『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(フランケンシュタインのかいじゅう サンダたいガイラ)は、東宝と米国のベネディクト・プロが製作し、1966年(昭和41年)7月31日に封切り公開した日米合作の特撮映画。総天然色、東宝スコープ。上映時間は88分。同時上映は『ジャングル大帝』と『つるのおんがえし(人形劇)』。設定などは異なるが、前年に公開された怪獣映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年、本多猪四郎監督)の姉妹編である。本来は『フランケンシュタイン対地底怪獣』の続編として企画されていたが、本多監督の「映画は1本1本独立したものが良い」という考えから、シナリオ決定稿の段階で独立した作品となった。作品の根底には日本古来の神話『海彦山彦』が敷かれ、「細胞分裂によって分身した『父と子でもなく、兄弟でもない』2体のフランケンシュタイン(いわばクローン)の争い」が描かれた。脚本ではサンダとガイラの名は決まっておらず、それぞれ「山フランケンシュタイン」「海フランケンシュタイン」と表記されている。脚本名も、第一稿では『フランケンシュタインの兄弟』と題され、以後『フランケンシュタインの斗争』、『フランケンシュタインの決闘』と変遷している。前作にも使用された緻密なミニチュアや、現実感のある大きさの人型怪獣同士の格闘が見所。本作品で初登場した東宝自衛隊の対怪獣兵器であるメーサー殺獣光線車は、伊福部昭のL作戦(メーサー)マーチと合わさって、今もって高い人気があり、以後の日本の特撮やアニメ作品などに多大な影響を与えている。当初、この殺獣光線車の登場は脚本に無かったが、ドラマ的な見せ場を作るために監督の本多猪四郎が光線車のシーンを加筆し、映像化した。怪獣のデザインを担当したのは『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』などでも知られる成田亨である。当初、スチュワート博士役はタブ・ハンターが予定されていた 。スチュワート博士を演じたラス・タンブリンは、定時の撮影後は共に来日した妻とホテルへ直帰し、食事などの交歓の誘いも一切断わるなど、ニック・アダムスがスタッフや俳優たちと積極的に交わり、溶け込もうとしたのと対照的な姿勢をとった。撮影現場でもまったく演技を合わせようとせず、土屋嘉男によれば、水野久美はタンブリンの態度に怒ってヒステリーを起こしたこともあったという。タンブリンは娘のアンバー・タンブリンが『呪怨 パンデミック』に出演した際に妻と共に来日し、40年ぶりに東宝のスタジオを訪れて撮影を見学した。また、2014年にハリウッドのでタンブリンと再会した佐原健二は友好的に会話し、同じ作品に出演した同志であることを感じた旨を語っている。嵐の夜、三浦半島沖を航行する漁船・第三海神丸が大ダコに襲撃され、沈没する。ただ1人、生き残った男が「仲間は全員、タコに続いて海から現れたフランケンシュタインみたいな怪物に食われた」と繰り返したうえ、噛み砕かれて吐き出されたかのような乗組員の衣服が引き上げられたことを受け、海上保安庁はフランケンシュタインの研究で有名な京都のスチュワート研究所へ連絡を取る。スチュワート博士は「研究所で育てられ、1年前に富士で死んだはずのフランケンシュタインが生き返り、漁船を襲ったのではないか」との問いに「仮に生き返ったとしても海にいたり人間を喰うことはあり得ない」とし、サンダと名付けられたこのフランケンシュタインの世話をしていた所員の戸川アケミも「サンダはおとなしく素直だった」として、これらの疑いを全面否定する。しかし、その後も三浦半島付近では海の怪物による被害が相次ぎ、スチュワート博士とアケミはフランケンシュタインの目撃報告をもとに富士山へ、間宮博士は横須賀へ、それぞれ向かった。果たして引き上げられた漁船からは海棲生物の細胞組織が、また山中では巨大な足跡が発見された。間宮の持ち帰った細胞組織がフランケンシュタインのものと判明した直後、曇天の羽田空港に巨大なフランケンシュタインが現れ、女性事務員を食らう。雲間から太陽が覗くや、そのフランケンシュタインは慌てて海へ姿を消した。一連の事件がフランケンシュタインによるものと判明し、スチュワート博士とアケミは対策会議に出席するために上京する。スチュワート博士は、山と海とにそれぞれフランケンシュタインがいるのではないかと想像する。会議では強い光や火に弱い海のフランケンシュタインの性質が間宮によって指摘され、市民に灯火要請が出される。その夜、ビアガーデンを襲ったフランケンシュタインはライトを浴びせられて境川から上陸し、自衛隊によって太田橋付近の谷川へと誘導される。ここに、殺人光線による細胞組織の徹底消滅を図る「L作戦」が実行され、フランケンシュタインはメーサーと放電攻撃によって感電死寸前となる。ところがそこに、さらに巨大なもう1頭のフランケンシュタインが現れ、自衛隊を牽制して海の怪物を連れ去る。海と山のフランケンシュタインは、それぞれ「ガイラ」と「サンダ」と正式に命名される。両者の細胞は完全に一致し、2頭は「分身」であることが確定する。サンダは心優しく、ガイラを湖の水辺で保護しながら、湖に落ちかけたアケミを救って怪我を負う。一方、ガイラは霧に乗じて湖を訪れた人々を食らい続け、ついにサンダを怒らせる。サンダの攻撃に、ガイラは海へ逃げ出して消息を絶つ。サンダの保護管理を主張するスチュワート博士と、両フランケンシュタインの徹底消滅を主張する橋本陸将補が対立する中、餌を求めて東京銀座に現れたガイラを追い、サンダも現れる。負傷を押してガイラを止めようと立ち向かうサンダを自衛隊が援護しながら、両フランケンシュタインの最後の戦いが始まる。日米合作映画である本作は、ベネディクト社が「海外公開版」として再編集したものが、アメリカで『怪獣大戦争』との2本立てで公開された。画面サイズは東宝スコープではなく、ビスタサイズにトリミングされている。台詞はすべてアメリカの俳優によって吹き替えられ、タンブリン自身も英語台本に合わせて自分の台詞をアフレコし直している。作劇面では「フランケンシュタイン」という意匠設定が外されており、二大怪獣は雪男の系列である「ガルガンチュア」と呼ばれ、細胞分裂を繰り返すUMAとなっている。ガイラは「緑の怪物(グリーン・モンスター)」または「グリーン・ガルガンチュア」、サンダは「茶色の怪物(ブラウン・モンスター)」または「ブラウン・ガルガンチュア」と呼称されている。アケミもサンダのことを単に「ガルガンチュア」と呼ぶ。また、スチュワート博士の視点を中心にした作劇にアレンジされており、海上保安庁職員・平井(田島義文)が操舵手・亀田三郎(山本廉)や漁船を検分する一連のシーンも、スチュワート博士が立ち会うものとなっている。伊福部昭による劇伴曲はぶつ切りにされており、「L作戦マーチ」や「ガイラが海へ逃げるシーンでの使用曲」などがテンポの速いアメリカの楽曲 に差し替えられ、随所に『怪獣大戦争』(1965年、本多猪四郎監督)、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年、本多猪四郎監督)からの楽曲や、『キングコング対ゴジラ』(1962年、本多猪四郎監督)の「大ダコのテーマ」が挿入されている。また、歌手役のの歌声は日本版より鮮明である。ガイラが羽田空港に上陸し、女性を掴み上げて食べる場面は「ガイラが女性を噛み砕いて飲み込んだあとに衣服を吐き出す」というところまでは同じだが、その次のショットは、オリジナル版では花束のアップ、海外版では「ボロボロの衣服が滑走路にベタッとたたきつけられる」というものになっている。アメリカでの上映時間規定(90分)を満たすため、「ガイラを助けに現れ、飛び降りるサンダ」、「銀座でガイラを迎え撃つ自衛隊の車両描写」など、国内版では未使用の特撮カットが挿入されている。ベネディクト・プロの経営者ヘンリー・G・サパースタインは本作の続編的作品としてサイボーグ化したゴジラとガルガンチュアが戦う映画を企画したが、実現はしなかった。※映画クレジット順※以下クレジット無し
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。