コバルト (、) は、原子番号27の元素。元素記号は Co。鉄族元素の1つ。安定な結晶構造は六方最密充填構造 (hcp) で、強磁性体。純粋なものは銀白色の金属である。722 K以上で面心立方構造 (fcc) に転移する。鉄より酸化されにくく、酸や塩基にも強い。1735年、スウェーデンのイェオリ・ブラント (Georg Brandt) により発見。コバルトという名称と元素記号は、ドイツ語で地の妖精を意味するコーボルト (kobold または kobalt) に由来する。コバルト鉱物は冶金が困難なため、16世紀頃のドイツでは、コーボルトが坑夫を困らせるために魔法をかけたものと考えられていた。この金属は、日本国内において産業上重要性が高いものの地殻存在度が低く供給構造が脆弱である。日本では国内で消費する鉱物資源の多くを他国からの輸入で支えている実情から、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60日分を国家備蓄すると定められている。主要産出国は以下の通り(2011年実績)。特にコンゴ民主共和国の産出量は多く、年間産出量の53%を占める。単体金属としてのコバルトの用途はほとんどないが、主に合金として重要であり工業的に利用される。初期のコバルト合金は、高速度工具鋼にコバルトを添加したコバルトハイス鋼に用いられた。また切断工具材料としてそれまでの合金に添加されることで、コバルトの需要は増していった。ニッケル・クロム・モリブデン・タングステン、あるいはタンタルやニオブを添加したコバルト合金は高温でも磨耗しにくく、腐食にも強いため、ガスタービンやジェットエンジンといった、高温で高い負荷が生ずる装置などに用いられているほか、溶鉱炉や石油化学コンビナートなどでも十分に役割を果たす。またステライトに代表される、コバルト・クロム・タングステンあるいはモリブデン・炭素を使った4元系の合金は、磨耗に強く、表面強化が必要となる工業分野において幅広く利用され始めている。この合金は、鋳型として使用するほか、粉末として吹き付けることや溶射して利用することも可能であり、利用技術の発達によって、航空機の表面にコーディングすることなどをはじめ、広い分野で実用化が始まっている。加えてコバルト合金は他にも磁気材料として鉄とともに最も重要な役割を果たしてきた。コバルトを添加することにより、磁性やキュリー値が上昇するなど磁気材料としての性能が高まる。コバルトを使った合金のひとつであるアルニコ合金はかつては最も幅広く用いられていた永久磁気材料であった。サマリウムコバルト磁石はコバルトとサマリウムの金属間化合物で、強い保磁力がある。放射性同位体のコバルト60は、γ線源として用いられる。医療分野での放射線療法、ガンマ線滅菌、食品分野での食品照射(ジャガイモの発芽防止)、工業分野での非破壊検査などに広く利用されている。レオ・シラードにより、核開発への警告として発表された核爆弾の一種で、原子爆弾もしくは水素爆弾の周囲をコバルトで覆ったものである。具体的には、核反応が充分に進行しないうちに核物質が四散して爆発が不完全に終わることを防ぐ「タンパー」と呼ばれる重金属の覆いに、コバルトを用いる。コバルトの原子量は59であるが、核反応により放出される中性子を取り込むことでコバルト60が生成され、これが爆弾の爆発と共に広範囲へまき散らされる。コバルト60は半減期が約5.3年でγ線を放射するため、コバルト爆弾は放射線兵器となる。中性子爆弾と並び、SF作品の第三次世界大戦など核戦争で世界が破滅するジャンルによく使用されるが、コバルト爆弾は中性子爆弾と違って半減期の長いコバルト60による汚染をもたらすために味方にも被害が及び、被災地の占領も困難であるなどの理由から、実用化されることは無かった。
出典:wikipedia
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