ドーム球場(ドームきゅうじょう、"Domed stadium")は、ドーム状の屋根を備えた球技用スタジアム。日本ではドーム屋根を備えた野球場を指す事が多い。日本では1988年、東京ドームが「国内初のドーム球場」として竣工した。ヒューバート・H・ハンフリー・メトロドーム(通称:メトロドーム)をモデルに設計され、メトロドームと同じ空気膜構造方式(エアドーム)を採用している。屋根には二重のテフロン膜を使用して、この幕の間に常時空気を送り込み、更にドーム内の空気圧を0.3%高めて膨張させている。ドーム開きとなった同年4月の公式戦開幕日、首都圏は季節外れの豪雪となったが、ドームの中では快適な野球環境が整えられたため「早速ドーム効果が現れた」と話題になった。これを嚆矢として日本にはドーム球場が次々と建設され、1993年に国内2番目のドーム球場として「国内初の開閉式屋根」を取り入れた福岡ドームが、1997年に大阪ドームとナゴヤドームがほぼ同時期に、1999年には既存の屋外球場をそのまま活用し、足掛け3年の工期を経て段階的に屋根を架設するという世界でも稀な工法でドーム化した西武ドームが、2001年には屋外のオープンアリーナで養生している天然芝のグラウンドを空気圧で浮上させドーム内に移動させる「ホヴァリングシステム」を世界で初めて採用し、サッカーやラグビーなどにも対応可能な札幌ドームが完成・開場した。2014年現在、上述の計6箇所が日本野球機構(NPB)加盟球団の本拠地として使用されており、セ・パ12球団のうち半数の球団がドーム球場を本拠地としている。また、札幌ドームはサッカーJリーグ・コンサドーレ札幌のホームスタジアムにもなっている。NPB本拠地球場ほどの規模ではないが大館樹海ドーム(秋田県大館市)、仙台市屋内グラウンド(シェルコムせんだい、宮城県仙台市)などでも硬式野球の実施が可能である。出雲ドーム(島根県出雲市)はフィールドが狭隘で、且つ試合の実施に見合う天井高が確保されていないため、現在は硬式野球の公式戦は行われていない。また硬式野球以外では札幌コミュニティドーム(つどーむ)、新天城ドーム、有明コロシアム、こまつドーム、長浜ドーム、四日市ドーム、但馬ドーム、豊田スタジアム、御崎公園球技場(現:ノエビアスタジアム神戸)、北九州メディアドーム(小倉競輪場)、大分スポーツ公園総合競技場(現:大分銀行ドーム)などの施設が屋根を架設しており、これらのうち札幌コミュニティドーム、長浜ドーム、四日市ドームを除く施設は屋根の開閉が可能となっている。ただし、スライド式のルーフ状屋根を持つもの(有明コロシアム、豊田スタジアム、御崎公園球技場)はドーム球場(ドーム状屋根を持つ球場)に該当しない。ドーム球場で野球を行う場合に、屋根やスピーカーなどの懸垂物(屋根から垂れ下がっているもの)に打球が当たるなどの場合に、特別グラウンドルールを設定している。日本国内で大規模なコンサートを開催する際にドーム球場を使用することが多い。また、全国主要都市のドーム球場で公演を行う通称「ドームツアー」が開催されている。1997年に大阪ドームとナゴヤドームが開業してから「4大ドームツアー」と冠して行われる場合が多くなり、2001年の札幌ドーム開業後は東京・福岡・大阪・ナゴヤ・札幌の各ドームを網羅するコンサートを「5大ドームツアー」と呼ぶようになった。西武ドームに関しては、プロ野球球団の本拠地であるが、一般的にはこれらに含まれない。また、5大ドームに加えて西武ドームも使用して行うコンサートツアーを「6大ドームツアー」と呼ぶことがある。それまで最高峰とされた日本武道館を会場規模や収容人数で遥かに上回る公演が可能であり、演出面でも様々な試みが行なわれている。ただ、国立競技場や日産スタジアム、味の素スタジアムなどの陸上競技場やサッカースタジアムのほうが収容人数は多く、これらを網羅するコンサートツアーは「スタジアムツアー」と呼ばれる。一方、施設が大型で数万人単位の観客の動員が可能である面、施設使用料はコンサート会場として使用される施設の中でも一際高額であり、ステージ資材・機材なども施設に合わせて大型化・大量化するものが多いので、興行イベントとして設定される損益分岐点のハードルも高いものとなっている。この損益分岐点をクリアする為の有料チケット購入者数や、会場内で販売される関連グッズの売上などの目標値もより高いものとなるため、関連グッズの売行き動向やファン層の購買力・購買意欲そのものを総合的に勘案する必要があり、これらを踏まえてドーム球場をコンサート会場として使用できる全国規模で人気のあるミュージシャンが行う場合が多い。また、ミュージシャン自身も大型会場でのパフォーマンス力が要求されることになる。ドーム球場は本来「野球場」を目的に屋根はドーム状、壁は円形の造りとなっているため、収容人数という点を除けばコンサート会場には不向きなことが多く、各ドーム球場によって音響や反射などが異なるために、入念な下調べと対策が必要となる会場でもある。日本で最初となるドーム球場でのコンサートは東京ドームでの『BIG EGG OPENING EVENT』として開催された各種イベントの中で催行されている。最初にマーチングバンド世界選手権のゲストとしてTHE ALFEEが招かれ、後に単独公演としてミック・ジャガー、BOØWY、美空ひばりのコンサートが行われた。こけら落しとして美空ひばりのものが名高いが、先に行われたオープン戦や他の公演にもこけら落としの表現がある。アーティストとして初めて「5大ドームツアー」を行ったのはSMAPで(バンドとしてはGLAYが、ソロアーティストとしては桑田佳祐が最初)、西武ドームを加えた「6大ドームツアー」を最初に行ったのはMr.Childrenである。ドーム型屋根を備えた球場としては、オランダアムステルダムのアムステルダム・アレナやドイツゲルゼンキルヒェンのフェルティンス・アレーナ(旧称・アレーナ・アウフシャルケ)がある。オーストラリアメルボルンの開閉式屋根を備えた球技場(クリケット、オージーフットボールなどで使用)であるエティハド・スタジアムや、オランダアーネムのヘルレドームは、ドーム状の屋根ではないが「ドーム」と名づけている。通常はドーム球場では屋外が天候不良でも球場内が影響を受けることはないため試合中止になることがないが、台風・水害などの自然災害発生時には球場が被害を受けて使用不能になることがあるほか、交通機関が運休して選手が移動できなくなり試合開催が不可能になったり、観客の行き帰りが困難になると判断されたりして、試合中止となる場合がある。ここでは事情の如何にかかわらず、ドーム球場での試合が中止された事例を挙げる(ただし1998年の西武ドームはドーム化が完全に終わっていなかったためここには含めない)。アメリカ合衆国では、1965年にメジャーリーグ・ヒューストン・アストロズの本拠地として「世界初の全天候型屋根付き球場」アストロドームが開場した。屋根付き球場建設の理由は、夏の暑さや蚊の大量発生から球場内を守り、快適な環境を確保するためだった。当時は「スタジアムに屋根を付ける」という発想そのものがあまりなかったので、アストロドームは「世界8番目の不思議」と呼ばれた。当初は屋外球場と同じ環境でプレーできるようにと太陽光を透過するアクリル屋根を設置したが、光が選手の目に入りプレーに支障をきたすことから、すぐに太陽光を通さない屋根に張り直した。この際、建設時から育てていた天然芝が光を遮られたことで生育がストップして枯れてしまったため、世界初の繊維による人工芝「アストロターフ」が開発された(詳細は人工芝の項を参照)。当時は野球とアメリカンフットボールの兼用が可能なスタジアムの建設が流行していた。アストロドームもアメリカンフットボールとの兼用を前提に設計されており、開場した1965年の9月からヒューストン大学のホームとして使用されていた。1968年からはNFL・ヒューストン・オイラーズ(現・テネシー・タイタンズ)も本拠地として使用するようになった(ヒューストン大学は1997年まで、オイラーズは1996年まで使用)。以降、大リーグ本拠地のドーム球場として建設されたキングドーム(2000年に爆破解体)、ヒューバート・H・ハンフリー・メトロドーム(通称・メトロドーム)(2014年解体)、「世界初の可動式屋根付きスタジアム」であるロジャーズ・センター(旧称・スカイドーム、カナダトロント)は、いずれも野球とアメフト(若しくはカナディアンフットボール)兼用スタジアムとなった。1990年にフロリダ州セントピーターズバーグに完成したフロリダ・サンコースト・ドーム(現・トロピカーナ・フィールド)も、開場当初は各種スポーツ競技が開かれていた。(その後、タンパベイ・デビルレイズ(現・タンパベイ・レイズ)誘致をきっかけに野球専用ドーム球場に生まれ変わった。ただし、アリーナフットボール会場としては使用されている)。モントリオールオリンピックスタジアムは、開場から11年後の1987年に収納が可能な吊り下げ方式の膜状屋根が追加されドーム球場となった。モントリオールオリンピックスタジアムもまたカナディアンフットボールとの兼用球場である。1992年に屋根の無い野球場として開場したオリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズがファンの絶大な支持を集めてからは、人工芝での選手の故障の多さが指摘されるようになったほか、青空の下、天然芝のグラウンドでの野球観戦を望む観客の意向が汲まれるようになり、野球専用のスタジアム「ボールパーク(ball park)」化が推進されている。ボールパークは「野球専用」・「天然芝のフィールド」・「観衆と選手の親近感、一体感を重視」・「戦前の古い球場や工場などを思わせるスタンドとその周囲をレンガ外壁の建物で囲むモダンクラシック」などを特徴としている。球場名も従来の「ドーム」・「スタジアム」から「パーク」・「フィールド」を称する施設が増えていった。メトロドームの後継として2010年に開場したターゲット・フィールドは、屋根の無いボールパークとして開場した。また、野球専用ドーム球場となっているトロピカーナ・フィールドについても、露天野球場への移転が計画されている。ボールパーク化に伴い、ドーム状屋根に代わり開放時の屋根がフィールドを覆わないように配慮されたルーフ状の開閉式屋根を持つボールパークも建設されるようになっていった。キングドームに代わるセーフコ・フィールド、アストロドームに代わるミニッツ・メイド・パーク、チェイス・フィールド、ミラー・パーク、マーリンズ・パークが完成した。しかしこれらは「ドーム状屋根を持つ球場」に該当しないので「屋内球場」・「屋根付球場」・「全天候型球場」・「開閉式屋根付きボールパーク」などと呼ぶのが適切である。アメフトのシーズンは9月から翌年1月までであるため、アメフト専用スタジアムでも暑さや寒さを防ぐためにメルセデス・ベンツ・スーパードームなどのドーム球場が続々と完成した(後にスーパードームではマイナーリーグの試合も開催されている)。カナダにおいてもフットボール専用球場であるBCプレイス・スタジアムが建設されている。野球場ではいわゆる「ボールパーク」が主流となりドーム球場は減少傾向にあるが、フットボール専用球場としてのドーム球場は1990年代以降も建てられ続けている。世界初のドーム球場・アストロドームの完成前の1958年6月ごろ、当時の日本テレビ社長・清水与七郎らが、東京都新宿区内の社有地(現・新宿六丁目地内。のちの日本テレビゴルフガーデン・新宿住宅総合展示場等立地)に、高さ70mを誇る全天候型の屋根付き球場を建設する構想を明らかにした。全面クレー舗装の屋内型野球場というものだったが、まだ空調設備の技術が未熟だったことなど問題点も数多く、結局実現には至らなかった。1979年から1984年にかけて、名古屋市でもナゴヤ球場に代わる野球場として、ノリタケカンパニーリミテドにより名古屋市西区則武新町(同社の本社所在地で、現在同社の関連施設「ノリタケの森」が立地する場所)で「ノリタケドーム」を建設する計画があった。1988年の東京ドーム完成後は、多くの都市圏でドーム球場の建設が検討されたが、福岡、大阪、名古屋、札幌の各市を除きその計画は軒並み頓挫した。1980年代後半に阪神球団が阪神甲子園球場の後継として「阪神ドーム」の建設を検討していた。2000年から2002年ごろには千葉市が千葉マリンスタジアム(現・QVCマリンフィールド)を西武ドーム方式でドーム化する「千葉マリンドーム計画」が浮上したが、ファン・市民から好感触を得られなかったことから、計画が立ち消えとなった。仙台市では宮城球場(現・楽天Koboスタジアム宮城)に代わるドーム球場建設を検討していた(宮城野ボールパーク構想)。広島市でもドーム球場の計画があったが、財政事情や人工芝は選手への負担が大きい等の理由のため、ドーム化を断念した(詳細はMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島を参照)。1999年から2001年ごろに横浜市が「横浜ドーム」の建設を検討していたが、実現には至らなかった。しかし、経済界を中心として「横浜ドームを実現する会」が再結成され、実現に向けた活動を始めている。韓国ソウル特別市では1997年頃にLGグループを中心にしてドーム球場が計画され、2002_FIFAワールドカップで使用した後、LGツインズが本拠地として使用する予定であった。設計コンペも行われ優秀作が選定されたものの、用地取得の難航とアジア通貨危機のため、計画は白紙化された。なお、このドーム球場(Seoul Dome)のデザインは、設計者のウェブサイトで閲覧することができる。また、釜山でもドーム球場の計画があるが、当事者の利害が絡み合い頓挫している。2014年にアメリカのラスベガス・サンズが、ソウル市が保有する蚕室総合運動場一帯に複合リゾート開発プロジェクトを提案し、開場30年以上が経過している蚕室野球場を、開発が白紙になったヨンサン鉄道整備倉の敷地にドーム球場(3万席規模)を移転・新築するという案を出した。韓国では、ソウル特別市九老区で韓国初となるドーム球場高尺スカイドームがある。当初は2011年完成目標であったが、工期が延びて2015年9月に完成、10月に開場した。台湾台北市でも台湾初の多目的ドーム施設「台北ドーム」(遠雄巨蛋)が建設中であり、2015年末に施設が完成する予定であったが、工事が大幅に遅れ、延期されている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。