ディプロマミル()、または、ディグリーミル()とは、実際に就学せずとも金銭と引き換えに高等教育の「学位」を授与すると称する機関・組織・団体・非認定大学のことである。それらの活動は学位商法(がくいしょうほう)とも呼ばれる。転じて、アメリカ英語のスラングで、入学卒業が非常に容易な大学を皮肉をこめてこう呼ぶ。なお、このような転用がみられるのは、アメリカ合衆国の大学では、入学は容易だが卒業認定は厳格なのが普通であるためである。ディプロマミルは、公式の認定団体から認定されていないところがほとんどであり、学歴詐称まがいの行為を誘発するものとしてアメリカでは大きな社会問題となっている。日本国内においても、ディプロマミルにより授与された「学位」は正式なものとしては見なされない傾向にある。このため、後述するような法的問題が生ずる可能性もある。「公式ウェブサイト」を持つところもあるが、正式な教育機関(日本でいう、学校教育法上の「学校」)とは認められていないため、トップレベルドメインが.eduではなく.orgや.netになっているのが特徴である(多くが“アメリカ所在”を自称する)。なお、.comは商用を表すcommercialの省略なので、さすがに使用する団体はない。さらに「Creighton UniversityとClayton University」(いずれも日本語表記はクレイトン大学)、「ハミルトン・カレッジとハミルトン大学」(universityもcollegeも日本では区別されずに大学と訳されるが厳密には別物)、「ハワイ大学とホノルル大学」のように日本人にとっては誤認しやすい名称が付けられている場合もあり、注意が必要である。ディプロマミルにより学位を取得(購入)した著名人は多いが、それをジョーク(シャレ)として公表する人物もいれば、正規の学位のようにプロフィールに記載する者、さらには公表後にプロフィールから削除する者もいる(後述)。なお、名誉博士号は社会的な功績に対する顕彰を目的とするため(学位でなく称号)、ディプロマミルの中には含められない。ちなみにアメリカでもディプロマミルとディグリーミルは良く混同されているが、区別する場合は:だとされる。この項目で主に扱っているのは前者でありそちらも問題ではあるが、後者の方は明らかな学歴詐称であり犯罪行為である。ディプロマミルは国内でも問題視されており、文部科学省は「国際的な大学の質保証に関する調査研究協力者会議」(第3回、2003年11月28日)でこの問題を取り扱っている。この会議の「国際的な大学の質保証作業部会」では米国CHEA(Commission for Higher Education Accreditation、高等教育保証委員会)のディプロマミルの指標を引用しており、その指標は、以下のとおりである。この作業部会では、高等教育の品質維持及び消費者保護の観点から対策が必要であると結論付けており、その対策として、各国の大学等の位置付けやその学位等の国際的通用性に関する、大学、学習者、雇用主等社会一般が活用できる信頼性の高い情報の収集・提供のための国際的なネットワークを整備することが必要であるとしている。文部科学省は2007年7月に、ディプロマミルと疑われる博士号を国内または海外で取得して、その学位で日本国内で大学教員の採用などに悪用されている実態を把握するために、国公私立大を対象に全国調査に乗り出した。その後日本で2004~2006年度で全国4大学に4人、「真正な学位と紛らわしい呼称」によって採用・昇進した教員がいたことを2007年12月27日発表した。また同調査結果によると、そうした呼称が大学の冊子やホームページで表示されていた事例が、大学は42校43人、短大は4校5人、総計46校で48人の大学教員についてあったことが明らかになった。なお、この調査では2004年度-2006年度に採用・昇進した教員のみを調査対象としているが、ディプロマミルを研究する小島茂・静岡県立大学大学院教授によれば、日本国内の大学・短大の全教員のうち出所が疑わしい学位を元に採用された者は数十人にのぼると指摘している。文部科学省はこれらの問題の対策として、各大学に対しHP等における教育情報の公表を要請し、その中で各教員が有する研究業績および取得学位の掲載を求めている。また学位規則では、学位の名称を使用する際には専攻分野のみならず、授与機関名をも併せて付記することを求めている(文科省学位規則第11条)。しかし、これらの記載を省略して、プロフィール等に単に「◯◯学博士」とだけ記載して学位の名称を使用するケースが多数散見している状況である。アメリカのディプロマミルの存在は数十年前から知られていたが、日本では大学のブランドを重視するため、アメリカの無名の大学の学位を貰ったところで使い道が無く、日本人研究者や大学教官・教員が利用することは稀だった。それが昨今話題となるのは、大学院が増加していることに関連がある。原則として、博士課程を担当する教官・教員は博士号を持つことが条件とされる。しかし、かつての博士課程では在学中の学位取得が困難であった分野があり、中堅以上で研究実績がある大学教員であっても、博士号を取得していない者が多数存在する。また、大学院重点化につれて、博士課程在学中の学位取得が不可能ではなくなったことにより、若手研究者の多くが学位を取得している一方で、それ以前の博士課程に所属していた中堅以上の研究者が学位を取得していないという状況も、不正な学位取得の背景としてある。さらに、博士課程在学中の学位取得が奨励されると同時に、大学等への研究職の採用への応募条件として博士取得が必須の条件となっていったことも、不正な学位取得を生み出した背景としてあげられる。日本の学校教育法では、大学の設立には文部科学大臣の認可が必要であるとされており、それ以外の教育施設が大学や大学院を名乗る事は禁止されている。これに違反した場合、10万円以下の罰金が科される。また、学位授与の権限は上記の条件に叶う大学と独立行政法人大学評価・学位授与機構にのみ認められている。ディプロマミルは上記の条件を充たす教育機関ではないから、日本国内でディプロマミルが大学や大学院を名乗ったり、それが学位を授与することは違法行為となる。ただし、ディプロマミルの中には、上記の規定の抜け穴を利用して自らの行為を正当化するものがある。たとえば、日本の学校教育法の効力がおよばない外国(主としてアメリカ合衆国)に本拠を置くことを装ったり、授与するものは「学位」ではなく単なる「称号」や「商標使用権」である(「特許大学」の事例)とする、などである。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。