半大統領制(はんだいとうりょうせい、semi-presidential system)は、議院内閣制の枠組みを採りながら、より権限の大きな大統領をもつ政治体制である。フランスの政治学者モーリス・デュヴェルジェは、半大統領制の条件として以下の3点をあげている。ここでイタリアの政治体制を検証してみると、イタリアの大統領は選挙といっても上下両院の議員と地方代表による間接選挙で選出され、国家元首としての権威はあっても行政や軍事に関する権限はことごとく首相のもとにある。その首相は大統領によって任命されるが、通常は議会が行う首班指名をそのまま受け入れるにすぎず、したがって首相の事実上の任命権者は議会ということになる。このようにイタリアの大統領の政治上の重みは首相のそれに比べると微々たるものであることから、同国の政治体制は通常議院内閣制と分類される。それではイタリアの大統領とはただの国家の象徴にすぎないのかというと実はそうでもなく、例えば議会の解散権は各方面との調整の上で機を見て大統領ひとりがこれを決断する専権事項となっており、また特例だが首相の任命に関しても大統領大権によって議会に議席を持たない民間人をこれに起用することが憲法上は可能となっている。イタリアではこれらが政界再編に影響を及ぼすことが度々あった。そうして見ると、上記の定義をもってすればイタリアは半大統領制の国と言えなくもない。このように半大統領制とは「明らかな議院内閣制でも、明らかな大統領制でもない、共和制の一つの体制」という、いわばグレーゾーンにある政治制度であり、相当数の国がこれに当てはまる可能性がある。このため比較政治学においてもその定義にはコンセンサスが存在しないという、いわば玉虫色の制度と言うことができる。フランスでは第二次大戦後制定された第四共和国憲法のもとで、小党が分立して不安定な政府が連続したため、1958年、ド・ゴール首相の下、議院内閣制のシステムを採りながらも大幅に大統領権限を強化した第五共和国憲法を採用した。これにより形式的・儀礼的な権限しか持たなかった大統領は「三権の総覧者」として議会解散権・閣僚任免権・条約批准権など大幅な権限を有することとなった。大統領に大きな権限があるにもかかわらず、議院内閣制の枠組みを取っていることから、「半大統領制」あるいは「大統領制的議院内閣制」(presidential-parliamentary system)と呼ばれる。このフランスの政治体制が典型的な半大統領制と見なされている。フランスでは大統領が首相の任免権を持つが、議会も首相の信任・不信任権を持つため、実際には議会の多数党から首相が選ばれるのを常としている。権限の分担としては大統領は外交政策に、首相は内政に責任を有するとされている。この分担は、憲法では明確に述べられてはいないが、政治的慣例として発展してきた。なお半大統領制における大統領と首相が対立関係にある政党から選出されている状態をコアビタシオン(cohabitation、保革共存)と呼ぶ。この場合、両者の性格や政治信念、両政党のイデオロギー、そして支持層からの要求などによって、両者の抑制と均衡が効果的に機能する場合もあれば、ひどい確執が国家の運営に大きな支障をきたす場合もある。オーストリアやアイルランドの大統領には、憲法上フランスの大統領よりも強大な権限が与えられている。しかしこれらの国家では慣例として、大統領がそれら権限の多くを行使しようとしないため、実質的には一元主義型議院内閣制と同等の政治体制となっている。また、フィンランドはフランスの第五共和国憲法を模した制度を利用してきたが、2000年の新憲法により大統領権限は縮小され、大統領の専権事項だったいくつかの権限は首相が議会と協力して行なうことになった。これにより現在のフィンランドは議院内閣制に近い体制となっている。主要国で最初に半大統領制を導入したのはヴァイマル憲法時代のドイツであるが、ドイツの場合は前記デュヴェルジェの三条件のうち第三のものは特に必須ではなく、特にパウル・フォン・ヒンデンブルクの大統領時代には大統領の指名のみを基礎とするいわゆる大統領内閣(戦前の日本でいう超然内閣に相当)が継続していた。その後ナチス政権を経て、戦後のドイツ連邦共和国においては大統領を象徴的存在とする議院内閣制を採用している。
出典:wikipedia
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