『はみだしっ子』(はみだしっこ)は三原順の漫画作品。「花とゆめ」誌にて1975年から1981年まで連載された。「花とゆめ」1975年1月号に読みきり作品として掲載された『われらはみだしっ子』が初出である。その後、続編が再び読みきりとして掲載された後に連載作品として扱われるようになった。単行本1・2巻は『はみだしっ子』単行本ではなく三原順傑作選として各巻に題名がつけられている。そのため、連作短編シリーズとして『「はみだしっ子」シリーズ』と呼ばれることもある。単行本(花とゆめコミックス)では全13巻(絶版。他に『ロング アゴー』全1巻)。1992年から1993年にかけて愛蔵版全5巻が刊行(絶版)。1996年以降は白泉社文庫全6巻として刊行されている。思春期前の4人の少年が主人公である。それぞれの複雑な事情で、親に見捨てられたり、親を見限ったりして家出し、共同生活を送ることとなった彼らの心の彷徨と成長が描かれている。作品中に明記されておらず、作者自身も明確な設定を示すことを避けていたが「英語圏であることは間違いない」と語っていた。裁判制度(陪審制度など)についてイギリスを参考にしたという作者談もある。「サーニンは英国人だ」という台詞も作中に登場する。年代も特に明記されることはなかったが、1981年に発表された番外編「楽屋裏」において1979年晩秋であることが明記されており、連載時期と同一の時間進行と考えられる。登場人物は、会話においても、一人内省するときにおいても、自らの意見・感情・立場などを、論理的に言葉をつくして説明するため、ネームの量が膨大になっている(終盤、まるまる1ページを1コマとしてすべて文章で埋め尽くされているページがある)。また文や台詞が言い切りになっておらず、述語がないまま「…」とぼかされ、後は読者の読解力や思考力に一任する手法が多用されている。ハイネの詩篇の引用もある。特筆される台詞等は『はみだしっ子語録』と題する一冊の本にまとめられた。作品中に描かれる音楽や書籍等においては作者の趣味が随所に反映され、実在のものが多く登場し、登場人物がそれらを聴き、歌い、読む。音楽の例としては、ジョーン・バエズ、ピーター・ポール&マリー、ジャニス・ジョプリン、ローリング・ストーンズ、エマーソン・レイク・アンド・パーマー等の実在の作品名や歌詞が登場する。また、本編のサブタイトルも、シカゴなど当時人気があった英米ミュージシャンの曲名や、映画のタイトルに因んだものが多い。グレアム、アンジー、サーニン、マックスの4人の少年は、それぞれの家庭に複雑な事情があって親元を離れ、心に闇を抱えたまま共に放浪生活をしている。様々な場所を転々とし、色々な人間に出会い、助けられ、裏切られながら、互いの固い絆を頼りに生きている。そんな中、1人が無意識の中である大きな事件の加害者となり、それを庇って事件を隠蔽した2人と、その場におらず助けられなかったことを悔やむ1人は、以降、さらに深く重い苦悩を心の奥底に隠し持って生きていくことになる。数年後、4人を養子にしたいという話が来る。重大な隠しごとを抱えながら、親という名の家族を持ち、社会に属し、定住生活をすることに怯え、悩みながらも、ある種の賭けのようにその話を受ける決心をし、4人はクレーマー夫妻の息子となり兄弟となる。周囲の環境も経済的状況も申し分のない聡明な夫妻の元で、徐々に新生活のペースが出来上がってきたかに見えたが、コミュニティ新参者の4人は不良グループから目をつけられ、またもや大きな事件に巻き込まれ、被害者となってしまう。以前の事件を隠蔽した2人は、自らが悪人の立場であるべき自分たちが、刑事事件の原告となり被告の罪を裁く加担をすることに強い違和感を覚えながら、それでもなお、紛れもなく悪意を持ち、犯罪者として断罪されるべき被告の罪を暴くために力を尽くす…全体はいくつかの部分に分けられる。Part.1からPart.9までは親を見捨てた・親から見捨てられた4人が出会い、喧嘩をしながらもお互いに信頼関係を築いていく過程が描かれている。グレアム・アンジーをリーダーとしたグループとして、「親という名を持った人間じゃなくホントに愛してくれる人」を求めて、社会からの“はみだしっ子”の立場を選択し、子供でありながら大人たちを小気味よくあしらいながら放浪する。Part.10で4人が雪山にて遭難し、むき出しの人間のエゴイズムと憎悪に直面して4人がそれぞれ傷つき、バラバラになる。Part.11,12では、マックスとサーニンが失踪した先で社会との関わりをそれぞれ獲得し、“はみだしっ子”グループに頼らない自我を確立する。Part.13以降再び4人で放浪生活を送るが、グレアムとアンジーは雪山での事件(Part.10)を隠し通すことに悩む。グレアムが父と死別する(Part.14)と、グレアムの伯父の勧めに従い4人はでクレーマー家に養子に入る(Part.17)。生きる上で選択の連続であった放浪生活時代と異なり定住することに慣れない4人だが、同時に異なる環境であっても調和を選択できる強さを備えていた。周囲の安心と信頼によりサークルの一員となっていくが、マックスとリッチーの抗争に巻き込まれてグレアムが負傷、リッチーを告訴した裁判が始まる。リッチーは故意ではなく事故であり罪はなかったとするフランクファーター弁護士の声によりグレアムは雪山での事件を隠しながら罪を得ようとしている己を自覚する。結審(関係者のリッチーの項を参照)し、アンジー、サーニン、マックスがそれぞれクレーマー家の息子の座に収まったことを確認したグレアムは雪山で起きた事件を清算しようと画策した。しかし、相手の拒否にあい失敗(関係者のフェル・ブラウンの項を参照)。自殺を図るもそれも失敗すると、心を閉じた。雪山事件に関わったアルフィーが死んだことでしがらみがなくなり、グレアムがジャックに事件のことを明かしたところで物語が終わっている。本名として示しているのはクレーマー家に養子に入る以前の本名である。名前の後の「Part.**」は本編における登場回。電話越しのようなキャラクター画像が出ない場合は除き、台詞がない場合でも登場したときはあげてある。ここでは、4人のはみだしっ子の生家および養子先であるクレーマ−家の家族とその関係者をあげる。Part.16でグレアムの伯父に紹介され、Part. 17で4人が養子として入ったクレーマ−家とロナルド。グレアムの生家と親戚。サーニンの生家。アンジー・グレアムの親族が頻繁に彼らを捜索していたのに対し、サーニンの親族が放浪中に接触してきたことはなかった。マックスの生家。マックスが極めて幼い時分に家出をしたため、マックスの記憶も少なく描写は少ない。Part.10で4人が遭遇した雪山で起きた一連の事件および、Part.19で事件に関してグレアムたちと関わった関係者をあげる。Part.11でマックスが保護された孤児院とその周囲で関わった人物。Part. 12でサーニンが出会うエル(エルバージェ)と、彼を利用した八百長事件・誤診に関係した人物・馬。Part.15で4人が参加したサマーキャンプで出会った人物。Part.19におけるリッチーとマックスとの抗争の結果、グレアムが刺された事件とそれに関わる諸々の事件に関わった人物。物語は「Part.」で区分された本編Part.1 - Part.19と、番外編からなる。初期の本編の各パートは20 - 30ページの読みきり中編であるが、最後のPart.19は600ページ以上(単行本4巻、文庫版2巻)に渡る長編である。雪山事件以前のPart.1 - Part.9までは長期にわたる連載が意図されていたわけではなく、1話読みきりか、長くても2号に分けての読みきりの形態であり、掲載も不定期であったため、ストーリーの連続性に多少欠けるところがある。Part.10以降、休載を挟みながらも複数号に連載されるようになり、ビルドゥングスロマン的に4人の精神的成長を描くストーリーとなった。番外編の多くは4人+α の登場人物によるコミカルなショートストーリーだが、「サーニンのメモノート」や「PART18とPART19の間」のような本編を補完する短編も含まれている。マスターに拾われ、喫茶店でローリーと共に暮らすグレアム、アンジー、サーニン、マックス。親から見捨てられ、あるいは親を見限った彼らは「親という名を持った人間ではない、ホントに愛してくれる人」を求めて道端で「恋人」を探し続けている。クリスマス・イブの夜に、ローリーたちが警察に連絡したことを知った彼らは喫茶店を出て、雪の中路傍で「恋人」あるいは「神様」の迎えを待ち続けた。そして、グレアム・アンジー・マックスが気を失った後、サーニンが出会った人物が約束したのは…酔ったレディ・ローズに拾われ、4人は彼女のアパートで暮らすことになった。「人間の動物園」の中、4人は他のアパートの住人との意思の疎通に苦労し摩擦を起こす。最後には小鳥をいじめていた子供たちと乱闘を起こし、レディ・ローズはアパートを追い出されることになってしまった。4人は動物園のオリの中に隠れて見世物になるより、オリの外に出ることを選んだ。意地っ張りのアンジーは4人の中での自分の位置づけに悩み、グレアムともめたことで仲間から飛び出し、そのまま離れ島に運ばれてしまう。アンジーは3人は自分を見捨てアルフィーの仲間に会いに行ったと信じ込む。彼はアンジーという名を拒否し、リフと呼ばれていた頃のことを回想する。リフと呼ばれていた過去に母に捨てられ、今度は3人に見捨てられたと思い込んだアンジーが見たものは…スキーロッジに泊まりに来た4人は心臓病を患った高慢な少女・エヴァに出会う。足の悪いアンジーに興味を持ち傲慢な振る舞いをする彼女に対して、母親は何も言えない。その彼女の母にサーニンは自分の母親の姿を重ね合わせた。五体が満足でない者はそれだけが理由で何をしても許されると力説する彼女に、グレアムは自分も片目であることを明かし、それは他人を裁く理由にならないと説く。行き場を失った4人は、罠だと分かりつつもエイダの紹介した「Hotel Hell」に向う。グレアムの様子がおかしいのに気づいたアンジーは彼とエイダをサーニンに見張らせ、自身は『いざって時逃げるため』階段で松葉杖なしで歩く練習を始める。サーニンとアンジーはエイダと階段のために体に傷を負い、グレアムが心の古傷をエイダにえぐられていた頃、そうとは知らぬマックスはその天真爛漫さでエイダを虜にしていた。マックスがエイダとグレアムの関係を知ったとき、彼のとった行動とは。「今日は今日を生きてりゃいい、なんたって踊ってりゃご機嫌」という刹那主義なジョンのアパートに転がり込んだ4人は、ジョンに連れられてディスコに通い詰めるようになる。グレアムはディスコの音任せで強制的な気分転換の中、心の中で4人を裏切りかけていた。しかし、サーニンがディスコで演奏妨害という実力行使をし、アンジーが泣きつき、そしてマックスが泣き出したことで、グレアムは「こいつらをダシにしていればかろうじて自分を自分で支えられている」ことに気づいた。雨宿りの映画館で出会ったマスターの喫茶店に転がり込んだ4人。アンジーの詐欺紛いの行為で居座り続け、街にも溶け込んだ頃、4人はマスターの過去と川向こうの街との抗争という2つの秘密を知る。マスターはかつて従軍し、「敵」を「物」のように殺したことを悔いていた。一方、街の子供たちは川向こうの子供たちを敵として仲間意識に陶酔して団結していた。そんなとき、マスターが会いに行けないマスターの彼女に花を届けようとマックスが川向こうに渡っていった…渡り鳥に会いに行くため北に向う4人は、とある手紙を届けるために寄り道をすることにした。そこで出会ったケイトは、アンジーがイブ・ホーンの子供役には最適な素材と見極め、彼らを足止めするためサーニンを暗く狭い部屋に幽閉する。サーニンは「渡り鳥」の強さを心に描いて耐えていたが、かつて地下室に幽閉され言語を失ったことのあるサーニンを心配し、アンジーはケイトの言うがままになる。しかし、その目的が実母イブ・ホーンの子役のためだったと知ったとき…グレアムは父に追われ、アンジーは母に追われていた。行き場所をなくした4人は、不気味な方法で接触してきたシドニーの幽霊屋敷に隠れ場所を求めた。鍵だらけの屋敷の中で、合鍵を持ちながらも使う勇気のないシドニーを見て、グレアムとアンジーは親と対決するために街に戻る。サーニンとマックス、そしてシドニーは2人を迎え入れるため、門の鍵を開けることにした…雪山に上るバスを待ちながら4人はジョイと出会う。吹雪のため引き返そうとするバスの運転手を拳銃で脅し、ジョイはバスを通常のコースとは違うコースに進めさせる。バスが崖から墜落すると、乗客たちは互いの名前も知らぬまま、そしてここがどこかも分からぬまま協力して雪濠を作り始めた。これまで“つらいこと”に対して自分たちなりの克服方法を身に付けてきた彼らの態度に、ギィが苛立ち、その彼の行動に苛立ったシャーリーが麻薬に手を出す。ラジオを聴いて進退窮まったと悟ったジョイは静かに避難場所の雪濠から離れる。行き場を失ったジョイはアンジー・サーニン・マックスの前で拳銃自殺する一方、プライドを傷つけられたシャーリーが吹雪の夜に消えた。危機感を皆が抱く中、体力自慢のサーニンがスキーで助けを呼びに行く。すると、怪我をしているグレアムら「不用で邪魔な者たち」とその仲間であるアルフィーたちを置いて、元気な者たちは下山を始めた。シャーリーの帰りを待つために彼らと残ったギィが、逆恨みして錯乱状態になりグレアムを襲う。アンジーと共に抵抗するが力では敵わない、その時、首を絞められた夢を見ていたマックスが夢うつつのままにジョイの拳銃でギィを射殺する。アンジーはギィの死体と共に下山し、助けを呼ぶために風下の林に放火。火を見た救助隊はグレアム・マックス・アルフィーを見つけ、火を見たシドニーはギィの死体の横で自殺し損ねたアンジーを見つけた。救助隊を呼びに行ったサーニンは苛立っていた救助本部員に自分が無力で役に立てなかったことを思い知らされて心を閉じ、救助本部から行方不明になってしまう。マックスを守れなかったことの自責の念とシャーリーにもらっていた麻薬のためグレアムの精神のバランスが崩れる。マックスはグレアムに会えないのは自分が悪い子で嫌われたからと思い込んでしまい、やっと面会できたグレアムが無反応なのをみて拒絶されたと感じ、失踪してしまう。状況に巻き込まれながらもシドニー・アルフィーの手を借りて自分で何とかしようとするが、歯車が思うように巡らないアンジーはグレアムをエイダに任すことにし、シドニーからジョイの拳銃を受け取った。失踪したマックスは汽車に無賃乗車したため補導され、孤児院に連れてこられた。喧嘩が強いヴァトゥなど個性と押しが強い孤児院の子とジャネットに圧倒されるマックスだが、アンジーとサーニンを心に描いて奮起する。グレアムを連想させるトビーやブラッドをマックスは無意識的に避ける。マックスは孤児院の外での「孤児院の子」というレッテル貼りに気づく一方、孤児院の中では自分は誰かにとっての特別な存在ではないことにも気づかされる。マックスがブラッドと和解し手下として従わないことに気づいたヴァトゥの素行が荒れ、ジャネットは厳罰主義な態度を取り始める。マックスはヴァトゥの悪行を監視するという、「大好きだった昔のグレアム」との約束を守るためにヴァトゥを追い、彼に騙されて遠い町に置いてけぼりにされる。その頃、一年半以上の調査で失踪したマックスかもしれない全ての可能性を潰して孤児院にグレアムが来訪していた。マックスが心に描いていた頼れる人だと気づいたヴァトゥとブラッドは、マックスが彼に奪られると察し反発した。アンジーがヴァトゥとブラッドの喧嘩を止めてナポレオンを始めた頃、マックスを探しに出ていたグレアムは…救助本部から失踪したサーニンはキャシーに出会った。家出していた彼女に連れられてきた彼女の家で、サーニンはバーガー医師(キャシー曰く「ハンバーガー先生」)の治療を受ける。しかし、行方の分からぬ3人の仲間を心配し、彼の心は深いところに沈み込んだまま。彼を心配し、また扱いかねたキャシィの両親はサーニンをキャシーの祖父の牧場に運んだ。そしてサーニンは彼に出会った。エルバージェに。3人が生きていることを知ったサーニンはキャシーの祖父に友達を信じることを教えられ、また生来の動物好きが牧場で療養したこともあってあっという間に元気になり、辛抱強い粘りでエルの信頼を勝ち取り、エルの馬主となった。その頃にはアンジーがサーニンを見つけ出していたが、彼を“はみだしっ子”の仲間として引き戻すことはできなくなっていた。エルが3戦3勝後、ゴールできないほどの惨敗をした後、サーニンはグレアム・アンジー、そしてかれらに合流していたマックスをレースに呼び寄せた。どじなマックスのためミセス・シグナンの企みに気づいた4人。しかし、キャシーに危険が及ぶ可能性があるため、次のレースではエルを負けさせるよりほかなかった。思わせぶりなことを言うチャンピオン、難を避けるためバーガー先生のところから電話でサーニンに無事を告げるキャシー。脅迫犯は誰か、そしてサーニンの選択は…フーちゃんの別荘に転がり込んだエルの馬小屋を建てるため、水族館でバイトを始めた4人。下宿先のダニーの家族の仲は睦まじい様に見えながら、飼い犬のロジャーのことしか会話しない表面的なものだった。グレアムが何かに拘泥していることを感じながら、それが何か察せないことにアンジーは苛立つ。ダニーの兄・カールが爆発事故の犯人と思われ逮捕される。ダニーにすら信じてもらえないと悟ったカールは反抗を否定もせず大人しく警察に従った。カールにそうさせた動機とは…グレアムは新聞記事から父の病気を悟り、自ら生家に戻ってきた。6歳のときに、「20歳になったらパパを殺す」と決意していたグレアムは内面の葛藤を抑え、死にゆく患者の子という立場を振舞う。グレアムは劇薬を用いた苦痛の緩和という緩和医療を父に施してもらうことを望む。自分の母の死に際に和解できなかったエイダはグレアムがグレアムの父と和解できることを心から望む。しかし、グレアムが彼の母が出て行った日に割れていた花瓶のことを「あれはおまえだろう」という父に、グレアムは「ボクじゃない」と否定する。双方譲らぬまま、父の病状は進行していく…時は夏。気分転換のたねを探していた4人は迂闊にも教会のサマーキャンプに申し込んでしまう。キャンプに向うバスの中で出会った少女に、森の中で再会したサーニン。その後、サーニンは彼女を「クークー」と呼ぶようになり、3人に秘密のまま森の中で彼女と指をくるくる動かし続けた(クークーの説明参照)。サーニンがクークー(マーシア)と親しむのを疎んじた彼女の保護者である牧師が2人を仲を切り裂こうとし始めた頃、ダムの放水でキャンプの子供たちが溺れる事故が発生した。濁流の中の岩に取り残されたクークーを見たサーニンは咄嗟に河に飛び込んだが…サーニンが虫垂炎(盲腸)を発症したため、グレアムは不用意にもある駅で途中下車した。そこはローリーたちのいる町、4人が出会った町。グレアムは伯父に力を借りてサーニンを入院させる。追ってやって来た伯父から、4人を養子に貰い受けたいという人物がいることを知らされ、4人は動揺する。グレアムとアンジーは養子に行ってもマックスの事件を隠し通せるか悩む。「他人」という敵対者相手にならかたくなな心で向い合えることができても、「いることをいる所を認めてくれるもの」相手、すなわち「親」には自分たちはどうすればいいのか分かっていないことをグレアムたちは自覚する。彼らの出した結論は…迎えに駅まで来たジャックを置いてけぼりにして、クリスマスローズの株を持ってクレーマー家に直接乗り込んで養子に来た4人。「どうせならこの養子の件成功させたいと 嫌われるよりは好かれたいと」意識しすぎ、品行方正早寝早起き愛想良しのアンジーちゃんだったが、13日目の朝に限界に達した。かつて本来の自分で親子関係に失敗しているからおびえているのでは、と自問し、アンジーは女装趣味と取られかねないフリル付きの服装、タバコ、酒、近所の子供と喧嘩など、放浪時代の素行を挑発的に演出することにした。ロナルドらジャックの友人たちに「バカ息子」と呼ばれても平気な顔で笑っていたアンジーだったが、グレアムは彼が無理をしているのに気づいていた。公道は走らないという約束でアンジーはを買ってもらい、空き地で乗り回し女の子たちにも人気を得ていた。しかし、そのバイクが酒乱の親の息子に壊されてしまう…実母に会うも「鬱陶しい」という感情を抱く自分に気づいてしまうグレアム。マックスはクレーマー家にいる時間を減らそうと街中を駆け回る習慣を身につけ、トマーズ家でケーキをご馳走になるなどの日課をこなしていた。トマーズ家の子犬を引き取ったラルフから子犬を強奪したリッチーと、子犬の扱いについてマックスはスーパーで乱闘する。翌朝、マックスは地域の子供たちのボスになっていた。子供たちとの距離に戸惑いながら母であろうとするパム、ジャックとコメディのようなやり取りをするアンジー、クークーのこと等ジャックを親として頼るサーニン、母としてパムに甘えるマックスを見て、グレアムは自分の計画を進めることにした。ミセス・シグナンはエルとそっくりな馬ラッド・ダンサーを探し出し、エルとすり替えてエルを出すことをサーニンに提案するが、サーニンはそれを拒絶。彼女の行為に贖罪のための精一杯の善意を感じたグレアムは「どうぞ自由になってください」と別れ際に彼女に告げた。マックスは地域のボスとして教会のバザーでの劇など子供たちの采配を取っていた。しかしリッチーたちによってマックスのグループメンバーが脅迫されてグループは瓦解し、罠と知りつつマックスはリッチーに誘い出された。そこにグレアム・アンジー・サーニンが駆けつけ、リッチーのグループと乱闘になり、その最中にグレアムがリッチーに刺され重傷を負った。その際にグレアムが漏らした一言がアンジーを悩ませる。リッチーがグレアムを刺した事件は、リッチーが無罪を主張したために、グレアムとアンジーが言うところの「人殺しが暴行罪の奴とっつかまえて『この悪党め』と叫んでいる」喜劇である裁判となった。リッチーの弁護人となったフランクファーターは、マックスら4人を「裕福な家庭の我がままな子供」、リッチーを「貧乏な家庭の虐げられてきた子供」という構図に当てはめる一方、陪審員に「子供は本来善良なもの」と深層心理で抱いている願望を与えることで、リッチーがグレアムを刺したのは「事故だった」という論戦をはり成功を収めつつあった。グレアムはリッチーとフランクファーターを罠にかけ、陪審評決の前夜にリッチーが自分を襲うように仕向けて陪審員のリッチーに対する心証を逆転させ、彼を敗訴に追い込んだ。後顧の憂いをすべて解消し、蔵書を整理し、そして自室をクレーマー家に養子に来たときと同じ状態にしたグレアムは、一路飛行機で飛んだ…<文庫版収録順>『はみだしっ子語録』内の作者による『はみだしっ子メモリアル』(文庫版第6巻に再録)によれば高校1年生のときの11冊のノートに書かれた「小説もどき」が最初であり、次いで高校2年生のときにB4ノート3冊に書き直された。その後漫画の形式をとるようになり、マックスがクレーマー家に養子に行く話、『カッコーの鳴く森』の原型となる話(30ページ版と担当から分かりやすく直すよう命じられて描かれた60ページ版)を描き、持ち込んだが没となり、担当から「小さい時の話から描いてみないか」として出来上がったのがPart.1である。これらの原型のいくつかは『LOST AND FOUND 三原順秘蔵作品集』に収録されている。上記の過程順に並べると以下のようになる(収録順は逆)。以下では『もうひとつの時』を『時』と『カッコーの鳴く森』を『森』と略記する。1997年9月24日、シリーズ第4弾第3夜のテーマとして取り上げられた。出演者は司会:大月隆寛、川村ティナ、レギュラー出演者:いしかわじゅん、岡田斗司夫、村上知彦、ゲスト出演者は鷺沢萠、清水ミチコ。冒頭のマンガ紹介が物語前半(Part.9まで)しか取り上げず、アンジーの足の病気を母親に棄てられた心因性のものと誤るなどの問題があった。以下の書籍において、今日の社会的情勢に鑑み、一部の言葉が初出と異なっている箇所(アンジーに関する台詞が「びっこ」であったものが、「松葉杖」に置き換えられているなど)があるものがある。いずれも花とゆめコミックスである。白泉社より発行されたはみだしっ子全集。単行本では第1巻に作者の他作品が収録されたり、『ロング アゴー』に番外編が収録されていたが、愛蔵版には『はみだしっ子』シリーズのみ収録。白泉社より発行された文庫コミックス。文庫版には関連書籍である『はみだしっ子全コレクション』や『はみだしっ子語録』に掲載されたインタビューや作者の知人らによる解説が収録されている。
出典:wikipedia
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