『世界最終戦論』(せかいさいしゅうせんろん、世界最終戰論)は、大日本帝国陸軍の軍人である石原莞爾(いしわら かんじ)の代表的著書である。1940年(昭和15年)9月10日出版。『最終戦争論』(さいしゅうせんそうろん)とも呼ばれる。本書の題名は『世界最終戦論』(せかいさいしゅうせんろん)または『最終戦争論』(さいしゅうせんそうろん)であり『世界最終戦争論』(せかいさいしゅうせんそうろん)ではない。本書は1940年(昭和15年)5月に京都で行われた「人類の前史終わらんとす」の講演内容が元になっている。立命館大学教授の田中直吉によって筆記され、9月に立命館出版部より88項の冊子として初版が発行された。1942年(昭和17年)に立命館の初版の内容に加えて『「世界最終戦論」に関する質疑回答』、『戦争史大観』、『戦争史大観の由来期』を含めた著作として新正堂から出版された。石原はヨーロッパ戦争史の研究と田中智学の講演からこれを構想、日米決戦を前提として満蒙の領有を計画した。その思想の原型は1929年(昭和4年)7月の中国の長春での「講話要領」にある。関東軍参謀であった石原はこのイデオロギーに基づいて奉天郊外で柳条湖事件を起こし、これを中国軍のしわざとして軍事行動を開始したことが満州事変となった。石原自身は戦後にはこの思想を捨てている。松岡幹夫は、『世界最終戦論』は田中智学の「撰時抄」講話の中での「世界戦争は予言的不可避性」を述べていた事からヒントを得たとしている。しかし伊勢弘志は、国柱会から「大闘争が発生して世界が統一されるという予言を得た」と同時に、智学は「キリスト教国を仏外の外道国として悪国指定」していたので、対米悪感情の面でも共鳴しているという。国柱会入会直後、石原は「大正9年7月18日の夫人への手紙」で、白人を「悪鬼」と述べまた「この地球上から撲滅しなければなりません」と憎悪を著わしている。ゆえに野村乙二郎は、「重圧としての対米観があったから」とこれを説明している。本書の構成は以下のようになっている。戦争は人間社会の諸力を総合的に活用しながら文明の発展とともに発展してきている。その中でも戦闘隊形は顕著な進展を見せている。古代における戦闘隊形は方陣であり、銃火器が導入されると横隊の隊形が開発された。そしてフランス革命以後では高度な基本教練が求められる横隊から散兵隊形へと変化した。第一次世界大戦では砲兵火力が著しく増大したために縦深防御が研究されてその火力の威力を軽減できるように工夫がなされた。つまり古代から第一次世界大戦までの戦闘隊形の歴史を概観すれば、点としての方陣、線としての横隊、面としての散兵や縦深の隊形が出現した。航空機の発明を考えれば将来戦争は戦闘空間は三次元となり、戦闘隊形は体へと発展すると予想する。石原はドイツ留学時にベルリン大学教授のハンス・デルブリュックの殲滅戦略と消耗戦略の類型化を学び、戦争を決戦戦争と持久戦争に分類した。決戦戦争では武力の重要性が高く、その経過は活発かつ男性的であり、期間は短期となる。一方で持久戦争では武力以外の手段が他の手段に対して相対化され、戦争は静的で女性的なものになり、その期間は長期戦となる。古代の戦争では決戦戦争が遂行されていたが、フリードリヒ大王は巧みな戦略・戦術で持久戦争を実践した。しかしフランス革命でナポレオンが敵の主力部隊を撃滅することを目標として軍事行動を行う殲滅戦略を行うと決戦戦争が台頭するようになる。そして再び機関銃によって防御戦闘の技術的優位性が圧倒的に高まったせいで第一次世界大戦は持久戦争へと回帰した。この決戦戦争と持久戦争の交代の変化を考えれば次の将来戦争は決戦戦争の形態に移行すると考えられる。最終戦争では航空機や大量破壊兵器によって殲滅戦略が実施され極めて短期間のうちに戦争は終結することになる。このような最終戦争を戦う国としてはブロック化したいくつかの勢力を列挙することができる。つまり世界はヨーロッパ、ソビエト連邦、東亜、南北アメリカの連合国家へと発展し、つまり日本の天皇を盟主とする東亜と、ヒトラーを中心としたヨーロッパ対アメリカを中心とした南北アメリカと、中立のようだが南北アメリカ寄りのソ連の対立となる。しかしヨーロッパは大国が密集しているため、うまくまとまることができない。ソビエト連邦は全体主義でいかにも強そうに見えるが、ヨシフ・スターリンの死後は内部崩壊する。そうなると、東亜連盟と、アメリカ合衆国の決戦となる。その決勝戦(最終戦争)に勝った国を中心に世界はまとまることになる。これは東洋の王道と西洋の覇道のどちらが世界統一において原理となるのかを決定する戦争となる。最終戦争勃発の条件として石原は、の3つを挙げている。天皇について石原はとし、また『戦争史大観』ではと述べている。
出典:wikipedia
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