アカウミガメ("Caretta caretta")は、爬虫綱カメ目ウミガメ科アカウミガメ属に分類されるカメである。本種のみでアカウミガメ属を構成する。大西洋、太平洋、インド洋、地中海産卵地としてはアメリカ合衆国東部、オーストラリア北部、オマーン、ギリシャ、トルコ、日本、ブラジル、南アフリカ共和国などが確認されている。日本国内では鹿島灘、能登半島以南で繁殖する。年に100回以上の産卵例がある産卵地として遠州灘海岸、和歌山県南部、日南海岸、屋久島などが確認されている。アメリカ合衆国の産卵個体群はアゾレス諸島、日本の産卵個体群はメキシコのカリフォルニア半島沖まで孵化後に回遊する。日本の産卵個体群は成長すると再び日本近海まで回遊することが、標識や発信機による調査、分子生物学的解析から確認されている。甲長65-100センチメートル。体重70-180キログラム。背甲は扁平。項甲板と第1肋甲板は接する。肋甲板は左右に5枚ずつだが、4枚ずつの個体や左右非対称もいる。背甲には3つずつ筋状の盛り上がり(キール)があるが、成長に伴い消失する。背甲の色彩は赤褐色、褐色。下縁甲板は左右に3枚ずつで、小孔はない。腹甲の色彩は淡黄色。頭部は大型。英名loggerheadは「馬鹿でかい頭、馬鹿頭」の意。幼体は背甲や腹甲の色彩が黒褐色。オスの成体は前肢の爪が鉤状に湾曲し、尾が長い。温帯から亜熱帯にかけての海洋に生息する。孵化直後の幼体は表層で生活する。食性は動物食の強い雑食で、貝類、甲殻類などを食べる。前肢を使って海底の砂泥を舞い上げ、出てきた獲物を捕食する。繁殖形態は卵生。産卵地の沖合で交尾を行う。春季から夏季(アメリカ合衆国や日本では5-8月)にかけて海岸の草原や砂浜との境界周辺に直径20センチメートル、深さ60センチメートルの穴を掘り、その中に1回に70-150個の卵を年に1-5回に分けて産む。主に隔年繁殖するが、毎年繁殖する個体もいる。卵は50-80日で孵化する。孵化した幼体は砂の表面温度が低下したことで夜間になったことを察知し、地表に現れ海中へ入る。開発による産卵地の破壊、漁業による混獲、ビニールゴミの海洋への投棄、食用や剥製用の採集などにより生息数は減少していると考えられている。海洋に生息するため生息数の推移は不明だが産卵例に関しては日本国内で最大の産卵地とされる屋久島では1990年における産卵例は約1,500、1997-1999年における産卵例は300-400と減少傾向にある。日本では1967年に徳島県美波町が「大浜海岸のウミガメおよびその産卵地」、1980年に静岡県御前崎市が「御前崎のウミガメおよびその産卵地」として産卵地や上陸個体が国の天然記念物に指定されている。日本では過去には肉、卵とも食用にされていたが、ワシントン条約の加盟と同時に禁止され今では食べられることはほとんどない。ちなみに、肉の味は鶏肉に似たものがあるが、癖があるため食べられない人も多くいた。近年では保護活動を行う地域も多くなっている。その一つの側面として、メディアにより産卵風景や子亀が海に向かう様子が紹介され、アカウミガメの産卵する浜ということが地域の知名度を高めるばかりか観光資源となることなどにより、地域の商工業に収益をもたらすことが挙げられる。砂中に産まれた卵は孵化前に海水に触れると孵化しない。そのため産卵場所は、満潮時でも海水が来ないように砂浜の奥まった位置である必要がある。ところが、ゴミやテトラポッドなどに阻まれて産卵に必要な条件を満たす場所までたどり着けないこともある。そのような場合には、満潮時に海水が届いてしまう位置に産卵してしまったり、産卵を諦めて海に戻ってしまったりすることもある。また、所望の産卵位置で産卵を行えた場合でも、従来は、人の往来や砂浜を走るレジャー用のバイク、車などにより卵が踏みつぶされることも多かった。近年では保護活動を行っている団体が増え、海水の届く位置、人の往来が多い位置などに産み落とされた卵を安全な位置に埋め戻す活動が行われていることも多い。また、産卵し易くするために、浜の清掃活動を産卵時期、孵化時期に集中して行う取り組みも成されている。地域によっては、産卵時期にテトラポッドを移動し産卵場所を確保する試みも行われている。日本国生物多様性国家戦略の見直しに関する資料集におけるアカウミガメの回遊推定図によると、北太平洋のアカウミガメの多くは日本の砂浜で産卵成長するため、日本の砂浜が、北太平洋のアカウミガメの生存のカギを握っている。アカウミガメは信仰の対象としてもしばしば用いられる。有名なところでは、浦島太郎などの童話にも見ることができる。地域によっては、長寿の象徴、卵を多く産むため子宝の象徴としても信仰されている。網の中にアカウミガメが迷い込んだとき、御神酒を掛け海に返すという風習が残っている地方もある。静岡県御前崎市は「御前崎のウミガメおよびその産卵地」が国の天然記念物に指定されるなどアカウミガメとのかかわりの深い地域であるが、漁業関係者の間では大漁、豊漁のシンボルとして敬愛され、死んだアカウミガメを供養した「亀塚」が市内各所に実在している。また、市内のパン屋が正月飾りにアカウミガメを模した大きな饅頭を作り、縁起物として個人的に正月飾りにしたところ、それを見た市民らが販売を請い、のちにその巨大な饅頭は「亀まんじゅう」として販売されるようになった。アカウミガメの死体を解剖すると、体内からビニール袋が大量に見つかることがある。人間がゴミとして捨てたビニールをクラゲと間違えて食べ体内に残ってしまったためである。しかし、そのことが原因で死亡したと考えられる事例はこれまで世界的に数例のみであり、実際にはほとんどが排泄されると考えられている。ただし、多くのアカウミガメが、ビニールやプラスティックを摂餌してしまうことは間違いはないことから、成長に影響を与える可能性が指摘されている。このゴミ問題については、一部の人間が過剰に反応した結果、アカウミガメの死亡原因のほとんどがビニールなどの誤食によるものであるとされ、アカウミガメの真実の姿から懸け離れた印象を与えることとなった。日本ではアカウミガメの飼育個体を水族館などで見ることができる。雑食ではあるが、飼育のためのエサとしては、キャベツなどの野菜を与えることが多い。アカウミガメは食性が強く何にでも噛みつく習性がある。嘴の力は強く人間が噛まれた場合、肉を引きちぎられるなど大ケガに至る場合が多い。水槽などで清掃の際には常にウミガメを近寄らせないように見張り役が必要となる。2013年6月に奄美大島において、アカウミガメとタイマイの特徴を併せ持つ交雑種が産卵していることが、NPO法人・日本ウミガメ協議会によって確認された。同協議会では、種の保全が脅かされる危険性があるとして、今後子ガメの種の確認を実施したいとしている。
出典:wikipedia
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