制限酵素(せいげんこうそ)は、酵素の一種。2本鎖のDNAを切断する。必須因子や切断様式により3種類に大別されるが、そのうちのII型酵素が遺伝子組み換えに多用される。多様な制限酵素の認識する塩基配列のパターンも同様に多様だが、あるひとつの制限酵素が多くの種類の塩基配列を認識することもあれば、逆にあるひとつの塩基配列を認識する制限酵素に多くの種類があることもある。制限酵素はDNA中にあるそのパターンを認識し、その付近あるいはその配列の内部で切断する。切断された切り口には2種類あり、その形状により平滑末端と粘着末端と呼ばれる。II型制限酵素によって認識される塩基配列のパターンの多くはパリンドローム(回文)になっており、5'端側から読んでも、その相補鎖の5'端から読んでも同じ配列になっている。この酵素の発見によりDNAの加工ができるようになり、遺伝子組み換え実験が可能となった。また制限酵素は遺伝子組み換えの他にも、制限地図の作成やRFLPの解析にも用いられる。II型制限酵素による切断の例(大文字が認識される回文配列)平滑末端(ブラント・エンド)
粘着末端(スティッキー・エンド)
今日において制限酵素は、分子生物学において必要不可欠なツールとなっている。R・M・Sの3種のサブユニットから成っており、Rが切断活性、Mがメチル化活性、Sが配列特異性を担っている。特異的な認識部位でDNAに結合し、メチル化されていないDNAに対してはATP要求性のヌクレアーゼとして、片鎖がメチル化されているDNAに対してはS-アデノシルメチオニンを要求するメチラーゼとして働く。認識部位が特異的であるのに対し、二本鎖DNAの切断部位は認識部位から様々な距離(400~7000bp)で起こる。切断部位に再現性が乏しく、またDNAのメチル化を引き起こすため、遺伝子工学には使えない。遺伝的相補性によりAからDのサブタイプが定義されている。特定の配列を認識して特定の位置で切断する酵素。通常はメチラーゼとは独立している。酵素反応には、Mgが必須で、切断点は認識部位内かそのごく近傍に限定されている。遺伝子工学の実験に広く利用できることから、試薬会社から市販されているもののほとんどの種類をこの型の酵素が占める。非常に多くの酵素が知られており、それぞれの酵素の特徴を示すサブタイプが定義されている。これは排他的な分類ではなく、たとえばIIA型でかつIIS型の酵素だとか、IIB型でかつIIH型の酵素などが存在する。ModとResと呼ばれる2つのサブユニットから構成されており、Modが配列の認識とS-アデノシルメチオニンを用いたメチル化を行う。ResはDNA切断に必要なサブユニットだが、単独ではヌクレアーゼ活性を持っていない。認識配列は逆位反復になっている必要があり、その両方がメチル化されていない場合のみ片方から約25bp離れた位置をATP要求的に切断する。制限酵素は、1968年に、スイスのヴェルナー・アーバー (Werner Arber) やアメリカのハミルトン・スミス (Hamilton Othanel Smith) によって発見された。制限酵素の名前の由来としては、大腸菌のある種の株でファージの増殖が制限されるという現象が確認されていたことによるもので、そのような菌からファージのような外来DNAを切断する制限酵素が発見された
出典:wikipedia
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