二重スリット実験(にじゅうスリットじっけん)は、粒子と波動の二重性を典型的に示す実験。リチャード・P・ファインマンはこれを「量子力学の精髄」と呼んだ。ヤングの実験で使われた光の代わりに1個の電子を使ったものである。この実験は古典的な思考実験であった。実際の実験は1961年にテュービンゲン大学のクラウス・イェンソンが複数の電子で行ったのが最初であり、1回に1個の電子を用いての実験は1974年になってピエール・ジョルジョ・メルリらがミラノ大学で行った。1989年に技術の進歩を反映した追試を外村彰らが行なっている。2002年に、この実験はの読者による投票で「最も美しい実験」に選ばれた。電子銃から電子を発射して、向こう側の写真乾板に到達させる。その途中は真空になっている。電子の通り道にあたる位置に衝立となる板を置く。その板には2本のスリットがあり、電子はここを通らなければならない。すると写真乾板には電子による感光で濃淡の縞模様が像として描かれる。その縞模様は波の干渉縞と同じであり、電子の波動性を示している。この実験では電子を1個ずつ発射させても、同じ結果が得られる。すなわち電子を1度に1個ずつ発射させることを何度も繰り返してから その合計にあたるものを写真乾板で見ると、やはり同じような干渉縞が生じている。1999年にはアントン・ツァイリンガーが、電子や光子のような極微の粒子の替わりに、フラーレンという大きな分子を使って同様に実験した場合にも、同じような干渉縞が生じるのを確認している。ツァイリンガーは次にウイルスによって干渉縞を生み出すことを目標としている。この実験結果で最も不思議なのは、着弾の確率分布が干渉縞を描いていることである。この現象をより理解しやすく例えれば、スリットの向こうの着弾確率の低い場所(≒影、縞模様の薄い場所)に人を座らせておく状態を想像する。金属の銃弾(≒粒子)をスリット穴に撃ち込んだ場合、銃弾は真っ直ぐ進み人は被弾することはない。しかし、銃弾を殺傷能力のある電子(例え)に置き換えると、影にいるはずの人はまれに被弾する。つまり、電子が必ずしも粒子でないことが確かめられる(常に粒子ならば 、銃弾と同じで人は被弾しない)。1個の粒子の着弾は一般的に思い描かれる粒子像と完全に一致しているが、多数の粒子が描く模様は「広がった空間の確率分布を支配する何か(=波と考えられている)」の存在を指し示している。粒子と波動の二重性について「多数の粒子の振る舞いが波としての性質を形作る」とする説が過去にはあった。しかしこの実験は、単一の粒子であっても「広がった空間の確率分布を支配する何か」の存在を示しており、一般的な直観に反する奇妙な現象である。一般的な粒子像では粒子は一点に存在するはずであり、「広がった空間の確率分布を支配する何か」と同じとは考えにくい。しかしこの奇妙な実験結果からは「単一の粒子が『広がった空間の確率分布を支配する何か』の性質を併せ持つ」という一般的な直観に反する事実を認めるしかない。俄には信じ難いが、これこそが量子の本質的な性質であることは、実験が示す動かし難い真実である。
出典:wikipedia
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