2000系気動車(2000けいきどうしゃ)は、四国旅客鉄道(JR四国)と土佐くろしお鉄道の特急形気動車。四国島内の高速道路網整備に伴い、とくに四国山地を横断し急勾配・急カーブが続く土讃線における特急列車の速度向上を目的としてJR四国と鉄道総合技術研究所(鉄道総研)が共同で開発した形式である。西暦2000年を目前に開発されたことから、『2000系』という、日本国有鉄道(国鉄)式の「キハ」等の文字を使用せず四桁数字だけで表記する私鉄車両のような形式称号が付与され、以後、JR四国の新型車両は1000形気動車、7000系電車、8000系電車、6000系電車、5000系電車、1500形気動車、8600系電車と四桁数字だけの形式称号を名乗ることとなった。エンジンから台車への動力伝達の反作用から困難とされてきた振り子式気動車を、搭載された2つのエンジンの回転方向をお互いに逆回転させることで、それによって生じる車体への回転力を相殺させることにより実現するとともに、遠心力による車体傾斜に先行して機械的に車体傾斜を生じさせ乗り心地の改善を図る制御付自然振り子が採用された。振り子式気動車としては世界初、制御付振り子式車両としては日本初の車両である。制御つき自然振り子はあらかじめ走行線区の線形データを記憶させ、これに応じて車体傾斜させるため、線形データが入っていない線区では振り子が使用できない。また、宇野線・本四備讃線では振り子を使用しない。振り子機構はコロ式。振り子作用時の車体最大傾斜角は5°で、曲線半径600mで本則+30km/hの120km/hの運転を可能とした。ブレーキシステムは電気指令式空気ブレーキで、制動距離の短縮のために機関ブレーキ、排気ブレーキを併用している。重心を下げるため車輪径を810mmに小径化し、客用扉部分のステップをなくすとともに、ステンレス製の車体外板に1.2mm厚の薄いものを使用して車体の軽量化を図っている。連結器は密着連結器が採用された。エンジンはコマツ製の直噴式SA6D125H形で出力は330ps。新潟コンバータの直結2段式液体変速機TACN22-1601との組み合わせで、25パーミル上り勾配での均衡速度は95km/hを達成している。客用扉にはプラグドアを採用。キハ185系に合わせて片側2箇所となっており、これは8000系電車も同じである。また、客用扉が開いたまま動き出しても、5km/hを超えると自動的に閉まるようになっている。製作年度により以下の3種類があり、相互に連結することで柔軟に運用することができる。1989年(平成元年)に富士重工業で製作された試作編成3両で、「TSE」の愛称を持つ。最高運転速度は120km/h。テープ式(1993年に音声合成式へ交換)の自動放送装置やLED式車内案内表示装置、行先表示器(2201を除く)を備えている。座席、冷房吹き出し口はキハ185系の流れを汲んでおり、冷風吹き出し口は観光バスのように荷物棚の下に各自で風量・風向の調節が可能なタイプが設けられている。登場当初は、万が一量産化に失敗した時に備えて、AV装置を搭載して前面展望の映像を流したりしたほか、連結面の幌内側に化粧板パネルを設置したり、座席は少し窓側を向くように固定できるようにしたなど、団体専用列車としても使用可能な設備を設けていた。その後、量産化改造時に座席を窓側へ向けて固定出来ないようにしたほか、AV装置は撤去し、2001、2201ではAV装置前に二人用座席を1つ増設、2101ではソファーを撤去し二人用座席を8つ取り付けた。座席の前後間隔はキハ185系より40mm拡大した980mmとしている。2001、2201の座席は増設部も含めて全面モケット張りの同じ座席だが、2101の座席は元ソファースペースを含む4列が量産車と同じバックシェルタイプ(後述)の座席とされた。鉄道友の会「ローレル賞」「日本機械学会賞」を受賞。これを受けて一時期、2001の前面中央部に大型の、2101運転席上部に小型横長の「'90 LAUREL PRIZE」と表記されたステッカーが貼付されていた。1989年に高松運転所に配置され、特急「南風」、「しまんと」の臨時列車として運用開始。1990年(平成2年)には編成ごと方向転換し、量産化改造のうえで松山運転所に転出、主に岡山 - 松山間で「しおかぜ」増結車として使用された。1993年(平成5年)には予讃線特急に8000系電車が投入されたことにより、方向転換されて再度高松運転所に配置された。土讃線特急の「あしずり」「しまんと」の特定運用や、中間車2201を外した2001と2101の2両での運用、2101の外側貫通扉の代替とされる板を外し2001+2101+2100形の編成を組んだ「しまんと」での運用などに用いられた。2001、2101の連結側と2201の連結器が量産車と同じ密着連結器+電気連結器に交換された後は、2001 + 2201 + 2100形または2400形の3両、2150形または2450形 + 2101の2両で伊予西条駅 - 高松 - 徳島間の「うずしお」に運用されるなど、様々な使い方がされていた。2003年(平成15年)10月に松山運転所に再転属され、2200形1両を組み込んだ4両編成で特急「宇和海」のほか2005年(平成17年)3月までは朝の高松発宇和島行1本と夜の松山発高松行1本の特急「いしづち」でも運用されていた。2006年(平成18年)3月18日改正からはTSEとして落成した車両のみの3両編成に減車し、一部の「宇和海」で運用されている。試作車両「TSE」での性能試験を経て1990年から富士重工業で量産された車両である。この形式のみJR四国と土佐くろしお鉄道の共同製作である。最高運転速度は「TSE」と同じ120km/h。先頭車には字幕式の列車愛称表示器が設けられたほか、前面ブラックフェイス化による昼間時の遠方視認性低下を考慮して、前照灯・尾灯ユニット付近に警戒色(黄橙色)が入れられた。座席の背面をFRP製化粧板で覆ったバックシェルタイプに変更。座席の前後間隔はグリーン車がキハ185系より10mm拡大した1,170mm、普通車が「TSE」と同じ980mm。「TSE」にあった各席の荷物棚下の冷風吹き出し口を廃止。またLED式の号車番号表示器が設置され、車内の仕切扉の機構は「TSE」の空気式から電気式に、連結器は「TSE」の密着自動連結器から密着連結器+電気連結器に変更されている。なお、自動放送装置は最初音声合成型のテープ音源が導入されていたが、2004年にICメモリ音源に変更された。土佐くろしお鉄道所有の4両(2030、2130、2230、2231)は車体中央に土佐くろしお鉄道のロゴマーク (TKT) が、2030と2130は車端に高知県のロゴマーク(国民休暇県高知)がそれぞれあること以外は同一仕様で製造され、高知運転所に配置された。車両番号は十位を3として区別している。1990年11月の運用開始時は4両が同じ運用に入っており、後に1両単位で運用されるようになったが、「アンパンマン列車」となった現在は4両固定編成で運用されている(後述)。当初のねらい通り、従来キハ181系やキハ185系により運行されていた岡山発着の「しおかぜ」「南風」の大部分を置き換え、運転開始当初は、宇多津駅 - 高松駅間には入線しなかった。なお、1991年には西日本旅客鉄道(JR西日本)広島支社に貸し出され、芸備線で試験走行を行った。当初は瀬戸大橋上での騒音対策のため、キハ181系、キハ185系と同様に神道山トンネル - 北備讃瀬戸大橋中央付近で65km/h運転を行う措置が取られていたが、曲線通過速度や最高運転速度の引き上げにより、所要時間が最大で約40分短縮された。なお、1993年(「うずしお」のみ1998年)からは8000系電車と同じ95km/hで減速区間を通過している。また、前述の措置によって一部列車が児島駅を通過し、JR西日本とJR四国の乗務員交代は多度津駅で行うか、乗務員交代を行わずにJR四国の乗務員が岡山駅まで乗務していた。2014年現在はすべての特急列車が児島駅に停車し、JR西日本とJR四国の乗務員交代を行っている。2007年頃には、大半の車両の客用扉が窓ガラス面積の小さいものに交換され、2008年からは同年3月15日の完全禁煙化に先行して、すでに喫煙車として運用されない車両では肘掛けの灰皿の撤去も行われている。N2000系の通称を持つこのグループは、最高速度130km/h運転を目的として高徳線向けに製造した改良型である。在籍する16両のうち、12両が編成を固定のうえで運用され、残りの4両は予讃線・土讃線でも運用される。全車が富士重工業で製造された。改良には智頭急行HOT7000系の技術をフィードバックしており、搭載エンジンの出力は330馬力から350馬力(コマツ製SA6D125H-1A)に増強された。基礎ブレーキ装置も量産車の踏面ブレーキからディスクブレーキに改められ、滑走防止装置が搭載された。また、環境問題を考慮して、冷房装置の冷媒には代替フロンが使用されている。1995年(平成7年)に先行車2両 (2424, 2458) が、1997年(平成9年)に2500形が量産車として落成し、同年の年末年始繁忙期輸送で営業運転を開始した。1998年から量産車の先頭車が登場し、最終的に量産車は3形式合わせ14両が製造された。先行車は従来の2100形と外観や座席がほぼ同じだが、貫通扉、客用扉の色が赤色とされ、黄色の前面警戒色の帯が太いことで区別されていた。2424は車椅子対応の座席と洋式トイレが設置された。量産車は前面もリニューアルされ、貫通型高運転台構造のスタイリッシュなデザインとされ、車体外装も紺色と赤のツートンカラーとされた。これを受けて、先行車2両の外装も量産車に準じたものに変更された。量産車の座席は8000系電車と同様全面モケット張りになっている。客用扉のロック方式が2000系量産車、N2000系先行車と異なり、5km/hを超えると「パスッ」の動作音とともにロックされる。座席の前後間隔はTSE、量産車、N2000先行車と同じ980mmとしている。グリーン・普通合造車はなく、2400形・2450形・2500形の各形式があり、車両番号は従来車の続番+300とされた。2425 - 2429では小便所も設置されている。2016年3月26日現在、以下の列車で使用される。N2000系の一部は量産車との共通運用で、量産車の運用に入ることもある。量産車は松山運転所・高知運転所・高松運転所に59両が在籍するが、グリーン・普通合造車の2000形および中間車の2200形は高松運転所には配置されていない。なお、2005年3月2日に土佐くろしお鉄道宿毛駅構内で発生した列車衝突事故で、事故編成3両の前2両(2008・2218)が大破した。宿毛駅復旧作業の開始により、当初は現地にて解体搬出の予定だったが、大型クレーンでつり上げて撤去された(2両とも同年3月31日付で廃車)。比較的損傷の少なかった2116は多度津工場へ回送・修理された後に営業運転に復帰した。宿毛駅の営業が再開した2005年11月1日以降、廃車となった2両の代替新造はされていないが、その代替分として松山運転所の2006が高知運転所配置とされ、続いて2006年3月18日付で2206も同所に転入した。予備のすべての車両が高松・松山・高知の共通運用となっている。高松運転所に所属していた2218と2219は、それぞれ松山運転所と高知運転所へ転属している。また、松山運転所に所属していた2211(2011年3月12日付)と2209(2012年3月17日付)が高知運転所へ転属している。N2000系は当初、2424のみ高知運転所に配置されていたが、2014年現在は全車両が高松運転所に配置されている。2016年3月には、同月26日のダイヤ改正から「宇和海」の指定席車両が2100形(3号車または6号車)に変更されることに対応して、すでに車内天井に指定席区画表示板を取り付け済みだった高知運転所所属車(2105,2106,2108,2115 - 2117)と、取り付けていない松山運転所所属車(2109-2114,2118)との相互転配属が実施された。量産車の一部は「アンパンマン列車」として運転されている。数回のリニューアル後、車内を「アンパンマン」の内装にし、車内チャイムもオルゴールの「アンパンマンのマーチ」に変更する改造が実施された。特に2000形の普通車指定席部分は「アンパンマンシート」となっており、座席や内壁にアンパンマンのキャラクターが描かれている。2016年3月26日現在、「アンパンマン列車」として運転されている車両は以下の通り。なお、高知運転所所属の2006は外装こそ量産車と同一であるが、内装にアンパンマンシートが配置されている。このため、「アンパンマン列車」の2000形が検査などで運用を外れている場合は、2006が代走運用に入る(内外装とも一般車である2000形の予備車は定期運用を持たない松山運転所の2005であり、松山 - 多度津 - 高知で送り込み及び返却の回送がなされる)。高知運転所所属車による土讃線の「アンパンマン列車」は2種類が存在し、いずれも基本的に固定編成で運用される。なお、ヘッドマークは使用しない。予讃線の「アンパンマン列車」は、2016年3月25日まで以下の松山運転所所属の11両が特急「しおかぜ」・「いしづち」(いずれも下り:9・21号/上り:10・22号)、「宇和海」(下り:5・11・23・29・31号/上り:2・8・14・26号)で使用された。なお、すべて1両単位で運用されていたが、基本的に「しおかぜ」・「いしづち」運用と「宇和海」運用とを交互に繰り返すローテーションとなっており、「アンパンマンシート」は「ばいきんまん号」と「ドキンちゃん号」が隔日で連結されていた。なお、2016年3月26日のダイヤ改正で8000系電車による「アンパンマン列車」が登場したことで、2000系「アンパンマン列車」は「しおかぜ」・「いしづち」の運用から撤退。引き続き「宇和海」で運用される2107、2152、2204を除く8両が一般塗装に戻され、2004, 2109,2110, 2113, 2210は高知運転所へ転属した。本系列は登場から20年が経過し、行先表示器や室内設備の老朽化が目立ち始めたため、一部の車両において2010年から室内設備のリニューアルを図ることとなった。対象は2000系38両(うちグリーン席付き車9両)、N2000系12両の先頭車両・計50両で、中間車の2200形、2500形は対象外となる。コンセプトは8000系のリニューアル時に掲げていた「癒しの国四国」を踏襲し、床や壁、デッキを木目調とし、2000系普通車は全面モケット張り座席に交換し、腰掛けモケットを変更した。また、2000形の一部のトイレを洋式化し、ベビーシート・ベビーキープを設置。一部の2000形・2100形・2150形・2450形の各形式は和式トイレのままだが、壁面と便器をリニューアルする。なお、アンパンマン列車におけるリニューアルとは別であるため、アンパンマンシートは変更されていない。2010年9月24日、完成した普通車先頭車 (2121) が報道陣に公開された。同年以降年間で7、8両の改造を予定している。2012年12月現在、以下の車両がリニューアル施工済である。2004と2007はトイレを洋式としている。本系列に設置されているトイレは、2400形が洋式であるほかはすべて和式である。従来、JR四国は地域性を理由に車内トイレの洋式化を見送っており、6000系電車では和式トイレが設置された。しかし、交通バリアフリー法制定後、1000形気動車に追加設置されたトイレや1500形気動車では車椅子対応の洋式とされた。8000系電車のリニューアルでも5箇所中3箇所は洋式とされている。なお、2010年度のJR四国の事業計画に盛り込まれたリニューアルによって一部の2000形にも洋式のトイレが設置されている。
出典:wikipedia
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