私の履歴書(わたしのりれきしょ)は、日本経済新聞朝刊最終面(文化面)に掲載されている連載読み物である。1956年(昭和31年)3月1日にスタート。第1回は鈴木茂三郎で、3月1日から7日にかけて連載された。当初は連載期間が1週間と短かったが、その後次第に長くなり、1987年(昭和62年)からは、毎月1か月間(1日から末日)に渡って1人を取り上げるスタイルが定着。2016年(平成28年)現在も継続中である。これを原作として、テレビ東京・BSジャパンとラジオ日経で放送化されている。著名人が、出生から連載時に至るまでの半生を描く『履歴書風の自伝』である。連載開始当初は活躍中の人物が連載する事が多く、首相在任中の岸信介や自民党幹事長時代の田中角栄も五十代の頃に登場したが、次第に主に第一線を退いた人物を取り上げるようになった。他界した人物は取り上げない。運輸事務次官・日本通運社長を務めた広瀬真一のように、原稿がほぼ出来上がっていたのにもかかわらず逝去した(1986年(昭和61年)ため、お蔵入りとなったケースもある。城山三郎も同様で遺稿は他社から出版された。小林秀雄も、書くことに同意していたのにもかかわらず亡くなったため登場しなかった。なお、1989年(平成元年)3月掲載の五島昇は、連載中の3月20日に逝去し、以後を遺稿扱いとする異例の事態となった。シリーズの連載は2011年(平成23年)末までで748回、取り上げた人物は747人に及ぶ。両者が一致しないのは、松下幸之助が2回登場したためである。河野一郎と河野洋平、河竹繁俊と河竹登志夫、野村万蔵と野村萬、五島慶太と五島昇、井植歳男と井植敏、立石一真と立石義雄、細川護貞と細川護熙のように親子二代が、二代目市川猿之助と二代目市川猿翁のように祖父と孫が、河野一郎と河野謙三、斎藤茂太と北杜夫のように兄弟が、また坂田藤十郎と扇千景のように夫婦が、それぞれ取り上げられた例もある。またマーガレット・サッチャーやジョージ・W・ブッシュなど、外国人が登場した例もある。文筆家は自らが原稿を書く場合が多いが、政治家や経済人などを取り上げる際には、記者による聞き書きが中心となっている。また、登場した人物が連載中の題字を担当することが多い。掲載年、氏名、肩書の順。肩書は原則として掲載時のものである。連載後、特に反響の大きかった人物については日本経済新聞出版社が発行(過去は日経新聞本社の出版部の直接発行)して、単行本になった。連載のみでは本の分量が足りないため、加筆したり、別稿・インタビューなどを加えて刊行する例が多い。三浦雄一郎のように新書版で刊行したり吉田義男のように最初から文庫本として出版することもある。なお、日本経済新聞社・日本経済新聞出版社以外で単行本化する例もある。テレビ東京で1987年4月から1991年3月の4年間、これを原作として『テレビ・私の履歴書』を毎週水曜日22時から30分間に全国放送された。(サントリー単独提供。1989年4月から『新・テレビ・私の履歴書』と変更。原作朗読:樫山文枝 ナレーション:平光淳之助<無印>、小川真司<新>)として放送された。これは毎週1人ずつ、1話完結の仕立で原作の朗読と当人のインタビュー、および当人へ密着した様子を描いていた。また、2013年4月4日から毎週木曜(2015年4月5日以後は日曜日)にBSジャパンで同様に「日経スペシャル 私の履歴書」(ナレーション・原作朗読:長谷川博己)が放送される。今回は1人の人物を新聞の原作と同じ1か月・4回のシリーズで取り上げ、原作の朗読と、当人のインタビューや密着取材でつづる。2015年度からは、これまでの1人につき4回シリーズとしていたのを、基本2回シリーズとし、存命者に加え、過去数回、特別篇として取り上げた故人の偉業についても積極的に取り上げることになった。また過去の放送からのアンコールを同年4月6日より半年間、月曜23:00-23:30に行った。番組で取り上げた人物は、日本を代表する大手企業の経営者と、日本の文化人・有識者をほぼ1シリーズごと交互に登場させている。ラジオではラジオ日経の番組『モーニング・ハーモニー〜宅配・朝の情報便〜』でも取り上げられた。2006年11月23日の日本経済新聞朝刊に、『「私の履歴書」50周年特集』が掲載された。「『私の履歴書』に登場した企業は、株価が短期的に上昇する」という傾向があるといわれる。これについては「連載期間中は、当該企業について日経新聞にネガティブな記事が載りにくくなる」「『当分の間悪材料は出ない』という日経新聞のお墨付き」という説が唱えられている。一方で2010年代に入り、「『私の履歴書』で経営者が取り上げられた企業は、その後自己資本利益率(ROE)が低下する傾向がある」という説も投資家の間で話題となっている。元々は岡三証券のアナリストが「『私の履歴書』の呪い」として発表したもので、経済評論家の山崎元はこの原因について「元々『私の履歴書』に取り上げられる経営者は、その企業の業績が好調なときに登場することが多いため、平均回帰した結果ROEが低下する」「『儲かったから強気の投資をする』という日本企業の投資行動の影響」という2つの理由を挙げている。
出典:wikipedia
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