『クララ白書』(クララはくしょ)は、日本の作家氷室冴子による、札幌の女子校寄宿舎を舞台にした少女小説シリーズ。集英社コバルト文庫から刊行されている。『クララ白書ぱーとII』までが中等科編で、それぞれ文庫版(1980年)、単行本(Saeko's early collection、1996年)、新装文庫版(2001年)がある。続編の『アグネス白書』と『アグネス白書ぱーとII』は高等科編である。札幌のカトリック系女子校、徳心学園中等科3年生の桂木しのぶ(愛称しーの)は、父の転勤と家族の引越しという家庭の事情で、中等科3年から附属寄宿舎の「クララ舎」へ入ることになった。ところが、クララに中途入舎する3年生には、ひときわユニークな入舎テストというものが課せられるのだった(最上級生は何かと舎内生活で優先権がある。1、2年生をまたいでの中途入舎生は、帳尻を合わせるために入舎テストをクリアしなければならない)。"しーの"は同時に入舎してきた転入生、マッキーと菊花とともに、入舎テストに向けて策を練る。そのテストというのが、真夜中に調理室へ忍び込み、全舎生分のドーナツを揚げることだった。"しーの"は学園の有名人で、友人達に引き止められたこともあり、家族が九州に転勤したのに付いて行かず、寄宿に入ることにした。しかし寄宿舎では上級生は下級生からある程度の奉仕を受けることができる特典があるため、3年から入舎するのは不公平だとの声があり、毎年途中入舎生は入舎テストを受けなければならない。"しーの"は同じく途中入舎の転校生マッキーと菊花と共に45人分のドーナツを揚げることになったが、2人は共に個性的な性格で、一向に話は進まない。しかし有馬皇子やきらめきの虹子女史の協力などもあって、無事にドーナツを揚げることに成功した。マッキーの奇行が少しずつ明らかになる。すっかり仲良くなったものの、マッキーに対する様々な謎に対して"しーの"と菊花はあれこれ想像をするが、菊花の父親がマッキーの父親と知り合いであったために、断片的ながらも情報が入ってくるが、その内容も奇行を裏付けるものばかり。一方で坂田江奈が不注意から洗濯物干し場でブラを上級生のブラウスにかかってしまう事件が起こり、慣習から江奈は薔薇を一輪ずつ送って謝罪することになって、"しーの"は有馬皇子に同じクラスのの花屋の子にお願いするよう依頼される。それを聞いていたマッキーは美しい習慣だと感嘆し、わざと(未使用の)下着を学園のアイドルである清らなる椿姫こと白路のハンカチの上に落とす。もちろん大事件となり、さらに騒ぎを大きくするようにうるさ型の吉田さんが実家から戻ってくるが、彼女はマッキーの知り合いだった。そのため、マッキーが白路にちょっかいをかけたかったのだと瞬時に理解し、マッキー願いむなしく無罪放免とさせられてしまう。その後、"しーの"と菊花は様々な噂をじかにマッキーに問いただすが、思ったようなひどい真実ではなかったものの、奇癖を裏付けるものでしかなかった。しかし呆れながらも、2人はマッキーとの友情を再認識するのであった。"しーの"の馬はは体育祭の騎馬戦では優勝候補に挙げられていたが、鈴木夢見を騎手とする馬に執拗に追いかけられ、夢見の馬に対する卑怯な攻撃でバランスを崩した"しーの"は落馬してしまった。あわててそれを防ごうとした夢見にジャージをつかまれたために、上半身が脱げてしまいあられもない姿を晒した上に、右足捻挫、左足の生爪をはがす、右手に裂き傷、顔に引っかき傷と満身創痍の状態。しかもその後に見舞いにやってきた夢見たちであるが、他の3人が謝るのに対して夢見はふくれっつら。挙句に「器用な落ち方をした」などと吹聴している始末。"しーの"はあからさまな敵意に落ち込み、さらに学校指定の井沢病院までは遠く、バスはラッシュ状態で、両足を怪我をしている状態では2日に1度の通院は困難を極めていた。ある日、病院で出会った青年は本をはがした爪の上に落とした。寿家光太郎と名乗るその青年はお詫びにと車で送り、以後の送迎も任せろと言い出す。真意がつかめないまま取りあえず厚意に甘えることにした"しーの"だが、最後の日になるまで送り迎え以外の何事もおきない。しかしふとしたことから真実が発覚した。実は光太郎は夢見の従兄弟であり、素直になれなかった夢見が"しーの"のために送迎を頼んだのであった。マッキーと共にすっかり菊花の親友となったと思っていた"しーの"であるが、様々な筋から菊花が5年の向井さんと仲が良いと聞き、嫉妬に悩む。江奈からの証言はともかく、これ見よがしに"しーの"の前を通した夢見のメモには、菊花が真夜中に禁止されているアグネスへの訪問を行っているとの証言があった。夢見を詰問するものの、"しーの"自身が確かめたそれは真実であった。マッキーと共に菊花の後を追いかけてアグネス舎の向井さんの部屋の前に立つ二人であるが、慌てて向井さんに部屋に引き入れられる。マッキーの行過ぎた想像と異なり、菊花は向井さんの部屋で漫画を描いていた。菊花が漫画家志望であり、漫画を書く時間を確保するためにクララに来たと知る2人。学園の二大イベントの一つの文化祭が近づくものの、夏休みが明けても一向に中等科は演目が決まらない。去年の主演女優賞を獲得した"しーの"はもちろん本人の気持ちとは逆にキャスティングの最有力候補であった。そして特に下級生から人気のマッキーが主演男優の有力候補でもある。しかし三巻が狙うラブシーンの情報が早くも学園を駈け巡り、人気者である"しーの"は発起人を別にした「桂木しのぶのキスシーンを阻止する」署名が2つも回り、新崎朱美の中劇を私物化しているという抗議文も届けられる。特に後者の存在で三巻は"しーの"をキャスティングできず、演目が決まらないのであった。結局マッキーと夢見で「みずうみ」を演じることになった。昨年はスターの丸井さんに釣られたものの、本来は劇に出たくない"しーの"はほっとする。ところが、今度はきらめきの虹子女史に呼び出され、古文研の劇に出るように要請される。ドーナツ揚げの際の借りがある上に相手役が奇跡の高城さんであったこともあり、断れず承諾する"しーの"。だが、当然これはセンセーションを巻き起こし、"しーの"は三巻達に詰め寄られるものの、古文研の劇を降板することはできなかった。さらに高城さんのファンクラブである大奥に"しーの"は嫌がらせを受けるが、憧れの高城さんと共演できて実は嬉しい"しーの"であった。しかし、一方で中劇では突然夢見が出演を渋りだした。成り行きで"しーの"が説得することになったが、"しーの"は意外な事を知る。実は夢見は"しーの"の崇拝者であった。そして"しーの"が中劇に出ないどころか古文研で学園一のスター奇跡の高城さんと共演することを知り、駄々をこねていたのであった。しかしこれ以上強がることが出来ず、とうとう自分の気持ちを告白したのである。結局"しーの"が「出なさい」といったために無事夢見が中劇にでることになった。菊花はそれを聞き、さもありなんとうなずく。文化祭前日、菊花にも嬉しい知らせが届く。投稿作品が努力賞に入ったのであった。"しーの"、マッキー、菊花の3人は特別にしーののルームメイトにベッドをその日だけ変わってもらい、それぞれ明日の劇での台詞や将来への希望などをてんでに語りながら夜も更けていくのであった。文化祭は成功に終わり、人気投票で古文研には僅差で敗れたものの、中劇は満足すべき結果に終わった。その後、マッキーには他校からのラブレターが毎日のように舞い込むようになる。しかしある日、東高の大津雅文と名乗る人物から"しーの"にラブレターが届く。人生で初めての経験に有頂天になるが、三巻に冷静にいつ会うのかといわれ、いっぺんに冷めてしまう。もらったことは嬉しかったものの、会うことまでは考えても見なかったのだ。会わないつもりであった"しーの"だが、大津くんの知り合いである上級生から呼び出しを受け、デートの段取りを付けられてしまう。しかたなく、デートでの心得を菊花たちから受けるしーの。そこへ夢見を通してあわてて光太郎が電話をかけてくるが、ふとした一言で"しーの"は怒って電話を切ってしまう。当日、その上級生の手違いで大津くんは別の出口で"しーの"を待っていた。そうとはしらない"しーの"は、ナンパ男にからまれてしまう。慌てて助けに飛び出すのは、それぞれ内緒で付いてきたマッキー・菊花組と光太郎であった。そこへもしかしたら手違いがあったのかとこちらの出口にもやってきた大津くんだが、この時点で初デートはむちゃくちゃなものになってしまう。当然のように付いてくるマッキーたちや光太郎に大津くんも萎縮し結局散々な結果に終わってしまう。しかし"しーの"はまだ私には早かったのだと思い、どちらにしろ大津くんとは合わなかっただろうと思うのであった。"しーの"は最近トイレでよる猫の鳴き声と不思議な声を聞き、すっかり脅えていたが、誰からも相手にされない。クララ舎長の有馬皇子のところにはアグネス舎長の虹子女史が尋ねてきており、最近アグネスで寄宿破りが頻発して、シスターがそれに気づいたらしいことを伝えに来ていた。誰からも相手にされない"しーの"は、化け猫の正体を暴こうとした際に、シスターに誰何され、偶然その時に物音がしたため、シスターが5年の長谷尾さんの寄宿破りを発見した際に居合わせてしまい、長谷尾さんから恨まれてしまう。そして自分を頼ってくる1年生グループの1人である文子が寄宿破りをしている場面にも出くわしてしまい、それを誰にも言えず、一人で悩む。そのためにマッキーや菊花から友達甲斐がないと絶交宣言されてしまった。しかも江奈の証言によると、文子は最近金遣いが荒いらしい。結局、文子は子猫を拾ってしまい、それを寄宿の敷地でこっそりと育てていたのであった。"しーの"が聞いた泣き声は、ある寒い夜に文子がこっそりとスチームの入るトイレに連れてきた時にものであった。真相を知った"しーの"だが、どう仲直りすべきが悩むのであった。"しーの"は退学になった長谷尾さんに出会ってしまうが、家庭教師の1人である西藤さんに助けられ、寄宿に送ってもらい、マッキーと出会う。例のデート事件以来、"しーの"は光太郎の手紙を全て封も切らずに捨てていたが、何故かマッキーはそれを非難するようになり、菊花にたしなめられる。しかしなぜかマッキーは以後も光太郎を擁護するのであった。そこで"しーの"はマッキーは光太郎が好きになったのではないかと推測する。一方で西藤さんと町で再会した"しーの"は、年末の大イベント「クリスマスバザー」で長谷尾さんからのお礼参りに対して守ってくれるように頼む。そして光太郎にはマッキーのために、「必ず来てくれ」るように頼む。当日、"しーの"の側にいてくれる西藤さんに光太郎は嫉妬する。長谷尾さんは計略を使って"しーの"を呼び出すが、間一髪西藤さんや虹子女史やマッキーたちが間に合い、助かる。その時のマッキーの態度でようやく"しーの"は真実を悟った。マッキーは西藤さんが好きなのであり、最近接近した"しーの"との仲を疑い、光太郎との仲を取り持って元の鞘に戻そうとしていたのであった。菊花はある週末、"しーの"とマッキーに実家に遊びに来るように頼む。どうやら父親に最近漫画を描くことを続けているのではないかと疑われているらしいのだ。気乗りしない2人であったが、それを聞いて1も2もなく訪問を約束する。自分達がよき友人であることを示そうとマナーの勉強をする2人だが、駅前で光太郎が女の人と歩いているのを見かけ、西藤さんとのことも絡んで2人は険悪な雰囲気で訪問する羽目になる。そのためにチームワークは滅茶苦茶で、却って足を引っ張り合ってしまう始末。その後、2人は菊花が門限になっても帰ってこないことに気づき、菊花の家に電話を入れる。菊花は全てばれてしまい、転校することになるだろうと告げる。2人は憤慨し、菊花の実家に向かい、そこで菊花の父親に出会うなり横暴だ何だと文句を付け出してしまう。そこへ菊花が慌てて駆けつけ、2人を部屋に押し込む。実は菊花はただの風邪で、前回の訪問で散々であった2人に軽い気持ちで仕返しをしただけであった。実際には父親は漫画のことなど忘れてしまっており、菊花に悪い虫が付いているのでないかと心配しているだけだったのだ。映画化を記念してCobalt85年冬の号に掲載された。長らく単行本未収録であったが、2012年発売の『月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ!』に収録された。1985年に少女隊主演により『クララ白書・少女隊PHOON』(クララはくしょ・しょうじょたいフーン)として東宝の配給で映画化された。同時上映は吉川晃司主演『ユー・ガッタ・チャンス』だった。ほか
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