テッポウエビ属(鉄砲蝦 "Alpheus")は、エビ目(十脚目)・テッポウエビ科に分類されるエビの総称である。温暖な地方の浅い海に生息し、はさみをかち合わせて音を出す行動が知られる。テッポウエビという場合には、本属に含まれる種の総称であるほか、狭義にはそのうちの1種"Alpheus brevicristatus"の和名であり、広義にはテッポウエビ科の総称としても使われる。全世界の熱帯から温帯に分布し、熱帯域ほど種類が多い。エビ類の属の中でも種類数が多い方で、日本だけでも70種類ほどが知られる。全てが浅い海に生息するが、種類によっては河口などの汽水域にも生息する。生息環境は海岸の石の下から砂泥底、藻場、サンゴ礁など、種類によって異なる。成体の体長はどれも1cm-数cmほどで、エビとしては中型の部類である。触角と脚は長く、脚には毛が生えているものが多いが、体には棘や毛が少なく、額角も短く、わりと滑らかな体表をしている。複眼は小さく、視力は弱い。10本ある歩脚のうち、一番前の第1歩脚が大きな鋏脚に変化している。さらにこの鋏脚は左右で大きさや形が違い、どちらか片方の鋏脚が太くなっている。この太い方のはさみを一旦直角まで開いてかち合わせ、「パチン!」という破裂音を出すことができる。「鉄砲エビ」という和名も"Pistol shrimp"(拳銃エビ)という英名もこの動作に由来する。この動作は天敵が近づいた時の威嚇によく行われるが、近づいてきた餌の小動物を音から発生するごく小規模の衝撃波で気絶させる時もある。干潮時の転石海岸やタイドプールでも、耳を澄ますとあちこちでパチンという音を聞くことができる。成体に泳ぐ能力はなく、基本的に海底の物陰に隠れて生活する。小型種は石や海藻、サンゴなどの隙間で生活するが、大型種は浅い海の砂泥底に直径数cmの巣穴を掘って生活することが多い。テッポウエビ類の巣穴は海底に斜めに入り、さらに入り口の片側に掘り出した砂泥を積み上げるのが特徴である。隠れ場所や巣穴から出て歩き回ることもあるが、通常はあまり出歩かず、姿を見ることは少ない。食性は雑食性で、藻類や小動物などいろいろなものを食べる。破裂音の衝撃で小魚などを気絶させて捕食することもある。一方、天敵はイカ、タコ、クロダイ、コチ、アナゴなどがおり、食物連鎖上はこれらの餌としても重要である。このような天敵から身を守るため、テッポウエビ類は巣穴にハゼ類と共生することでも知られている。テッポウエビの巣穴の入り口にはスジハゼ、ダテハゼ、イトヒキハゼ、ネジリンボウなど、小型のハゼ科魚類が1匹-数匹同居していることが多く、しかもハゼとテッポウエビの組み合わせは種類によってだいたい決まっている。テッポウエビは巣穴の拡張と修理をしてハゼの隠れ家を確保し、ハゼは視力の弱いテッポウエビに代わって天敵を発見し、テッポウエビに知らせて共に巣穴にもぐりこむ。クルマエビやシバエビなどに混じって少数が漁獲されるが、漁業価値は低い。ただしテッポウエビを餌とする動物には水産業上重要なものも含まれている。100程度の種が知られている。日本周辺でも多くの種があり、体色も様々である。ただし標本にすると他のエビ類同様に色褪せてしまうので、体の棘やくぼみなど顕微鏡的な同定が必要となる。また、アナジャコやハサミシャコエビ、スナモグリなどもテッポウエビに似ているが、これらはエビではなくヤドカリ下目に分類される。巣穴は入り口が小さく、斜めではなく垂直に掘られる。
出典:wikipedia
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