京阪2600系電車(けいはん2600けいでんしゃ)は、1978年(昭和53年)に登場した京阪電気鉄道の通勤形電車。2000系の車体や一部の機器を流用して製造された0番台103両と、車体等も含め新規で製造された30番台28両の合計131両が製造された。2001年から廃車が始まっており、2016年4月1日現在、7両編成が7本の計49両が在籍する。1959年(昭和34年)に登場し、「スーパーカー」の愛称で親しまれた2000系は、冷房化や架線電圧の600Vから1500Vへの昇圧への対応が困難であった。1983年の昇圧に向けて2000系を代替するにあたって、1978年から、2000系の車体・台車・一部の機器を流用しながら、複電圧仕様の回生ブレーキ付き制御装置への換装、冷房化など改造を施して、2600系0番台として落成した。1978年(昭和53年)6月23日に2043・2128・2044の車体を流用した2601F(2601-2701-2801)が竣工し、1982年(昭和57年)12月1日竣工の2905(旧2064)まで、計103両が寝屋川工場で製造された。全車竣工時の組成は、3両編成5本、4両固定編成6本、2両ごとに分割可能の4両編成14本、2両編成4本である。また、1980年から1981年にかけて、基本的に0番台と同一の設計ながら車体や台車も含めて新規に製造された30番台が、1800系の代替として14両、増備用として14両の計28両(いずれも7両編成)製造された。製造メーカーは川崎重工である。車体は鋼製で、全長18.7mの両開き3扉車である。車体の流用元の2000系の形態を引き継ぎながら、2000系からの改造時に、電圧指令式前面行先表示器の取り付け、スカートの取り付け、前照灯のシールドビーム化も施されている。2600形・2800形のうち、2000系2001 - 2024の車体流用車の24両は、他の車両に比べて側窓の幅が100mm広い900mmとなっており、窓配置が異なっている。改造時期の違いで正面の車掌台側の窓が二段窓の車両と一枚の固定窓の車両があり、1980年11月以降に竣工した車両は、車掌台側の前面窓が一枚固定窓となっている。中間車の2700形(M)のうち2720 - 2724、2900形(T)のうち2905・2911・2915・2920 - 2924は、もともと先頭車として製造された車両の車体を流用しており、運転台撤去跡が残っている。2629-2729-2829は、2200系と編成を組むため、ほかの0番台とは形態が異なる。当初は種別・行先表示などが同系列と同じシーケンス式の仕様のもので、前面扉の窓下の行先表示器がなく、車両番号が前面運転台側に取り付けられたが異色の存在であった。1988年(昭和63年)9月に2200系の車体更新に併せて、2829には前面扉の外開化、前面扉の窓下に行先表示器の取り付け、2629は運転台を完全撤去して2700形化した(車両番号はそのまま)。制御機器は2600系で、設備は2200系という異端車両になった。なお、車体流用元となった2000系には、2200系から2000系に編入された経歴の車両も3両含まれている。0番台とほとんど同一の設計であるが、前照灯や標識灯の形状が異なっている。製造時は先頭部に幌が設置されていたが、1986年に撤去された。最高速度110km/h、起動加速度2.5km/h/sと、2000系時代と比べて性能が大幅に変化している。加速を抑え、高速向きにしたことにより、性能面では2200系とほぼ同等になっている。主電動機は複巻電動機の「TDK-8135A」で600V時130kW、1500Vでは155KWである。制御器は界磁位相制御の「ACRF-H4155-775A」が採用された(ともに東洋電機製造製)。2000系に引き続き分巻界磁制御による回生ブレーキを使用する。電動発電機(MG)は、3両編成以外には、冷房電源確保のための大容量MG(TDK-3721A)が搭載された。2905 - 2910は、4両での冷房使用時の電源容量不足を補うため、出力70KVAのもの(MGTDK-3721A)が搭載された(2905は2632Fに組み込まれて8両化された時に重量軽減策として外された)。2801 - 2810は、補助電源装置は1基のMGで3両分の冷房電源を賄う予定で、出力140KVAのもの(TDK-3755A)が搭載されていた。パンタグラフは鋼体架線対応の下枠交差型パンタグラフ(PT-4805A-M)である。パンタグラフは、電動車全車に加えて、制御車の2811 - 2828、付随車の2911 - 2923にも設置されている。なお、2601 - 2610のパンタグラフ横のヒューズ箱の数が2個と、他の2600形より1つ少ない。2621F・2622F以外の各車両は、PRU-2205Aを4台搭載している。2621F・2622Fは、冷房装置の試験車で、東芝の「RPU-3007」(10500kcal)を3台搭載しており、外観が異なっているほか、車内には新設計のグリルファンが9基設置されて冷房効果の試験がなされた。その結果を元に6000系に「三菱製CU-197」(10500kcal)が採用された。本系列の台車は多種多様であり、既に消滅した4種類を含めると、のべ17種類に及ぶ。台車の交換や振り替えも行われており、保守負担の多い台車を、廃車となった車両から供出された経年の浅い台車に交換している。住友金属工業(現・新日鐵住金)製、アルストムリンク式。2000系初期車に由来するもので、制輪子が車輪外側にあることから、床下スペースの関係上全て付随台車として使用。数を減らしており、現在履くのは1両のみ。住友金属工業(現・新日鐵住金)製、緩衝ゴム式。FS337Bは2200系T車に由来するもので、全て付随台車として使用。その他は2000系中期後期車に由来するもので、電動台車または付随台車として使用。住友金属工業(現・新日鐵住金)製、緩衝ゴム式。30番台T車が登場時に履いていたもので、KW79の導入によって一部が0番台に転用されている。電動台車または付随台車として使用。住友金属工業(現・新日鐵住金)製、SU型ミンデン式。旧式台車の交換用に製造されたもので、電動台車または付随台車として使用。新しいにもかかわらず数を減らしており、FS509は既に消滅している。汽車製造製、油浸円筒案内式(シンドラー式)。2000系初期車に由来するもので、基礎ブレーキ装置が両抱き式で制輪子や連動てこなどのブレーキ機構が車輪外側にあることから、床下スペースの関係上全て付随台車として使用。汽車製造製、軸箱梁式(エコノミカル台車)。2000系中期車に由来するもので、電動台車または付随台車として使用。乗り心地に問題があったと言われ、いずれも既に消滅している。汽車製造製、軸箱梁式(エコノミカル台車)。2000系後期車に由来するもので、電動台車または付随台車として使用。川崎重工業製、乾式円筒案内式。30番台M車が登場時から履いているほか、旧式台車の交換用にも製造された。電動台車として使用。川崎重工業製、軸梁式。KW69は本系列の、KW69Aは1900系の旧式台車交換用に製造されたもので、KW69は電動台車または付随台車として、KW69Aは全て付随台車として使用。川崎重工業製、油浸円筒案内式(シンドラー式)。3000系Tc車で使用していたKS132Aをインダイレクトマウント化改造したもので、全て30番台のT車・Tc車で使用。車内の座席はロングシートである。モケット・化粧板・床面とも、緑系でまとめられている。側扉は、0番台は上半分が化粧版と同じグリーン塗装、下半分が化粧板張りとなっているが、30番台は全面化粧版張りである。また、側扉の窓ガラスの支持方法も異なっている。2601F - 2610Fは、当初は2600(Mc)-2700(M)-2800(Tc)の3両固定編成で竣工し、番号順に2本ずつ繋いだ6両編成で運用された。2605F - 2610Fには後から追加で2900形(T)が組み込まれて4両化された。2611F - 2624Fは、当初は2600(Mc)-2900(T)+2700(M)-2800(Tc)の4両編成であり、2両+2両に分割可能な構成である。2625F - 2628Fは、2600(Mc)-2800(Tc)の2両編成で、ほかの編成と組み合わせて4両以上の編成で運用される。鴨東線開業前に出町柳駅から叡山電鉄線への直通運転が検討されていた時期もあったことから叡電の輸送需要に合わせて最短2両編成での運用も可能な仕様になっているが、直通運転構想は実現しておらず、その仕様は活かされていない。2629-2729-2829は、2200系と編成を組む。1980年代中期には2400系と編成を組んでいた時期もあったが、後に元の2200系との組成(当時は2210Fと組んでいた)に戻っている。その後、連結相手の2200系が回生ブレーキ仕様の2210Fから発電ブレーキ仕様の2218Fに替わり、2009年11月30日に廃車された。ユニットの組み合わせを変えることによって4両から8両までの編成を組むことが可能であり、その特徴を活かした運用がなされた。廃車や運転台が撤去された車両(車両番号はそのまま)も発生したことから、より雑多な編成となっている。なお、0番台だけで8両編成を組むには2800(Tc)並びに2900(T)には必ず大容量MGが装備されており、編成重量が増加するなどの制約から、5M3T編成としてカバーすることがほとんどであったが、過去には4両編成を2本つなげた4M4Tの暫定の8両編成での運用実績もある。また、これまでは暫定編成などでしか見られなかった7両編成が2006年7月頃から正規の編成としても組まれている(公式サイトの編成表にも掲載)。30番台は4両ユニット+3両ユニットの7両編成で製造された。0番台と連結して運行することが可能である。1980年代後半頃から2003年9月のダイヤ改正までは編成を分割して0番台と組み、5両編成や6両編成で運転されていた編成もあったが、以後は登場当時と同様に30番台のみで7両編成4本を組む。編成中間に入っている運転台付の車両について、2007年以降、前面スカート・乗務員用ステップ・乗務員室扉握り棒の撤去などが施工されている。車両番号は変更されていないが、書類上の形式は、2600形が2700形に、2800形が2900形に変更されている。2008年から車体塗装の変更が始まり、2011年4月までに39両で実施された。2013年5月までに廃車予定となっている車両を除く全車両の塗装変更が完了した。新塗装化が進行中の時期には、旧塗装の車両と新塗装の車両が同一の編成内で混在する事例も見られた。新塗装の検討にあたって、寝屋川車庫で走行休止となっていた2825に3種類の塗装が施されていた(「鉄道ファン」2008年12月号より)。その後、2825も新塗装化されている。2010年、京阪開業100周年記念事業として実施された巡業展示「京阪ミュージアムトレイン」として、2602-2702-2802-2712-2812 の5両が使用された。これらの車両は座席を撤去のうえ展示物が配置されたほか、塗装を1550型(初代600型)をイメージしたモスグリーンに塗りかえている。0番台に関しては、2001年から廃車が始まっている。2001年12月28日付けで2622F(4両編成)と2905・2906・2910が、2002年3月18日付けで2611F(4両編成)が、同年4月22日付けで2627-2827と2714-2814が、同月25日付けで2616F(4両編成)が廃車となっている。廃車となる車両の一般向け販売が2003年3月に行われ、応募した鉄道ファンに2627号車が切り継ぎされ引き取られた。同じく応募したキッズプラザ大阪では2811号車を館内の車イス使用体験設備として使用されている。このほか、台車(FS-509・FS-327A各1基)が東京大学生産技術研究所に譲渡された。続いて2006年3月29日付けで2618-2918・2907・2908が廃車となった。2200系列と連結されていた2629-2729-2829も、2009年9月12日のダイヤ変更で、編成を組んでいた2218ほか4両とともに運用から外れ、ともにそのまま11月30日に廃車された。また、2610F・2612-2912・2909も同日付けで廃車となっている。新塗装化された2604Fも2011年6月30日付けで一緒に編成を組んでいた2724-2824とともに廃車解体された。2012年4月から7月にかけて13000系4両編成5本が投入され、2613F・2615F・2617F・2620F・2621Fの4両編成5本が廃車となった。さらに、2013年4月30日付けで2606・2706・2806・2626・2826・2605・2705・2805が、同年5月31日付けで2628・2828・2608・2708・2808が廃車となった。続いて、2013年3月より宇治線の予備編成となっていた2623Fが2015年7月31日付けで廃車となった。30番台は、登場から35年以上経過しているが、更新工事は実施されないままで2016年4月1日現在も28両全車が在籍しており、同日現在の本系列の在籍数は、7両編成が7本(0番台3本、30番台4本)の計49両となっている。本系列のうち0番台は2000系時代から普通運用が主体となっている。30番台は当初急行にも使われていたが、本線で2200系や6000系による8両編成の運用が開始されてからはこちらも普通運用が主体となった。ただ本形式も不定期的ではあるが8両編成での運用実績はある。2003年9月のダイヤ改定頃、6両編成での運用は消滅し、組み替えの上、全編成が4・5・7両となった。また、このダイヤ改正で、平日朝ラッシュ時に交野線・私市駅発本線淀屋橋駅行き直通列車のK特急「おりひめ」が、同夕ラッシュ時には天満橋駅発私市行きの準急「ひこぼし」が設定され、イベント時などを除き前者には本系列5両編成が、後者には1900系または本系列の5両編成が充当となっていた。2007年9月からの交野線で実施されているワンマン運転には対応しておらず、ワンマン運転を行う運用には入っていない。「おりひめ」・「ひこぼし」は2008年10月19日のダイヤ改定でそれぞれ交野線・中之島線直通の通勤快急・快速急行となり、ともに本系列5両編成が充当されていた(10000系を充当していた「ひこぼし」の1本を除く)が、2013年3月16日のダイヤ改定で廃止された。以降は他形式の7両編成車と同じく急行以下のみの運用となったが、2016年3月19日のダイヤ改正では7両編成車による通勤快急・快速急行運用が設定されたことにより、「おりひめ」、「ひこぼし」運用ではないものの、本系列の通勤快急・快速急行運用の機会が3年ぶりに復活している。
出典:wikipedia
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