水素イオン指数(すいそイオンしすう)、水素イオン濃度指数(すいそイオンのうどしすう)またはpH(ピーエイチ、ピーエッチ、ペーハー)は、水素イオンの濃度を表す物理量である。pHは物理量の名称としても、物理量の記号としても用いられる。pHの値が小さいほど水素イオン濃度が高いことを示し、pHの値が1変化することは水素イオン濃度が10倍または10分の1異なることを意味する(定義の節で後述)。pHの読みは「ピーエイチ」(英語読み)、または「ペーハー」(ドイツ語読み)である。日本では1957年(昭和32年)にpHのJISを制定する際に読みが「ピーエイチ」と定められ、現在の法令およびJISでは「ピーエッチ」と定められている。pHの由来は『新和英中辞典』や『ジーニアス英和辞典』によると英語、『新英和中辞典』によるとフランス語 (英語の "に相当、ただしフランス語では『ディコ仏語辞典』によればの略)、『オックスフォード英英辞典』によるとドイツ語 である。ラテン語に由来するという説明もある。水素イオン指数は、水素イオンの濃度を対数によって表す物理量である。水素イオンのモル濃度を、mol/Lまたはmol/dm単位で表した数値の逆数の常用対数で示したものである。通常水溶液中での値を指し、1 atm・25 ℃の状態においてpH = 7が中性で、pHの値が中性よりも小さくなればなるほど酸性が強く、逆にpHの値が中性よりも大きくなればなるほどアルカリ性が強い。一般的な水溶液では25 ℃でのpHの値はおおむね0~14程度の範囲にある、と考えてよい(ただし、高濃度の溶液の場合、若干例外的なことが起きうる)。簡単に言うと、物質の酸性・アルカリ性の度合いを示すための指標として考案されたものである。1909年にデンマークの生化学者セレン・セーレンセンにより提唱された。その後、1924年に定義が改訂され、現在ではモル濃度のかわりに活量(活動度)を用いて定義されているが、モル濃度による値と活量による値の差は通常0.1以下なので、実用上はほぼ同一視してよい。pHは水素イオン(H)の活量formula_1 を用いて次式により定義される。例外的な記号であるpHのpは、演算子formula_3と解釈される。希薄水溶液中においては、水素イオン活量はmol/Lまたはmol/dm単位で表した水素イオン濃度 [H] の数値にほぼ等しいと近似される。特に、水溶液が、酸性条件であり、かつ、pHの値が水の電離の影響が支配的な中性(25 ℃の温度においてpHが7付近)から充分離れている場合に限れば、以下の式で水素イオン濃度指数を求めることが出来る。酸性の場合、水素イオン活量が「水酸化物イオン活量」より大きくなり、中性の場合は水素イオン活量と水酸化物イオン活量とが等しくなり、そしてアルカリ性の場合は水素イオン活量より水酸化物イオン活量が大きくなる。水素イオン指数pHと同様にして、水酸化物イオン指数pOHが、以下の式で定義される。希薄水溶液中においては、水酸化物イオン活量もmol/Lまたはmol/dm単位で表した水酸化物イオン濃度 [OH] の数値にほぼ等しいと近似される。特に、水溶液が塩基性であり、pHの値が水の電離の影響が支配的な中性(25 ℃の温度においてpHが7付近)から充分離れている場合に限れば、水酸化物イオン指数を、以下の式で近似することが出来る。水素イオン濃度 [H] と水酸化物イオン濃度 [OH] の積(水のイオン積)は1 atm・25 ℃でほぼ 1 × 10 (mol dm)² (実際の測定値は1.008 × 10 (mol dm)²)で一定なので、次式の関係が成り立つ。25 ℃の純水の場合ほぼpH = 7(中性)となる。中性を境に、25 ℃ではpH < 7の場合を酸性、pH > 7の場合を塩基性(アルカリ性)と呼ぶ。上の概説および定義で述べてきたように、pHの値は、まず同一の圧力および温度において評価すべき、通常1 atm・25 ℃での値を比較すべきものであることが前提となる。それを前提として、pHの変域が特に存在するわけではない。一方で、日本の高等学校の教科書などでは1 atm・25 ℃でのpHの値が0~14の範囲で図表が掲げられ、水溶液のpHはほぼその範囲で変化すると記述されている。また水溶液のガラス電極によるpH測定において、信頼性の高い値が得られるのはおよそpH = 1~12の範囲内、イオン強度は0.1以下である。まず濃厚な酸の水溶液をガラス電極により測定する場合、ガラス電極表面の膨潤および陰イオンの吸着などが影響し、酸誤差が生じる。次に濃厚な塩基水溶液の場合はガラス電極表面への陽イオンの吸着などの影響によりアルカリ誤差を生じ、これは陽イオンのイオン半径が小さいほど大きい傾向がある。しかし、濃厚な強酸、強塩基水溶液あるいは超酸、超塩基ではpHの値が負の値となる場合や、14を超える場合が存在する。この場合、pHやpOHではあまり意味をなさないため酸度関数によって表現するのが一般的である。pHを求める応用例として、弱酸溶液のpHを酸解離定数を使って求めることができる。弱酸は、溶液中では一部しか電離しておらず、平衡状態にある。いま弱酸がで電離している時、酸解離定数"K"は、と表すことができる。ここで、酸の初期濃度をc、電離度をαとすると、平衡時には表のような濃度になる。従って、酸解離定数"K"は、ここで、α≒0であるため、1-α≒1とすると、"K"=cαとなるため、水素イオン濃度[H]は、したがって、溶液のpHは、以下の方法よりpHを測定できる。単に酸性、中性またはアルカリ性かのみを確認する場合、リトマス紙を用いる。液タイプとテープ(紙帯)タイプがある。水素電極(白金黒水素電極など)は白金板の表面が微粒子の白金黒で覆われたもので、10 Paの純粋な水素ガスを通じながら使用する。その電極反応は以下の通りで、ネルンストの式によりpHと電極電位との間には以下の関係が成立し、水素イオン活量と電極電位には直線関係がある。参照電極(照合電極、reference electrode)としては銀-塩化銀電極あるいはカロメル電極などが用いられ、それらと水素電極との電位差をpHに換算する。pH電極(ガラス電極など)を接続したpH計を使用し、電気的に測定することができる(pHメーター)。電極内部にpH一定の緩衝溶液が封入され、ガラス膜の内部および測定溶液に接触する外部にそれぞれ水素イオンが吸着し電位差を生ずる。ガラス電極と参照電極との電位差をpHに換算する。水素イオン指数は前述したように水素イオンの活量で定義されるが、電気化学的に測定されるものは陽イオンおよび陰イオンの活量の積であり、単独イオンの活量を直接測定することは不可能である。このため単独イオンの活量で定義される厳密な意味でのpHは測定が不可能であることになる。そこで実験的にpHを測定するためには、デバイ-ヒュッケルの式などから推定される活量に基いて仮定される操作的な定義が必要となる。そこでJIS規格では15 ℃における0.05 mol/Lのフタル酸水素カリウム水溶液のpHを4と定義している。また米国のアメリカ国立標準技術研究所 (NBS) では以下のように一次標準溶液を定義している。一次標準物質には緩衝溶液としての作用が強く、再結晶などにより純品が得やすいものが選定されている。試料測定前にこれらの一次標準溶液を用いて pHメーターの校正を行う。校正は中性付近のリン酸塩標準溶液および酸性側のフタル酸塩標準溶液または塩基性側のホウ酸塩標準溶液を用いて2点、あるいは3点で行う。
出典:wikipedia
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