こぶとりじいさんは、日本の民話(昔話)。世界にも類例がある。老人が、鬼に質草として頬の瘤を取られる説話。一般的に二人の翁(年老いた男性)が連夜で鬼の宴に参加する型が多いが、民話の常として様々な類型があり、ストーリーも様々である。鎌倉時代の説話物語集『宇治拾遺物語』にも「こぶ取り爺(鬼にこぶとらるゝ事)」として収載されており、「ものうらやみはせまじきことなりとか」で結ばれている。この出典から京都民話や関西民話と思われがちだが、実際には琉球を含めた日本各地(蝦夷の原民話は除く)に広く伝わっている。アニメーションテレビ番組『まんが日本昔ばなし』で紹介されたストーリーでは、「正直じいさんが得をし、意地悪じいさんが損をする」という典型的な「隣の爺型民話」となっている。大筋は以下のとおり。変形として、以下のような変種も存在する。また、グリム童話にも類話「小人の贈り物」が収載されており、そこでは一人目の翁(または職人)に瘤がない。〈ものうらやみをしてはいけない〉という教訓的な言葉があり、同じ型の話は古く『宇治拾遺物語』第三話に見られるがその話をこの話の出発点とすることは危険である。日本の1623年(元和元年)には成立していた『醒睡笑』巻1と巻6とに前半と後半とが分離した話としてのっており趣向を異にしている。当時すでに〈鬼に瘤を取られた〉という奇異な話が世間に流布されていて、その話に多少の文飾が加わったと見るのが妥当のようである。この話は世界的に広く分布し、東洋では顔のこぶ、西洋では背中のこぶとなっている。踊りとともに歌詞の面白さ、巧みさ(「くるみわぱっぱ、ばあくるく、おさなげやあとの、おっかっか」「一ぼこ二ぼこ三ぼこ四ぼこ、俺も足して五ぼこ」「天狗、天狗、六天狗、俺も足して七天狗」「月火水、木曜日(金曜も足すとリズムが狂い西洋では小人に怒られる)」など)でこぶを取ってもらう話が多く、それによって富を得るのが古態となる話が多い。この話のテーマは鬼による山中のお堂や祠の近くでの酒盛りと踊りであり、これは山伏のおこなう延年の舞(出峰蓮華会の延年)である。また鬼の代わりに天狗が出てくる話もあり、山神、山霊の司霊者である山伏はしばし天狗と一体化される。昔は顔などに大きな瘤や肉腫を持った老人が多く、貧民は手術でとることもできず、出峰した山伏は村人、信者を金剛杖で打ち病気を治すが、これも瘤を取る宗教的呪術にあたる。瘤を取るとか厄を払うという呪術は入峰中に蓄積された験力の発揮であり瘤取り爺(鬼)のメインテーマは山伏の延年と呪験力である。験競の験力は究極すれば活殺自在といえるが、こうした力があれば病気を治すことも瘤を取ることも自在であると信じられたはずである。山から下った来訪神が不幸や災いを払って歩く様子を山伏が真似たものであり、験競の場には入峰で得たあらたかな験力で病気を治してもらおうとする人々が集まり、その中に瘤・肉腫をもった老人もいて山伏が印を結び呪文を唱えて気合をかければ跡形もなく取れた、と言うような話が『宇治拾遺物語』の説話へと変化していったのであろう。木こりの爺が雨に会い山神の神木である大木の洞に入り、この木の前に鬼が出現するので山伏の延年がおこなわれる必然性が説明できる。鬼は山神をあらわすがときに死霊的性格を持ち、このような洞穴から出入りする鬼は霊物のイメージがあり古代にはそれが墓であり古代の横穴洞窟葬を意味するからである。また爺さんの前に現れる鬼も、山中の淋しいお堂や大木の洞に入りそこで寝た経緯が、民話「化物寺」の廃寺に泊まり化け物に会うというくだりに似ており、話中の化け物寺の話の筋や歌が瘤取りの話に入り瘤取り爺さんの歌へと変化したものである。その鬼も「目一つ」や「口なき物」等100人あまりというのは「百鬼夜行」を表しそれを総じて鬼の一群と言い、また鬼である山神は眷属のお伴を連れ歩くと信じられており、その眷属は山神の子孫の霊物化であり、これが百鬼夜行の群行となり、話中の大将、親分の鬼は群れの中心の山神のことである。宇治拾遺物語の「こぶ取り爺」では、翁が「たゞ目はなをばめすともこのこぶはゆるし給候はん」と言っている。つまりは、「目や鼻ならば取ってもいいが、瘤だけは自分にとって大切なものであって、それだけは取らないでほしい」と懇願しているのである。それに対し、鬼たちは「かうをしみ申物なり。たゞそれを取べし」と言う。「これほど惜しむものならば(よほど福をもらすものであろう)、それを取ってしまえ」という意味であり、他にも、怖ろしいと思われている鬼が愛嬌者であるなど、随所で発想の転換がみられ、ユーモラスな話となっている。なお、太宰治の「瘤取り」では、酒好きで孤独なじいさんにとって「瘤」は可愛い孫のように愛しく孤独を慰める存在として描かれている。こぶとりじいさんで描かれている「瘤」は。これは良性腫瘍であるためここまで大きくなっても平気なのであり、もし腺癌などの悪性腫瘍であったならばここまで大きくなる前に他の臓器に転移してしまうと思われる。また、隣の翁が鬼につけられた他人の瘤は、拒絶反応により日時が経過すればそのうち取れる可能性がある。
出典:wikipedia
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