パレスチナ自治政府(パレスチナじちせいふ、, )は、ヨルダン川西岸地区およびガザ地区に存在したパレスチナ人による自治機関である。なお、1988年にパレスチナ国と国号を定めてから、136の国がこれを承認している。国名は地域名のパレスチナから由来する。日本国政府は1988年にパレスチナの独立宣言を発表したパレスチナ国を承認していないため、未だにパレスチナ自治政府(、ラテン文字変化:As-Sulṭah Al-Waṭaniyyah Al-Filasṭīniyyah、)と呼称している。なお、2013年に政党の一つファタハは国連オブザーバー名をパレスチナ国(、ラテン文字変換:Dawlat Filasṭīn、)に変更した。なお、「パレスチナ暫定自治政府」(Palestinian Interim Self-Government Authority, PA)や「パレスチナ暫定自治区」と呼ばれることもあるが、これは最終的な地位を将来、イスラエルとパレスチナとの間で結ばれる包括的和平によって定められることとなっているからである。そのため、目下の正式な地位は暫定自治区・暫定自治政府となっている。パレスチナ自治政府はパレスチナ解放機構とイスラエルによるオスロ合意により、1994年に設立された。自治政府パレスチナが安全保障と文民統制を管轄する都市区域(エリアA)、文民統制のみおこなう辺境区域(エリアB)がある。残りの地域のイスラエル人入植地、ヨルダン谷、及びパレスチナ地区を結ぶバイパス道路はイスラエル管轄区域(エリアC)である。なお、オスロ合意はパレスチナ自治政府の将来について明示しなかったが、ただこの組織が最終的にはパレスチナ国家の基礎となることがイスラエルとアラブの両陣営から不文律として認識されている。発足当初はPLOの主流派で、アラファート率いる対イスラエル穏健派ファタハが立法評議会選挙で圧倒的多数の議席を確保して政権を運営していたが、縁故採用や汚職が相次いだことで徐々に支持を失い、2006年に実施した2回目の総選挙では強硬派のハマースが第1党となった。アラファートの死後大統領に就任したファタハ議長のマフムード・アッバースとハマースの内閣はたびたび対立し、2006年にガザ地区でファタハとハマースの武装組織が衝突し、ハマースはガザ地区を武力制圧した。アッバースはハマースのイスマーイール・ハニーヤを首相職から解任したが、ハニーヤは拒否し、ハマース率いるガザ地区とファタハ率いるヨルダン川西岸地区は2007年以降分裂状態となっていたが、2014年に分裂状態が解消され同年6月2日暫定統一政府が発足した(首相は西岸側のラーミー・ハムダッラーが続投)。イスラエルを含む国際社会の多くの国家は西岸地区の自治政府を正当政府として承認し、ガザ地区の自治政府はイランやシリア、スーダンといった一部の国家のみが承認していた。2012年11月29日には国連総会においてパレスチナを「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げする決議案が賛成多数で承認され、国連では「国家」の扱いを受けることとなった。1967年に起こった第三次中東戦争以前の状態を、パレスチナとイスラエルの境界にすることを基本とした。2015年9月10日にはオブザーバー国家の旗を国連本部前に掲揚することを許可する決議案が賛成多数で可決され、2015年9月30日、パレスチナ自治政府の旗が掲揚された。元首は大統領である。大統領は任期4年で、パレスチナ人による直接選挙で選出される。立法機関はパレスチナ立法評議会である。定数132名で任期は4年、大選挙区制を採用している。行政機関は、首相率いる内閣が組織する。任免権は大統領にある。2006年の立法評議会選挙を最後に、2013年に至るまで、次の評議会選挙の目途が立たない状態が続いている。2014年6月2日、ラミ・ハムダラを首相とする暫定統一内閣が発足。ファタハ、ハマース双方が認める内閣が成立したのは、ハマースがガザ地区を制圧した2007年以来となる。などパレスチナは大きくガザ地区とヨルダン川西岸地区の2つに分かれる。これは、位置的要因に加えて、ガザ地区はハマースのガザ政府が実効支配していることがある。ガザ地区の面積は365km²で全体の6%程度しかない。しかし人口は全体の38%を占め、人口密度は四千人/km²近くある上に周囲には壁で囲まれた、異常なほどな人口過密地域である。一方のヨルダン川西岸地区はパレスチナ自治政府の様々な機関が置かれており、首都もある。なお、パレスチナ自治政府はヨルダン川西岸地区全域を自治していない。西岸地区の総面積は5,660km²だが、パレスチナ自治政府が行政権など全てを握っているA地区はうち18%の約1,018km²で、イスラエル軍が警察権を握っているが行政権はまだパレスチナ自治政府にあるB地区は21%の約1,188km²であり、イスラエル軍が行政権など全てを握っているC地区は61%で約3,452km²と半分以上もある。なお、西岸地区のイスラエル軍管轄地域はユダヤ・サマリア地区と言われている。また、ヨルダン川西岸地区にある東エルサレムはパレスチナ自治政府の首都と主張しているが、イスラエルが実効支配しているため、ラマッラーに政府機関などがある。国軍と警察の機能を兼ねた準軍事組織としてパレスチナ国家保安隊(w:Palestinian National Security Forces)が存在する。2010年8月31日、国際連合貿易開発会議 (UNCTAD) は、パレスチナ支援に関する年次報告書を公表した。同報告書によると、パレスチナ占領地のGDP は2009年に6.8%成長した。しかし、一人当たりのGDPは2000年に比べ30%低下している。また、失業率は前年比1.6ポイント減少しているものの依然30.1%の高水準である。食料安全保障の問題について同報告書は、パレスチナ経済にとって、イスラエルのガザ地区への軍事攻撃(2008年末から2009年初めにかけて)と西岸地区への経済封鎖が大きな足かせとなって、大きな影響を与えていると指摘している。また、民間部門の回復が特に遅れていることも指摘している。その原因がイスラエルの占領地内での移動や越境規制にあることも強調している。パレスチナの貿易赤字は2008年のGDP比57%から2009年には59%に増加している。この中で対イスラエル貿易赤字が全体の貿易赤字の65%で、比率が大変大きい。中央銀行の代わりとしてが置かれている。権能が非常に制限されており、最後の貸し手となれず、公定歩合の自主権がなく、また為替相場に介入できない。パレスチナの銀行はイスラエルの手形交換所に直接アクセスできず、イスラエルの銀行が代行している。パレスチナの銀行は、代行してもらうために巨額をイスラエルの銀行へ預金している。民族はアラブ人(パレスチナ人)。宗教はイスラム教が多いが、東方正教会も有力なマイノリティとして存在する。西岸地区に約280万人、ガザ地区に約170万人、イスラエルのパレスチナ人口が約150万人、他の地域に約513万人。またパレスチナ難民がUNRWAの資料(2012年)で520万人いるとされている。2016年3月の時点で、国際連合加盟国(193ヶ国)中、136ヶ国が国家承認している。国連のオブザーバー国家であるバチカン(ローマ教皇庁)はパレスチナのオブザーバー国家への格上げ決議以降、パレスチナを国家として扱ってきた。2015年6月26日には国家承認を含む包括的協定に調印し、法的文書によって正式に国家として承認している。パレスチナを国家承認をしていない国連加盟国は2016年時点で57カ国である。2012年11月29日に行われた国連での資格を「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げするに賛成した国家、格上げ決議にも反対もしくは棄権・欠席した国家を以下に記す。なお、チェコは国家承認している国のうち唯一、格上げ決議に反対している。(2016年3月現在)
出典:wikipedia
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