北京市(ペキンし、、、)は、中華人民共和国首都である。行政区画上は直轄市であり、中国の華北の中央に位置する。人口は2152万(2014年)であり、中国では上海に次ぐ第二の都市。世界有数のメガシティであり、高い影響力を有する世界都市でもある。古くは大都・燕京・北平とも呼ばれた。日本では一般的に「ペキン」と読む。このペキンという読みは中国南部の方言の唐音に由来する歴史的な読み方である。1906年制定の郵政式アルファベット表記でもPekingと表記されている。中国の共通語である普通話では、と発音し、カタカナに転記すると「ベイジン」や「ペイチン」に近い発音となっている。英語ではアルファベットでBeijingと表記し、「ベイジン」と発音している。国連や北京市の公式サイトにおいても、Beijingを英語の名称として採用している。ただ以前は英語圏でもPekingという表記を多用していたこともあり、北京大学を英語でPeking Universityと表記するなど、その名残を残している。また、現在でも郵政式のPekingに沿った表記を用いる言語が多い。中国南部方言と欧米各国における読み方も様々であるので、以下に紹介する。満州語ではベギン(Beging)またはゲムン・ヘチェン(gemun hecen、「京城」の意)と呼ばれていた。江戸時代の書物(江原某『長崎虫眼鏡』など)では、「北京」のふりがなは「ほつきん(発音はホッキン)」となっている。幸田露伴の小説「運命」では読みを「ほくけい」としている。これは学術に広く用いられる漢音である。唐音の「ペキン」は江戸時代以来用いられる。諸橋轍次「大漢和辞典」では「ほくけい」「ぺきん」の二つの読みを併記している。「ほっけい」とも言う。春秋戦国時代には燕の首都で薊(けい)と称された。周の国都洛陽からは遠く離れ、常に北方の匈奴などの遊牧民族の侵入による被害を受ける辺境であった。秦漢代には北平(ほくへい)と称されるが、満州開発が進み、高句麗など周辺国の勢力が強大となると、戦略上、また交易上の重要な拠点として重視されるようになった。北京市に隣接する河北省涿郡(たくぐん)は三国志の英雄劉備の故郷で知られるとともに隋の煬帝が築いた大運河の北の起点とされている。唐末五代の騒乱期、内モンゴルから南下してきた遼朝は、後晋に対し軍事支援を行った代償として北京地方を含む燕雲十六州を割譲された。遼はこの都市を副都の一つ南京と定めた。その後金朝が遼を滅ぼし支配権を獲得すると、金は北京に都城を定め中都とした。更にモンゴル帝国(元朝)が金を滅ぼすと大都として元朝の都城となり、カラコルムに代わってモンゴル帝国の中心となった。朱元璋が元を北方に駆逐し明朝が成立すると、名称は北平に戻され、都城は南京に定められた。しかし、燕王に封じられ北京を拠点とした朱棣(後の永楽帝)は、1402年に建文帝に対し軍事攻撃を行い政権を奪取。皇帝に即位した後北京遷都を実行し地名を北京に改めた。辛亥革命後は中華民国北洋政府は北京を首都と定めたが、南京を首都と定めた蒋介石を中心とする国民政府は、「政府直轄地域」を意味する直隷省を1928年6月15日に河北省へ、北の首都を意味する北京を北平(ほくへい、ベイピンBěipíng)へと、それぞれ改称した。1937年から1945年まで続いた日本軍占領期は北京の名称が用いられ(公式には1940年に改名)、日本の敗戦によって再び北平に改称された。1949年10月1日の中華人民共和国成立により新中国の首都とされた北京(北平)は再び北京と改称され現在に至っている。しかし、中華人民共和国の存在を承認せず、南京を公式な首都として大陸地区への統治権を主張する中華民国(台湾)では、現在でも公式名称として「北平」の名称が用いられている。北京は華北平原の西北端に位置する。東部は山地、西部は太行山脈、北部は燕山山脈の一部である軍都山に接しており、南部以外は山に囲まれていて全市域の約62%を山地が占めている。北京の最高峰は万里の長城が延々と続いている北部山脈にある東霊山である。北京市街地はこうした山岳地域に囲まれた盆地の中にあり、その平均海抜は20〜60mである。海河流域に属し、永定河や潮白河などが流れるが、これらの河川には普段水が流れておらず水不足が深刻になっている。面積は日本の四国に相当する。ケッペンの気候区分では、亜寒帯冬季少雨気候に属し、気温の年較差が大きい。また、春と秋はとても短い。春は乾燥していて強い砂埃の風が立つ。夏は高温多湿となり、霧や靄が降りる日が比較的多く雨は少ない。秋には雨がやや増えるが夕立など特定の時刻に集中的に降ることが多い。冬は低温乾燥で厳しい寒波が襲うが、乾燥のため雪はそれほどは降らない。1981~2010年平年値では1月の平均気温が-3.1度、7月の平均気温が26.7℃、年平均気温が12.9℃、年降水量は532.0mmである。最高気温極値は41.9℃(1999年7月24日)で最低気温極値は-27.4℃(1966年2月22日)。下部には16市轄区を管轄する。北京市の人口は2000万人を突破し、2014年には2152万人となった。戸籍人口1,755万人(2009年末)あまりで、他に公安機関(警察)に一時住居登録している流動人口が364.9万人いる、都心人口917.61万人(2008年12月)いる。構成は96%が漢民族で、残り4%は55の少数民族で構成されている。都市的地域の人口は1,395万人であり、世界第16位である。2014年の北京市の市内総生産は約2兆1320億元(約3500億ドル)であり、上海市に次いで中国本土第2位である。香港やシンガポールのGDPを超える数字である。2016年、アメリカのシンクタンクが公表したビジネス・人材・文化・政治などを対象とした総合的な世界都市ランキングにおいて、世界8位の都市と評価された。2014年のアメリカのダウ・ジョーンズらの調査によると、世界9位の金融センターと評価されており、中国では香港と上海に次ぐ3位である。2013年からはフォーチュン・グローバル500においては、東京を超えて世界で最も大企業の本社が集積している都市との評価を受けている。2015年にはニューヨーク、ロシアのモスクワを超えて世界で最も億万長者が多い都市となった。北京市統計局が公表した2010年の全従業員の平均賃金は年50,415元(約63万円)である。月当たりだと4,201元(約5万円)である。また、2012年の最低賃金基準は1時間当たり7.2元(約90円)、月当たり1,260元(約1万6000円)である。一方、非全日制就業労働者の1時間あたり最低賃金は14元(約170円)である。北京市は、ハイテク民営企業、研究開発拠点、中国ビジネスの統括拠点としての発展を目指すものと見られる。産業構造では第三次産業への依存が高い。2003年GDPの61.4%が第三次産業である一方、第二次産業の比率は36.0%で、第一次産業に至ってはわずか2.6%に過ぎない。ちなみに中国全体では第三次産業の比率は32.3%で、上海でも48.4%である。近年では外資企業の第三次産業での進出も加速している。市中心部では、CBD構想(北京CBD計画)が着々と進むなど、北京市は上海と並ぶ中国ビジネスの統括拠点としての役割も強めている。この他、北京市は環渤海経済圏、京津冀都市経済圏における中心都市として、周辺地域との経済的な協調を図りながら効率性の高い発展を志向するものとみられる。また、北京には多くの大学・研究機関が集中しており、多くの優秀な人材が社会へと巣立っている。中央官庁が集中している他、中国の最高権力機関である全国人民代表大会の所在地である。北京軍区司令部所在地であり、首都警備の任にあたる衛戍部隊3個師団が市内に駐屯する。1960年代 - 70年代に街の交通の障害になるという理由で、明代の内城の城壁が撤去された。その跡には新たに移動の大動脈として一周約32kmの第二環状線(二環路/第二環状線)が築かれている。その外側にさらに3つの外郭環状線が敷かれており、現在5つの環状道路が開通。第6環状道路は現在計画中である。さらに環状2号線から放射状に11の国道が国内各地にのび、北京から天津を経由して、渤海沿岸の塘沽までなど7本の高速道路が建設された。2016年7月現在、ハルビン、上海、福州、深圳、珠海、昆明、ゴルムド、張家口に直通が可能である。2010年、北京では、自動車の登録台数が1年で75万台超も増え、470万台を突破しており、自動車普及に道路や駐車場などインフラ整備が追いつかずに渋滞が深刻化している。8月の米誌の記事では、世界で最も交通渋滞が深刻な都市に北京を挙げている。北京市ではこの状態を少しでも改善するため、公共交通優先措置、自動車のナンバープレートによる運行制限などを行っており、年間の登録台数の制限も実施するとしている。2013年になり大気汚染は悪化の一途をたどり、北京市も対策に乗り出した。同年9月29日には市の大気汚染が最悪レベルになった。北京は中国国鉄の中心地であり、国内全省都への直通列車や、近隣諸国への国際列車が発着する。モスクワ、ウランバートル、平壌行きの国際列車をはじめ、国内全ての省、市、自治区の首府を結ぶ直行列車が発着する。経済の中心地である上海とを結ぶ京滬高速鉄道は、2011年6月に開業した。巨大ターミナル駅として、中央駅の北京駅や北京西駅、北京南駅が挙げられる。またその他に大きな駅として、北京東駅、北京北駅、黄村駅、豊台駅、通州西駅がある。市中心部、郊外の交通は、北京地下鉄と京港地下鉄が担っている。両者は日本のJRと地下鉄の関係に近いだろう。また、2006年には北京市政交通カードとよばれるICカードが導入されており、自動改札機も全線・全駅で導入されている。オリンピックの開催時やその後に急速に路線網が拡大し、現在計15路線、総延長は372kmである。2015年までに19路線に拡張する予定となっている。日本への就航都市北京電視台が国営放送網として北京に所在し、主として1から10までの番号をふられたチャンネルをそれぞれ放送する。2008年8月8日 - 8月24日に夏季オリンピック(北京オリンピック)が開催された。北京オリンピック、北京パラリンピックの開催で、通称「鳥の巣」と呼ばれるメイン会場の北京国家体育場を建設するのに、およそ350,000人もの人々が強制移動させられたとされ、この強制移動は2008年7月28日にようやく完了した。また、毎年10月には天安門広場をスタート地点とする北京国際マラソンが開催される。北京を本拠地とするプロスポーツチームとして、中国サッカー・スーパーリーグの「北京国安」、中国プロバスケットボールリーグの「北京ダックス」、アジアリーグアイスホッケーの「チャイナドラゴン」がある。プロテニスチャイナ・オープン (テニス)も開催される。2015年7月31日に2022年冬季オリンピックの開催都市に選ばれる。同一都市が夏季オリンピックと冬季オリンピックを開催するのは北京が史上初である。北京は、中国国内で最も大学の数が多い。また、清華大学や北京大学など、国内最上級の優秀な大学が所在している。日本人の語学留学生(標準中国語)の行き先は、北京が一番多い。これは語学留学生を受け入れている学校(大学)数が、中国国内で最も多いことが関係している。また、中国の中心地であるため有名な建築物が多く、比較的標準語に近い言葉を話している地域である。中国の代表的な観光都市として知られ、50万年前からの人類が生活してきた歴史、3000余年の街造りの歴史、700余年も全国的な政権が都をこの地に置いた歴史があり、中国の七大古都の1つである。北京は古都にふさわしい第一級の名勝史跡に恵まれており、外国人観光客数、観光外貨収入は国内第1位である。紫禁城や天安門広場、庭園、古くから市民の居住する街並みである衚衕(フートン)などがあり海外からの観光客も多く訪れる都市である。を参照。
出典:wikipedia
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