抗うつ薬(、)とは、典型的には、抑うつ気分の持続や希死念慮を特徴とするうつ病のような気分障害に用いられる精神科の薬である。不安障害のうち全般性不安障害(GAD)やパニック障害、社交不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)にも処方される。投薬による結果がよくないため非推奨であるものに、摂食障害や急性ストレス障害がある。添付文書にて適応が認められていない慢性痛、月経困難症などへの適応外使用が行われる場合がある。適用外の処方には議論がある。アメリカにおいては、ケースによって司法省による制裁が行われている。多くの抗うつ薬は、効果の発現が2〜6週間遅れるが、効果はしばしば1週間後に見られる。しかしながら投与直後から、自殺の傾向を高める賦活症候群の危険性がある。日本でも添付文書にて、24歳以下で自殺念慮や自殺企図の危険性を増加させることを注意喚起している。WHOガイドラインでは12歳未満の子供については禁忌である。抗うつ薬の有効性が議論されており、現在では軽症のうつ病に対しては、必ずしも薬剤の投与は一次選択にはなっていない。また使用にあたっても1種類の抗うつ薬の使用が原則とされる。2010年には、精神科領域の4学会により、医師に対して不適切な多剤大量処方に対する注意喚起がなされている。抗うつ薬の使用は、口渇といった軽いものから、肥満や性機能障害など様々な#副作用が併存する可能性がある。2型糖尿病の危険性を増加させる。さらに他者に暴力を加える危険性は抗うつ薬全体で8.4倍に増加させるが、薬剤により2.8倍から10.9倍までのばらつきがある。急に服薬を中止した場合、ベンゾジアゼピン離脱症状に酷似した離脱症状(抗うつ薬中断症候群)を生じさせる可能性がある。離脱症状は、少なくとも2〜3週間後の再発とは異なり、数時間程度で発生し、多くは軽度で1〜2週間でおさまる。離脱症状の高い出現率を持つ薬剤、パロキセチン(パキシル)で66%やセルトラリン(ゾロフト)で60%がある。製薬会社は、特許対策のために分子構造を修正し似たような医薬品設計を行っていたが、2009年にはグラクソスミスクラインが神経科学分野での採算の悪さを理由に研究を閉鎖した。その後、大手製薬会社の似たような傾向が続いた。通称”スペシャルK”と呼ばれている麻薬の一種ケタミン(解離性麻酔薬)の抗うつ効果が注目されている。臨床的なうつ症状の有無にかかわらず、ケタミンは自殺願望に対して特異的に作用するらしいことが明らかとなった。麻酔導入薬・鎮静剤であるミダゾラムの有効性はケタミンよりも低かった。アメリカ国立精神衛生研究所による治療抵抗性うつ病に対するケタミン(0.5mg/kg 静注)のランダム化比較試験(RCT)では、迅速かつ堅牢な効果が認められた。投与から110分以内に効果が現われ、被検者の71%に反応し、29%の者が翌日には寛解の基準を満たした。被検者の35%は少なくとも1週間効果が持続した。WHOのガイドラインでは、成人のうつ病に対しての選択肢として提案されているが、一方で12歳未満には処方禁止、12歳以上の児童では第一選択肢から除外するとしている。WHO必須医薬品モデル・リストから選択することが望ましい。英国国立医療技術評価機構(NICE)の2004年のガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いという理由で、抗うつ薬を軽症うつ病の初期治療に用いるべきではないとしている;中等度あるいは重度のうつ病では、SSRIのほうが三環系よりも忍容性が高い;重度のうつ病では、抗うつ薬は認知行動療法のような心理療法と組み合わせるべきである。 NICEの2009年の改定されたガイドラインは、危険性/利益の比率が悪いために軽症以下のうつ病に抗うつ薬を使用してはいけない(Do not use antidepressants)としている。さらに、セントジョーンズワートは、軽症あるいは中等度で利益がある可能性についても言及している。アメリカ精神医学会による2000年の大うつ病性障害の患者の治療のための診療ガイドラインは、患者が望むなら、軽症の大うつ病性障害の最初の一次治療に抗うつ薬を投与してもよいとしている;電気けいれん療法が計画されていない、中等度から重度の大うつ病性障害では抗うつ薬を投与すべきである;精神病性うつ病には、抗精神病薬と抗うつ薬の併用、あるいは電気けいれん療法を用いるべきである。有効性は、概して分類間と分類内で同等であると示されており、最初の選択は主に個々の患者、患者の選択、医薬品と費用に関する臨床試験のデータの量と質から予想される副作用に基づく。日本うつ病学会の2012年の大うつ病障害の治療ガイドラインでは、軽症うつ病の場合、安易な薬物療法は避けるべきであり、中等度から重症のうつ病の場合、1種類の抗うつ薬の使用を基本とし、十分な量の抗うつ薬を十分な期間に渡って投与すべきであるとされる。寛解維持期には十分な継続・維持療法を行い、抗うつ薬の投与の終結を急ぐべきではないとされる。NICEのガイドラインでは、全般性不安障害(GAD)および強迫性障害(OCD)への第一選択肢は低強度の心理療法であり、それに効果を示さなかった場合は、選択肢の一つとしてSSRIによる薬物療法を挙げている。線維筋痛症(FMS)の疼痛管理選択肢の一つとしてガイドラインで挙げられている。抗うつ薬が効果を表すのは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質に作用するからであるとされている。しかし、三環系や四環系抗うつ薬では、抗コリン作用、抗α作用なども併せ持っており、そのために以下のような副作用が生じることがある。副作用は薬の種類によって細かく異なるため、注意が必要である。服用開始直後の吐き気については、これについては制吐剤(ガスモチンなど)や六君子湯などの併用によって緩和することが可能である。性欲減退についてはDNRIとの併用で解消できる場合があることが報告されている。SSRIの副作用には以下が含まれるが、これだけに限定されるわけではない:セロトニン症候群、吐き気、下痢、血圧の上昇、、頭痛、不安、神経過敏、情緒不安定、自殺念慮の増加、自殺企図、不眠症、薬物間の相互作用、新生児の薬害反応、、口渇、眠気、振戦、性機能障害、性欲減衰、無力、消化不良、目まい、発汗、人格障害、鼻血、頻尿、月経過多、躁/軽躁悪寒、動悸、味覚倒錯、排尿障害、傾眠、胃腸の不整、筋力低下、長期間の体重増加。三環系抗うつ薬の一般的な副作用:(参考リンク:口腔乾燥症、)、かすみ目、、目まい、振戦、性的な問題、皮膚湿疹、また体重の増減。三環系抗うつ薬の副作用には、心拍数、傾眠、口渇、便秘、尿閉、かすみ目、目まい、精神錯乱、性機能障害。毒性は、常用量で約10倍である;過剰服用では、致命的な不整脈を引き起こし致死的になることが多い。一方で、三環系抗うつ薬は、今なお特にうつ病の重症の症例での有効性を理由として、安価にまた適用外で用いられている。1998年の162のランダム化比較試験からのSSRIと三環系抗うつ薬の有害事象の比較レビューでは、口渇、便秘、目まいではSSRIのほうが半分程度の頻度であるが、吐き気、下痢、不安、興奮、不眠症ではSSRIのほうがおよそ2倍の頻度であり、副作用の合計数では、SSRIのほうが多かった。MAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬)(日本では未認可)の主要副作用を挙げる:MAOIは、熟成チーズや干し肉、酵母エキスのような多量のチラミンを含有する食品を摂取した場合、重篤な高血圧反応を生じさせる可能性がある。同じく、処方箋医薬品と一般用医薬品(OTC医薬品)に対する致命的な反応を引き起こす。MAOIで治療を受けている患者は、先に服用している処方箋医薬品と一般用医薬品を、処方医師によって詳細に観察される。そのような患者は救急治療室職員に情報提供し、MAOIに関する識別情報を持つことを必要とされる。一部の医師はの使用を提案しているが、反応は致命的な可能性があり、相互作用に起因する総死亡数と食事に関する懸念は、一般医薬品に対するものに匹敵する。ほかのMAOIの副作用を挙げる:肝炎、心筋梗塞、脳梗塞、てんかん。セロトニン症候群は、いくつかの医薬品を併用した場合のMAOIの副作用である。は、薬物動態に年齢による影響がないため高齢者に推奨される可能性があり、若い成人と同様に高齢者に良好な忍容性を示し、重篤な有害事象が少なく、加えて言えば、副作用の多いほかの抗うつ薬と同様の有効性がある;またモクロベミドは認知における有益作用がある。新しい世代のMAOIが導入されている;可逆性モノアミン酸化酵素A阻害薬(RIMA)として知られる、(マネリックス)は、うつ病に対しSSRIや三環系抗うつ薬と同様の有効性がある。より一時的かつ選択的に作用し特別な食事法を必要としない。NaSSIの副作用には、傾眠、食欲増加、体重増加が含まれる。2009年5月に公表された研究によれば、乳がん生存者が、抗がん剤のタモキシフェンの服用中にいくつかの抗うつ薬を用いた場合に、再発の危険性がある。双極性うつ病においては抗うつ薬が、SSRIでは頻繁に、軽躁と躁の症状の悪化あるいは誘因となる。妊娠中の抗うつ薬の使用は、自然流産の危険性の増加に関連している。妊娠は感情の変動の誘因となり、うつ病に対処することを難しくする。発達中の胎児と乳児に対する危険性と反している医薬品の中断と再発の危険性が、比較検討される。一部の抗うつ薬は妊娠中の胎児に対する危険性が低いが、FDAはパキシル使用時の出生異常の危険性について忠告しており、またMAOIは避けるべきである。新生児は、出生時に抗うつ薬の突然の中断により離脱症候群が現れる可能性がある。妊娠中の抗うつ薬の使用は、自然流産、出生異常、発育遅延の危険性の増加、自閉症の危険性が2倍に増加することに結びついている。抗うつ薬は、母乳中にさまざまな量で含まれているが、乳児に対する影響は不明である。2006年の『米国医師会雑誌』("JAMA")における産業的な公表では、妊娠中に抗うつ医薬品を中断することは再発頻度が高いことを見出した。米国医師会雑誌は後に、金銭的つながりや利害関係の衝突の可能性に言及して訂正を公表し、著者は、つながりは研究活動に関係していないと主張した。産科医で出産期医学者のアダム・ユレート(Adam Urato)は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』で、患者と医療専門家は産業の影響から自由な状態で助言される必要があると述べた。増量でも減量でも、抗うつ薬の服用量を変更した場合、自殺の危険性が2倍になることが認められる。159,810人のアミトリプチリン、フルオキセチン(日本では未認可)、パロキセチン、ドチエピンの使用者からの研究から、抗うつ薬の開始から1カ月、特に最初の日から9日目の間に自殺行動の危険性が増加したことが見出された。アメリカ食品医薬品局は、すべてのSSRIに、子供と若年者における自殺率(1000人あたり2人から4人)を2倍にする、という黒枠警告文を命じた。しかしながら、自殺は医薬品に起因するのか、うつ病自身の要素なのかという議論がある。25歳以下の成人の自殺傾向や自殺行動の危険性の増加は、子供と若年者でのものに近い。若い患者は、自殺念慮や行動の兆候を、とりわけ治療開始の8週間は、注意深く観察されるべきである。米国ではFDAの警告(2007年5月)以降に若年者の自殺死者数が増加している。FDA警告の結果、若年者の抗うつ薬治療が少なくなり、結果として自殺者が増えたとすれば問題である。2009年、英国『モーズレイ処方ガイドライン第10版』では、うつ病の治療が希死念慮および自殺企図を防ぐ最も効果的な方法であり、ほとんどの場合、抗うつ薬による治療が最も効果的な方法だとしている。米国精神医学界(APA)の治療ガイドラインでは、自殺予防の観点から抗うつ薬は特に急性期には必要と認識されている。男女ともSSRIの処方量が増えると、自殺率は低下する。若年者への投与の減少により、若年者の自殺率が増加している。睡眠障害により自殺率は上昇する。不安障害の併存により自殺率は上昇する。アルコールや物質依存により自殺率は上昇する。日本で最初にSSRIが認可されたのは1999年4月のフルボキサミンで、次にパロキセチンが2000年9月に認可された。日本の自殺者数が急増したのは1998年であり、自殺者数の統計ではSSRIの登場で増加傾向を示しているわけではない。食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システム(AERS)のデータのうち、殺人や暴力の基準を満たしたものを同定し、暴力が起きた件数の79%を31つの薬で占めたが、そのうち抗うつ薬は13つである。抗うつ薬全体では8.4倍、フルオキセチン(プロザック(日本では未認可)、SSRI)で10.9倍、パロキセチン(パキシル、SSRI)10.3倍、フルボキサミン(デプロメール、SSRI)8.4倍、ベンラファキシン(SNRI)8.3倍、(SNRI)7.9倍、セルトラリン(ジェイゾロフト、SSRI)6.7倍、エスシタロプラム(レクサプロ、SSRI)5.0倍、シタロプラム(SSRI)4.3倍、アミトリプチリン(トリプタノール、三環系)4.2倍、ブプロピオン(DNRI)3.9倍、トラゾドン(レスリン、デジレル)3.5倍、ミルタザピン(リフレックス、レメロン、NaSSA)3.4倍、デュロキセチン(サインバルタ、SNRI)2.8倍であった。抗うつ薬の服用者の年齢が下がるほど他害行為の傾向が見られた。抗うつ薬の使用は、高齢者の転倒と関連している。1か月以内に抗うつ薬を摂取していた場合、自動車事故の危険性が70%増加する。トリミプラミン、ミルタザピン、ネファゾドンを除くすべての主要な抗うつ薬は、レム睡眠を抑制し、これらの薬の臨床効果は、概してレム睡眠における抑制効果に由来するという説がある。抗うつ薬の3つの主要な種類、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)、三環系抗うつ薬(TCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、レム睡眠を大きく抑制する。MAOIはほぼ完全にレム睡眠を抑制する。ミルタザピンはレム睡眠に影響がないか、それを僅かに増加させるかのどちらかである。この作用は、長期間にわたり高用量の抗うつ薬を服用している患者の疲労を増大させる原因となる。多くの抗うつ薬(TCA、TecA、SSRIのグループからパロキセチン)は、通常は5〜25キログラムの範囲で、まれに50キログラム以上の体重増加に結びついている。約165万人からのメタアナリシスで、SSRIや主に三環系抗うつ薬であるほかの抗うつ薬の使用は、2年で2型糖尿病の危険性を68パーセント増加させる。抗うつ薬を急に中断した場合、頻繁に、身体と精神の両方に離脱の要素のある抗うつ薬中断症候群を生じさせる。離脱症状は、抗うつ薬を6週間以上服用した後に服薬をやめた数時間から1日程度で表れる可能性があり、少なくとも2〜3週間後であるうつ病の再発とは異なる。症状は軽度なことが多いが、少数は医師による治療が必要である。離脱症状は、SSRIのほか、三環系抗うつ薬、モノアミン酸化酵素阻害薬(日本では抗うつ薬として未認可)、非定型抗うつ薬(たとえばベンラファキシン、ミルタザピン、トラゾドン、デュロキセチンなど)で報告されている。デンマークにおけるノルディック・コクラン・センターの研究者は、SSRI中断の兆候と症状をベンゾジアゼピン離脱症状におけるものと比較し、両方に離脱反応として依存症症候群を示し、酷似していたと結論した。ほかの場所では、SSRIが依存症を引き起こすという懸念が持ち上がっている。抗うつ薬は、時計遺伝子として知られる転写因子と相互に作用する可能性があり、薬物の依存性(薬物乱用)とおそらく肥満に関与している。6〜9か月を超える長期の治療の場合、このプロセスは抗うつ薬の初期の急性効果を妨害する(臨床効果の減少)。薬物治療の終了時にこのプロセスのみとなって離脱症状を生じさせ、再発の脆弱さが増す。このプロセスは必ずしも可逆的ではない。それどころか多くの抗うつ薬が切り替えあるいは増強されており、反耐性が起きる。SSRI中断の離脱症状の一部を挙げる:怒り、不安、パニック、抑うつ、離人症、剥離、精神錯乱、集中力の低下、記憶の問題、号泣発作、幻覚、躁、せん妄、平衡感覚の問題、視覚障害、電撃の感覚、無感覚、知覚障害、むずむず脚、うずき、振戦、震え、パーキンソン、攻撃性、緊張。さらに、増量でも減量でも抗うつ薬の用量の変更が生じた場合、自殺の危険性が2倍になると見られている。離脱と反発の作用の強度を最小化するには、抗うつ薬は、減量に対する個人の反応に応じて、数週間から数カ月の期間継続すべきである。中断のためのアシュトンによる手順では、毎週か2週ごとに、残りの用量の10%の減量を勧めている。大部分の事例では、中断症状は最後の1〜4週間まで存続するが、おそらく15%までの少数の利用者は、離脱後1年間にわたり離脱症状が持続する。離脱症状の、出現率は全体では20%程度だが、パロキセチン(パキシル)で66%、セルトラリン(ゾロフト)で60%と薬剤によって異なり、血中半減期が短いものが出現率が高い傾向がある。パロキセチンとベンラファキシンは、中断が特に困難なようで、18か月以上持続する長期にわたる離脱症状がパロキセチンで報告されている。いくつかのピア・サポートのグループが、患者が抗うつ薬を徐々に減らすための支援を行っている。2013年に発行された『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版(DSM-5)では、抗うつ薬中断症候群(Antidepressant Discontinuation Syndrome)の診断名が追加された。SSRIを、境にしてグループにすることが一般的である。例えば、日本うつ病学会の診療ガイドラインは、SSRI、SNRI、ミルタザピンなどを、「新規抗うつ薬」としてひっくるめている。あるいは研究者はこれら新規抗うつ薬を第二世代と呼ぶことが一般的である。有効性では新規の抗うつ薬と従来の抗うつ薬とに違いはないとう見解は混在する、一定した結論はない。従来の抗うつ薬では、抗コリン作用による鎮静作用が強く、また自殺に用いられた際に死亡率が高い。忍容性においては新規の抗うつ薬であるが、24歳以下で自殺を誘発する賦活症候群や中止時の離脱症候群、また高齢者での死亡率の上昇など副作用の違いがある。どれが第一選択となるかということはない。最も初期の抗うつ薬であるが、日本では抗うつ薬としてはほとんど使われず、パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。もっとも古い抗うつ薬で1950年代に登場した。これらの薬のセロトニンやノルアドレナリンの再取り込みの阻害が後に発見され、改良につながっていった。三環系抗うつ薬の第1世代としてはアミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)、イミプラミン (イミドール、トフラニール)、クロミプラミン (アナフラニール)、 (スルモンチール)、ノルトリプチリン(ノリトレン)。三環系抗うつ薬の第2世代としてはアモキサピン (アモキサン)、(プロチアデン)、(アンプリット)が知られている。初期の抗うつ薬であるが使われ続けている薬である。その理由としては、有効性という点では新規抗うつ薬が優っているとは必ずしも言えず、抗コリン作用をはじめとした多くの副作用が存在するが、緊急入院患者のような重症では有効性が高い可能性があるという見解があるためである。特徴としては三級アミンは二級アミンと比べると、鎮静作用、抗コリン作用が強く、起立性低血圧も起こしやすい。鎮静作用と体重増加の作用はヒスタミンH1受容体に対する親和性と相関している。起立性低血圧はアドレナリンα1受容体との親和性に相関している。またTCAは内服中断後、1週間は体内にとどまると考えられている。危険な副作用としてはキニジン様作用といわれる心臓障害がある。ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害し、セロトニンの再取り込みは阻害しない。抗コリン作用はTCAよりも軽減されている傾向があるが、痙攣を起こしやすく、抗けいれん作用の強い抗不安薬(ジアゼパムやニトラゼパム)を併用することが多い。塩酸マプロチリン(ルジオミール)、塩酸ミアンセリン(テトラミド)、マレイン酸セチプチリン(テシプール)が有名である。フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、(日本未発売)、エスシタロプラム(レクサプロ)が知られている。急に服薬を中止するとSSRI離脱症候群が発現する恐れがある。強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害に適応があるものがある。双極性障害には気分安定薬と併用しない限り禁忌である。効果発現に2週間程度必要である。投与初期(1〜2週間程度)は悪心、嘔吐、不安、焦燥、不眠といった症状が出現することがあるが継続投与で軽快、消失する。持続することもある。セロトニン受容体に対する急性刺激と考えられている。少量ではセロトニン選択性であるが、高用量となるとノルアドレナリンの再取り込みも阻害するようになる。ミルナシプラン(トレドミン)、ベンラファキシン(イフェクサー)、デュロキセチン(サインバルタ)、(サーゾーン)が含まれる。SSRIよりも意欲を高めるといった効果が期待されている。TCAのイミプラミンに近い作用となるがセロトニンとノルアドレナリン以外の受容体と相互作用をしないため副作用は非常に少ない。頭痛、口渇、排尿障害といった副作用は報告されている。トラゾドン(商品名レスリン、デジレル)は、セロトニンの再取り込みを阻害する他、セロトニン5-HT受容体の阻害作用が強い薬物である。NaSSAは、Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressantの略。これまでのようにシナプスにおける神経伝達物質の再取り込みを阻害して濃度を上げるのではなく、セロトニン、ノルアドレナリンの分泌量そのものを増やす作用がある。α2ヘテロ受容体とα2受容体をふさぎ、セロトニンやノルアドレナリンが出ていないと錯覚させ分泌を促す。また、5-HT受容体にセロトニンが結びつきやすくするために、5-HT以外のセロトニン受容体をふさぐ。SSRI、SNRIと作用用途が違うため単剤処方で効果が薄いうつ病に対してはこれらの抗うつ薬を併用するカリフォルニア・ロケットという投薬が行われる場合がある。日本国内においては未承認である。ブプロピオン(商品名ウェルブトリン)が知られている。日本国内においては未承認である。が知られている。も参照のこと。なお、薬物治療抵抗性うつ病や再発性うつ病も含めた中等症から重症のうつ病にたいして抗うつ薬の効果の増強療法が選択される場合がある。#増強および併用を参照。抗うつ薬の効果は、副作用に関連するリスクを正当化するために偽薬をしのぐべきである。うつ病の重症度の評価にハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)が、しばしば用いられる。HAM-Dの17項目のアンケートからの最大スコアは52点である;高いスコアがより重度のうつ病である。何が薬に対する十分な反応に相当するのかについては十分に確立されていないが、寛解あるいはすべてのうつ症状の実際の除去が目標であり、しかしながら寛解率はまれにしか公表されていない。症状軽減の割合は、抗うつ薬による46-54%に対して偽薬では31-38%である。234の研究から、第二世代の13種の抗うつ薬(ブプロピオン、、、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン(日本では未認可)、フルボキサミン、ミルタザピン、、パロキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン)にて、年齢、性別、民族、併発疾患を考慮しても、うつ病の急性期、継続期、維持期の治療に対して、ほかのものを上回る臨床的に意味のある優越は発見されなかった。うつ病の薬物治療の有効性について、アメリカ国立精神衛生研究所によって委託されこれまでに最大規模かつ高額な費用がかかった研究、STAR*D (Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression) が実施された。その結果の概要は以下である。STAR*Dの各過程は14週間ごとであり、従って14週後における寛解率や脱落率を表す。この研究で比較されたどの薬の間にも、寛解率、反応率、寛解あるいは反応までの期間に、統計的あるいは意味のある臨床的な違いはない。ブプロピオン徐放錠、ブプロピオン、シタロプラム、リチウム、ミルタザピン、ノルトリプチリン、セルトラリン、トリヨードサイロニン、トラニルシプロミン、ベンラファキシン徐放錠が含まれる。2008年のランダム化比較試験のレビューは、症状の改善は、SSRIを使用して1週間目の終わりが最高で、いくらかの改善は少なくとも6週間継続したと結論した。SSRIのフルオキセチン(日本では未認可)、パロキセチン、エスシタロプラムとSNRIデュロキセチンと偽薬では、反応があった場合、偽薬のほうが改善度が緩やかだが、すべてで時間と共に改善していく傾向が見られた。しかし、抗うつ薬に反応しなかった患者の一部、全体に対する約25%の患者は、HAM-Dスコアが高いままで、8週間では偽薬より著しく高かった。これは抗うつ薬に反応しない場合、中止すべきことを示唆していると解釈された。うつ病は類似した症状を呈する異なる病因の病気の集合なので、抗うつ薬の予後が悪いことを示した。大うつ病性障害の定義は見当違いの可能性がある。抗うつ薬はうつ病の根本にある原因に効果があるかについて、2002年のレビューは、使用を終了した場合、抗うつ薬がうつ病の再発の危険性を減少させるという根拠がないと結論した。このレビューの執筆者らは、対人関係療法(IPT)と認知行動療法(CBT)を挙げ、抗うつ薬を心理療法と組み合わせることを提言した。2006年のシステマティックレビューは、増量を推奨する証拠がないことを確認した。パロキセチンの増量は、血中濃度では増加するものの、セロトニン受容体での占有率を増加させていないため、著者はSSRIの増量は推奨できないとしている。フルオキセチン(日本では未認可)、パロキセチン、、エスシタロプラム、セルトラリン、フルボキサミンでのメタアナリシスで、反応率は通常の開始用量の50.8%に対して高用量で開始した場合は54.8%であり、有害事象による中止率は通常量9.8%に対して高用量16.5%であり、有害事象のリスクのほうが高まった。三環系(イミプラミン、クロミプラミン)、四環系(マプロチリン)、SSRI(フルオキセチン(日本では未認可)、、フルボキサミン、ミルナシプラン、セルトラリン、パロキセチン、ベンラファキシン)、MAOIs(、、)、非定型抗うつ薬(ブプロピオン、、、ロリプラム)を、イミプラミン等価換算で有効性をメタアナリシスした研究があり、高用量は改善率を上昇させないが有害事象の発現率を上げていることが示されている。高用量の抗うつ薬によるハミルトンうつ病評価尺度の改善度は、9.97点であったのに対し、低用量では9.57点であり、臨床的には無視できるほどの差であった。解析に使用されたのは、フルオキセチン(プロザック(日本では未認可))、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ゾロフト)、ベンラファキシン(イフェクサー))、ネファゾドン(サーゾーン)、およびシタロプラム(セレクサ)のデータである。抗うつ薬が投与された30%から50%の間の患者が反応を示さない。着実な反応があった場合でも、うつ病と機能不全の有意な継続は一般的で、そういう事例では再発率は3から6倍高い。さらに、抗うつ薬は治療の過程で効果を失っていく傾向がある。これらの限界と変動を打開するいくらかの方法が実際の診療で試みられている。薬の切り替えと増強と併用である。STAR*Dでは、治療効果と遺伝子を解析し個人に最適化された投薬を探る目的があったが、そのようなデータは得られていない。欧州におけるNEWMEDS計画からも、セロトニン再取り込み阻害剤あるいはノルアドレナリン再取り込み阻害剤への反応性を予測する遺伝子との関連性は導き出せていない。アメリカ精神医学会(APA)の2000年の診療ガイドラインで、抗うつ薬による治療によって6から8週目までに反応がない場合、同じ種類の別の抗うつ薬に切り替え、次に異なった種類の抗うつ薬にすることを勧告している。この方法を用いたSTAR*D研究で報告された寛解率は21%であった。2006年のメタ分析レビューは以前の研究の研究結果に多様性を見出した;SSRI抗うつ薬に反応しなかった患者が、新しい薬に対して12%から86%の間の反応があることを示した。しかしながら、個人はすでに多くの抗うつ薬を試しているので、新しい抗うつ薬試験からの恩恵はなさそうである。また一方、後のメタ分析は、新しい薬への切り替えと古い薬の継続との間に、違いがないことを見出している;とはいえ、新しい薬に切り替えた場合、治療抵抗性患者の34%が反応し、切り替えなしでも40%の反応があった。従って、新しい薬に対する臨床反応は、違う薬を受け取っているという信念に関連した偽薬効果の可能性がある。アメリカ精神医学会のガイドラインは、部分的な反応に対して、増強あるいは違う種類の薬を追加することを勧めている。以下が含まれる:リチウム、甲状腺強化、、性ホルモン、NRI、糖質コルチコイド特性の薬剤、また新しい抗てんかん薬STAR*D計画は、この方法で30%の寛解率を報告した。併用戦略では、通常、作用機序が重ならないように異なる系統の抗うつ薬を追加する。とはいえ、この戦略の有効性及び副作用についてのエビデンスはまだ少ないので、より大規模な臨床試験で有効性等を実証する必要がある。STAR*D計画は、増強戦略で同じような寛解率を報告した。薬剤を切り替えるのではなく、併用して作用増強を図ることは、単剤での副作用を緩和したり、治療抵抗性又は重度の精神病症状の悪化と治療無反応性を改善する可能性があることを示している。シタロプラムへの抗精神病薬のリスペリドン(リスパダール)の追加は利点が示せなかった。フルオキセチン(日本では未認可)に追加したオランザピン(ジプレキサ)でも同様である。1960年代以降、抗うつ薬の服用はうつ病の長期的転帰を悪化させると繰り返し報告されている。1990年、は、うつ病に関する全国調査で抗うつ薬(イミプラミン)、偽薬、心理療法(2種類)を比較し、18ヶ月後の健康維持率について、心理療法(認知療法)を受けた患者群が最高(30%)、抗うつ薬を服用した患者群が最低(19%)と報告している。1998年、世界保健機関(WHO)は、うつ病のスクリーニングの意義に関する研究を世界15都市で実施し、12ヵ月後の転帰について、抗うつ薬を服用した患者群は薬物療法を受けなかった患者群に比べて健康状態が悪いと報告している。抗うつ薬の治療効果は一般的に薬物治療が終了すると続かず、結果として再発率が高い。31のプラセボ対照の抗うつ薬の試験の最近のメタアナリシスでは、研究期間のほとんどは1年であり、抗うつ薬に反応していた18%の患者が服薬中に再発したのに対し、抗うつ薬を偽薬に切り替えた場合41%であったことを見出した。アメリカ精神医学会のガイドラインは、症状の消失後、4〜5か月の抗うつ薬による継続治療を推奨している。うつ病エピソードの既往歴のある患者に対して、英国精神薬理学会の2000年の抗うつ薬によるうつ病治療のガイドラインは、最低でも6カ月から長くて5年あるいは無期限の抗うつ薬の継続を推奨している。5年の追跡によれば、1年以上薬剤を使用した患者群では再発率は23%で、6か月〜12か月間使用した患者群との違いはなかった。さらに、治療上の利益は治療過程の間に漸減した。急性期の治療における薬物療法の使用後の残遺期における心理療法を伴う方法が、いくつかの試験によって提案されている。抗うつ薬による治療を受けた再発性のうつ病患者40人で、再発した場合を除き抗うつ薬の投与を止めた場合の再発率は、2年後時点で臨床管理群(20人)では80%に対し認知行動療法群(20人)では25%、6年後時点で臨床管理群では90%に対し認知行動療法群では60%であった。抗うつ薬は脳内の化学的不均衡を正すという名目で処方されるが、科学的な根拠があるわけではない。1998年、アービング・カーシュらは、偽薬にも本物の薬の約75%の効果があると発表した。25%の差は、副作用を感じると本物だと分かり、被験者の期待感が高まるからだと説明した。分析には16種類の薬「アミトリプチリン」「イミプラミン」「アモキサピン」「マプロチリン」「フルオキセチン」(日本では未認可)「パロキセチン」「ベンラファキシン」「トラゾドン」「ブプロピオン」「」(日本では未認可)「」(日本では未認可)「」(日本では未認可)「アミロバルビトン」「」「リチウム」「リオチロニン」の臨床試験データが用いられ、これらを4つの群「TCA(三環系・四環系)」「SSRI」「他の抗うつ薬」「他の薬」に分けた。全ての群で偽薬は本物の薬に対してほぼ75%の効果であった。2002年、アービング・カーシュらは、情報公開法に基づき、製薬会社がアメリカ食品医薬品局(FDA)に提出した臨床試験データを入手し、分析を行った。公開されていなかったデータを含めると、75%ではなく、約82%であった。この発表は激しい議論を巻き起こした。2004年、コクラン共同計画は、本物の薬のような副作用を持つ偽薬(活性プラセボ)を用いてシステマティック・レビューを行ったが、偽薬と抗うつ薬の間に有効性の違いは見られなかった。アービング・カーシュは、副作用のない通常の偽薬は本物の薬との差が大きくなる可能性を指摘している。臨床試験データの隠ぺいに関する裁判で、グラクソ・スミスクライン社は全ての臨床試験データを開示することで合意した。医学雑誌編集者国際委員会は、一流医学誌では事前登録のない臨床試験を掲載しないとの声明を行い、世界保健機関による登録制度の構築や臨床試験の事前登録の議論へとつながった。2007年、抗うつ薬は米国で最も問題について議論される処方薬となった。一部の医師は、人々が問題の最終的な救いを求めているサインだと考えている。他はこれらの人々が抗うつ薬に依存しすぎていると反論している。2008年、アービング・カーシュらは、アメリカ食品医薬品局(FDA)に「フルオキセチン」(日本では未認可)「ベンラファキシン」「」「パロキセチン」の臨床試験データを請求し、分析を行った。英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインで臨床的意義があるとされる基準は、効果量(effect size)が0.50以上、または抗うつ薬と偽薬とのハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)得点差が3点以上である。結果は、効果量0.32、得点差1.8点(抗うつ薬9.6点、偽薬7.8点)で、偽薬は抗うつ薬の82%の効果であった。世界保健機関とその関連機関は、「パロキセチン」の未公表試験を含めてメタ分析し、偽薬は抗うつ薬の83%の効果であった。欧州の規制機関も、認可された抗うつ薬(SSRI、SNRI)の保有データを分析したところ、同様の結果であった。2009年、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)のトーマス・インセルは、偽薬効果を疑問視する証拠を挙げた上で、抗うつ薬の効果が全て偽薬効果だとしても、STAR*D計画における14週後の最適な寛解率である28%を受け入れるべきかと問い、数時間で寛解をもたらす「ケタミン」を次世代の抗うつ薬の目標にしている。2010年、ペンシルベニア大学、バンダービルト大学、コロラド大学、ニューメキシコ大学の別々の心理学者により行われた「パキシル」「イミプラミン」を対象とした研究では、軽症から中等度のうつ病に対して、偽薬との比較でほとんど改善度に差がないことが分かった。この研究は米国医学会誌に掲載された。2011年、英国国立医療技術評価機構(NICE)の臨床ガイドラインは、全般性不安障害(GAD)とパニック障害に対して長期的な有効性の証拠が存在するのは抗うつ薬だけであるとしている。厚生労働省によれば、強迫性障害の主要な治療はSSRIを主とした薬物、および認知行動療法であり、「クロミプラミン」「フルボキサミン」「パキシル」が挙げられている。2012年、『摂食障害国際ジャーナル』誌("International Journal of Eating Disorders")の報告では、摂食障害にはいかなる薬物治療の利益も示されていないが、48.4%が抗うつ薬を処方されている。2013年、うつ病に対する非定型抗精神病薬のメタ分析では、効果量は0.32〜0.34であり、抗うつ薬と同様であった。これらの抗精神病薬には、セロトニンやドーパミンを遮断する薬剤、セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA)と呼ばれる抗精神病薬が含まれる。日本の厚生労働省は、大うつ病性障害に対し、18歳未満に投与しても効果を確認できなかったとして、添付文書を改訂し医師に慎重な投与を求めるよう日本製薬団体連合会に要請した。対象は「レクサプロ」「ジェイゾロフト」「サインバルタ」「ルボックス」「デプロメール」「レメロン」「リフレックス」「トレドミン」の8製品である。第二次世界大戦が終わると、V2ロケットの燃料の1つであるヒドラジンの在庫を、製薬会社は非常に安価に入手し、構造を変化させて新しい化合物を作った。ホフマン・ラ・ロッシュ社は、ヒドラジン化合物のイソニアジドとに結核菌を死滅させる結核薬の特性を見出した。1952年には、この結核薬による治療によって、患者が楽しそうに踊りだすといった多幸症の副作用が知られ、その経緯で精神科の患者で試験され、1956年にはイプロニアジドのうつ病への有効性が見出された。イプロニアジドは、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)(日本では未認可)と呼ばれる種類の抗うつ薬である。同じ頃、三環系という種類の抗うつ薬も発見された。1856年にイギリスの化学者ウィリアム・パーキンが、コールタールから得られるフェノチアジンに似た化合物が染料として用いることができることを発見した。このフェノチアジンに似た合成染料のイミノベンジル系のサマーブルーから、スイスのガイギー社がイミプラミンを合成した。1955年にローランド・クーンが、イミプラミンをメランコリーで入院中の患者に投与し、1957年にはチューリッヒの国際精神医学会議において、うつ病患者の症状を軽減させたと報告した。翌1958年に、イミプラミンはトフラニールの商品名で販売された。また同じ頃に、うつ病を説明する仮説が生まれた。1954年に神経伝達物質であるセロトニンが脳内に存在することが報告され、1960年にジョージ・アシュクロフトにより、うつ病ではセロトニン濃度が低くなっているかもしれないという理論が提唱された。北米ではノルアドレナリンが関与していると考えられており、1965年にアメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)のジョセフ・シルドクラウトがうつ病のカテコールアミン仮説を提唱し、うつ病では脳内のノルアドレナリンが減少し、抗うつ薬はこれを増加させるという内容である。シルドクラウトの理論の根拠には、高血圧剤のレセルピンがウサギのセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの濃度を減少させたことや、偽薬と比較してレセルピンが抑うつと不安の症状を改善させたという『ランセット』誌の同じ号のすぐ前のページに掲載された論文がある。しかしながら、『ランセット』誌の同じ号に掲載されたすぐ前のページ、116〜117ページに掲載された論文はレセルピンの服用者が自殺傾向を示すというものであった。1970年代には、セロトニンの減少ではないという結論に達したが、抗うつ薬のマーケティングの際に利用されていった。ドーパミンの発見などで後にノーベル賞を受賞した神経科学者のアルビド・カールソンが、セロトニンの再取り込みだけを阻害する薬を作ろうとし、スウェーデンのアストラ社で抗ヒスタミン薬のクロルフェニラミンの化学構造を修正しを合成し、1972年に欧州のいくつかの国で特許が下り、1982年にツェルミドの商品名で認可された。しかしながら同じ年にアメリカ食品医薬品局の認可を得る際に、ギラン・バレー症候群という致命的な副作用が報告され、市場から消えた。これが世界初の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるとされる。後にクロルフェニラミン自体にセロトニン再取り込み阻害様の作用があることが明らかになったが、特許を取ることができず、特許がなければ臨床試験を行いマーケティングを行い販売し収益を確保するといった採算の見込みはない。ツェルミドに続いて、フランスのフルニエ社のジュラール・ル・フェールが、抗ヒスタミン薬の分子構造を修正したを開発し、アップステンの商品名で市場に出たが白血球減少の副作用ですぐに市場から消えた。はじめに市場に生き残ったSSRIは、フルボキサミン(ルボックス)であり、1983年にはスイスにて販売されたのを皮切りに各国で認可されていったが、ドイツでは臨床試験中に自殺と自殺企図が生じて承認されなかった。プロザック(日本では未認可)の認可は、アメリカとカナダで1988年、イギリスでは1989年であり、この頃までにはベンゾジアゼピン系の薬剤の危険性に関する話題は深刻になっており、不安障害の背後にうつ病があるとして販売された。頭文字を組み合わせたSSRIという単語は、スミスクライン・ビーチャム(後のグラクソ・スミスクライン社)が、パロキセチンのマーケティングのために作ったが薬の種類を指すまでに一般化した。パロキセチンは、1991年にイギリスでセロキサット、1992年にアメリカでパキシルの商品名で市場に出た。日本では2000年あたりから、パキシルのマーケティングのために軽症のうつ病を説明する「心の風邪」という言葉が用いられた。2003年から2004年にかけて、欧米でパロキセチンが小児の自殺を誘発するという試験が隠ぺいされていたという話題が持ち上がると、双極性障害の売り込みへと変わっていった。2010年ころから製薬会社は、既存の薬の構造を少し修正し特許を取得した模倣薬()を販売するという手法ではすでに収益の見込みがないとみて、グラクソ・スミスクライン、アストラゼネカ、メルクなどの大手製薬会社が精神科領域の薬の開発から撤退しはじめた。2012年には、グラクソスミスクライン(GSK)の違法なマーケティングに対して司法省は30億ドルの制裁を課したが、それには同社のパキシルの若年者で有効性を示さなかった研究と自殺の危険性を高めた研究の隠ぺい、FDAによる若年者に対する承認がないにも関わらず販売促進したことが含まれる。臨床試験にてアミノ酸であるNアセチルLシステイン(別称:アセチルシステイン、またはNAC)の摂取により、著しい効果がある事が証明された。NアセチルLシステインはLシステインの前駆体、安定体である。メカニズムとしては非常に強い体内抗酸化物質のグルタチオン生成に必要なNACが存在する事でグルタチオン量が増加・安定し、結果的に脳内ドーパミン量の増加、安定につながり、それが精神の安定へとつながる。グルタチオンは人体内でストレスや毒素に対しての対抗物質であり、一種のバッファー、バランサーの役割を果たしている。そのため体内グルタチオン量の管理は健康全般にとって重要である。NアセチルLシステインは基本的なアミノ酸であり、不足時に摂取すると全臓器や人体機能の全体的向上が認められる。特にストレスによっても発症する肝機能障害とうつ病の関連性は過去から指摘されており、それを証明した形となる。NACの摂取によって、近年の臨床試験により、症状が改善または完治する病気は幅広いことが判ってきたため、現在も様々な臨床試験が行われており、シンプルかつ明快、基本的な作用メカニズムから良い結果が期待されている。精神障害において幅広く現在臨床実験が進められている。精神障害では、ADHD、うつ病からアルツハイマー、パーキンソン病に至るまで効果が確認されており、有望な物質である。また、過大な処方をしない限り、重度の副作用はほぼ無いのも特徴である(人体換算20,000mg/日(20g/日)にてアレルギー症状を発生した例はマウスのテストではあるが、通常はその7分の1程度が最大の処方量であり、問題は無いと考えられる)。通常量で発生する一番頻度の高い副作用は、空腹時に摂取した際に多少の腹部の不快感である。体内で処理されるアミノ酸一種のため他の抗うつ薬の様な重篤な副作用が無い。他の抗うつ薬で発生する様な疾患などに対しても、NACの摂取によって改善が認められているため、ある意味正反対の反応である(例、イミプラミンでは口渇、倦怠感、脱力感、集中力低下、眠気、頭痛、めまい、立ちくらみ、便秘、頻脈の副作用があるが、NAC処方時にはこの副作用が全く無いどころか、逆にドライアイ、ドライマウス、倦怠感、集中力、頻脈については向上が見られるなど、全く逆の良作用が確認されている)。患者にとっては、副作用をあまり考える必要がなく効果を期待できる、摂取可能な数少ない物質である。NアセチルLシステインは基本的にアミノ酸であり、副作用が無いため薬物指定がなく、世界中でサプリメントとして販売されているので簡単に入手可能である。診療ガイドラインその他
出典:wikipedia
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