『ポルティチの唖娘』(ポルティチのおしむすめ、"La Muette de Portici")は、ダニエル・フランソワ・エスプリ・オベールが1827年に作曲し、翌1828年2月29日にパリのオペラ座で初演された全5幕から成るオペラである。物語は、1647年7月7日にナポリで魚小売商のマサニエッロがスペインに対して起こした一揆を題材に、マサニエッロの妹で口をきけなくなった娘フェネッラを中心に展開される。主役フェネッラがしゃべれないという設定なので、初演以来この役はバレリーナによって演じられることが多い。また、オペラの終幕でヴェスヴィオ山が噴火するという荒唐無稽な設定が当時大いにうけ、上演回数を増やしていき、1828年の初演以来1880年までにパリだけで500回上演を記録するなど、19世紀ヨーロッパにおいて最も人気のあるオペラという地位を確立した。しかし、19世紀後半以降上演機会は減っていき、近年では全曲上演は少なく、序曲のみが独立して演奏される機会が多い。また、グランド・オペラ様式を確立した作品としても名高い。なお、タイトルは上記の他に『マサニエッロ』("Masaniello")と呼ばれることもある。 序曲:8分、第1幕:40分、第2幕:30分、第3幕:25分、第4幕:35分、第5幕18分全5幕アルコ公爵の宮殿では人々が公爵の息子アルフォンソとその婚約者エルヴィーラの婚礼の支度をしている。しかしアルフォンソは、かつて深い仲になってしまったのにもかかわらず捨ててしまった漁師の娘フェネッラが、ショックで口が利けなくなってしまったことを、ひどく後悔している。そこへ現れた親友ロレンツォにフェネッラについて聞くと、ロレンツォは彼女は君の父上が君と別れさせるために、どこかに隠したかも知れないと語る。ますます後悔を深めたアルフォンソは、ロレンツォと共に立ち去る。代わってアルフォンソの婚約者エルヴィーラが侍女達と現われ、結婚の喜びを歌う。そこへ副王の将校セルヴァと兵隊達に追われて一人の娘が逃げて来て、エルヴィーラに救いを求める。何事かと問うエルヴィーラに対して、セルヴァはその娘は副王の命で投獄されていたが、さっき逃げ出したと説明する。その娘フェネッラは、身振りで恋人に捨てられた後、ある日突然捕らえられ、投獄されたと説明する。不幸な娘の境遇に同情したエルヴィーラは、フェネッラを助けることを約束し、結婚式を挙げるために教会へ向かう。しばらくすると、教会から人々の歓声が聞こえ、新郎新婦が姿を現す。しばらく式の様子を見ていたフェネッラは、突然叫び声を上げ、人々の前に出る。これに気づいたエルヴィーラは、夫にこの可哀想な娘を助けて、誘惑した男に罰をと言う。しかし、娘を見たアルフォンソは動揺する。エルヴィーラはもしやと思い、誘惑した男は誰?と問うと、フェネッラはアルフォンソを指差す。騒然となる群衆。その中でフェネッラは逃げ去ってしまう。海岸では漁師達が網の繕いや舟の修理をしている。そこにマサニエッロが現われ、漁師の唄を歌う。漁師達が去り、マサニエッロだけが残ると、そこにピエトロが現われ、マサニエッロに君の妹は見つけられなかった。たぶんスペイン人達にかどわかされたに違いないと言う。スペイン人に復讐を誓うマサニエッロ。そこへフェネッラが現われ、岩の上から身投げをしようとするが、思い直して兄の所にやってくる。兄と2人で話したいと身振りで知らせると、ピエトロは去る。彼女は兄に、自分がさる高貴なスペイン人に誘惑されたことを説明する。妹を弄ばれたことに怒ったマサニエッロは、折からやってきた漁師達と復讐を誓う。そこへピエトロが戻り、スペインの兵隊がやってくると告げるので、マサニエッロは漁師達に魚網に武器を隠させ、人々は大声で歌を歌ってごまかす。結婚式で明かされたアルフォンソとフェネッラの関係に怒るエルヴィーラ。アルフォンソは、責任は自分にあるが若気の至りだから許してくれ、と切々と訴え、跪く。この様子にエルヴィーラも彼を許す。しかし、彼女はフェネッラをこのままにできません、彼女を助けてあげましょうと言う。エルヴィーラの寛大さに感激したアルフォンソは、セルヴァを呼び、フェネッラを探して宮殿まで連れてくるよう命じる。広場では、若い娘達がタランテラを踊っている。その中に混じってフェネッラがいるのを見つけたセルヴァは、兵士に彼女を捕まえ、連れて行こうとする。そこに兄のマサニエッロが漁師達と現われ、妹をどこに連れて行く?と激しく詰め寄る。副王の命令と高飛車な態度に出るセルヴァに怒ったマサニエッロは、短剣を抜いて妹を取り戻そうとすると、セルヴァは彼も逮捕せよと命じる。マサニエッロは漁師達に、もう我慢ならない、スペイン人を倒すために今夜立ち上がろう!と叫ぶと、皆も同調して兵士達に襲いかかる。暴徒と化した群衆は宮殿に向かおうとするが、マサニエッロがこれを留め、戦いの前に神に祈ろうと呼びかけ、祈る。そこに教会の鐘が鳴り響き、群衆はそれを革命の開始として、武器を持って宮殿に向かう。マサニエッロ達の革命は成功し、マサニエッロは革命の指導者として権力の中枢にある。彼の元にはナポリの行政官や市民達がやってきて、自分達の財産と引き換えに革命の流血を避けるよう懇願する。マサニエッロは、お前達の財産は我々貧しい人間達の汗の結晶で、お前達のものではないというが、市民達の懇願を受け入れて、生命の安全を保障して、市民達を帰す。一人になったマサニエッロは、自分達が起こした革命の凄惨さを思い起こし苦しむ。そこにフェネッラが真っ青な顔で戻ってくる。彼女は革命で無法地帯と化したナポリの街を見て、強い衝撃を受けたと兄に説明する。マサニエッロは妹を落ち着かせるために眠りにつかせる。そこにピエトロ達が現れ、マサニエッロがナポリの市民達に甘過ぎる、我等は復讐がしたい、革命の時の誓いを忘れたか?と迫る。さらに、逃亡した副王の息子アルフォンソを見つけ次第処刑すると語る。マサニエッロは暴君は追い出した、これ以上殺戮を重ねる必要はないのではないか、と説くが、ピエトロ達は承諾しない。仕方なくマサニエッロはピエトロ達に、ここには妹が寝ているので奥の部屋でゆっくり話をつけようと言い、出て行く。しかし、眠っているはずのフェネッラは実は起きていて、兄達の話を全て聞いていた。兄達が去った後、一人恐怖に震えるフェネッラ。そこに、今やお尋ね者になったアルフォンソがエルヴィーラと共に小屋にやってくる。彼らはマサニエッロに命乞いに来たのだ。フェネッラを見つけたアルフォンソは驚愕するが、自分は殺されても仕方ないが妻には罪は無いので助けて欲しい、と頼む。フェネッラは最初助けるような身振りを示すが、エルヴィーラのベールを上げて顔を見ると、嫉妬に狂い奥に駆け出そうとする。エルヴィーラはこれを止めて、お前がかつて私に助けを求めた時助けてあげたでしょうと言い、救いを求める。この言葉にフェネッラも折れ、二人を助ける事を約束する。そこに現れた兄に彼らの命乞いをし、マサニエッロも二人を保護しようと約束する。しかし、ピエトロ達は復讐とばかりにアルフォンソを殺そうとするが、フェネッラが間に入り、これを阻止する。マサニエッロは部下に彼らを安全なカステル・ヌオーヴォに連れて行かせる。そこにナポリの貴族や金持ちが市の鍵を持って来て、マサニエッロにナポリの指導者になるよう求める。これを承諾した彼は、群衆の歓呼の中、ナポリに向かう。しかし、ピエトロ達は奴の栄光は長くないと囁く。総督宮殿では宴が開かれている。ピエトロはギターを抱えて舟唄を歌い、全員がそれに合わせる。ピエトロは仲間の一人にそっと、この宴でマサニエッロに毒を盛ったと打ち明け、そ知らぬ顔で舟唄を続ける。そこにボレッラが駆け込んできて、副王軍が体勢を立て直して進軍してきたと報告する。この知らせに、この危機を乗り切れるのはマサニエッロしかいないと、皆は彼を呼ぶが、毒を盛られたマサニエッロはもはや自由に動くこともできない。しかし、力を振り絞ってナポリの街に出て行く。しばらくして、エルヴィーラとアルフォンソがやってきて、フェネッラにマサニエッロがエルヴィーラを救ったため、暴徒と化した民衆に殺されたことを告げる。アルフォンソはフェネッラに逃げるよう言うが、フェネッラは逃げようとしない。その時突然、ヴェスヴィオ火山が噴火し、熔岩が宮殿に流れ込んでくる。フェネッラはこの熔岩に身を投じる。あまりの光景に、人々は恐怖に駆られて神に祈る。
出典:wikipedia
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