『魔術士オーフェン』(まじゅつしオーフェン、英題:"Soucerous Stabber Orphen")は、秋田禎信による日本のライトノベル作品。イラストは草河遊也。漫画化やアニメ化、ドラマCD化といったメディアミックス展開も積極的に行われた。シリーズ発行部数は1,000万部を超える。1994年に書き下ろし作品シリーズの『魔術士オーフェンはぐれ旅』と、『月刊ドラゴンマガジン』連載の1話または2話読み切りの『魔術士オーフェン・無謀編』の2シリーズが開始され、それぞれ2003年に完結した。タイトルおよび主人公の名前である「オーフェン」は孤児(orphan)という設定に由来している。そのため企画当初は「オーファン」だったが、編集者との話し合いの結果「オーフェン」に変更したことがファンブックにて語られている。また、「魔術師」に間違えられることが多い「魔術士」は、秋田が『機動戦士ガンダム』の「士」をもじってつけたものであり、黒ずくめの主人公も「連邦の白い奴(ガンダム)」へのオマージュである。そのほか、用語や作中の挿話の多くは北欧神話をモチーフとしている。2000年に行われた(月刊ドラゴンマガジン2001年1月号掲載)読者人気投票「ベスト・オブ・ドラゴンマガジン」では、オーフェンが男性キャラクター部門で1位を獲得した。また2001年2月には、神坂一とのコラボレーション作品『スレイヤーズVSオーフェン』を発表した。2008年9月より、作者公式サイトにて「あいつがそいつでこいつがそれで」の掲載が開始された。キャラクターの名前は伏せられているが『はぐれ旅』の後日談的な内容であり、富士見書房の企画により執筆したが紆余曲折の末企画が中止されたこと、日記の1年連続更新のために未発表作品を流用したことが明かされている。「あいつがそいつでこいつがそれで」は後に加筆修正・改題(「キエサルヒマの終端」)され、『秋田禎信BOX』(発行元:TOブックス)に収録された。2011年より、単行本化された「キエサルヒマの終端」を第1巻とする新シリーズがスタート。同時に『はぐれ旅』の新装版が全10巻で発売された。いずれも発行元はTOブックス。また、2012年1月に発売されたPlayStation Portable用RPG『ヒーローズファンタジア』にオーフェンらが参加している。『はぐれ旅』が全体的にシリアスなストーリー展開であるのに対し、『無謀編』は突飛な内容のコメディである。物語が動き続ける長編と、四コマ漫画のように日常が繰り返される短編を平行して執筆する手法は「スレイヤーズ」「フルメタル・パニック」とも共通する。時系列的に『無謀編』は『はぐれ旅』の旅が始まる前の物語であるが、それぞれの話はほぼ独立しており、どちらから読んでも問題のない構成となっている。なお、『無謀編』には1巻につき1話、通称「プレオーフェン」と呼ばれる主人公オーフェンの「牙の塔」時代の物語が書き下ろしで収録されているが、これはどちらかといえば『はぐれ旅』に近い雰囲気である。キリランシェロが基礎クラスを出てチャイルドマン教室に編入された翌年(11歳時)から、宮廷魔術士に推挙される少し前(14歳から15歳頃)までの数年間のエピソードが順不同に発表された。このほか、角川mini文庫より刊行された番外編『魔術士オーフェンまわり道』がある。声優名は、テレビアニメ、ラジオドラマ、ゲーム、ドラマCDのもの。特記がない場合は全メディア共通。魔法や魔術が存在する。魔法は神々が行使する「世界を作る万能の力」、魔術は「世界の基本を変えずに限定で作り変える力」であり、魔術でできることとできないこと(生命の創造など)は明確に区別されている。「魔法」の秘術の一部をドラゴン種族達が盗み出し、自分達が使えるように作り変えたものが「魔術」とされる。ドラゴン種族達が魔術を行使するようになると世界の構造に歪みが生じ、神々は歪みを正すためにドラゴン種族を滅ぼそうとし、その追撃から逃げ込んだのがキエサルヒマ大陸であると言われる。人間が使うことができる魔術はドラゴン種族の一種であるウィールドドラゴンと人間が交わった際に遺伝的に伝わったもので、魔術の素質は厳密に血統のみに由来し、先天的素養がない人間は絶対に魔術を使用できない。また、たとえ素養のある者でも魔術を自在に扱えるようになるには、大抵の場合数年かかる。魔術に覚醒した瞬間に魔力を制御できず死亡するケースも少なくなく、「牙の塔」が孤児ばかりを集めた魔術士養成機関である理由はこれによるところが大きい。世界観は一般的な「剣と魔法」的なものとかなり異なっている。照明はガス灯だが、蒸気機関がほぼ実用段階に達し、国家機密レベルで発電機も実用化されているらしい。都市には近代的な水道が整備され、高層建築物も数多く見られる。まだ実験段階で性能・信頼性は低いが、拳銃などの銃火器も製造されるなど、その科学的水準は高い。貨幣制度も発達しており、キエサルヒマ大陸の何処でも価値が変わらない金貨・銀貨と、地域や塩の相場により価値の変動するソケット(ソルト・チケットの略)紙幣が流通している。一般人はスーツやTシャツなどに身を包み、剣などを持ち歩くことはほとんどない(市街地での剣の所持は警察等への届出が必要)。魔術は喫茶店の氷の作成から医療の最終手段まで幅広く利用されており、魔術士の社会的地位は高い。優れた能力の持ち主は王宮で働くことも可能。ただし、約200年前には魔術士に対する偏見から「魔術士狩り」が行われ、現在でも地域によっては宗教上の理由などにより魔術士が迫害されることがある。ドラゴン種族とは、魔術を操る各種族の総称である。伝説にはドラゴン種族が神より世界を作る力である「魔法」を盗み出して自らも使える「魔術」にした、とある。広義には人間の魔術士もドラゴン種族に数えられるが、一般的にはそれ以外の6種族のことを指す。「○○ドラゴン」というのは魔術を操る生物としての呼び名で、本来の種名は後に来るノルニル、フェンリルなど。いずれの種族も生物として人間をはるかに上回るポテンシャルを有しており、またその魔術も強大である。ドラゴン種族に共通する特徴として緑色の瞳があるが、神々の毒(呪い)により眼球が変化したものである。なお、ドラゴンと名はついているが、一般的な「翼を持つトカゲの様な怪物」の姿を持つ種はいない。ただし、神話に伝わる「唯一真なるドラゴン」やダイナソアと言う有翼爬虫類と情報が混じり、一般社会では正しくドラゴン種族を認知している者は意外に多くない。この世界の魔術は何かを媒体としなければ発生させることができない。人間の魔術士達が使う魔術は声を媒体とし、「音声魔術」と呼ばれる。有効範囲は声の届く範囲内で、魔力によって構成(魔術士にしか知覚できない魔術のイメージ、当然ながら音声魔術の構成はドラゴン種族も知覚可能)を練り上げ、魔術の及ぶ範囲を呪文によって決定することで魔術が発動する。音声は魔術を行使するための媒体でしかないため発動の際に叫ぶ言葉は何でも良く、言葉の意味と発動する魔術の内容には関係がない。ただし、あまり突拍子もない言葉を呪文にすると構成に集中しにくいなどの理由により、ほとんどの魔術士は独自の呪文を使用している。叫び声だけでなく通常の会話、鼻歌やうめき声であっても発動は可能なため、魔術士を意識を保ったまま無力化することは極めて困難である。人間の魔術士の魔術は2種類に分類され、オーフェンらが使用する、熱や光など主に物理現象に干渉する魔術を「黒魔術」と呼ぶ。また、主に時間や精神を支配し、一切の物理法則を無視することのできる魔術を「白魔術」と呼ぶ。白魔術は扱える者が圧倒的に少なく、かつ絶大な力を持つため、貴族連盟によってほぼ全ての使い手が「霧の滝」と呼ばれる要塞に幽閉されている。ただし、白魔術士達は特に出て行く理由がないため半ば自主的にそこにいるのであり、脱出しようとする白魔術士を阻止することは実際にはほぼ不可能である。なお、白魔術士には肉体を捨て精神だけの存在となった「精神士」が存在する。いわば幽霊に近い存在であり、より効率的に魔術を行使できるが、自我を保つのが非常に困難となる。精神士に対して、通常の肉体を持つ白魔術士を「肉体士」とも呼ぶ。ドラゴン種族が扱う魔術は以下の通り。キエサルヒマ大陸の魔術士養成機関の最高峰の1つ。各地から魔術の素養のある孤児を集めて教室単位で育成しており、なかでもチャイルドマン教室は別格の存在である。大陸魔術士同盟(ダムズルズ・オリザンズ)の総本山でもあり、長老を中心とした最高執行部による自治が行われている。名前の由来はタフレム市にある天人種族の遺跡「世界図塔」からであり、建物の構造はむしろ城砦に近い。魔術の暴走などによる損害を防ぐため、建物は魔術で強化されている。チャイルドマン教室の生徒(レティシャ、コミクロン、ハーティア、キリランシェロ)が魔術を使用して全力で闘った際も、2割程度の損壊で済んだという。ウルド(過去)、ヴェルダンディ(現在)、スクルド(未来)の3姉妹。元は北欧神話に登場する女神である。かつて、歪んだ世界構造を正すためにドラゴン種族を絶滅させようとしたとされる。女神信仰を持つ人間の大部分は、ドラゴンとの混血種族である魔術士を極端に嫌っており、総本山である「聖都」キムラックは魔術士の立ち入りを一切禁じている。運命の三女神を信仰する宗教組織。異端の教師の暗殺を目的とした直属部隊「死の教師」を擁している。彼らは対魔術士用の戦闘訓練を受け、大陸に8振りしかない特殊な強化ガラスの剣やドラゴンが鍛えた道具を身に付けている。貴族連盟に従属する宮廷魔術士団。十三使徒=13人ではなく、100人以上のトップクラスの魔術士で構成されている。最高責任者は「王都の魔人」プルートー。牙の塔にもエージェントを派遣し、優秀な魔術士をスカウトしている。なお、15歳で審問に推挙されたのはキリランシェロ1人だけらしい。アルマゲストが領主として治めている土地。名前の由来は、ドラゴン種族の聖域に最も近い領地であるため。地理的にはアーバンラマのはるか西方、東部側のフェンリルの森付近らしい。1998年から2000年にTBSラジオで2期に分けて放送された。1998年から2000年に東京放送(現・TBSテレビ)で2期に分けて放送された。2000年8月3日に角川書店・ESPより発売されたPlayStation 2(PS2)用3Dアクションロールプレイングゲーム。ストーリーは4部構成で、全てをプレイすると物語の核心ともいえる第4部に進む。キャストはアニメ版に準拠し、フルボイスとなっている。なお、オリジナルキャラクターのデザインは草河遊也が手がけた。2002年3月7日には、廉価版『Sorcerous Stabber ORPHEN 魔術士オーフェン KADOKAWA THE Best』が発売された。北米・欧州では、『Orphen: Scion of Sorcery』のタイトルでActivision Inc. より発売された。E3 2000(2000年5月11 - 13日、会場:ロサンゼルス・コンベンションセンター)に出展され、北米では2000年10月26日、欧州では同年11月24日に発売された。いずれもPS2本体の発売日と同日で、本作は北米・欧州におけるローンチタイトルの1つとなっている。2005年7月21日に、小説『スレイヤーズVSオーフェン』をドラマCD化した『スレイヤーズVSオーフェン 〜史上最悪の邂逅〜』がキングレコードより発売された(規格品番:KICA-704)。全て発行元は富士見書房。
出典:wikipedia
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