『信長の野望・革新』(のぶながのやぼう・かくしん)は、2005年6月22日にコーエー(現・コーエーテクモゲームス)から発売されたWindows用歴史シミュレーションゲーム。「信長の野望シリーズ」の第12作。2006年2月2日にPlayStation 2(以下、PS2)版も発売された。さらに2007年9月14日にはWindows版のパワーアップキット(PK)も発売、2008年3月6日にはPS2とWiiのwithPKもそれぞれ発売された。Windows版無印(パワーアップキットなし)はWindows Vistaでは2007年8月7日のアップデート(Ver.1.03)を適用することにより起動するようになる。PKはVista発売後のリリースのため、初めからVistaに対応している。またNetJoyシステムという、インターネットを活用した試みがされていることも本作の特徴である。これまでのシリーズ作品と同じく、プレイヤーの操作する大名が日本全国を支配下もしくは同盟関係に収めることが目標である。思考ルーチンが大幅に改善されており、コンピュータ側は多数の部隊、城、勢力が有機的な連携を取って行動する。前作までとは異なり、コンピュータへの嵌め手や、コンピュータの行動の制限を前提とした一方的な作戦を展開できる場面が極端に少なくなっている。一方で最大兵数が300万人であることや一部のグラフィックなど、戦国時代を必ずしも忠実に描写しているとは言えない部分もある。前作『天下創世』やそれ以前のシリーズでは戦争と内政・外交は異なる時系列で行われていた。しかし本作では自国、他国の城下が連続しており、全ての城や部隊のコマンドが1枚マップにて行われる。そして、全ての国の内政や外交などのコマンドも戦争もすべて同じリアルタイム時系列のもとに進む。例えば開発中に敵に攻め込まれ、開発担当の武将を急遽呼び寄せて出陣させたり、進軍中にも内政命令を出したりする必要に迫られる場合もある。同じように、自国の周囲の複数の敵と自国の複数の城や同盟国の城の複数の勢力が同時に交戦しうる。この際も戦場までの距離により部隊の到着に差ができるため、効率の良い移動手順に気を配らなければならない。このようにすべてのコマンドが1つ時系列のもとに1枚のマップで進行するようになった。前作ではコンピュータのチート、例えばコンピュータ担当大名の金銭や兵糧が少ない場合でも、それらの物資をどこかから不自然に調達する点などが不評だった。本作ではコンピュータがこのようなチートをしないことを売りにしている。初級から上級の選択も、コンピュータの戦術が向上することで変化している。一方、コンピュータの勢力が巨大になると、数十部隊を同時に戦争に参加させてくることがあり、初心者のプレイヤーが対応に困る場合もある。武将には「格付け」というマスクデータがあり(S、A、B、Cの4段階)、過去作品の「野望」パラメータに近い存在になっている。格付けが高いほど好戦的になり、勢力を拡大しやすくなる。また、格付けが低いと、的外れな行動を取りやすくなる(足軽技術が高いのに、他の兵科を編成しようとするなど)。弱小大名である武将の格付けは低く設定されていることが多く、これにより強豪が順当に勢力を拡大しやすいようになっている。武家町、農村、商人町、職人町、門前町、南蛮町、公家町を建設し、その周囲にそれぞれの町で許可されるユニットを建設する。市場を作ることで金銭を、水田や畑を作ることで兵糧を得る点、鍛冶場や牧場で鉄砲や馬を得る点では変わらない。一方技術革新の為のユニットを建設したり、防衛のための櫓などが新しく加わっている。戦闘により近くで部隊が衝突するとユニットが破壊される。本作では外交の手段も多彩で、外交手段として自大名の持つ技術を提供することもできる。提供の見返りに金銭を要求したり、同盟先大名の持つ技術と交換し合ったりすることも可能である。また同盟締結時には人質を差し出すことを迫られる場合もある(むろんその逆にこちらから人質を要求することもできる)。人質は同盟期限終了後に解放されるが、技術提供の見返りとしても返還を要求することもできる。また、門前町を建設すると来訪する僧侶に人質返還や停戦交渉を仲介してもらうこともできる。本作では親子や兄弟、主従関係に関連するイベントが多くなった。本作の本能寺の変イベントでは信長が生き残る展開にもできる。『戦国群雄伝』でもやり方によっては本能寺後も生き残ることができたが、それ以来となる。その後は羽柴、柴田、明智、織田の中からどの大名でプレイを続行するか選択することになる。これまでのシリーズでは征夷大将軍と関白の兼任が可能だったが、本作では兼任は不可能である。征夷大将軍になると多くの兵力を率いられるようになる。一方関白になると、政治力と統率力の補正がかかる。太政大臣などの官位は関白にならないと叙任を受けられない。いずれも自称する機会を逃す、あるいは一度断ると二度とはなれず、新たな何かを目指し自分の道で天下統一をすることになる。前作までと大きく異なるのは、足軽、騎馬、弓、鉄砲、兵器、水軍、築城、内政に関してそれぞれ段階的な技術習得のシステムが導入されたことである。技術はそれぞれの分野を発展させる為に城下に専用の町を作らなければならない。その上でそれぞれの能力を持つ武将3人に開発をさせた上で習得する。武将のそのための能力パラメータも、各技術ごとにSからD段階まであり、高い技術を得ようと思うとSの能力を持つ武将を得なければならない。また、同盟関係の大名と技術の交換も可能である。技術によるそれぞれの能力の進展幅が非常に大きく、技術を軽視してはゲームを進めることができない。またパワーアップキットからは、外国勢力に独立した技術を学べる様になり、さらに複雑化した。技術は各勢力がそれぞれ獲得していくもので、戦争部隊の能力を上げたり内政に役立ったりするなど、全国統一する上で重要な項目である。基本の8系統×10種類、さらに特定大名だけの特別な技術があり、多彩な技術を獲得していくことにより戦略を優位に進めるだけでなく、その勢力の特徴として戦略上の指針にもなる。これによって武田騎馬隊や村上水軍が強い、などという武将の能力によらない勢力の強さの再現を可能にした。武将の能力パラメータは(隠しも含め)「政治」「統率」「武勇」「知略」「義理」「相性」。前作までの特技は「戦法」に引き継がれた。「戦法」は武将が持つ技術で、戦争で敵部隊と戦うたびに発動し、そのたびに熟練度が上がり、上級の戦法を獲得していく。兵科戦法と戦術戦法があり、武将によって得意不得意があり、固有戦法を持つ者もいる。ただ、勢力の技術傾向の犠牲になってしまい、成長が難しい武将もいる。更に『三國志IX』同様戦法の連鎖も起こるので部隊の編成がより複雑になっている。またこのほかにも「出自」「信仰」があり、登用や外交、さらには忠誠度にも影響する。出自は「武士」「高家」「僧侶」「商人」「海賊」「忍者」「剣豪」「庶民」の8つ、信仰は「なし」「仏教」「一向宗」「基督教」の4つからなる。出自や信仰が同じ武将だと相性の補正がかからないが、組み合わせによっては相性が悪くなる。例えば、高家と庶民の武将の組み合わせや、信仰が仏教・一向宗と基督教、それになしと一向宗の組み合わせなどが悪相性の組み合わせである。信仰がなしの武将は初期設定では織田信長のみである。部隊は前作『天下創世』のような大きなユニットではなく、グラフィック上小さく簡略化されており、戦場となる移動範囲は大幅に小さくなった。攻城戦が戦闘の主体となり、野戦が展開されることは減った。このように戦闘に関しては、前作よりも規模が縮小されている。城は前作と異なり数部隊程度分の小さなグラフィックとなった。前回のような構造的な概念はなくなり、技術革新で得た防御機能が主体となっている。城下に櫓を建設し、防衛の補助をさせることもできる。城攻めの手段として力攻めと兵糧攻めが選べるようになった。力攻めでは堅固な城はなかなか落城しない。そんな場合には兵糧攻め(包囲)が有効となる。力攻めだと耐久力が減るのに対し、兵糧攻めだと攻められた拠点の士気が減る。ただし攻める側の闘志は一切上がらない上、兵力も減る。局面に応じてどちらを用いるか使い分ける必要がある。また築城適正Sの武将が包囲部隊に入っていると、川に近い平城の拠点(支城も含む)なら敵の拠点の士気を一気に減らすことのできる「水攻め」が、山城なら同じく拠点の耐久度を一気に減らす「土竜攻め」と言う計略が使用できることがある。金銭はかかるものの有用で、NetJoyの記録にも残る。なお前作までは戦争は天候によって大きく左右されていたが、この作品では台風や豪雪による災害以外の影響は全く無くなったため、鉄砲や弓の戦法である「火矢」がいつでも攻撃可能になった。災害の中では「台風」が、前作までに比べて非常に脅威で、技術で凶作や疫病の被害を防ぐことはできても、台風を防ぐ技術は存在しない上に、開発した施設をことごとく破壊される、拠点の耐久力が減少する、被害に遭った国にいる兵士が減少したり、混乱したりすることもあるが、台風が発生した国でも普通に鉄砲での攻撃はできる。このためか、PK版は初期設定で台風の発生を無しにすることも出来る。本作では上杉家と武田家は両家とも謙信(統率120、武勇105)と信玄(統率110、武勇88、知略96)と当主の能力値がかなり高い上、戦法の連携と固有技術によりほぼ手が付けられない。特にどちらも騎馬技術を中心として技術を獲得していき、騎馬技術を全て獲得していると戦争では手が付けられないほど強大になる傾向にある。デモプレイの場合、織田家が巨大化していない限り必ずどちらかの勢力が全国統一をする。島津家や蠣崎家を除くとどちらかの勢力が最後に残ることが多い。前作の親友武将・敵対武将は親愛武将・嫌悪武将として本作にも取り入れられている。登用や忠誠度に大きく関わり、登用される側が登用する側の親愛武将であれば登用しやすい上、忠誠度も上がりやすい(ただし登用する側の大名の相性が悪ければ上がりにくい)。一方登用される側が登用する側の大名が嫌悪武将であれば一部のシナリオではまず成功しない上、仮に仕えたとしても(忠誠度が最大値に近くなっていても)寝返りやすくなっている。武将が仕官に拒否されたり、主家を滅ぼされたあと登用される前に捕虜から脱走したり、ゲーム内で歴史イベントの発生などによって恨みフラグが立つと、その対象の武将が嫌悪武将になる。また最初から親愛武将、嫌悪武将が設定されている武将もおり、その親愛武将の対象として最も多いのは徳川家康と武田信玄の7人(ただし、WindowsのPK版では真田十勇士の主君である真田幸村の10人)で次点は羽柴秀吉の6人となる。一方で最も嫌われている嫌悪武将は織田信長の17人で、石山本願寺や天正伊賀の乱に登場する武将、それに足利義昭や兄弟で対立した織田信勝も含まれる。その次は尼子家と対立した毛利元就の5人となる。一定の町並を造っていれば季節の変わり目に茶人・僧侶・公家・南蛮人の文化人がランダムに来訪することがある。その文化人のもつ全ての家宝をすでに購入している場合は鉄砲が手に入ることがある。また、持っていない技術を伝授されることもある。標準で搭載されているシナリオは5つだが、インターネット経由でシナリオを追加できる。なおPS2版はWin版と異なり、もともと追加シナリオ(有料のものも含む)・チャレンジモードも搭載されているが一定の条件をクリアしないと選べないようになっている。以下はPKでの追加シナリオである。一定の期間で目標達成を目指すモード。セーブやロードが一切できないので、難易度は高く実力モードと言える。チャレンジモードとして配信されているのは以下の通りである。以下はパワーアップキットのみに収録されているモードである。PS2/Wii版パワーアップキットには更に以下のチャレンジモードが収録されている。本作では特定の大名家には専用曲が用意されている。更にそれ以外の大名家用の曲も含めテーマとして「翔」と「覇」が存在し、弱小のうちは「翔」、勢力が強大になると「覇」に変わる。また専用曲を持つ大名に外交を行った時もその大名の戦略テーマが流れる。足利将軍家でプレイ、征夷大将軍もしくは関白に就任時には前作『天下創世』の「ここに我あり」のアレンジ「ここに我あり・改」が流れる。なお本作のBGMはKVSという形式で収録されている。この形式は他に『太閤立志伝V』や『信長の野望Online』、『大航海時代Online』などでも用いられている。本作ではインターネット経由による「NetJoy」というシステムも導入されており、ゲームクリア時点でのデータが送信・集計される。集計されるデータとしては主に次のようなものがある。本作のPS2版には、それまでパワーアップキット(以後PKと記す)でないと搭載されなかったエディタが搭載された。そのため本作のPKは発売されないのではないかとの噂もあったが、Win版無印の発売から2年以上経った2007年9月14日にPC版PKが発売された。本作の無印のプロデューサーは『信長の野望・烈風伝』や『三國志IX』までの三國志シリーズも担当した阿野越雄だったが、PKのプロデューサーは『太閤立志伝IV』『三國志X』『三國志11』を担当した北見健だった。パワーアップキットでは新シナリオとして2本の史実シナリオ、1本の仮想シナリオが追加された。いずれも信長死後のシナリオである。新武将(100人)や新イベントも追加されている。またエディタの搭載もPKでの定番となっているが、本作ではゲーム開始前でも史実武将の編集が可能で、一度開始前に編集しておけばゲームごとに編集を繰り返す必要がなくなった(ただし出自、声や寿命などはゲーム前の編集はできず、その都度変更の必要がある)。PKでは既存技術よりも強力な「南蛮技術」を入手することが可能になった。南蛮技術は南蛮商人と特産品による貿易により友好度を高めていくことで入手できる。特産品は各地方により生産できる品目が異なり、また金銭と交換することはできない。そのため、自国で生産する、生産できる国を攻略して生産する、外交交渉で要求する、商人との取引で物々交換するなどして集める必要がある。交渉できる相手は「ポルトガル」「イスパニア」「オランダ」「イギリス」「明」の5つの国である。『嵐世記』や『蒼天録』で取り入れられた諸勢力が『革新PK』でも登場しており、味方に付けることで状況を有利に進めることもできる。各諸勢力、及び味方にすることによる利点は次の通りである。ただし各諸勢力には相性があり、全ての勢力と同時に味方に付けることはできない。具体的には上で述べた順番の前後の勢力との相性が悪く設定されている(例えば国人衆は忍者衆・寺社衆と相性が悪い。忍者衆・水軍衆は相性が悪いのはそれぞれ国人衆・商人衆1つのみ)。そのため局面に応じてどの諸勢力と友好関係を築くかが重要になる。ただし相性の影響を受けるのはその勢力がある地方のみで、地方が異なれば同時に相性の悪い勢力同士を味方に付けることもできる。諸勢力を味方に付けるには、「平和的服従」「軍事的服従」の2種類がある。「平和的服従」は交渉により相手の物品要求に応えて協定を結ぶことにより3年間その勢力を味方に付けることができる。一方「軍事的服従」は勢力拠点を攻撃し降伏させることにより、5年間味方に付けるものである。「軍事的服従」の場合は相性に関係なく協定を結ぶことができる。PKでは支城を建設して配下武将に与えることで、「譜代家臣」へと取り立てることができる。具体的には支城を築城後、「賞罰」コマンドの「譜代」で、譜代家臣を任命すればよい。譜代家臣に任命した武将には次のような効果がある。譜代家臣を別の城に移動させた場合にはこれらの効果が失われることはないが、解任したり合戦や廃城で支城を失ったりすると効果はなくなる。また忠誠度も大幅に下がる。また譜代家臣の能力値のどれかが80以上の場合は、支城にさまざまな特殊効果が付与される。これらの効果は独立しており、「政治」「統率」「武勇」「知略」全てが80以上ならば全効果を同時に得ることができる。未婚の姫を姫武将としてゲームに参加させたり、同盟が1年を切った場合に同盟を延長したりすることが可能になった。無印でのチュートリアルは斎藤家を舞台に説明されていたが、PKでは一条家を舞台とするようになった。戦法威力についても無印からのゲームバランス調整が図られた。騎馬の威力が最も大きく下がり、足軽はその次、鉄砲は固有戦法のみ減少した。一方弓の威力は全体的に上がっている。南蛮技術獲得が加わったことで、戦法威力、闘志上昇速度の追加効果が半分以下になり、技術獲得の順番も一部変更された。弓を引き立てる技術も増えている。施設でも牧場・鍛冶場・工房・造船所は、調達及び製造に技術が必要となった。例えばプレイヤー勢力で牧場の施設があっても、牧場の技術を持っていないと軍馬が調達出来なくなる等の変更がなされた。マウスドラッグにより部隊の一括選択が可能になり、移動などの際の利便性が増した。PKアップデートプログラム(Ver.1.02)では、各大名の初期配置を変更する「国替機能」が追加された。
出典:wikipedia
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