タイヤ(米:Tire, )は、車輪のリムを丸く囲む帯状の構造で、路面・地面あるいは軌道の上を転がる踏面(トレッド)を形成するものの総称である。ここではゴムタイヤについて述べる。漢字標記式: 輪胎(輪=車輪、胎=単にTireの"Ti"部の音からの使用で車輪の胎盤という意味はない)ゴムタイヤとは衝撃の緩和や、安定性の向上などを目的に、車輪(ホイール)の外周にはめ込むゴム製の部品。自動車、自転車、オートバイ、モノレールや新交通システム、地下鉄などの一部の鉄道車両、航空機(飛行機)、建設機械など地上を移動する多方面の輸送機器に使用される。自動車や自転車などの輸送機器用では中空構造をしており、通常、空気や窒素ガスなどの気体が入れられるが、フォークリフトなど一部の用途では、一輪あたりの負担力を上げるため、中実構造のソリッドタイヤ(俗称・ノーパンク)も使われる。気体が抜けてもしばらくは走れる、ランフラットタイヤも出回り始めた。1867年に車輪の外周にゴムを取り付けるようになり、それまでの金属、木の車輪から脱皮する。当時のゴムタイヤは空気入りではなく、ソリッドゴム(総ゴム)タイヤであった。空気入りタイヤ(pneumatic tire/ニューマチックタイヤ)は1845年にイギリスのロバート・ウイリアム・トムソンが発明し特許を取得したが、実用化には至らず、1888年にスコットランドの獣医師ジョン・ボイド・ダンロップが自転車用の空気入りタイヤを実用化するまで待たなければならなかった。自動車用の空気入りタイヤとしては、フランス人のアンドレ・ミシュラン、エドゥアール・ミシュランのミシュラン兄弟が、1895年に開催されたパリからボルドーまでを往復する、全行程1200kmのレースに使用したのが最初である。このレースでミシュラン兄弟は100回近いパンクにもめげず、規定時間を超過しながらも完走した。耐久性に問題があったとは言え、乗り心地、グリップ力、安定性に格段に優れていることを証明した空気入りタイヤは、これ以降急速に普及する。等タイヤには、大きく分けて2種類の構造がある。内部のカーカス(後述)がタイヤの回転方向に対して垂直になっている「ラジアルタイヤ(以下ラジアル)」と、斜め方向になっている「バイアスタイヤ(以下バイアス)」である。一般的に、バイアスは居住性(俗にいう乗り心地)に優れ、ラジアルは操縦性・走行安定性が優れており、更にトレッド変形が少なく耐摩耗性に優れタイヤ自体の発熱も少ないなどの利点がある。一方バイアスと比較してタイヤ自体の強度(特にサイドウォールの強度)が劣りがちであり、それを強化する為にカーカスの外周にベルト(ブレーカーコードとも呼ばれ、カーカスに対する箍の役割を果たす)を巻き付ける工程を追加しなければならず、その分割高となりやすい。かつては普通にタイヤといえばバイアスを指したが、1947年にミシュランがラジアルを最初に実用化し、1978年にはF1でも使われ。耐久性と操作性に優れ、量産効果で価格も下がったため乗り物用タイヤの主流となり、自動車やオートバイでは2008年現在ほとんどラジアルであり、バイアスはスペアタイヤや小型バイク、農業機械、建設機械等の一部に使われる程度である。なお、バイアスの性質をよりラジアル側に近づける為に、カーカス配置で外周にブレーカーコードを配してトレッドの強化を行ったバイアスベルテッドタイヤ(ベルテッドバイアス)も存在する。スチールラジアルタイヤに入れられている鋼線(鋼)とゴムは接着性が良くないため、銅メッキが施される。この技術的課題の克服が、実用化に時間を要した一因である。加硫によってゴムに数 %含まれる硫黄と銅が強力なイオン結合を形成する。1970年代以降のスチールコードは銅メッキで、現在はより強度に優れるブラス(真鍮)メッキになった。近年は鋼線とゴムとの接着をナフテン酸コバルトを介在させる界面活性剤で解決する方法が見付かったが、環境に悪影響を与える可能性があり、普及には時間がかかる見込みである。また、スチールコードの代わりにアラミド繊維を使用する例もある。ばね下質量が減るため路面追従性が向上する。航空機用タイヤについては、材質はナイロン6(PA6、)・ポリエステル・ガラス・鋼のどれかを補強繊維とした繊維強化ゴム (FRR) で母材のゴムは合成ゴムのスチレン・ブタジエンゴム (SBR) を使用している。また構造についてはバイアスによる生産技術がある程度確立されていたことや、離着陸とタキシングを繰り返す過酷な状況での安全性が求められたこともあり、自動車やオートバイでラジアルが広まった後もバイアスが使われ続けていたが、2000年以降は航空機用途でも十分な耐久性と安全性を持ったラジアルが生産・採用されるようになっている。航空機で初めてラジアルタイヤを採用したのは、軍用機はF-15E戦闘爆撃機で、民間機ではエアバスA320(ブリヂストン製)である。かつてはタイヤの内部に空気を閉じ込めるチューブを入れるチューブタイヤが主流であったが、現在はホイールとタイヤのみで気密を保持するチューブレスタイヤが主流となっている。ただし現代でもチューブタイヤは、自転車、オフロード・トラッカー系、旧車風のバイク、トラクターなどの一部の農業機械や建設機械で使われ続けている。これはホイールリムをスポークが貫通していることや、空気圧を低くセッティングするなどの理由により、ホイールとタイヤのみでは気密を保てないためである。リム組みされた一般的なチューブレスラジアルは、以下のような部位と構造を持っている。タイヤの寸法表示には、メトリック表示と、インチ表示の2種類がある。かつてのアメリカではレター表示と呼ばれるものも存在した。タイヤのサイドウォールには一般的な寸法表示の他、下記の様々な表示が行われる。タイヤは適正量の空気が入っていなければ役割を果たさない。タイヤに空気が入って、車重を支える事が可能になる。空気はタイヤにとって最重要の部品とも言える。タイヤおよびその使用車種によって適正な空気圧が指定されており、ドライバー側のドアを開けたときに露出するボディ部分にステッカーなどで表示されていることが多い。適正数値は乗用車の場合200kPa前後、バス・トラック等の大型車で600 - 900kPa程度が指定されていることが多い。チューブレスで3か月程度、チューブタイプで1か月程度ごとに適正な空気圧を保つことが重要である。時間の経過とともにタイヤから空気が漏れ出したり、暑い時に適正な空気圧で空気を入れたとしても空気の密度が低いので気温の低下により体積の減少=圧力低下を招いたり、様々な原因で空気圧は低下する方向に作用する。2010年代現在、乗用車向けに、一部カー用品店やガソリンスタンドで窒素ガスを勧める場合がある。空気圧のメンテナンスを軽減する事が最大のメリットと言われ、その他て派生的に燃費悪化の防止等の効果も考えられるが、直接的なものではない。また、ロードノイズが低減するという話もあるが、科学的根拠は無い。また、もともと空気中の79%が窒素であるため、(下記のようなシビアコンディションでなければ)コストに見合わないとする声もある。ではなぜ窒素がタイヤに使われるようになったのかというと、温度変化によるタイヤ内圧変化を抑制する目的があるからである。高速走行など激しい温度変化を受けるタイヤ(レーシングカー、高速長距離トラック、飛行機など)において、これは重要なポイントとなる。一般に普及するきっかけになったのは、高速長距離運転を行う大型トラックに多く採用された事である。これは高速長距離運転によるタイヤ内圧上昇を抑制することを企図したもので、航空機、レーシングカーでの理由と符合する。逆に短距離と荒地での運用の多いダンプトラックなどでは普及していない。航空機(飛行機)用タイヤには、ふつう液体空気から分留した窒素ガスを充填する。これは以下の理由によるレーシングカーの場合、冷間時と温間時の温度差が激しく、使用前と使用中、使用後の気圧変化をデータ化し、走行時(特にペースアップが求められる時)に適度な接地を得られるように管理する必要があり、その為に膨張変化率の安定した気体が求められる。つまり空気のように気象条件により湿度変化がある場合、充填気体の膨張変化率が安定しない為、内圧管理が出来なくなる。それを避けるために単一気体として窒素を充填する。但しF1に於いては窒素では無くドライエアー(強制的に乾燥された空気)が充填されることが多い。これは水分が除去されれば気体の膨張率はほぼ変わらないためである。このため窒素充填では有意なグリップ変化は生じ得ない。タイヤ温度に合わせて圧力が変化し、それに伴って接地面積、つまりグリップが変化するにせよ、その変化が他の気体(乾燥空気)と大差ないためである。要するにクルマの場合悪さをするのは主に空気中の水分であり、また高速走行を前提としていないと効果は薄いと言うことである。また窒素を入れていたとしても諸要素(例えばタイヤやバルブの劣化)によって空気圧が下がることは十分にあり得るので、空気圧点検が欠かせないのは言うまでもない。モータリゼーションの発展とともにタイヤの消耗量も膨大なものとなり、廃タイヤの処理も問題となっている。放置されたタイヤに溜まった水から発生する悪臭や、水に蚊が産卵することによる虫害、野積みされたタイヤが自然発火するなどの事故も発生している。また他の樹脂製品同様腐敗しにくく、廃棄されると長期にわたって残り続ける。山林などに不法投棄された乗用車は、20年程度経過しているものでさえ、車体や内装はぼろぼろに朽ちても、タイヤだけはほとんど侵蝕されず原形をとどめ続ける。径の大きな廃タイヤは重くて丈夫なため、公園の遊具やスポーツトレーニング用として利用される。径の小さな廃タイヤは花壇の外周を装飾するような利用法があり、小学校や幼稚園で見かける。下駄や雪駄の底に平らに伸ばしたタイヤを貼り付けてアスファルトとの接触で極度に磨耗しやすい伝統的な履物の耐久性を持たせようとする工夫も見受けられる。また、中が空洞になっている大きなゴム製品ということを利用して緩衝物として利用することも多々ある。具体例としては適当な大きさの廃タイヤを集めて、漁船やタグボートなど小型船舶の防舷物とする使い方や、サーキットの「タイヤバリア」(コースアウトした車を突入させて安全に減速させる部分(エスケープゾーン)の壁際に設置する、タイヤを重ねて作ったクッション)などがある。最もリサイクル用途が高いのは燃料としてのサーマルリサイクルである。日本国内では、廃タイヤの半数程度がセメントや製鉄工場の高炉に投入され、タイヤに含まれているスチールコード類も鉄原料としてセメントの成分や鉄材に残らずリサイクルされている。燃料用途以外には、緩衝材や防音材として利用される他、マテリアルリサイクルの原材料として再生タイヤの需要が高い国への輸出も行われている。航空機などのタイヤは、使用済みのタイヤのトレッド、サイドウォールを張り替える事で何度か再利用されている。また、大型トラックやバスでは、再生タイヤが後輪に使われていることが多い。特に輸送コスト、とりわけタイヤ関連の維持費を圧縮したいと考えるのはこのような車種を大量に抱えている事業者であり、その要望に応える形としてタイヤメーカーが協調的に関与し、新品タイヤから再生タイヤへの交換、再生タイヤの計画的な補修と廃棄についてのプランが提示されている。タイヤメーカーにとっては新品が売れないという弊害があるものの、それを上回る形で再生タイヤの使用を促して利益を保っている。また、このサイクルを維持する起点として、再生加工されることを前提にしたタイヤ製品が存在している。再生タイヤの利用は廃棄物を減らす意味で効果的なので、ユーザーとしてはコスト削減とともに、環境破壊を抑制する企業活動を行えるので好都合である。なお新品と同じ形状にすることが困難なためステアリング性能に影響を及ぼす可能性があり、前輪への再生タイヤ装着は勧められていない。一般乗用車での再利用率は非常に低い。コストの問題と、タイヤの構造が再生に不向きなのが主たる原因である。乗用車のタイヤはバスや大型トラックのタイヤに比べて薄手であるため加工する余地がほとんどなく、仮に加工したとしても安全性の確保が難しい。タイヤメーカーは乗用車用タイヤの再生を認めていない(ドリフト走行を行う場合には後輪を滑らせるため、あえて再生タイヤを履く事があるが非常に危険である)。また、トレッドを張り替える際のパターンについて、新品と同様のパターンを付ける事は意匠権の関係から、権利者であるタイヤメーカーの許諾が必要であり、安直に再生は出来ない。再生方法としては主に下記の3種類が挙げられる。加工を伴わない乗用車用タイヤの再利用は、スタッドレスタイヤの通年利用(履き潰し)である。溝の深さが新品時に比べて半分になったスタッドレスタイヤは雪上を安全に走行する能力を失い、雪上走行用として用いることができなくなる。そのかわり、法律で定められた摩耗限度まで、普通のタイヤとして利用することができる。タイヤメーカーは、スタッドレスタイヤの商品情報を掲載したカタログでこの方法を示している。スタッドレスタイヤは一般的なタイヤに比べて表面が柔軟なため、通常の乾燥路面における乗り心地や操作性が良いと感じる者がいる。しかし、実際には柔らかいコンパウンド=ハイグリップとは言い難く、むしろ柔らかいがゆえに走行時におけるトレッド面の変形が大きく、サマータイヤに比べて転がり抵抗が増え燃費が数パーセント悪化する。タイヤは路面を走行する事で次第に摩耗してゆく。この摩耗の際に発生する微細なゴム粉末は粉じんとなって大気中に漂う他、路上の小石やブレーキダストなどの他の粒子と結合して比較的大きな粉末として環境中に残留する事が、JATMAも参加しているタイヤ業界世界CEO会議の中で調査結果として纏められている。この調査結果によると、タイヤ摩耗粉による急性の毒性被害は発生しないとされているものの、粒径10ミクロン以下の摩耗粉の健康に対する影響は引き続き調査が必要と結論付けられている。一般的な市販車両で使用されるタイヤ摩耗粉は極めて微細な粒子として発生するが、モータースポーツで用いられるスリックタイヤなどから発生するタイヤカスは、日本ではウンコ、アメリカではタイヤマーブルとあだ名されるほど大きな粒径で発生する。レコードライン上の舗装にこびりついたタイヤカスはラバーが乗ったと形容され、グリップ向上の要素として歓迎される反面、路面に乗ることなく剥がれた大径のタイヤカスは時としてサーキットを走行する車両を妨害する程の厄介な障害物となりうる。インディカーやNASCAR等のオーバルレースでは、タイヤマーブルがクラッシュの直接要因となる為、トラック上に多数散乱しているとオフィシャルに判断されると、直ちにレースが黄旗中断され、専用の路面清掃車がマーブルの除去を行う。今日のようなワンメイクタイヤの使用が主流でなかった時代には、新型のタイヤを装着してファステストラップを叩きだした車両のタイヤカスをライバルチーム関係者が拾い集め、成分の分析を試みたという。市場に流通するタイヤの種類や寸法は、その時代によって様々に変遷していく。日本においては1970年代以前はインチ表記のバイアスタイヤが主流で、ホイールによってはチューブタイヤのものもしばしばみられた。1980年代以降は殆どがメトリック表記のラジアルタイヤへと移行し、チューブタイヤはほぼ姿を消した。軽自動車においてはブレーキ規制が強化された1980年代末を境に、10インチサイズのタイヤから12インチサイズのラジアルタイヤに移行していった。こうした変遷の中で近年では新車採用されなくなったり、ごく一部の車種にのみ採用されたサイズのタイヤが市場流通から姿を消す、或いは選択できるタイヤの種類が極端に狭くなるなどの問題がしばしば発生する。自動車用タイヤはグッドイヤー(米)、ブリヂストン(日)、ミシュラン(仏)の3社のグループへの寡占化が進行している。ここでは主に日本国内で購入可能なメーカーを中心に記述する。
出典:wikipedia
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