『オルフェウスの窓』(オルフェウスのまど)は、池田理代子作の長編漫画。『オルフェウスの窓』は、20世紀初頭のヨーロッパを背景に、第一次世界大戦やロシア革命といった史実を織り交ぜて、ドイツ・レーゲンスブルクの音楽学校で出会った3人の若者の運命を描く長編漫画である。物語は大別すると4部から構成され、その舞台もレーゲンスブルクからオーストリアのウィーン、ロシアのサンクト・ペテルブルク、またレーゲンスブルクへと変転する。第1部は『週刊マーガレット』1975年(昭和50年)第4・5号から1976年(昭和51年)第32号まで掲載され、その後『月刊セブンティーン』に連載の場を移し、1977年(昭和52年)1月号から1981年(昭和56年)8月号まで掲載された。番外編として、「コラージュ」(ヴォルフガング・フォン・エンマーリッヒの後日談)、「オルフェウスの窓 外伝」(第2部で誘拐されたままになっていたイングリッドの息子キースのその後。作画は宮本えりか)がある。(両作とも本項で記述)1980年(昭和55年)に、第9回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。1983年(昭和58年)には、宝塚歌劇団星組で舞台化された。第1部に描かれるのは1904年から1905年まで、ドイツ・バイエルン王国のレーゲンスブルクにある音楽学校を主な舞台とする。第1部の主人公であるユリウスは、由緒ある貴族であるフォン・アーレンスマイヤ家の当主を父とし、その愛人を母とする女の子である。しかしユリウスは、生まれ落ちたその日から男として育てられた。それは、子を身ごもったまま捨てられた母が、男への復讐のため、フォン・アーレンスマイヤ家の財産を乗っ取るために仕組んだことであった。ユリウスが15歳になった頃、父の正妻が亡くなった。父とその正妻との間には男の子がなかったため、ユリウスは生まれ育ったフランクフルトを離れ、レーゲンスブルクのフォン・アーレンスマイヤ家に、次期当主として実母ともども迎え入れられた。ユリウスとその母は、病に伏せった父と腹違いの二人の姉たちとともに、フォン・アーレンスマイヤ家の広大な屋敷で暮らすこととなる。ユリウスは幼いときからピアノを教え込まれていたため、レーゲンスブルクの聖ゼバスチアン教会附属音楽学校(男子校)に、女の子であることを隠して入学した。この学校には、ギリシア神話のオルフェウスとエウリディケの悲恋の物語になぞらえた言い伝えを持つ、「オルフェウスの窓」と呼ばれる古い窓があった。その言い伝えとは、「オルフェウスの窓」に立った男性が階下を見たとき、最初に視界に入った女性と必ず恋に落ちるが、その恋は必ず悲劇に終わるというものである。ユリウスは、この「オルフェウスの窓」を通して、同じ日に転入した奨学生のイザークと、また、上級生のクラウスと、別々のときに出会ってしまう。女であることを隠してフォン・アーレンスマイヤ家に暮らし、聖ゼバスチアンで音楽を学ぶユリウスは、周囲の人々と友情を育み、敵対し、恋をする。第2部に描かれるのは1905年から1919年まで、オーストリア=ハンガリー帝国の首都・ウィーンを主な舞台とする。第2部の主人公であるイザークは、人並み外れたピアノの才能を認められ、周囲の期待を一身に受けてレーゲンスブルクを離れ、オーストリアの首都ウィーンの音楽院に転校した。そこで、イザークは、風変わりな学生ラインハルトと彼が作った曲に翻弄され、また助けられながら、次第に自分の音楽を確立させていく。やがて、イザークは新進ピアニストとして華々しいデビューを飾り、順調に名声を高めていく。ヨーロッパ各国を演奏して回る忙しい日々の中で、イザークは、師であるシェーンベルク教授の娘アマーリエや、ロシアの新進バイオリニストのアナスタシア、レーゲンスブルクで知り合った娼婦のロベルタたちとの恋愛に苦悩を深める。日露戦争から第一次世界大戦とその戦後までという、激動の時代が舞台の背景となる。第3部ではいったん時をさかのぼり、1893年から1917年まで、ロシア帝国の首都・サンクト・ペテルスブルクを主な舞台とする。物語は、アレクセイ・ミハイロフ(クラウスの本名)の幼少期から始められる。身分の低い母と侯爵家の当主である父との間に生まれたアレクセイは、6歳まで母に育てられたが、母を亡くしたため、すでに主亡き侯爵家に引き取られ、誇り高き祖母に厳しく躾けられることになる。そこで出会った兄のドミートリィは、若くしてヴァイオリンの才能を認められ、ロシアの民の窮状を憂慮する革命家だった。アレクセイが14歳になった頃、仲間の裏切りによって陰謀が発覚したため、兄は処刑された。失意のアレクセイは、兄の恋人であったアルラウネとともにドイツへ出国し、その熱心な教育を受けて、革命家として育てられる。アレクセイが18歳になった頃、日露戦争での敗色が濃厚となったため、ロシア国内では国民の不満が高まり、革命家の活動が再び活発になった。アレクセイは、アルラウネとともにロシアに帰国し、サンクト・ペテルブルクで活動を始めた。それから少し後、ユリウスは、アレクセイを追ってレーゲンスブルクからサンクト・ペテルブルクへやってきた。しかし、市民と軍隊の小競り合いに巻き込まれたユリウスは、お尋ね者のアレクセイの名を口にしたために、ロシア陸軍の幹部であるユスーポフ侯の館に軟禁されてしまう。革命と戦争に翻弄されるロシアを舞台に、同じく侯爵家に生まれながら革命家となったアレクセイと、ロマノフ王朝の守護者を自任して体制の保守に腐心するユスーポフ侯とを対比させて、その間で揺れ動くユリウスの悲恋を描く。第4部はエピローグ。時は1923年、ヴァイマル共和政の下のドイツ・レーゲンスブルクを主な舞台とする。ロシアで起きた様々のことによって心を閉ざし、レーゲンスブルクに帰ってきたユリウスを、姉のマリア・バルバラは温かく迎えた。ユリウスの記憶を取り戻し、「呪われた」アーレンスマイヤ家の謎を解くため、マリア・バルバラは、失意のうちに一人息子とレーゲンスブルクへ戻っていたイザークと、音楽学校時代にユリウスの上級生だったダーヴィトに協力を求める。3人が懸命にユリウスの記憶を呼び戻そうとする中、ユリウスを付け狙う影が動き出す。第2部で義兄を射殺するという事件を起こしたヴォルフガング・フォン・エンマーリッヒとその子供がたどる数奇な運命を描く。『月刊セブンティーン』1978年5月号と6月号に2回にわたって掲載された。マラベル・マコーレイは休暇を過ごすために、友人のドリィ・スタッフォードの実家に向かっている途中、ウルフと名乗る新聞記者と出会う。そして、2人は一目あった瞬間から、互いに惹かれ合う。このウルフこそ、かつて最愛の母親と不義を働いた義兄を射殺するという事件を起こした、ヴォルフガング・フォン・エンマーリッヒが成長した姿であった…。第2部でアントンによって誘拐された、イングリッドの息子キースがレーゲンスブルクで遭遇した奇怪な事件を描く。原作・脚本・構成は池田理代子が担当し、作画は宮本えりかが担当している。『YOU』1999年NO.1・2合併号からNO.11まで掲載。最愛の女性イングリット・フォン・ザイデルホーファー(結婚後はイングリット・フォン・キンスキー)の息子キースを誘拐したアントン・シュライバーは、キースをキーゼルと名付け、自分の息子として育てていた。アントンは自らもマチアス・イエーガーと名を変え、キーゼルとともに第一次世界大戦の敗戦によって混乱するドイツ国内を転々とする。レーゲンスブルクにたどりついたマチアスとキーゼルは地元の名家フォン・ヘフリッヒ家で使用人として働き出すが、マチアスはフォン・ザイデルホーファー家とゆかりの人々が多く住むレーゲンスブルクで自分の正体が露見するのを恐れる。一方、キーゼルはフォン・ヘフリッヒ家の異様な雰囲気に気がついていた。
出典:wikipedia
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