数学、とくに抽象代数学における正規部分群(せいきぶぶんぐん、)は、群の任意の元による内部自己同型のもとで不変な部分群である。正規部分群は、与えられた群から剰余群を構成するのに用いることができる。正規部分群の重要性は、エヴァリスト・ガロアによって最初に明らかにされた。群 の部分群 が正規部分群であるとは、共役変換によって不変、すなわち の任意の元 と の任意の元 に対して、元 が再び に属するときにいう。これをで表す。任意の部分群について、以下の条件はいずれも今上げた正規性の条件に同値である。このため、これらの条件のどれかを正規部分群の定義としてもよい。最後の条件は正規部分群の重要性の一端を示すもので、ある群の上で定義される準同型写像全体の内部的に分類する方法を与えている。たとえば、単位群でない有限群が単純となるための必要十分条件はその群がその上の恒等的でない準同型像の全体に同型となることであり、有限群が完全群となるための必要十分条件はそれが素数指数の正規部分群を持たないことであり、また群が不完全群となるための必要十分条件は、その導来部分群がいかなる真の正規部分群をも補群として持たないことである。群 の正規部分群全体の成す集合は、集合の包含関係に関して } を最小元、 を最大元として持つ束を成す。 の正規部分群 と が与えられたとき、 と の「交わり」がで定義され、「結び」がで定義される。この束は完備かつモジュラーである。 が の正規部分群ならば、剰余類の間の乗法をによって定義することができる。これにより、剰余類の全体を剰余群 とよばれる群とすることができる。群 と剰余群 との間には、 で定義される(射影、あるいは商写像と呼ばれる)自然な全射準同型 が存在する。自然な準同型 による の像 は、 の単位元である剰余類 のみを含む一元集合 {"N"} である。一般に、準同型 は の部分群を の部分群に写す。また、 の任意の部分群の原像(逆像)は の部分群となる。 の自明な部分群 } の準同型 による逆像 を、準同型 の核と言い、記号 で表す。さらに、核はつねに正規部分群であり、 の像 と、商群 はつねに同型である(第一同型定理を参照)。実は、この同型対応は の剰余群全体の成す集合と の準同型像の同型類全体の成す集合との間の全単射を与えている。これと、商写像 の核が それ自身であることはすぐにわかるから、まとめると の正規部分群はすべて を定義域とするなんらかの群準同型の核として確かに得られることが示せる。
出典:wikipedia
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