循環小数(じゅんかんしょうすう、recurring decimal, repeating decimal)とは、ある桁から先で同じ数字の列が無限に繰り返される小数のことである。繰り返される数字の列を循環節という。また、小数第一位から循環がはじまるものを純循環小数(pure recurring decimal)、第二位以降から始まるものを混合循環小数(mixed recurring decimal)といい、混合循環小数は冒頭の有限小数とそれ以降の循環小数の2つに分離される。例えば、 = 0.33333… は小数点以下「3」が無限に続くので、循環小数であり、この循環節は 3 である。この小数は「33」(あるいは「333」等)の繰り返しでもあるが、これを循環節とはせず、最短のものを循環節とする。もう少し複雑な例としては、 = 2.2234234… は小数点第3位以下、「234」を無限に繰り返すので、循環節が 234 の循環小数である。有限小数も循環小数のひとつであり(後述)、例えば1/2=0.500000…と「0」を無限に繰り返す循環小数である(但し循環節が0の場合は特に明記する必要はない)。小数の表示としては十進法が用いられることが多いが、他の記数法も用いることができる。例えば、 を二進法の小数で表すと、0.101010… であり、循環節が 10 の循環小数である。割り切れる有限小数も、循環小数として表すことができる。その循環節は、0(0桁ではなく、1桁の「0」)または 9 である。例えば、 は通常 0.5 と表すが、これは 0.5000… ということであり、循環節が 0 の循環小数である(つまり有限小数は循環小数(無限小数)の特別な場合と見ることもできる)。一方、0.4999… と表すこともでき、これは循環節が 9 の循環小数である。一般に正の実数について、有限小数は2種類の循環小数で表せ、逆に、2通りに小数表示できるのはその一方が有限小数である場合に限る。有理数が有限小数表示を持つのは、分母の素因数が 2, 5(一般には、基数の約数たる素数)のみであるときで、またそのときに限る。循環小数でない小数は、円周率や2の平方根のような無理数である。有理数は循環小数に表示でき、逆に、循環小数に表示できる実数は有理数に限る。2.2234234… のような表記では、循環節がどの部分であるのか一見して分かりにくいため、循環節を明示する表記法がいくつかある。例えば、循環節の始まりと終わりを点で示し、などと書く。前者の例では 3 が繰り返されることを意味し、後者の例では 234 が繰り返されることを意味する。他に、循環節を上線または下線で指定したり、括弧ではさんで指定する方法もある。例えば、2.2234, 2.2234 や 2.2(234) といった表記である。循環節は整数部にかかってはならない。つまり、 = 9.09090… = 9.09 を 9.0 としたり、 = 90.9090… = 90.90 を 90 としてはならない。無限小数の厳密な意味は、極限の概念を用いて定義される。特に、循環小数が表す数は無限等比級数、すなわち等比数列の和の極限と見なすことができ、ゆえに有理数である。例えば、である。より一般的には、冒頭のループしていない有限小数部分を分離しaとおき、ループ部分すなわち循環節の小数表記をb、節の長さ(桁数、0.370370...ならば0.37のループであるから3)をnとすればとなる。ところで、級数部分の総和はであるからとかけることがわかる。この方法をロバートソン(J.Robertson,1712-1776)の方法という。やや厳密さに欠ける説明として、以下のようなものがある。とおき、両辺を1000倍した式と辺々引くと「循環部分が打ち消しあって」となる。よって、"x" = が分かる。循環部分が打ち消しあうという部分が曖昧であるが、無限等比級数の値の計算と同等であることからこの計算は正当化される。2 と 5(一般には、基数の約数たる素数)以外の素数 "p" の逆数の循環節の長さは、"p" - 1 の約数である。有限小数の循環節の長さを1とするなら、2 と 5(基数の約数たる素数)もこの条件を満たす。このことは、 の循環節の長さが "k" であることと、10 ≡ 1 (mod "p") が同値であることから、初等的な群論より導かれる。これがちょうど "p" - 1 となるような素数 "p" は、小さな順より(2 を別にすると)である。このような "p" に対する の循環節は、巡回数となる。例えば、 の循環節 142857 や、 の循環節 0588235294117647 は巡回数である。素数を、逆数の循環節の長さが奇数のものと偶数のものに分けると、 が偶数、 が奇数である(より厳密な表現では、"N" 以下の素数について数え上げた場合の "N" → ∞ への極限がその比率となる)。10 と(一般には基数と)互いに素な自然数 "n" の逆数の循環節の長さは、カーマイケルの定理のλ関数を用いた場合、たかだか λ("n") 桁である。また有理数を整数倍したり、分母 "n" に対して基数に含まれる素因数を掛けた場合、循環節の長さが増すことはない。最も素朴には、十分な桁数の小数表記を求め、その繰返し周期を見つける。ただし、同じ数字の並びが表れてもより長い周期の一部かもしれない(たとえば = 0.1212123 の循環節を 12 と求めてしまうかもしれない)ので、循環節の長さの上限を事前に知っておかなければならず、それだけの桁数まで求めて初めて、循環節を求められる。上限としては#一般の有理数にて挙げたものがあるほか、素因数分解の手間をかけたくなければ「分母 - 1」が使える。割り算を筆算で求めれば、余りに同じ数が現れた時点で、繰り返しに入ったことがわかる。例えば、 を小数表示する場合、次のような計算を行う。これ以降は同じ計算の繰り返しとなるので、 = 0.(142857) であることが分かる。この例では、整数を 7 で割った商と余りを計算することを繰り返している。一般に、"a" を "b" で割る筆算では、ある整数を "b" で割った商と余りを計算することを繰り返すが、"b" で割った余りは 0 から "b" - 1 の "b" 通りしかないため、余りが 0 になって計算が終わるのでなければ、必ずどこかで同じ余りが出現して同じ計算の繰り返しとなる。ゆえに、有理数を小数表示すると循環小数になる。この方法では循環節の長さの上限を事前に知っておく必要はないが、「分母 - 1」以下であることがこれによりわかる。基数に素因数として含まれない素数 "p" の逆数に対しては、循環節を "m" 桁とすると 10 - 1 は "p" で割り切れ、商が循環節となるので、"p" - 1 の約数それぞれに対し 10 - 1 が "p" で割り切れるかを試せばよい。"m" が小さい順に試せば、計算量を節約できる(たとえば = 0.333… に対しては 3 ("m" = 1) も 33 ("m" = 2) もこれを満たすので、小さい順でなければならない)。
出典:wikipedia
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