生物学分野での遷移(せんい)とは、ある環境条件下での生物群集の非周期的な変化を指す言葉である。たとえば、野原に草が伸び、そのうちに木が生えてきて、いつの間にか森林になるような変化がそれに当たる。植物が土地で生育することによる、環境形成作用が主な原因となり、時とともに場所の環境が変化して行く現象を植生遷移という。陸上で進行する植生遷移を乾性遷移、水圏で進行する植生遷移を湿性遷移という呼び方もある。基質に全く生物を含まないところから始まる遷移を一次遷移と言う。生物やその他の風化の影響を受けていない地球表面というものを考える。自然界においては、溶岩流や氷河の侵食によって作られた土地、岩盤の上等がそれに当たるが、そのような土地は現代では極めて限られるため、一次遷移が起こりえる土地というのも限定的である。そのため、一次遷移より、後述する二次遷移の方が、自然界では起こりやすい。まず土壌がすでに存在すること、そして基質である土壌に若干の生物、例えば土壌中の種子(埋土種子集団 soil seed bank)・地下茎・土壌動物などを含む場所から始まる遷移を二次遷移という。現代の地球上には、一次遷移が見られる場合というのはほとんどないため、我々が目にすることのできる遷移はおおむねこの二次遷移である。通常の植生遷移を「乾性遷移」とした場合、水辺で進行する植生遷移を「湿性遷移」という。植生遷移はあくまで「傾向」の話であり、例外は多い。一般的に遷移の初期の段階では、木本は土地に侵入しにくいが、窒素固定能力のある種(オオバヤシャブシなど)は、木本といえども遷移の初期段階から侵入してくることもある。窒素固定能力のある植物は、貧栄養地でも育成が可能だからだ。また、遷移の進むスピードは、構成種や生物群の成長速度、気候や土壌など様々な条件に左右されるため、上でも述べているが、非周期的な進行である事が多い。自然環境が破壊された採石場跡地などにおいて植生遷移を人為的に誘導することにより植生遷移に速度を増し、早期に豊かな自然環境を創出した事例が報告されている。植生遷移誘導の手法は、マメ科の草本類や肥料木をさらに周辺植生調査による郷土植物を主体とした極相林を形成するように植物を適切なパターンで植栽、播種しさらに、除草、追肥、間伐及び剪定などの十分な管理を行う事で実現する。動物の糞や落葉落枝などの上に出現する菌類群集でも、遷移が見られることが知られている。動物の糞は、様々な菌群が観察できることが(菌類学徒の間では)よく知られている。糞以外からも出現する菌もあれば、ほとんど糞からのみ出現するものもある。その出現の順番には、ほぼ一定の型があり、糞生菌の遷移と言われる。通常、最初に出現するのは、接合菌門のケカビ類である。ケカビ、ミズタマカビなどは特に頻繁に出現する。後者は、ほぼ糞からのみ出現する種である。接合菌類の出現は2〜3日目から、1週間くらい続く。ほぼ同じか、少し遅れて小型の不完全菌類が出現する。不完全菌はかなり遅い時期まで出続ける。1週間目くらいから、1mm以下程度の小型の子実体を作る子のう菌門の菌が姿を現す。さらに、2〜3週間目くらいにヒトヨタケなど担子菌門(キノコ類)が出現すると、これ以後は次第に糞生菌から通常の土壌菌の群集へと移ってゆく。この遷移の原因は、以下のようなものだと考えられている。枯葉や枯れ枝などの場合にも糞生菌とほぼ同様な遷移があることが知られる。新鮮な落ち葉には接合菌が生育し、短時間で胞子形成を行うと姿を消す。子嚢菌はやや遅れて出現し、長時間にわたって生育する。原因は糞生菌の場合とほぼ同じと考えられている。
出典:wikipedia
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