『ローズ・トゥ・ロード』は、日本のテーブルトークRPG (TRPG) である。デザイナーは門倉直人で、1984年6月、ツクダホビーから発売された。以降、4回に渡ってルールを変えながら制作されたが、1993年の『ファー・ローズ・トゥ・ロード』以外は一貫して門倉直人がゲームデザインを行っている。ジャンルとしては異世界ファンタジーRPGであり、背景世界ユルセルームは指輪物語の影響を受けていると言われる。1984年版では「四王国時代」を背景としている。後に出版元を遊演体に変え、舞台となる時代と共に版を変えた。「薄暗がりの時代」の『ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード』(1989年)、「大旗戦争(たいきせんそう)」前後の時代を舞台とする『ファー・ローズ・トゥ・ロード』(1993年)を経て、2002年7月5日発行元をエンターブレインに変え、再び『ローズ・トゥ・ロード』の名前でリニューアルしている。各タイトルの略称は以下の通り。『ローズ・トゥ・ロード』は、「舞台となる背景世界“ユルセルーム”の幻想的な雰囲気を、いかに遊び手に感じさせるか」ということを主題においてデザインされているゲームである。ローズ・トゥ・ロードは、下記のように何回もゲームデザインされ、そのたびにゲームシステムは変わっているが、初代から2002年版まで受け継がれている共通のコンセプトがある(『Wローズ』において全く一新された)。キャラクターの生まれ(種族や出身階級)は、D100ダイスによりランダムに決定される(これは『ルーンクエスト』などの影響を受けたもので、本作の独創ではないものの、日本産TRPGの系譜のなかでは他に例は少ない)。一方、いわゆる固定された「クラス」の概念はなく、「戦士」「魔法使い」といった区分はない。条件にあえば誰でも剣を使うことができ、誰でも魔法を使うことができる。ただし、出生による有利・不利はある。妖精(エルフ)、小人(ハーフリング、ドワーフ)などのほかに「シェイプチェンジャー(獣に変身する種族)」が標準的な種族であるのもTRPGにおいては珍しく、『指輪物語』の影響を感じさせる。初代ローズには「コミュニケーション表」が搭載され、簡単な表ながら、コミュニケーションの結果「戦闘」になったり「恋」が芽生えるようになっていた(いっぽう、結果は「Cr(魅力)」の数値に左右されるため、プレイヤーがキャラクターのCrを偏重する風潮も生んだ)。以後シリーズを通して「キャラクターの外見・魅力」と「NPCとのコミュニケーション」は、重要な要素となっている。前述のように、本作では「魔法」が重要な要素である。全作を通して魔法は「カード」によって表現され、システムはタイトルごと異なるものの、「めくるまで、術者にも正体が分からない」という共通コンセプトを持つ。初代には、ゲームブック形式のダンジョン探索シナリオ「魔女の洞窟」と、それに連結した「ミレア島の黒塔」というシナリオが掲載された。シリーズを通じて微妙に内容を変えながら毎回このシナリオが掲載され「定番シナリオ」となっているのも特徴である。『Bローズ』には門倉直人が書き下ろしたその続編にして完結編「アウル・アエンダ」も掲載された。『Fローズ』には「魔女の洞窟」の後日談的なカード・ランダムダンジョン形式のシナリオ「精霊の洞窟」が掲載されている。『Wローズ』には当シナリオは掲載されていないが、言葉決め表に「ミレア島」が記載されていたり、「イルヴ半島&ミレア島」を舞台として冒険できるようになっている。ツクダホビーより、1984年発売。ボックス型。ボックスアート加藤直之。精密戦闘に使用するヘクス(六角形のマス)を使用したマップや紙製のモンスター駒が大量に同梱され、小型のメタルフィギュア4体も含んだセット。キャラクターは成長のなかで様々な「称号」を得ることができ、最高位の称号は「ロード」だった。統一王国瓦解後、大国同士がバランスよく各地を統治している「四王国時代」を舞台とする。ローズ・トゥ・ロードのシリーズでは最もオーソドックスな「剣と魔法の冒険」ができる時代でもある。いずれも出版はツクダホビーである。『ローズ・トゥ・ロード』の基本ルールを用いて、『グイン・サーガ』の世界を舞台に冒険を楽しめるようにしたもの。ボックスタイプで『ローズ・トゥ・ロード』のルールブックがそのまま同梱され、それに加えて、『グイン・ワールド』専用のデータブック(追加ルール含む)や、付属マップがセットされていた。『グイン・ワールド』独自の追加要素部分は、多摩豊のゲームデザインによる。通称『Bローズ』。遊演体より、1989年発売。ボックス型。ボックスアート加藤直之。初代ローズの舞台から約200年後の「薄暗がりの時代」を背景とする。世界規模の呪いがかけられ、世界の存在そのものがあやふやになっているという非常に危険な時代であり、ローズ・トゥ・ロードのシリーズでは最も幻想性が強い。より強調された幻想性を表すため、魔法が「マジックイメージ」の組み合わせで自由に生成できるなど、意欲的なシステムを採用していた。大いなる種族(いわゆる神や悪魔)の設定を有坂純が担当しているが、PCが到底かなわないような存在が多数登場するのも特徴である。雑誌展開などは、小泉雅也、水原静などが中心に行った。本作のルールブックは通常の製本されたものではなく1ページごとにバラバラの状態のものをバインダーに閉じることで、図表をコピーしたり必要なページのみを抜いてプレイヤーに見せるといった使い方ができるようになっていた。ただし、初版ではバインダーの止め具がリングではなく棒状になっていたため、ページを開こうとしただけで破れる、勝手にバインダーの止め具が外れる、などといった問題がしばしば発生して不評であった。そのため、その後発売された第二版では、ルールブックは「バインダーにも綴じられる冊子スタイル」になり、バインダーの留め具もリング状に改良された。通称『Fローズ』。遊演体より、1993年発売。ボックス型。ボックスアート熊倉宏。『Bローズ』から約100年後の「大旗戦争」前後の時代を背景とする。統一王国復興を目指して大陸規模の戦争が起こる時代であり、一種の戦記ロマンとしての背景ももつゲームである。初代『ローズ・トゥ・ロード』のユーザー世代が制作側となった作品であり、門倉直人原作の下、司史生、高橋まこと、伊豆平成、坂東いるか、田中桂などが制作スタッフとなった。ゲームシステムデザインは藤浪智之が担当している。「経験表」や「散策表」といったフレイバーテキスト付の各種イベント表、「感情」が大きな要素となったシステム、日常生活面が充実した魔法や装備品といったデータは、「ローズ・トゥ・ロード」に新しい側面を見せ新たなファンを獲得した。サプリメントが最も充実したタイトルでもあり、追加ルールを使用することにより、アーティクル(意識を持つアイテム)や「大いなる存在」(幽魔族)、龍や小鬼などの異種族をPCにすることもできた。全て遊演体が出版。通称『Rローズ』(『ローズR』とも)。エンターブレインより、2002年発売。カバーアート加藤直之。カード付ブックスタイルとなり、初代ローズのリメイクの意味合いが強い。背景となる時代も再び「四王国時代」となった。サプリメントや雑誌展開は小林正親が中心となり、新たなファン層を獲得した。本タイトルは基本システム(門倉直人デザイン)こそ初代のリメイク的なシンプルな内容であり、またルール上の未整理も多かったため評価は低かったが、その後多くのサポートが行われて評価が変わった。サプリメントや、小林正親によるリプレイでは、『Bローズ』や『Fローズ』、あるいは『水晶の王』『忘れえぬ炎』で語られていた設定・要素を再び取り入れ、シリーズ集大成的な内容を試み、高い評価を得ている。いずれも出版はアークライトである。正式名称「The Wander Roads to Lord」。通称『Wローズ』。エンターブレインより、2010年発売。カバーアート木野田永志。カバーイラストを含めて本編中のイラストが4枚のみとなっており、世界観を象徴的に表している。PCは〈アムンマルバンダ〉となり、「混沌の呪縛」で不安に揺れる地を「自らの旅で通じ安堵」させていく魔法使いたちとなる。背景となる時代は詳しく明言されていないが、本書付属地図にヒュノー魔大島、旧エンダルノウム、フェリア(ファライゾン地域)の存在確認等がされているのを見ると、四王国時代(初代および『ローズR』の時代)と推測される。ただし、本書ユルセルーム年表のうち2120年(『Fローズ』の大旗戦争終結後)に「この頃より『混沌の呪縛』の発生地が増えているという不気味な噂が目立ち始める」などと記されている。基本システムは大幅に変更されている。能力値は全13個(初期は5個のみ使用可能でゲームを進めるうちに増減する)になり、数値ではなく言葉で表現されるようになった。PCの判定にはダイスもカードも使わず、達成値を求めることもしない。対象の持つ能力に対して自身の能力との類似要素を探す「響き合い」という過程を経て、対象の能力を上書きすることで達成する。一方NPCは、トランプを1枚引いてその札の値(A-K)に該当する能力を発揮し、PCの持つ能力を上書きするというものである。ソロプレイおよびGMレスのプレイを標準としている。シナリオを補助的に進める要素として、またもう1つの判定法として「言葉決め」のルールがあり、これには「言葉決め表 / ユルセルーム編」、あるいは別に用意した本を用いる。この際、ユルセルーム以外の世界観を持つ小説や漫画等を用いることによって、ゲームのイメージを若干ながら変化させることができる。能力値が数値ではなく言葉で表現されるため、『Aの魔法陣』に類似していると引き合いに出されやすい。しかし『Aの魔法陣』が行動の成否を重視して進行するのに対し、『Wローズ』では進行中の行動の成否が重要視されることはない。キャラクターメイクと魔法は次のように変更されている。PC作成では「言葉決め」で能力値のうち5つに入る言葉や通り名、弱点言葉を決定する。また、魂の生まれ故郷とクステをそれぞれトランプ1枚引いて決定する。名前や年齢等についてはPC作成時点で特に定めなくても良いとされている。魔法はローズガーデンに所持している言葉で、相手の能力値を上書きするものである。相手の能力値の言葉は、魔法によって上書きされると以後使用不可能となる。『Role&Roll』(新紀元社)Vol.70より、リプレイ記事が掲載されている。
出典:wikipedia
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