公職選挙法(こうしょくせんきょほう、昭和25年4月15日法律第100号)は、公職(国会議員、地方公共団体の議会の議員・首長)に関する定数と選挙方法に関して規定する日本の法律。1950年に、それまであった衆議院議員選挙法・参議院議員選挙法の各条文、地方自治法における選挙に関する条文を統合する形で新法として制定された。公職選挙法は、通常の法律と同一の形式を有する法律として規定されており、国会議員に関して、直接利害関係を有する国会議員によりその内容が決定されていることとなる。このことに関連して、選挙制度や選挙区の割振りに対し、与党に有利な内容の制度が導入される可能性について否定的に論じる見解がある。いわゆる一票の格差の問題などについて、裁判所に対して選挙の無効を主張する場合がある。他国においては、立法権を有する国会や議会から独立した第三者組織で定数や選挙区割、選挙方法などの制度が規定される例もある。法律に様々な活動制限があることから、「べからず法」との指摘がある一方で、様々な抜け道があることから「ざる法」という指摘も存在する。本来、選挙運動はできるだけ自由でなければならないのが、日本国憲法の精神であるのに対し、欧米諸国に比べ公職選挙法は選挙運動の規制・制限を非常に多く設けている。さらに、公職選挙法や政治資金規正法をすべて守る事は至難の業とされている。公職選挙法の対象となるのは衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長に関する選挙である。国会議員の定数については、本法により定められ、地方議会の議員定数については、地方自治法により定められる。国会議員の選挙の事務については、比例代表選挙について中央選挙管理会が管理し、選挙区選挙については、都道府県選挙管理委員会が管理する。その他の地方議会・地方の長の選挙については、関連する都道府県ないしは市区町村の選挙管理委員会が管理する。地方自治体の首長が議会の議長に退職を申し出た場合、議長は5日以内に選挙管理委員会に通知し(第111条)、選挙管理委員会は通知を受けた日から50日以内に選挙を実施しなければならない(第34条)。地方自治体の首長が死亡などにより欠けた場合、首長の職務代理者は5日以内に選挙管理委員会に通知し、選挙管理委員会は通知を受けた日から50日以内に選挙を実施しなければならない。ただし、行わなくとも罰則規定がないため、直後に合併に伴う失職が控えている場合には行わないケースもあるが(最近では、2004年の秋田県の旧河辺郡河辺町のケースに見られる。それ以前は、1950年代(いわゆる、昭和の大合併の時期)にあった、兵庫県内の自治体のケースにまでさかのぼる)、通常は失職まで数日しかなくとも実施することが多い。もっとも、たかが数日のために首長に給与を与えることや選挙費用の捻出(たとえ無投票当選となる選挙であっても一定の費用はかかる)に税金を使われることに対する批判もある(なお、河辺町では選挙を実施しなかったことについて当時の町民から歓迎された)。2011年3月に岩手県大槌町の加藤宏暉町長が東日本大震災で死亡した際には、同時に自治体が行政機能もろとも壊滅的な被害を受けたため、臨時特例法によって町長選挙(震災以前から、翌4月の統一地方選挙で予定されていた)の延長が認められ、これにより以後6ヶ月にわたって町長不在の状態が継続する事態となった(その間、副町長が任期切れで退任し、職務代理者の交代を余儀なくされている)。選挙の期間については、公職選挙法第五章「選挙期日」に基づいて運動期間が設定されている。地方自治体の議員に欠員が生じた場合は、次のようになる。編入合併によって著しく人口が増大した場合には、増加規模に応じた定数を定めて、増員選挙を行う場合がある。例えば秋田市は、2005年1月11日の合併の際、合併特例を適用しなかったため、旧河辺町・雄和町双方の議員が失職したが、従来の秋田市の議員定数を42から46と4名増員し、旧両町で定数各2名の増員選挙を行った。なお、合併に伴う秋田市の人口増加は、有権者数ベースで3.3万人だった。また、増員選挙で当選した議員の任期は、従来の秋田市議と同一となった。ただし、2007年4月22日投票の秋田市議選では、この増員分が削減された。選挙運動期間中に候補者が死亡等した場合、投票日から数えて3日前まで(町村長・町村議は2日前)の死亡等であった場合には補充立候補が認められる。
出典:wikipedia
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