フォノン()、音子、音響量子、音量子は、振動(主に結晶中での格子振動)を量子化した粒子(準粒子、素励起)である。フォノンは結晶格子という原子の集団がつくる構造に「支えられて」存在している。あるいは結晶格子という構造の上にフォノンという粒子たちが「宿っている」と言ってもいい。原子や電子とは根本的な素性は異なっていても、原理的には1つ、2つと数えられる、各々の粒子がエネルギーや運動量を持っているといった点では完全に一人前の粒子である。フォノンのひとつひとつがある振動数を持つモードの単位を表す。振幅が大きくなる、詰まり、振動が激しくなることはフォノンの数が増えることで表される。フォノンを持つ液体としては、超流動を示すヘリウム4がある。原子核表面の核子の振動を量子化したものもフォノンと言う。音波などの弾性波が伝搬する媒質(弾性体)は連続的なものであり、量子力学における1個の粒子を記述する波動関数でフォノンを記述することは難しい。フォノンは場の量子論にもとづいて記述される。フォノンの持つエネルギーは格子の熱振動のエネルギーである。formula_1 はプランク定数、formula_2 は振動数、formula_3 はフォノンの数である。和を波数 formula_4 について取る。フォノンは質量は持たないが、運動量は持っておりformula_5で表される。フォノンによる弾性的中性子散乱では、エネルギーとともに運動量も保存される。非弾性中性子散乱では中性子の入射角と散乱角、およびエネルギー変化を調べることでフォノンの波数と各周波数が求まる。フォノンはひとつの状態 formula_4 に何個でも存在できる。よってフォノンはボース粒子であり、ボース゠アインシュタイン統計に従う。フォノンは、音響フォノンと光学フォノンの2つに大別できる。音響フォノンは隣のフォトンと同じ位相で振動するが、光学フォノンは逆の位相で振動する。光(フォトン)と音響フォノンとの光散乱をブリルアン散乱という。光学フォノンは光と相互作用し、光と光学フォノンとの散乱をラマン散乱という。フォノンの波数ベクトル(伝播方向)と同じ方向に格子振動する縦波と、垂直に格子振動する横波という2つのモードがある。フォノンの状態密度は、フォノン数を第一ブリュアンゾーンで積分したものである。実験的には、中性子の非弾性散乱によって求まる。比熱などは、フォノンの状態密度によって決まる(デバイ模型)。結晶格子のような周期構造中では、フォノンの振動数は制限され離散的になる。又、量子力学の効果で電子の場合と同様に、フォノンもバンド構造「フォノンバンド」を作る。物質によっては、温度を下げるとフォノン(格子振動)の振幅が小さくなっていって、ある転移温度以下で低温相へ相転移し、フォノンによる格子の変位が凍結した状態となることがある。これをフォノンのソフト化と言う。厳密には、格子振動とフォノンは同義ではないが、同じような意味合いで使われることがある。フォノンによる熱伝導は、フォノンが音速formula_7で飛びまわるとして気体分子運動論を適用したモデルで記述できる。熱伝導率formula_4は、比熱formula_9とフォノンの平均自由行程formula_10で表される。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。