ゾウ目(ゾウもく、)は、現生最大の陸棲動物を含む植物食哺乳類の分類群(タクソン)である。長鼻目〈ちょうび もく〉・長鼻類〈ちょうび るい〉とも。分類体系によっては長鼻亜目・長鼻小目とも(下目とされることはまれ)。アフリカ大陸に起源を持つグループであるアフリカ獣類に属し、テティス海の岸辺(アジア大陸南端地域およびアフリカ大陸北端地域)で進化的飛躍を遂げたテティス獣類に含まれる1目。ゾウ(象)およびその近縁群を含む。目名の由来になった (proboskis) は「象の鼻」を意味する古いギリシア語。日本語や中国語ではこれを訳して「長鼻目」(ちょうびもく、; チャンピームー)と呼ぶ。現生種は3種(2種)で、全てゾウ科(ゾウ)に含まれる。マルミミゾウは、かつてはアフリカゾウの亜種とされており、そのころから種として独立させるべきとの意見が根強かったが、DNA解析による知見から、サバナのアフリカゾウとは別系統にあることが確認され、あらためて独立種となったものである。いずれの種も、乱獲や棲息地の減少と分断によって減少しており、近い将来、絶滅する危険性が高い。長鼻類は、すでに絶滅した原始的な哺乳類のグループである顆節目(かせつもく) から分岐したと考えられる。化石は古第三紀初期(5000万年以上前)まで遡ることができ、現在知られる最古のものとして、モロッコの暁新世層から出土したフォスファテリウムがある。とはいえ、最近の遺伝子などを基にした研究では長鼻類はじめアフリカ獣類に含まれる哺乳類は白亜紀には顆節目を含む北方真獣類とは既に分岐していた独自グループであるとの説も有力になりつつある。これによれば長鼻類含むアフリカに起源をもった有蹄草食哺乳類達(現生のものは長鼻目、海牛目、岩狸目)は祖先を共有する一群とされ、これは近蹄類と呼ばれる。更にこの中でも長鼻目と海牛目の両者は、より近縁同士であるとみられ、これらをまとめてテティス獣類と呼ぶ。化石から知られる初期の長鼻類が、初期の海牛類同様に水陸両棲傾向が強い(現在で言えばカバのような)植物食動物であったとみられることも、この見方を補強している。当時、アフリカ大陸はテチス海によって他の陸地(ユーラシア)から隔てられており、長鼻類を含むアフリカ獣類は、この隔絶された大陸で、独自の進化を遂げた。始新世には、アフリカのヌミドテリウム、バリテリウム、モエリテリウム(メリテリウム)、インド亜大陸(当時、インドはテチス海を挟みアフリカに近い位置にあった島大陸だった)のアントラコブネ類など、非常に原始的な長鼻類が何種か知られている。これらは遠浅で温暖な海であったテチス海の海岸沿いを中心に棲息していたと思われる。始新世末期から漸新世にかけて、長鼻目はデイノテリウム亜目(ダイノテリウム亜目)と、現生のゾウ類に連なるゾウ亜目とに分岐した。中新世になると、新しい造山運動によってテチス海が分断され、アフリカとヨーロッパが地続きとなった。長鼻類はこのときにできた陸橋を通って、分布域を広げた。世界各地に数十種に及ぶ長鼻類が分布し、中新世は長鼻類の最盛期となった。2つの亜目のうち、デイノテリウム類は、アジア・ヨーロッパに分布域を広げ、中新世から更新世にかけて繁栄したが、更新世に姿を消した。その特徴は、下あごから湾曲しながら腹側後方へ伸びる、独特の牙(門歯の発達したもの)にあった。デイノテリウム類には肩高 4m に及ぶものもあり、インドリコテリウムに次いで、史上2番目にサイズの大きな陸生哺乳類とされることもある。一方、ゾウ亜目は中新世以降、著しく発展した。プラティベロドンやアメベロドンなどの“シャベルキバゾウ”がこれに含まれる。系統関係はまだ議論の途上にあるが、漸新世にマムート科(マストドン類)が分岐し、中新世に基幹的なグループとして、やはり下あごのシャベル状の牙を特徴とするゴンフォテリウム科が派生した。ゴンフォテリウム類は非常に繁栄し、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカに広く分布していた。日本からもアネクテンスゾウ、ミヨコゾウ、センダイゾウなどが発掘されている。また、ステゴドン科とゾウ科は、このゴンフォテリウム科からさらに分化したものと考えられる。鮮新世以降まで存続したゾウ亜目のグループでは、一般的にサイズの著しい大型化が見られる。2003年12月の発見により、現生のゾウに似た種は、2600万年ほど前に現れたと考えられるようになった。これらの種の進化は、主に頭骨とあごの比率および牙と大臼歯の形状に関わるものであった。初期のゾウ類の多くは、上下のあごに1対ずつ、計4本の短い牙をもっていた。中新世後期(約700万年前)にゴンフォテリウム類から生じたと考えられるプリムエレファスは、マンモス類と現代のゾウ類の直接の祖先に当たるとされる。約500万年前に世界的な寒冷化が始まると、ほとんどの長鼻類はこれに適応できず、多くの種は絶滅した。氷河期にも、現生ゾウ類によく似たマンモスやマストドンのような寒冷化に適応した種が少なからず存在したが、人類による狩猟が盛んになった更新世を迎え、その多くが絶滅している。特に更新世の末期、地球の急速な温暖化が進行したこともあってか、寒冷化に適応していた種は完全に姿を消した。古生物学者たちは、およそ170種の化石種を長鼻目に分類している。† は「絶滅」の意。
出典:wikipedia
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