メタジェノミクス(メタゲノミクス)は、環境サンプルから直接回収されたゲノムDNAを扱う研究分野である。広義には環境ゲノミクスや群集ゲノミクスにも言及する。従来の微生物のゲノム解析では単一菌種の分離・培養過程を経てゲノムDNAを調製していたが、メタゲノム解析はその過程を経ずに微生物の集団から直接そのゲノムDNAを調製し、そのヘテロなゲノムDNAをそのままシークエンシングする。そのため、メタゲノム解析により従来の方法では困難であった難培養菌のゲノム情報が入手可能となった。地球上に棲息する細菌の99%以上は単独では培養できない菌種であると推察されており、メタゲノム解析は環境中に埋没する膨大な数の未知の細菌、未知の遺伝子を解明する手法として期待されている。DNAシークエンシングのコストが年々安価になっていることから、メタゲノミクスは微生物学において、より大規模で詳細な研究が行われることも見込まれる。2008年時点においてヒトの腸内細菌叢、海中の微生物群、海底の鯨骨細菌群、農場土壌の細菌群、鉱山廃水中のバイオフィルム、メタン酸化古細菌群などを対象としたメタゲノム解析が論文として報告されている。メタゲノムという用語は、ゲノムに高次元を表すメタという言葉を付け加えて命名された。これは単一生物のゲノムを研究するように、環境中から遺伝子配列を一緒くたに集め、解析をすることが可能であろうという考えが元にあることを表す。この用語はJo Handelsman, Jon Clardy, Robert M. Goodman, Sean F Bradyらにより1998年に初めて論文内で使用された。Kevin ChenとLior Pachterは2005年にメタゲノミクスを「個々の菌を研究室内で単離培養するための現代ゲノム技術の応用分野」と定義している。従来のDNAシーケンスは、DNAの下となる単一細胞を培養することが最初に必要であった。しかし初期のメタゲノミクスの研究により多くの環境には培養が不可能であり、それによりシーケンスも不可能な微生物が多く存在することが明らかにされた。これらの初期の研究では16S rRNA遺伝子配列を調べることに焦点が当てられた。これはゲノムにおいてこの部分が比較的短く、生物種内において保存性が高い一方で、異なる種内においては変化が見られるためゲノム全体をシーケンスするよりも簡便に環境中の微生物群集を調べることが出来るためである。多くの16S rRNA遺伝子配列のDNAシーケンスにより、培養されている既知の生物種には当てはまらない配列が見つかったことは、多くの培養がされていない微生物が居ることを示していた。これらのrRNA遺伝子配列を培養を経ず環境中から直接得た研究により、培養を元にした方法で見つけられる試料中の真性細菌・古細菌が1%に満たないことが明らかになった。メタゲノミクスの関心の多くは、微生物の大部分がこのようにこれまで見つけられずにいたことにある。
出典:wikipedia
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