黒石線(くろいしせん)は、かつて弘南鉄道が運営していた鉄道路線。青森県南津軽郡田舎館村の川部駅から黒石市の黒石駅までを結んでいたが、1998年に廃止された。日本国有鉄道(国鉄)の特定地方交通線で、同じ青森県内の大畑線とともに純民間資本の民営鉄道に転換された数少ない例であった。この路線は軽便鉄道法に基づいて計画されたもので、1912年に黒石軽便線(くろいしけいべんせん)として開業した。1950年(昭和25)年7月に弘南鉄道弘南線が弘南黒石まで延伸されると、旅客は弘南線に流れ、黒石線の乗客は減少していった。1968年10月には弘南鉄道から国鉄東北支社に対し経営委託の申し入れを行っている。1980年に国鉄再建法が成立し、黒石線は1981年(昭和56年)9月18日に第1次特定地方交通線として承認された。これにより「黒石線特定地方交通線対策協議会」が同法第9規定により設けられ、代替輸送に関する協議が重ねられた。その中で地元自治体が弘南鉄道に黒石線の存続を要請しており、数次にわたる協議の結果、1984年4月5日の第6次会議で転換に最終合意した。国鉄と弘南で別れていた黒石駅は、経費削減のため国鉄黒石駅の直前から弘南黒石駅に渡り線を新設して弘南黒石駅に統合された。国鉄時代には弘前からの直通列車や五能線への乗り入れ列車もあったが、転換以降は国鉄線からの直通運転が廃止された。財政措置として期限付きで各種交付金・補助金が支給されたが運賃は値上げとなり、コスト低減策として単線自動信号化・自動券売機設置などの合理化を進め、収支増加策として列車本数の増加や特定の時間帯が割引運賃となる「特割ショッピング回数券」を発売したり、黒石駅舎を新築し生協のスーパーマーケット店舗を併設して集客を図った。営業係数は国鉄時代の706(1983年度)・560(1984年度10月末まで)から、121(1984年度11月以降)・110(1985年度)・120(1986年度)・120(1987年度)と改善された。1992年の「第三次黒石市総合開発計画 基本計画」で黒石市は目標として「黒石線の輸送力増強」を掲げていた。しかし、利用者の減少から、1992年10月に弘南鉄道・黒石市・田舎館村・青森県の担当者レベルで 「黒石線活性化推進協議会」 を設置した。1993年は弘南鉄道に対する補助最終年度であったが、累積欠損金は同年までにおいて黒石線は同社全体の65%を占める欠損額を発生させており、黒石線の不振が経営の悪化・悪影響の要因として懸念された。活性化協議会は検討を重ねた結果「黒石線活性化協議会報告書」を作成し、「黒石線再生のための恒久的・効果的対策を見いだし得ない」「自治体の支援なしには存続できない」との結論を出した。 活性化協議会は黒石線の今後の方針について、 弘南鉄道トップに最終的な結論を委ねることに決めて解散した。1995年10月、 弘南鉄道は青森県・黒石市長・ 田舎館村長に対して黒石線廃止の意向を申し入れた。その後、 関係者への説明や協議を経て、 1997年12月に黒石線廃止後のバス代替運行計画を受け入れた黒石市長・田舎館村長が黒石線の廃止を最終的に承認した。1998年4月1日、黒石線は廃止された。これは転換特定地方交通線の廃止第1号であった。なお、『JTB時刻表』『JR時刻表』では通常、旧国鉄・JR路線は第三セクターおよび他社に転換された路線でも、JR線に準ずる扱いを受けている。しかし、黒石線は転換線で唯一、他に路線を持っている私鉄への転換だったため、黒石線の時刻表は巻末の私鉄・バス路線のページに移されていた(下北交通大畑線は、大畑線が下北交通唯一の鉄道線だったためこの扱いは受けていなかった)。ただし、弘南鉄道の他線と違い、全列車を掲載することで利用者への配慮はしていた。最短30分 - 最長2時間程度の間隔で運行されていた。当初は朝の4往復のみ2両で運行されていたが、乗客減のため廃止直前は全て単行で運行されていた。また、転換当初は車掌乗務であったが、後に全列車ワンマン運転となった。転換当初は国鉄から譲り受けた気動車キハ22形3両を使用していたが、老朽化のため1995年7月に小坂製錬小坂線で使用されていた気動車キハ2100形2両を譲り受けて、キハ22形は予備車1両を残して廃車にした。廃線後、キハ22形1両、キハ2100形2両が田舎館村で保存されていたが、2013年11月17日にこの気動車3両が同月18日以降解体されることになったと報道された。22日解体実施。黒石線の転換後の輸送実績を下表に記す。転換後輸送量は減少し、転換時の約半分になった時点で廃止されている。表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。黒石線の転換後の収入実績を下表に記す。旅客運賃収入は一時増加したがその後減少し、廃止を迎えた。表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
出典:wikipedia
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