在野(ざいや)は、一般的に公職に就かず民間で活動する人物や団体を指す。そもそも漢語では「野」という言葉で政府以外の民間部門全体を指した。「野に遺賢なし」という成語や、コーエーの『三國志』シリーズで仕官していない武将を在野・在野武将と呼ぶのはそこから来ている。また、早稲田大学の創設者である大隈重信は、「在野精神」というものを唱えている。政治分野における在野は、政党政治における在野政党(=野党)の意味として、あるいは政府と同じ立場を取ることが期待される社会において、あるいは政府の指導に従うことを義務付けられた社会において、政府と異なる・あるいは政府に反対する人物や団体を指すこともある。ハンガリーで自由選挙を主張したハンガリー民主フォーラムや、韓国で民主化宣言を勝ち取った学生運動や労働運動が、これに当たる。学術部門における在野は、大学の教員に対して民間の研究者の事を指す(いわゆる「在野学者」や「在野の研究者」とも言う)。大学の教員の人口に対して在野の研究者の人口は多く、大学の教員と在野の研究者との協力によって発展してきた学問も少なくない(考古学、天文学など)。日本の民俗学においては、大学の教員と在野の研究者のあいだでの差別は、他の分野よりも少ない(考古学などが在野の研究者をあくまでも「素人」とみなすのに対し、民俗学では在野の研究者を大学の教員という職業研究者などと区別なく同等に扱うことが少なくない)。大学の教員と在野の研究者の差異は、大学の教員が大学から給料をもらって研究しているのに対し、在野の研究者は大学に所属していないため自費で研究をしている点が挙げられる。大学の教員ではない在野の研究者の中にも、実力的には大学の教員と同等の者も少なくなく、大学の教員や大学院生らにおける徒弟制のような上下関係も在野の研究者においてはあまりない。たとえば、市役所など公務員として勤務しながら研究を行う在野の研究者も少なくない。ある特定の分野に精通している専門家であるという点では、教授資格を有する学者と同等であるため、在野の研究者によっては特別講師として大学院に招聘され、教鞭をとっている在野の研究者も一部で見られる。一方で、大学の教員が学問として体系化しないために、在野の研究者が主に研究してしまう分野もある(地名学など)。歴史的にみると、江戸時代の著名な在野の例として、心学を説いた石田梅岩の名が挙げられる。彼は経歴や実績のない在野であったため、教え始めた頃は本格的な学者から軽視されていた(『仏教と資本主義』より)。また、社会科学などを専攻している在野の研究者の中には、フリージャーナリストや市民活動家のような活動を行ったり、またNPOなどの職員となる場合もある。そのような場合も、大学の教員と在野の研究者のあいだで共同で研究活動や社会的活動を行うことも少なくない。また、大学の教員と在野の研究者の間で研究対象に対して政治的・思想的に相容れない場合には、在野の研究者は大学の教員と距離を置いて研究活動を行う場合もある。法律家の内で、裁判官、検察官及び弁護士を法曹と呼ぶが、その内の弁護士のことを在野法曹と呼ぶことがある。詳しくは「法曹」を参照のこと。
出典:wikipedia
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