『成恵の世界』(なるえのせかい、)は、丸川トモヒロによる日本の漫画作品。『月刊少年エース』(角川書店)1999年6月号から2013年2月号まで連載された。全13巻。及び、これを原作としたラジオドラマ作品並びにテレビアニメ作品。略称は「成恵」。本項目では、本作の劇中劇であり、後にスピンオフ作品として漫画化され、ヤングエース2014年5月号より連載中の『魔砲少女四号ちゃん』(まほうしょうじょよんごうちゃん)についても併せて解説する。『月刊少年エース』(角川書店)にて1999年6月号に読切作品として掲載。その同年の同誌9月号に再び読切として掲載され、12月号より実質的な連載昇格となる。作者にとっては初の本格的な長期連載作品である。単行本は全13巻で、サブタイトルは連載時には公表せず、単行本にて公表している。例外として数ページ話の場合はサブタイトルを公表している。作品タイトルはA・E・ヴァン・ヴォークトの『非Aの世界』(原題“The World of Null-A”に基づき、邦題は「なるえーのせかい」と読む)から取られている。2002年にはJFN系列のラジオ番組『カドカワ・サウンドシネマ』内にてラジオドラマ化(のちドラマCD化)され、さらに2003年にはテレビアニメ化された。この際ラジオドラマ版とは一部声優が変更されたのにともない、テレビアニメ版の声優によるラジオドラマも制作されている(結果として第1話など回によっては原作・ラジオドラマ2種・テレビアニメの4種類存在するものがある)。比較的原作に忠実なラジオドラマ版に対して、テレビアニメ版は全12話という制約からか、原作とは一部内容の変更や割愛などがあった。2014年、第45回星雲賞コミック部門を受賞。作者の健康不調を理由に休載が相次いだ。単行本の新刊が刊行されるのに1年以上(月刊少年漫画雑誌では半年で1巻程度が平均)かかることも多く、特に2002年頃から腱鞘炎を発症し、2003年春頃からさらに悪化して以来、連載ペースの落ち込みが顕著になった。6巻は5巻発売から1年4か月ぶりに発売され、7・8巻は約平均ペースに戻ったものの、9巻は8巻発売から1年3か月、10巻は9巻発売から1年7か月、さらに11巻は10巻発売より2年2か月経ってから、という具合に発売と連載のペースを落とし、2008年12月号(10月26日)での掲載以降は丸1年間、新作発表自体が途絶した。その後、2010年1月号(11月26日)から4月号(2月26日)まで3か月に渡り3話分が掲載され、6月号(4月26日)において、7月号より巻中カラーで連載再開されるとの発表があったが、7月号掲載以降は2011年1月号、4月号と数ヶ月のブランクを置きながら、のち2013年2月号まで連載された。この間、作者や出版社は、たび重なる長期休載の理由について正式な説明を行わなかった。ただし、これほどの休載を繰り返しながらも決して打ち切りにはならず、円満な完結と完結回までの単行本化を、きちんと果たしている。なお単行本の後書きにおいては「"作者の妄想を毎月新鮮なままご提供するストックなしの綱渡り無計画マンガ" 」である旨がアナウンスされている。ある雨の日のこと。飯塚和人は捨て子犬を前に「犬を助ける優しい少年に惚れる女の子が現れる」妄想をしていた。そんな自分を気恥ずかしく思いながらも結局、犬を助けようとする和人。ところがいきなり後ろから現れた女の子が金属バットを振り上げて子犬を叩きのめしてしまう。子犬はある勢力が地球に送り込んだ生物兵器だったのだ。いきなり現れて子犬を叩きのめし、自分を心配してくれながらも多くを語らず去っていく少女に、和人は興味を覚え、心を奪われた。翌日、彼女がその場に残した金属バットを見せて友人の丸尾にそのことを相談する。丸尾は学校の名簿から彼女の身元を割り出してくれた。彼女は隣のクラスの七瀬成恵だった。バットを返しに行った和人は成恵を誘うが、微妙に会話が噛み合わない。成恵は距離を置こうとして自分の様々な「欠点」を並べたてるが、和人はその全てを全く気にしないと豪語した。成恵は自分と父が宇宙人であることも告白するが、和人は勢いでそれすらも受け入れると返事をしてしまう。和人の新鮮な対応に成恵は気を良くし、彼を「お付き合いの相手」として自宅へと招待する。かくして和人の「成恵の世界」を巡る超体験の日々が始まるのであった。声優表記は特記のない限り「ラジオドラマ」「アニメ」「ドラマCD」共通。この2人、香奈花が銀河系人である(=地球人ではない)事を巡る秘密は、すでに共有している。この2人は、2006年に発売されたスペシャル・エディション(総集編DVD)の初回特典ドラマCDで初めて声が入った。『成恵の世界』の劇中劇として発表された作品。「魔法少女もの」のパロディであり、タイトルの『魔砲少女』はそのもじり。後にアメリカで第5巻まで刊行された『成恵』原作単行本では、その部分を"Magicannon Girl"と訳しているが、現実におけるヤングエースでの正規連載(後述)に伴い、正式な英語表記として採用されロゴに組み込まれている。その際の英語表記では『Magicannon Girl Mk.IV』が作品の正式な英名となっている。結果的に「魔法」を「魔砲」と置き換えた「魔砲もの」初期の代表作となる。元が劇中劇のため存在自体はマイナーであり、作者は『フィギュアの丸尾ちゃん』内で「魔女っ娘の極北」と冗談半分に評している。なお、登場人物や後述するCDドラマ版の声優については『魔砲少女四号ちゃん』 登場人物を参照。『成恵の世界』の主人公である飯塚和人が好きなアニメ作品として名前が挙げられている。劇中内では「月刊少年ベータ」に連載。テレビ大和をキー局に放映。主にハイティーンのオタク層に人気のある作品として描かれる。作内では頻繁に再放送が行われており、ガシャポンのフィギュアも街中の至る場所に設置されている。第一期作品はDVD-BOXが発売。現在、第二期作品である「突撃!四号ちゃん L70」が製作・放映されている。なお、この第一期から第二期に移り変わる際に、この作品をテーマとした「コスプレのど自慢大会」なるイベントが開催されている。『成恵の世界』を連載していた『月刊少年エース』と、その増刊である『エース桃組』に単発読切の形式で掲載された。(以下これを『桃組版』と称する)『桃組版』の掲載号は創刊号である『エース桃組』Vol.1(2000年発行)とVol.3(2001年発行)と『月刊少年エース』2002年3月号(元々は『エース桃組』に載せる予定だった)の3回。現時点での単行本収録はされていない。また後述するヤングエース連載版に内容が流用(『桃組版』から設定や一部キャラクターのデザインなどがリファインされている。後述)されているため『桃組版』の書籍版単行本収録、特に掲載時の内容に基づく、このバージョンオリジナルとなる内容での当時の執筆原稿から起こされる形での単行本への収録は、ほぼ不可能と見られている。これら初期3話に関しては2015年2月にヤングエース連載版の単行本第1巻が発刊された際電子書籍版限定特典として、各掲載雑誌からデータ化された桃組版が付随収録されている。(書籍単行本版には未収録)この『桃組版』におけるストーリーは主人公である大当 真名花(だいとう まなか)が魔砲を得て「四号ちゃん」になるくだり(1話)と、魔砲壊滅を狙う一派「ユニオン」の少女ケイ・シャーマンがやって来て真名花と戦った末に友人となるくだり(2話)と、三号の暗躍で六号が四号ちゃんたちと激突するくだり(3話)までが掲載された。この内容の大筋は『ヤングエース』連載版の1〜3話にてほぼ踏襲されている。(ただし前後述しているようにリファインによって細部が変更されているため『桃組版』の1〜3話と『ヤングエース』版の1〜3話はまったく同一の話ではない、という事に留意)2002年8月に主人公である四号ちゃんのガレージキット(8分の1スケールレジンキャスト)が『少年エース』系読者向けに限定発売され、告知漫画『フィギュアの丸尾ちゃん』が『月刊少年エース』8月号と『エース桃組』夏号に掲載された。なお内容は日ペンの美子ちゃんのパロディで、購入すべきか悩む和人に丸尾が購入を勧める、というもの。2002年から2003年にかけて『成恵の世界』のCDドラマ化・アニメ化に引きずられ、本来『成恵の世界』であるはずの番組枠を乗っ取る形でラジオドラマ及びCDドラマ化した。一応『成恵の世界』の劇中劇として、同作内でアニメ化もされている(単体作品としてのCDドラマ化・アニメ化ではない)。初掲載から10年以上経過した、2013年12月28日発売のヤングエース2014年2月号にて、魔砲少女四号ちゃんの連載予告が掲載され、それから4ヶ月後の2014年4月4日発売のヤングエース2014年5月号より改めて連載が開始された。なお、この連載においては設定内容が『桃組』掲載分(『成恵』劇中劇での設定)から、いくばくかリファインされており、第1話は新設定に合うよう、エース桃組において掲載したものに加筆と修正が加えられている。(『桃組』『少年エース』掲載分の設定やストーリーが引き継がれず、設定変更およびリスタートした上での連載となっている)なお、ヤングエース2014年10月号では『成恵の世界』の星雲賞受賞を受け、『成恵』と『四号ちゃん』のクロスオーバー短編が掲載された。本作品では地球が主な舞台であるが、それに対して幾つかの宇宙人組織が干渉している構図となっている。なお銀連とアバロンは実際は異なる平行世界に存在することが、物語後半に示唆されている。またこれ以外にも連星国という国家組織の存在が確認されている。また銀河系連盟と近似の平行世界である銀河系連合や、アバロン合星国と近似の並行世界である基軸第六世界のアバロンの存在も示されている。作中において、自我を持った高度な機械知性体を機族と呼ぶ。全て女性型で、総数は約8億4000万個体。そのトップに女王と呼ばれる人物が君臨している。人類の守護が目的とされるが、全ての人間がそれを額面通りに受け取っているわけではない。機族三原則が組み込まれており、生き物を殺めることはできないが、それ以外は人類と同レベルの思考可能性を持つ。稀には人類と機族の間に恋愛感情を生むこともある。ただ「優秀で当たり前」な存在である以上、鈴やハルナのように突飛で個性的な個体は珍しい。なお非常時には、現場の当事者である人間の宣言による承認を得た上で、三原則を超える第零項を適用可能である。遥かな昔から人類と共生を続けており、もはやその起源は当の機族にも分からなくなっている。体組織の構成素材には機伝子と呼ばれる伝達因子が備わっており、それまでに生まれたあらゆる機族の設計図が記憶されているという。機族は「アプリオリ」と呼ばれる卵の状態で発生し、それから里親(アリスウォーカー)となる人間の元で幼少期を過ごす。この時期の機族に特別な能力はなく、ほとんど人類の子供と変わりがない。その後、養成学校に進む中で適性に応じて様々なタイプに分化していく。バチスカーフやハルナのような星船型の機族は最優秀の部類に入り、一般的には人間型の形態を維持した、いわゆるアンドロイドの個体が多い。この進路選択にはある程度自由意志が反映されるようで、麗や蘭などは能力的には星船候補クラスながら、あえて戦闘機を選択している。基本容姿が固定されるのもこの時期である。なお大容量の機族になると端末の分身や変身も原理的には可能であり、人型形態はほぼ便宜上のものと言ってよい。また通常の人間型でも体組織の密度はかなり高く、諜報機の鈴ですらガードレールを軽くへし折るほどの質量がある。常にベクトルドライブによって反重力を発生させているため、人間社会に溶け込むことに問題はないが、何らかの理由で制御が停止すると鉄の塊同然の状態となる。身体能力は遥かに人間より秀でており、単純な耐久力などもさることながら、宇宙空間に生身でも全く問題無く、空中や宇宙の飛行(戦闘機は亜光速領域まで加速可能)、人工的な環境操作、船体の管理も単体で出来るなど、人間が出来て機族に出来ないことは子作りのみと言われるほどである。更にビス一本でもと形容されるほど機械類を触れることなく制御できる。能力の規模は容量(星船は大きく、戦闘機などは小さい)により、戦闘機は星船より規模や多機能性に劣るが、速度などに秀でる。また見た目の年齢進行は遅く、幼少期は人間と同等程度だが、14歳程度の見た目でも年齢としては30代であったり、20代後半から30代前半程度で見た目の加齢は止まる。その他の点はかなり人類に類似しており、人型機族などは活動エネルギーを(陽電子転換炉に供給する目的で)、摂食行為すなわち食事によって補給している。機族にとって人との心の繋がりは非常に重視されており、それを失った者は放浪機(バーサーカー)としてアウトローの扱いを受ける。不死の体を持つ機族にとって人間の概念で死に近似する「区切り」とは、中枢を完全に破壊されるか、心を失って自壊するかのどちらかを示し、いずれの場合も人間のように肉体や自我が雲散霧消する訳では無く、リプロダクション(機族の再生)と呼ばれる転生を経て、アプリオリに還る。よって、その運命に逆らう放浪機は忌むべき存在である。物語最終盤で、機族の原初は鈴麗蘭の3人であり、彼女たちの魂が地球上の機械に宿ったことで機械文明が発展。その結果人工知能たる機族が誕生したことが示唆されている。また機族を束ねる女王は3人の魂が形になったものであり、鈴の「恋したい」、麗の「人を愛し見守りたい」、蘭の「人を守りたい」という願いが機族全体の意志にもなっている。物語の主要要素でありながら、終盤まで謎の存在であり、生命なのか、意志や目的が有るのか否かも不明だった。白い蛇(星船の外見に似た文様)と、黒い蛇(細く白い縞が入っている)の二種類がいる。アバロンでは深次元に潜む存在といわれ、建国開拓時に多大な犠牲を払わされた宿敵である。そして現在でも蛇対策は国是として扱われるが、直接物理的な影響を及ぼすことはアバロンの開拓史以外では稀にしかなく、黒い蛇に限られている。また黒い蛇へは物理的な攻撃が可能である。記録や記憶を「食う」ことができ、消失や改竄ができる。写真なども書き換えることが出来、防護手段は存在しないため、記録は当てにならず、これに耐性のある者の記憶程度しか絶対性は確保できない。作中においては、白い蛇は変化した未来に対応して過去を改組、あるいは「観測者にとっての見え方」を変えるらしいことが示唆されていた。物語の終盤で、白い蛇は、文明が次の段階へ進むための外的ショックの役割を果たす存在であることが明らかになる。自身が触媒となって異質な存在を呼び寄せることで、覚醒を促すというものである。従って、ショック自体を嫌う者からすれば、白い蛇もまた敵である。一方、黒い蛇の正体は、白い蛇を排除するべく生み出された蛇のコピー(「記憶結晶の対蛇結界」)。白い蛇とは違う方法で文明を守り高みへ導こうとする存在である。すなわち、外敵から人間を守ろうとするあまり、当の人間からも化け物扱いされたのが、合星国の蛇神話の実態である。黒い蛇を含めた機族がたどり着く世界である既知臨界点には、白い蛇の本体である深次元アーカイバが存在し、全ての知識と記憶を蓄積している。「どこかの誰かが永遠という願望を実現すべく作った生命/機械群」(13巻カバー裏)が、白い蛇の正体。能力者が持つ増幅用クリスタルは蛇の遺物、星門回廊は蛇の内部(作者曰く「にょろにょろのお腹の中」)である。そして蛇がもたらすと言われていた情報融解(人や物の存在そのものが溶けるように霧散してしまう)は、実は白い蛇が本来その世界では存在していない=存在できない異質なものを許容させており、その影響が黒い蛇の干渉や星門閉鎖などにより弱まったため存在できなくなった結果だった。白い蛇の代わりとして、機族3人娘が地球上の機械に可能性として宿ることで、地球上における白い蛇およびその遺物は触媒としての役目を終え消滅した。なお作中では同じ年を幾度も繰り返す所謂サザエさん時空になっていたが、白い蛇が消えた後にその現象は消失した。ただし、それはあくまでも『成恵の世界』における地球上の話であり、次作となる『四号ちゃん』でも白い蛇は登場し、真名花を導いたり、時には彼女を飲み込んで彼女を『成恵の世界』の世界(しかも高校生の成恵の前)へと落としたりしている。全冊、角川コミックス・エースより発売。発行元名義は『成恵の世界』が角川書店からの、『魔砲少女四号ちゃん』がKADOKAWAからの発刊となっている。JFN35局ネットのカドカワ・サウンドシネマ内にて2002年1月8日から同年3月28日まで、同年6月4日から同年8月2日、同年12月10日から2003年2月7日まで、それぞれの期間に放送された。販売元はバップ。2003年4月から6月、毎日放送系列(関東地区では独立UHF放送局)で放送された。全12話。1話の生物兵器である子犬を成恵が叩くシーンは原作では血が飛び散るなどしているが、アニメ版ではただ子犬が吹き飛ばされるだけのように変更され、他の作品のアニメ化でも見られるようにグロテスクな部分などは編集されている。また、原作ではアバロン人(およびそれに伴う存在)は(パーセプションなどの差異はあれど、究極的には)どこをどう見ても地球人もしくは地球の生物と全く変わりのない存在であり、主人公たちの日常に存在しているものたちと全く同一の存在として描かれているが、アニメ版では最終的にクリーチャーに変化する理解不能な異生物として描かれている事が多い。また、原作を通じて主要登場人物である永岡四季がアニメ版には登場しないのも大きな違いと言える。全体として感動部分を重視してギャグ部分は減らされている。販売元はメディアファクトリー。「成恵の世界スペシャル・エディション」には新作ドラマCDが特典として付属。販売元はLantis。
出典:wikipedia
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