(取手 - 上野間は快速)のみに使用された。日中の運用は10両編成の運転だった。上野 - 土浦間の行先表示器には2006年(平成18年)3月17日まで運転されていた通勤快速の表示は用意されていたが、2005年(平成17年)7月9日から運転を開始した特別快速はE531系限定運用とされたこともあり、用意されなかった。また、快速の表示も用意していたが、定期列車としては取手以南の快速運転区間でも通常は終着駅名を表示していた。また、土浦以北の駅名は神立、友部、水戸、勝田の表示が用意されていた。車内の停車駅案内図は、上野 - 土浦間の普通列車の停車駅と、取手 - 北千住間の各駅停車の駅を掲示していた。この当時は、「普通」と「各駅停車」が並んで掲載されるものだった。2004年(平成16年)10月16日以降は、取手以南で「快速」と案内されることになったため、「土浦 - 取手間 普通 取手 - 上野間 快速」としたものに取り替えられた。朝ラッシュの最混雑時間帯である土浦駅発上り6 - 7時台の列車には、2005年7月9日のダイヤ改正から運用を開始した同じ4扉車であるE531系とともにほぼ集中的に投入され、取手駅からのE231系とともに乗車位置の統一や収容力向上、および列車遅延の防止が図られた。10両+5両の分割編成であるが、着席サービスの向上を図るため、本系列の運用列車は検査時の415系・E531系による代走も含め(営業運転開始当時を除き、後のダイヤ改正以降)終日15両編成で運転されていた。ただし、検査などで勝田車両センターに回送される際は、土浦 - 勝田間の構内有効長の関係から、10両編成と5両編成に分割して回送されていた。予備編成がないため、取手駅以北で 120 km/h 運転可能な本系列の限定運用と403系・415系で代走可能な運用とに分けられていた。実際に検査や整備などで403系・415系が代走する際は、交流区間の各駅では代走期間と該当する時刻の4扉車が3扉車に変更される旨が表示されていた。同じ4扉車で 130 km/h 運転が可能なE531系が2005年に登場したことや転用対応の改造工事開始に伴いE531系による代走の機会が増加し、本系列は2007年2月21日を最後に常磐線土浦以南での所定運用を終了した。ただし、後述の改造後で2007年3月改正前日である2007年3月17日に、移り変わり運用で10両編成が上野駅まで乗り入れている。2007年(平成19年)3月18日のダイヤ改正後、上野駅発着の常磐線中距離電車(土浦方面発着の快速、特別快速)は全列車が2階建てグリーン車を2両連結したE531系電車で運行されるようになった。それに伴い、本系列は運用区間が変更された。基本編成と付属編成は別運用となった。車内の停車駅案内図はE531系と同じものに交換された。実際には改正に先立つ2月27日から、K-752編成が水戸線および常磐線友部 - 勝田間で営業運転を開始した。行先表示器は、従来前面が黒地白文字・側面が白地黒文字の幕式のものであったが、運用区間の変更に伴い青地白文字の幕に交換された。また、同時に車内自動放送はほぼE531系に準じたものに変更された(ただし出口の案内は追加されておらず、乗り換え案内のみのままである)ほか、後に車内LEDの表示変更などの更新(駅接近時の「まもなく ○○」の表示や、運行障害情報の表示)が実施されている。2016年3月26日のダイヤ改正において付属編成(5両)の運用が見直され、付属編成に関しては水戸線(小山 - 友部・勝田間)のみの運用となった。基本編成(10両)・付属編成(5両)とも4本配置・4本使用のため、検査時等の代走は基本的にE531系の付属編成が使用される。基本編成の代走にはE531系の付属編成2本連結した形で運用されるほか、E531系の基本編成が用いられることもある(この場合編成中のグリーン車は普通車扱いとなる)。
出典:wikipedia
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