AVE(アベ)は、スペイン国鉄(RENFE)が運行する高速鉄道システムの名称である。AVEは "(「スペインの高速」の意)の略称であると同時に、スペイン語で鳥の意味で、翼を広げた鳥が列車のシンボルマークになっている。車両は最初に開通したマドリードとセビリア間の高速新線ではフランスのTGVの技術供与を受けて造られたものが運用されているが、軌道・信号システムはドイツの高速新線用のもの (LZB) が導入されている。部分開業したマドリードとバルセロナの間の高速新線では、ドイツのICE車両のICE3を基本にしたヴェラロE(Velaro E、以前の名称はICE350)と、国内で開発されたタルゴ車両であるTALGO350が運用され、世界最高の350 km/hでの営業運転が実現する予定だったが信号システムの不具合のため、300 km/hにとどまっている。将来の延伸時、フランスのTGVをはじめとするヨーロッパ各国の高速鉄道網へ接続することを考慮し、スペインの他の広軌ネットワーク(レール幅1,668 mm)と異なり、標準軌(レール幅1,435 mm)を採用している。AVEは、セビリア万博の開催にあわせて1992年4月21日にマドリードとセビリアの間 (471 km) が開業した。マドリードとバルセロナの間の建設が進められ、2003年10月11日にマドリードとリェイダ間、2006年12月18日にリェイダとタラゴナ間が、そして2008年2月20日にバルセロナまで延伸開業した。マドリード・バルセロナ間では高速新線と従来の広軌路線をまたいで高速鉄道の電車では世界初の軌間可変電車Alviaが運行されている。座席数320で、クルブ(特等車)とプレフェレンテ(1等車)とトゥリスタ(2等車)の3クラスに分かれており、クラブとプレフェレンテでは食事サービスがあり、天井に設置されたモニターでビデオサービスが行われるなど、航空機との競争が強く意識されている。他のヨーロッパの高速列車で同様の一等車乗客へのサービスは、ユーロスター、タリス、スウェーデンのX2000などで行われている。30分以上の延着で料金の100%払い戻し、15分から30分以内の延着で料金の50%払い戻しの制度がある(2009年7月現在)が、実際には元々かなり余裕のあるダイヤ設定がなされているため、遅れることはほとんど無い。むしろ時刻表に記載された到着時刻より5分以上早く着くことが多い。1992年の開業前はTAV (Tren Alta Velocidad) と呼ばれていた。出典:MatérielAVEシステムの中心ハブは、マドリードのアトーチャ駅。AVEは高速長距離線、AVANT(アバント)は高速中距離線に与えられる名称。ALVIA(アルビア)は部分的に高速走行システムを使用するものである。当初の目的であったTGVとLGVペルピニャン・フィゲーラス線との接続は、2013年12月から営業を開始した。これによりスペインとフランスの間では乗り換え無しの直通運転が行われるようにる。当初は1日5便の運行を予定しており、バルセロナ‐パリ間が2本(所要約6時間20分),マドリード‐マルセイユ間(所要約7時間),バルセロナ‐リヨン間(所要約5時間)、バルセロナ‐トゥールーズ間(所要約3時間)が各1本運転される。現在、AVEはポルトガルの首都であるリスボンへ向けても延伸工事が始められている。この路線は重要な国境の駅がある都市バダホスを経由している。他の新線としては、ソリア・カラタユー間の路線も検討されている。カラタユーでソリアからの路線とバルセロナ・マドリードの路線と接続する。バルセロナへの路線は、バルセロナ・エル・プラット国際空港にも乗り入れる。また、同じシステムを採用したアリカンテへの路線も工事中であり、ガリシア州への延長も構想されている。スペイン政府は野心的な計画として2010年までに全ての州都と首都マドリードをわずか4時間、バルセロナと6時間30分で結ぶため7,000kmに及ぶ高速鉄道の建設を構想していた。評論家はこの計画で、スペイン内の列車の速度が大きく向上すれば、少ないコストで世界的に大きなインパクトを与えることが出来ると評した。計画がもし完全に実行されれば他の先進国に例を見ない高速鉄道網が完成する。スペイン国内には現時点でも、平均速度が60km/hを若干上回るだけの低規格な地方路線が存在している。AVEが整備されている都市間とそうでない都市間では、所要時間の点で大きな差が生じている。一例として、レオン・バルセロナ間は784kmを9時間30分要している。マドリードとの間にAVEが直接的に結ばれていなくても高速新線の整備によって新線を経由することで所要時間が大きく改善されている地域も多くある。スペインの鉄道インフラを管理するADIFで2007年3月30日に開催された役員会によると、総額10.3億ユーロに上る工事契約の承認がなされた。2005年1月1日のADIF発足以来、1回の役員会で承認された投資額としては最大規模となる。このうち、高速新線関連の契約額は8.9億ユーロと80%以上が高速新線関連契約となった。主な建設区間はポルトガル方面(マドリード-バダホス)の最初の区間、モンティーホ-バダホス間(20.2km)。この区間は貨物列車の走行も考慮されている。マドリード・バルセロナ間の高速新線は地質学的な問題から当初予定していた最高速度で列車を走行させることが出来ていない。地質学者はアラゴン州の弱い粘土地盤に建設されたことに関して批判的であった。路盤の近くでは穴も発見されている。このAVEの新路線はトンネルの設計、信号システム、列車の最高速度等、様々な失敗で大きく苦しんでいる。最近では、バルセロナの19世紀のもろい建築物の基礎の下に浅いAVEのトンネルを敷設する計画で約50,000人の居住者を激怒させた。その結果、バルセロナの前市長のジュアン・クロス・イ・マテウの政治的な将来を脅かした。サグラダ・ファミリアの建設にも大きな影響を及ぼすと報道されている。新幹線や中国高速鉄道はホームからアクセッサブルに乗車できる構造になっているのだが、AVEはデッキに3段の階段があって、車いす利用者は一人では乗車できない。乗車するためには発車40分前までに、駅のカスタマーサービスにヘルプの依頼が必要だ。いささか時代遅れな感じがしないでもないが、電動リフトが登場し、下車駅でも降車を手伝ってくれる。2013年7月24日午後8時40分(日本時間25日3時40分)スペイン北西部のサンティアゴ・デ・コンポステーラ近郊で首都マドリードからフェロルに向かっていた列車の脱線事故が発生。死傷者200人以上の大惨事となった。地元紙エル・パイスは、乗務していた運転士の一人が制限時速80キロの区間で時速200キロで走行したことを自慢する内容の書き込みをフェイスブックに残しており、非常識な速度超過が常態化していた事を指摘しているほか、2011年12月の路線開通当初から事故のあったカーブ付近では車両の走行が不安定になるとの指摘が出ていた事も報じている。
出典:wikipedia
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