『半分の月がのぼる空』(はんぶんのつきがのぼるそら)は、電撃文庫から刊行された橋本紡のライトノベル(全8巻)。また、それを原作とする漫画・アニメ・テレビドラマ・実写映画作品である。ライトノベルとしては唯一「漫画・ドラマCD・アニメ・実写ドラマ・実写映画」の5分野で作品化されている。原作ライトノベルは『完全版 半分の月がのぼる空』としてのリメイク刊行がされている。不治の病に侵された少女と、同じ病院に入院した少年との出会いを通して"いつかは終わりの来る日常"を描く、恋愛小説である。作者の入院生活から生まれた作品で、作者の生まれ育った三重県伊勢市を舞台としているが、実際の伊勢とは多少異なり、作者の思い出に残されている伊勢で物語は進んでゆく(とはいえ、繁華街の衰退など、伊勢の実情を反映した描写になっており、登場人物の行動にも深く関わっている。ただし、現実と時系列が前後している記述もある)。地名なども実際の伊勢とは一部変えられている。本作中には様々な文学小説が登場する。主なものは短編でもが出てくる。あとがきにて作者が語るように空想・SFなどの作品が多い電撃文庫作品の中で、このような穏やかな日常を描く作品は珍しく(特に1巻が刊行された2003年前後はその風潮が強かった)、その「日常」の中で人の死、命を扱った作品のため、ライトノベルの中ではかなりの異色作に分類される。刊行に際しては「売れなければそれで終わりだよ」と言われるなど周囲の反対が非常に強く、橋本本人はその反対を押しのけて刊行したと語っている。多くの小説に何らかの形で猫が登場する。不治の病で近々に死ぬ女性との恋愛物語、という点で『愛と死を見つめて』や『世界の中心で、愛をさけぶ』などと対比されることもあるが、本作品では死そのものは描かれておらず、むしろ"不特定の近未来"に訪れる死までを前向きに生きる姿を描く物語となっている。画集「半月-HANGETSU-」収録の書き下ろし短編小説「花冠」に、本作品の主人公とヒロインの二人と思われる人物が登場する。小説の作者の出身地が舞台のため、伊勢の町並みがほぼ忠実に再現されており、いわゆる聖地巡礼も盛んに行われている。中でも里香と裕一が関わる特別な場所として作中に出てくる砲台山(正式名称:竜頭山)のモデルとなった虎尾山では、長年不法投棄に悩まされていた付近住民が組織した特定非営利活動法人自利利他と巡礼に訪れたファンが出会い、一緒に協力して清掃活動を行っている。なお、この里山再生活動は作者の後の作品『彩乃ちゃんのお告げ』の題材のひとつとして取り入れられている。裕一と里香が入院しているのは「市立若葉病院」であるが、これは外見は「伊勢から少し離れた場所」の、設定は市内外の複数の病院を反映したものである。かつて個人の病院で、第1巻刊行の直前まで存在した慶應義塾伊勢慶應病院(現:伊勢慶友病院)、伊勢市に隣接する御薗村にあった山田赤十字病院(現:伊勢赤十字病院)、そして市立である市立伊勢総合病院の要素がそれぞれ含まれている。肝炎を患って入院した戎崎裕一は、退屈な入院生活に耐えかねて夜な夜な病院を抜け出しては、看護師の谷崎亜希子に怒られる日々を送っていた。そんなある日、裕一は抜け出しの黙認と引き換えに、同じ病院に入院していた秋庭里香の話し相手になる取引を亜希子と結ぶ。二人の距離は少しずつ近づいてゆき、里香はほとんど誰にも見せなかった笑顔を裕一に見せるようになる。ある日、里香は「自分が心臓の病気を患っており、もうすぐ死ぬ運命にあること」を裕一に告げる。裕一は戸惑いながらも、自分が里香を意識し始めていることに気づく。里香と二人で病院を脱走して訪れた「里香の思い出の地、砲台山」で、裕一は知る。里香は、もはや生きる希望を失っている事を。そして里香もまた、知る事になる。裕一の想いを。その想いを知った時、里香は再び生きる希望を取り戻し始める。病院や高校、伊勢の町を舞台に、里香、亜希子、主治医の夏目といった、彼を取り巻く人々との関わりを含め、物語は進んでゆく……。「月刊電撃コミックガオ!」上で「半分の月がのぼる空 The skies of the rising half-moon」としてコミック化された。作画はB.たろう、キャラクターデザインは山本ケイジ。作者の体調不良により2007年3月号より長期休載していたが2008年4月号でコミックガオ!が休刊することになり、連載中止が紙面にて発表され、1年以上の休載期間を挟んでの連載中止となった。2006年1月12日から2月23日まで、WOWOWにてノンスクランブル放送された。全6話。2007年1月5日から2月9日まで、TOKYO MXにて放送された他、2007年10月8日から10月29日まで、tvkで傑作選として1〜4話を放送した。秋庭里香役の高橋美佳子をパーソナリティにインターネットラジオ『高橋美佳子のmoonlight café』としてアニメ公式サイト内で、2006年3月3日から4月7日まで毎週金曜日正午に全6回が配信された(なお、番組は2008年6月現在も視聴可能)。テレビ東京にて2006年10月2日から月曜26:00-26:30に放送、全13話。系列外の西日本放送でも2007年8月22日・群馬テレビでも2007年8月30日から放送されている。電撃文庫としては初のテレビドラマ。テレビドラマ版では、原作の舞台である三重県伊勢市ではなく、栃木県佐野市で撮影が行われている。2010年4月3日全国公開。監督・深川栄洋、主演・池松壮亮により実写映画化。原作の雰囲気を継承しつつも人物構成やセリフ等の変更が進められ、映画版の本作脚本に基づき製作された。そのため、登場人物の相関関係や後半のストーリーが原作とは大きく異なる。また、演出の都合上登場人物名はフルネームでの紹介はされていない。伊勢市でロケを行ったが、路線バスの乗降が東京に合わせて「前乗り後ろ降り」(伊勢市で運行する三重交通では「後乗り前降り後払い」)になっているなど、原作とは別の理由で実際の伊勢市内とは変わっている部分もある。2010年3月27日、当時伊勢市内唯一の映画館であった「伊勢進富座」では、全国に先駆けて公開され、劇場の最高動員数に達し、それまでの同劇場の記録保持作品だった「ヒロシマナガサキ」の記録を塗り替えた。本作はサウンドトラックが発売されていないため、使用された楽曲には音源化されていないものが多い。音源化されているものでも『Cinema Diary』収録の"二人のおまもり"など、作中ではピアノ・ヴァイオリンが使用されていたものがピアノソロになるなどアレンジされている。『15の言葉』(阿部真央)撮影期間 2009年5月4日〜6月1日。三重県伊勢市を中心に計7市町内で撮影が行われた。※以上は2010年3月28日付中日新聞朝刊三紀17ページ及び伊勢志摩フィルムコミッション発行の『半分の月がのぼる空ロケ地MAP』による。原稿を精査し、文章の大幅な書き直し、構成の見直し、台詞の伊勢弁への修正など、大幅な改稿がなされたリメイク版。挿絵は全て削除されており、口絵に裕一と里香のイラストが描かれているのみとなっている。完全版でリメイクされたのは電撃文庫版第5巻までで、「第二部」にあたる6巻および、短編集である7巻・8巻はリメイクされていない。電撃の単行本より「半分の月がのぼる空〈上〉」「半分の月がのぼる空〈下〉」がそれぞれ単行本として刊行された。2013年7月から9月までの3ヶ月間、文春文庫にて完全版上下巻を4冊に再編集(各巻2分冊)し文庫化(再文庫化)。
出典:wikipedia
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