アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦(アーレイ・バークきゅうミサイルくちくかん、)は、アメリカ海軍のミサイル駆逐艦の艦級。イージスシステムを搭載したイージス艦であり、海上自衛隊が保有するこんごう型・あたご型護衛艦に影響を与えた艦でもある。アメリカ海軍のミサイル駆逐艦。イージスシステムおよびトマホーク武器システムを搭載しており、元来はイージス艦として防空艦の任務を想定していたが、戦略環境の変化に伴い、現在では、海賊の取り締まりやトマホークによる対地攻撃など、様々な任務を遂行している。高価なイージスシステム搭載艦ではあるが、効率的な設計により、実に60隻以上にもおよぶ大量建造を実現した。なお、これは、第二次世界大戦後にアメリカ海軍が建造した水上戦闘艦としては最多である。1番艦の艦名の由来になっているのは、第二次大戦で活躍したアーレイ・バーク提督。1996年1月1日に彼が死去した際には哀悼の念を表するため、就役済の全アーレイバーク級駆逐艦が1分間、31ノットで航行した。これは、第二次大戦で彼が「31ノット・バーク」の異名で呼ばれていたことに由来している。本級は継続的な改良を続けており、イージスシステムによる優れた防空能力、トマホーク巡航ミサイルによる精密対地攻撃能力に加え、後期建造艦では多目的ヘリコプターを搭載、さらに現在ではミサイル防衛能力も保有しつつあり、あらゆる種類の戦闘に対応できる優秀な戦闘艦となった。なお、2005年にスプルーアンス級駆逐艦が全艦退役したため、アメリカ海軍が保有する駆逐艦は本級とズムウォルト級ミサイル駆逐艦のみである。アーレイ・バーク級のコンセプトは本来、1960年代後半より開始されていたDX/DXG構想にその起源を有する。これは、1970年代において旧式化の問題が予想されていた大戦型駆逐艦(アレン・M・サムナー級、ギアリング級など)の代替艦としての駆逐艦と、これをベースとして中距離艦対空ミサイルを搭載したミサイル駆逐艦の建造を行なうもので、1969年度から1974年度の間にDXを75隻、DXGを18隻建造する計画であった。1970年にはリットン造船所の案が採用され、DXとしてスプルーアンス級駆逐艦の建造が開始された。しかし、単価上昇によって、スプルーアンス級の建造数は31隻に削減され、DXGの建造はついに実現しなかった。この後、アメリカ海軍の防空艦の建造は、初の統合武器システムであるターター-D・システム搭載の原子力ミサイル巡洋艦(カリフォルニア級およびバージニア級)、さらには次世代の戦闘システムであるイージスシステム搭載のタイコンデロガ級といった巡洋艦クラスに重点を置いて進められることになるが、その一方、艦隊のミサイル駆逐艦の主力は、1960年代初頭に就役したアダムズ級であり、1990年代においては旧式化していることは明らかであった。そして、新世代の防空艦としての整備が計画されていたタイコンデロガ級は、アダムズ級の後継艦として大量建造するには、あまりに高価であった。このことから、1976年より、アダムズ級の後継艦の検討が開始された。当初の研究はDDX Studyグループによって行なわれ、アダムズ級駆逐艦の後継艦たるDDXのコンセプトを下記のように策定した。1980年、上記のコンセプトに立脚して、これをより洗練するためのDDGX研究が開始された。この研究は、トレードオフ分析によって、1990年代において最適な水上戦闘艦のコンセプトを策定するためのもので、一時はSPY-1に代わってCバンド・レーダーや回転式のレーダーを検討するほどに徹底的なものであったが、最終的にはDDXをもとに、攻勢的な長射程のウェポン・システムとしてトマホーク武器システムを選定するなど、これをより具体化したものとなった。これに基づいて建造されたのが本級、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦である。本級は、ロー・コンセプト艦として設計されたオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートより、ハイ・コンセプト艦として設計されたタイコンデロガ級に近い、中等コンセプト(Mid-Mix)艦である。すなわち、攻勢的な対地攻撃力をつかさどるトマホーク武器システム(TWS)と、卓越した対空戦闘能力を実現するとともに強力にして高価なイージスシステムを装備しており、また、上部構造物を全鋼製としたり、重要区画を分散配置するなど、残存性に十分配慮している一方で、対潜哨戒ヘリコプターの格納庫をもたず、航続距離も航空母艦やタイコンデロガ級に劣っているといった弱点がある。また、本級の大きな特徴が、艦全体をシステムとして合理化する設計がなされたことにある。上述のように、コンセプト策定時よりイージスシステム搭載を前提としていたことから船体設計は合理化され、また、フライト(Flight)とベースライン(Baseline)の考え方を導入したことで、継続的な性能向上が可能となった。すなわち、単艦ごとの性能向上策を排し、船体についてはフライト、戦闘システムについてはベースラインとして、複数艦を同一規格で建造することで、のちに一括してのアップデートを施すことが可能となったのである。本級は、1番艦の艤装中に冷戦が終結し、戦略環境が激変する中にあって、上記のコンセプトに基づき、順次に改良を施すことによって対応を続け、1番艦の就役から20年が経った現在でも、建造が続けられている。本級の合計建造数は62隻となる予定であったが、2008年7月には、アメリカ海軍長官が、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦の建造数削減に伴い本級を8隻追加発注すると発表、さらに2009年4月、ロバート・ゲーツ国防長官は、ズムウォルト級の建造数を3隻に制限、CG(X)の建造を中止するのに伴い、本型をさらに3隻追加発注する可能性を示唆し、実際に2011年9月にはDDG-113からDDG-115の3隻が新たに発注されている。また、この建造契約の中には、DDG-115の建造契約を獲得したバス鉄工所との間で、まだ計画途上のDDG-116の建造に関するオプション契約も盛り込まれており、最終的な建造数はなお流動的である。また、将来的には、最終ベースライン(60-63番艦)を基準とした改装が順次実施されることになっている。アーレイ・バーク級は、実際に建造されたものとしては初めて、開発時からイージスシステムの搭載が考慮された艦である。初のイージス艦であるタイコンデロガ級は、開発費低減のため、先行するスプルーアンス級の設計をもとにしてイージスシステムを搭載しなければならないという制約があり、どうしても機関の位置などの都合からレーダーが前後に分けられてしまうなど無駄が多く、その分重量が増えてしまった。それに対してアーレイ・バーク級では、まずレーダーの配置を決めてから各種設計をおこなっていったため無駄が少なくすみ、レーダー自体も理想的な位置への配置が可能となった。また、レーダーを一つにまとめたおかげで、レーダー自体の若干の小型軽量化ということにもなった。アーレイ・バーク級は建造費削減のために配管などの部分をスプルーアンス級と共通にしたり、内火艇を廃止して7メートル級複合艇を搭載するなどの工夫をしている。イージスシステム関連の重量の問題から各所で軽量化に気を配っており、例えば投揚錨装置は主錨、副錨、揚錨機各1基という同規模の艦に比べて貧弱なものになっている。これは、海上自衛隊では、2,000トン程度の小型艦(乙型護衛艦(DE))でのみ用いられる方式である。また、艦の安定性に重要な役割を果たすフィンスタビライザーも装備していない。その一方、中等コンセプト艦として、残存性にも十分な配慮がなされており、ベルナップ級ミサイル巡洋艦「ベルナップ」の衝突事故において、火災によってアルミ製の上部構造物が大損害を受けた教訓から、上部構造物は全鋼製となっている。さらに、戦後型駆逐艦としては初めて要所に装甲を施しており、70トン(一説では130トン)におよぶケブラー装甲が搭載されている。また、残存性向上策の一環として、ステルス性も考慮されている。一番特徴的なのはマストで、従来までの骨組みが剥き出しの伝統的なラティスマストではなく、平面を組み合わせた新型のマストとなっている。そのほかにも全体的に平面で構成するなど、各所にステルス性への工夫が見て取れる。なお、検討段階では実際に建造されたずんぐりむっくりの船体とほっそりした船体の二案が検討され、いずれも一長一短で甲乙つけがたかったために、最終的にコイントスで決定されたという冗談のようなエピソードがある。その後建造されたイージス艦が基本的に本艦をタイプシップとしていることから、ある意味1枚のコインが現代軍艦の歴史を決めたとも言える。アーレイ・バーク級のコンセプトにおいて、その主要な戦闘システムは、イージス武器システム(AWS)とトマホーク武器システム(TWS)の2つである。イージス武器システムは卓越した防空能力を実現する「盾」、トマホーク武器システムは攻勢的な対地攻撃力を実現する「矛」と位置づけられる。また、対潜戦闘システムとしてAN/SQQ-89統合対潜システムと軽多用途航空システム(LAMPS)の複合システム、近距離での対空・対水上戦闘を目的とした砲熕兵器システムとして艦載近距離防空システム Mk 15およびMk 34 砲兵器システムなどが搭載されており、これらが連接・統合されて、本級の戦闘システムは構築されている。本級の対空戦闘システムであり、また、指揮決定および武器管制の中核となるのがイージス武器システム(AWS)である。本級の搭載するあらゆる戦闘システムは、イージス武器システムの戦術情報処理装置である指揮決定システム(C&D)および武器管制システム(WCS)に連接されている。アーレイ・バーク級の外見上で最大の特徴は、艦橋周辺に貼り付けられた4基のAN/SPY-1 フェーズドアレイレーダーである。これは、イージスシステムの中心であり、その主たるセンサーである。本級の搭載するSPY-1Dは、タイコンデロガ級に搭載されていたSPY-1AまたはBの改良型で、艦橋構造物に4基すべてをまとめて搭載するなど配置の合理化により、A/B型に比べ小型軽量となっている。最大探知距離は500km、同時に追尾できる目標数は200以上と言われている。本級のミサイル装備の中心となるのが、Mk.41 ミサイル垂直発射システムであり、フライトI, IIではmod.2、フライトIIAのうちDDG-79-90ではmod.7、DDG-91以降ではmod.15が搭載されている。前甲板にMk.159 発射機(mod.2では29セル、mod.7/15では32セル)、後甲板にMk.158 発射機(mod.2では61セル、mod.7/15では64セル)を搭載している。このセル数は、建造当初に最重要視されていた対空戦闘シナリオである、「弾薬再補給前に、各数波よりなるソ連の2回の航空攻撃に対し、空母戦闘群(現 空母打撃群)内の1防空艦として対処する」という状況に対処することを目的に決定された。Mk.41は、スタンダードミサイルおよびESSMによる対空多目標対処、トマホーク巡航ミサイルによる対地精密集中攻撃、さらには自艦に近接した潜水艦脅威に対する迅速な垂直発射式アスロック(VLA) 発射など、本級の戦闘力の相当部分をつかさどっている。上記のように、冷戦時代には艦隊防空の重要性からスタンダードミサイルを中心に装備していたが、ソ連が崩壊し対艦ミサイルによる攻撃の恐れは低下したため、現在ではスタンダードミサイルの搭載数を減らし、トマホークの搭載数を増やしているといわれる。当初のフライトI, IIで搭載されたmod.2では、前後それぞれ3セル分のスペースを再装填用クレーンに転用していたが、再装填作業が実用的でないと評価されたことから、フライトIIAのmod.7では廃止され、その分はミサイル・セルによって充足された。また、フライトIIAでも、DDG-91以降の艦では、さらにベースラインVII仕様に改良されたmod.15が搭載されるようになっている。イージスシステムの対空戦闘において、攻撃の最終段階を担うのがMk 99 射撃指揮システムである。Mk 99の一部として、スタンダードミサイルの終末誘導を行なうイルミネーターとして、AN/SPG-62を前部(艦橋構造物上部)に1基、後部に2基の計3基搭載する。このレーダー1基で4発前後のスタンダードミサイルが誘導可能といわれており、これを3基搭載するアーレイ・バーク級は、12発前後のスタンダードミサイルを同時に誘導できることになる。トマホーク武器システムは、長距離の対地集中精密攻撃を担当する武器システムであり、従来は空母や船団などのHVU護衛という守勢的兵種に甘んじてきた水上戦闘艦に、攻勢的兵種としての地歩を付与した本尊である。TWSは、その性格上、艦上に配置される要素が極めて少ない。例えばAWSにおいては、任務が守勢的なものであり、また、多くの場合は急を要するものであるので、攻撃目標の選定は、SPY-1 レーダーからの情報をもとに、艦上の戦術情報処理装置およびオペレーターが実施する。これに対し、TWSは長射程であり、かつ攻勢的な作戦を実施するため、その攻撃目標の選定は、上級司令部や支援部隊、宇宙監視・通信システムなど、艦外の各種システムからの情報をもとに、艦長の厳格な直率によって実施される。さらに、AWSでは上述したような膨大な装備が必要となるが、TWSで艦上に配置されるのは、トマホーク巡航ミサイル本体と、それを発射するためのMk 41 VLS、攻撃計画策定を実施する洋上計画システム(APS)と、直接に攻撃管制を行なうトマホーク武器管制システム(TWCS)のみである。TWSは、投射できる火力量そのものは決して多くないとはいえ、極めて高精度の攻撃を実施でき、かつ、攻撃側の人的な損害の恐れが無いため、とくに非対称戦争における介入手段として多用される。現在、アメリカの戦闘艦でTWSを搭載する艦としては、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦やロサンゼルス級原子力潜水艦などがあるが、搭載可能なミサイル数および絶対的なユニット数において、本級はもっとも有力なTWS搭載艦であり、従って、TWSは本級の搭載する武器システムとして、極めて重要なものである。本級の対潜戦闘システムは、自艦の対潜戦闘を統括するAN/SQQ-89と、センサーおよび火力投射手段の延長としてのLAMPSという主として2つのシステムによって構成されている。LAMPSはその名称のとおり多目的なシステムであるので、本項ではSQQ-89についてのみ触れることとする。フライトIおよびフライトIIが搭載するAN/SQQ-89(V)6/9は、によって構成されている。対潜情報処理は、依然として人力に頼る部分が大きいため、SQS-53およびSQR-19の情報は直接にMk 116 対潜攻撃指揮装置に入力されており、LAMPSが投射したソノブイの情報のみが、SQQ-28によってAWSの戦術情報処理装置に入力された後、Mk 116に伝えられている。Mk 116 対潜攻撃指揮装置は、武器管制装置と射撃管制装置の役割を兼ねるものであり、これらの情報をもとに、Mk 32 3連装短魚雷発射管またはMk 41のVLAによる攻撃を管制する。これらは、スプルーアンス級駆逐艦の搭載システムを踏襲したもので、基本的には外洋における対潜水艦作戦を想定したものであった。しかし、冷戦構造の崩壊に伴う戦略状況の変化で、1990年代初頭より、アメリカ海軍は沿海域での作戦を重視したリットラル戦略を採用しつつあり、これに対応して、フライトIIAでは沿海域の浅海での戦闘を重視したAN/SQQ-89(V)10/15を搭載する。このバージョンでは、COTS化が進められるとともに、沿海域では使い勝手の悪いAN/SQR-19 曳航ソナーが省かれ、浅海域での情報処理に最適化された。対水上打撃力として、フライトIおよびIIではハープーン対艦ミサイルの4連装発射筒が搭載されていたが、コストと重量の関係から、フライトIIAでは省かれている。ただし、その攻撃管制用のAN/SWG-1 HSCLCSは残されており、必要なら搭載は可能になっている。また、対水上戦におけるセンサーである対水上レーダーとしてAN/SPS-67(V)3を装備している。なお、通常の航海に用いるレーダーとしてはAN/SPS-64(V)9を使用する。主砲として、艦首にMk 45を1門装備する。これは、Mk 34 砲システムの一部であり、その射撃管制は、AN/SPY-1によって行なわれるほか、Mk 46 OSS(光学照準システム)によっても可能である。Mk 45は、それまでのアメリカ海軍の5インチ砲が対空射撃を重視していたのに対し、対地・対水上射撃を主眼としている。これは、前任者であるMk 42が高発射速度を追求するあまりに信頼性の低下を招いたことへの反省とされている。また、DDG-81以降は砲身を62口径長に延長し、射程延伸と新型砲弾の使用を可能にしたMk 45 Mod4を搭載する。艦載近距離防空システムとして34番艦までは、艦橋構造物前方と後部SPG-62の後方にMk 15(通称「ファランクス」)を搭載している。これは、近距離の航空脅威に対処するための近接防空システムであるが、機動性が向上した短距離艦対空ミサイルであるESSMの実用化に伴って、35番艦以降では装備されなかった。ただし、後部の1基については、後に順次搭載されたほか、57番艦以降は就役時から搭載している。アメリカ海軍においては、伝統的に、巡洋艦以上はECM機能を有し、駆逐艦以下はESM機能のみとされていたため、アーレイ・バーク級フライトIにおいては、電子戦システムとして、ESM機能しか有さないSLQ-32(V)2を搭載していた。しかし、フライトII以降ではECM機能が付加されたSLQ- 32(V)3/SLY-2が搭載されており、フライトIにも順次バックフィットされている。上記のトレードオフ分析によって、アーレイ・バーク級のフライトI, IIではヘリコプターの格納庫は省かれたが、飛行甲板と給油機能は持たされており、また、ソノブイからのダウンリンクは受けられるようになっていた。その後、沿海域戦闘でのヘリコプターの有用性が改めて認識されたことから、フライトIIAで、H-60系のヘリコプター2機分の格納庫が設置された。搭載機は、さしあたってはSH-60B LAMPS Mk IIIであるが、将来的にはMH-60R ストライクホークによって代替される予定である。これらは、ソノブイや磁気探知機、ESMなどのセンサーと、短魚雷や対艦ミサイルなどの攻撃兵器を備えており、艦のセンサーや火力投射手段の三次元的な延長として運用される。フライト Iは、アーレイ・バーク級の基本形である。フライトIIは、フライトIから各種電子戦システムの改良や燃料搭載量の増加などの改造が加えられたタイプであるが、外見でフライトIとの違いを見分けるのは困難。数少ない判別点はマストの最頂部で、フライトIではマストと同じ角度で傾いているが、フライトIIでは煙突からの排気の影響を避けるため垂直になっている。ただし、現在では相当数のフライトIのマストがフライトII仕様に改修されているためあまり参考にならない。また、DDG-68-83のみがAN/SLQ-32A(V)3を装備していることもフライトIIの判別の助けとなるだろう。フライトIIAは、それまでの2つとは装備が大きく異なっており、最大の特徴はヘリコプターを2機搭載できる格納庫を備えたことである。本来は「フライトIII」と称されるべきであるが、予算獲得の都合上この名が付いている。アーレイ・バーク級は、空母機動部隊の一員としての艦隊防空艦として計画されたため、前任のチャールズ・F・アダムズ級と同様にヘリコプターの搭載設備を持たず、発着のみ可能なヘリコプター甲板と給油能力のみを備えていた。しかし、冷戦の終結とともに沿岸海域での作戦が重視されるようになり、ヘリコプターの必要性が改めて認識され、2機のLAMPS ヘリコプターを搭載することとなった。現在、艦載機としてはLAMPS Mk.IIIのSH-60Bが搭載されているが、将来的には、より多用途性が向上したLAMPS Mk.III Block.IIのMH-60Rへのバージョンアップが予定されている。このように航空艤装を強化したことに伴い、他の部分にも多くの変更が生じている。格納庫の都合上、艦橋後部に装備される2基のSPY-1D レーダーと後部VLS装備位置が上に移り、これに伴う重心上昇を補うため、ハープーン発射筒は取り外された。DDG-85以降では、近距離要撃性能に優れたESSMの実用化に伴って、更にファランクスCIWSも省かれている。ただし、ファランクスCIWSについては、後部の1基については一部艦でのちに再搭載されるようになった。ハープーン発射筒も必要に応じて前後煙突間に搭載可能である。また、ヘリコプター搭載に伴う着艦拘束装置(RAST)の装備スペース確保のため、曳航式ソナーの装備は廃止された。一方、沿岸域での活動に備えて、艦首装備のソナーは、機雷探知用の高周波発振器を追加したAN/SQS-53C(V)1に更新された。また、上記の通り、Mk.41 VLSも、ミサイル再装填用のクレーンを省いてセル数を増やしたmod.7とされ、DDG-91以降の艦では、さらにベースラインVII仕様に改良されたmod.15が搭載されるようになっている。mod.7/15のセル数は、前後合計で96セルである。DDG-91からDDG-94の4隻は、竣工時には遠隔機雷掃討システム()を搭載していたが、後に全て撤去されている。なお、2006年度(FY06)のDDG-112でいったん建造は終了したものの、CG(X)計画の中止に伴って、2010年度(FY10)より建造を再開した。FY10以降の艦は、基本的にフライトIIAの設計を採用しているが、搭載システムのアップデートなどの改設計が施されており、例えば建造再開後1号艦のDDG-113はベースライン9(ACB-12)を搭載する予定とされている。フライトIIAの再建造は、2016年度(FY16)までの11隻で終了し、同年度より、後述のフライト IIIの建造が開始される予定である。2013年度予算において、2016年度分1隻、2017年度分2隻が、フライト IIIでの建造として認可された。詳細な主要目は未だ策定途上だが、満載排水量は10,000トン程度となり、搭載するAWSはACB-20、イージスBMDシステムはBMD 6.Xに更新される計画である。これに伴い、艦のメイン・センサーとなる多機能レーダーも、従来のイージス艦が使用してきたAN/SPY-1ファミリーではなく、新開発のAMDR-S(Air and Missile Defense Radar S-Band)の採用が予定されている。ただし、AMDR-Sの大消費電力から、アーレイ・バーク級の船体規模で収まり切るかを不安視する指摘もある。
出典:wikipedia
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