『ロッキー』("Rocky")は、1976年のアメリカ映画。配給会社はユナイテッド・アーティスツで、監督はジョン・G・アヴィルドセン。主演・脚本はシルヴェスター・スタローン。第49回アカデミー賞作品賞ならびに第34回ゴールデングローブ賞ドラマ作品賞受賞作品。また、2006年に米国連邦議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の中の1つである。その後の物語を描く続編が製作されており、『ロッキー2』、『ロッキー3』、『ロッキー4/炎の友情』、『ロッキー5/最後のドラマ』、『ロッキー・ザ・ファイナル』とシリーズ化された。フィラデルフィアに暮らす「三流」ボクサーロッキー・バルボアは本業のボクシングによる賞金だけでは生活していくことができず、知人である高利貸しの取立人を請け負いながら日銭を稼ぐというヤクザ気質な生活を送っていた。素質はあるのにこれといった努力もせず、所属するボクシングジムのトレーナーであるミッキーからもその落ちぶれた様に愛想を尽かされ追い出されてしまう。そんな自堕落な生活を送っていたロッキーにも生きがいがあった。近所のペットショップで働くエイドリアンの存在である。ロッキーの親友で、精肉工場で働くポーリーの妹であるエイドリアンに、ロッキーは恋心を抱き、毎日ペットショップへ足を運んでは話しかけるものの、内気で人見知りが激しいエイドリアンはなかなか打ち解けない。そんな妹に好意を寄せているロッキーを、ポーリーは奇異に思いながらも感謝している。ロッキーとエイドリアンは不器用ながら距離を縮めてゆき、やがてお互いになくてはならない存在になっていく。そんなある日、建国200年祭のイベントの一環として開催される世界ヘビー級タイトルマッチで、世界チャンピオンであるアポロ・クリードの対戦相手が負傷。プロモーターらは代役探しに奔走するが、そんな時アポロが「全くの無名選手と戦うというのはどうだ?」とアイデアを出す。無名選手にアメリカン・ドリームを体現させることで世間の話題を集め、自身の懐の深さを知らしめようという算段である。そしてアポロは、ロッキーが「イタリアの種馬(Italian )」というユニークなニックネームをもつというだけの理由で、対戦相手に指名する。ロッキーは両者の実力の差が歴然としていることや、自分がサウスポーであることから申し出を断るが、人気獲得のためにも何とかして試合を開催したいアポロは、半ば強制的に試合の開催を決定する。そしてロッキーの戦いは始まった。スポンサーを名乗り出るポーリーや、自身の豊富な経験からマネージャーになることを希望するミッキー、そして1つの生きがいであるエイドリアンが、ロッキーに自分が決して孤独ではないことを気づかせた。「今の自分には確かに人生の目的や愛、支えてくれる人たちがいる」。今まで経験したこともないような過酷な特訓を、ロッキーは耐え抜いた。試合前日の夜、ロッキーは「絶対勝てない」と弱音を吐いた後に呟く。「もし最終15ラウンドまでリングの上に立っていられたら、自分がただのゴロツキではないことが証明できる」そして試合当日、無名のボクサーと史上最強の世界チャンピオンの対戦。賭け率は50対1。アポロの優勢は誰の目にも明らかであった。ついにゴングが鳴った。挑発を交えながら攻めるアポロに、負けじと喰らい付くロッキー。しかし、最初のダウンを奪ったのはロッキーだった。ロッキーの予想外の善戦に、場内の雰囲気も異様な盛り上がりを見せ始めた。その後も激しい攻防が続き、第14ラウンド、アポロの強烈なパンチを受けたロッキーのダウンは致命的かと思われた。傷つくロッキーを見ていられないと控室で一人待つエイドリアンが、意を決して会場入口に姿を現したのは、くしくもちょうどその時だった。思わず顔をそむけるエイドリアン、もう起き上がるなと指示するミッキー、KO勝ちを確信するアポロ。しかしなんと、それでもロッキーは立ち上がり、不屈の闘志を剥き出しにして再びアポロに向かっていく。最終ラウンドを迎え、場内にはロッキーコールが巻き起こる。最終盤はロッキーの猛ラッシュ、よろめくアポロを最後のゴングが救い、試合は判定に縺れ込んだ。会場は興奮のるつぼ、ロッキーのもとには報道陣が詰め寄り何本ものマイクが向けられるが、ボロボロに傷付き目も塞がった状態のロッキーは、彼らそっちのけで、渾身の力を振り絞りエイドリアンの名を何度も叫ぶ。その姿は、「見てくれたかいエイドリアン、俺はやったよ、やったんだ!」と言っているかのようだ。エイドリアンもまたロッキーの名を幾度も叫びながら、観客の波を掻き分けロッキーの立つリングへと向かう。ジャッジが割れたことを前置きして告げられた判定結果は、僅差でチャンピオンの勝利であった。飛び上がって喜ぶアポロ。しかしロッキーとエイドリアンの二人には勝ち負けなど関係なかった。リングサイドではポーリーが、警備員にどやされながらもロープを引っ張りエイドリアンの行く道を開け、そこからリングによじ登ったエイドリアンはロッキーの胸へと飛び込む。「アイラブユー、ロッキー!!」「アイラブユー、エイドリアン!!」。二人は熱く、固い抱擁を交わすのだった。激闘を戦い抜いたロッキーが「エイドリアン!」と叫び、リング上でエイドリアンと熱い抱擁を交わすシーンは余りに有名であるが、実はもう一つのエンディングも用意されていた。戦いを終えたロッキーが1人控室に戻ると、そこで待っていたエイドリアンが小さな星条旗を取り出しロッキーに手渡す。そして2人だけで静かに裏口から会場の外に出て行くと言う物である。このシーンを使ったポスターも作られた。当時、映画のオーディションに50回以上落選していたスタローンは、ポルノ映画への出演や用心棒などで日々の生活費を稼いでいた。長い極貧生活を送っていたある日、彼は世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦のテレビ放送を観戦した。アリは当時世界最強と言われていたのに対し、ウェプナーはスタローン同様、繰り返す転職の中で日銭を稼いでいた。誰が見ても勝ち目がないウェプナーであったが、予想外の善戦を展開。試合はアリが勝利したものの、ウェプナーの繰り出したパンチがアリのわき腹を直撃しダウンを奪い、対戦後に「二度と対戦したくない」と言わしめた。スタローンは「アリをダウンさせたその瞬間、ウェプナーは偉大なボクサーとなり人々の心に永遠に刻まれる」と感じ、この出来事を基にわずか3日で脚本を書き上げ、プロダクションに売り込んだ。スタローンは本作の脚本をわずか3日で書き上げたが、当初のエンディングは「試合前にミッキーが歪んだ人種差別的思想を表し、それに失望したロッキーが試合を放棄して会場を去る」という、当時アメリカで隆盛を極めていたアメリカン・ニューシネマと呼ばれる陰鬱なものであった。しかし当時の妻がこれを読んで「私はこんなロッキー嫌いよ」と否定的な意見を述べたため、ハッピーエンドに変更している。プロダクションはその脚本を気に入り7万5千ドルという当時の脚本料としては破格の値をつけたものの、製作の条件として「主演にポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、アル・パチーノといった有名スターを起用する」ことを挙げて譲らなかった。それに対して「貧乏とはうまくつきあうことができる」スタローンも脚本料に目を眩ませず、自分が主演を兼任することに徹底的にこだわった。結果として、双方の長きに亘る交渉の末、という条件の下で製作が開始された。ステディカムを本格的に導入した、その最初期の著名な作品としても知られる。フィラデルフィア美術館前庭の階段、いわゆるロッキー・ステップをロッキーが駆け上がるシーンなどがその代表である。練習のシーンの撮影を市内でおこなった際、ステディカムをつかった小規模の撮影クルーだったため映画のロケとはおもわれず、本物のボクサーとまちがえた市民から声援をおくられた。特に、ロードワークシーンでは、果物屋の店主がロッキーにオレンジを投げ渡す場面があるが、これはこの店主が、撮影中のスタローンを本物のボクサーと勘違いしたことで起こった本来台本にないハプニングであり、それをそのまま映画に使用している。観客役のエキストラを「フライドチキンを配布する」というチラシで募集した。ほとんどが素人のため、撮影最終盤では統制を保てず、予定していたラストシーン(興奮した観客がロッキーを担いでいくというもの)を撮影できなかった。またメイク代を節約するために、負傷したロッキーの特殊メイクを少しずつはがしていくことで、最終ラウンドから第一ラウンドへと逆方向に撮影する変則的なやりかたをとった。エキストラやカメオには節約のためスタローンの家族達が出演している。弟のフランク・スタローンは序盤に登場する街頭で歌を歌って屯する若者達の一員として、父のフランク・スタローン・シニアはゴングを叩く役として出演した。スタローンの愛犬・バッカスも出演している。スタッフにも同様の節約がなされ、当時のスタローンの妻・サーシャはスチル写真のカメラマンとして参加した。監督のアビルドセンのギャラは相場の半額であり、プロデューサーのウィンクラーは自身の家を抵当にして予算を集めたという。製作後、スタローンは母を伴って映画監督を招いた試写会を開いたが、監督達は全くの無反応で、終了すると足早に退席した。これに深く失望したスタローンは母に「僕はやるだけやったよ」と答え、帰ろうと席を立った。すると出口前で退席した監督達が集まっており、万雷の拍手で迎えられたのでスタローンはとても感動したという。公開当初、無名俳優の書いた脚本をB級映画出身の監督が製作するという背景から、作品に対する周囲の視線は冷ややかだったが、映画は観客の心を掴み、瞬く間に全米だけで1億ドルの興行収入を記録。同年の第49回アカデミー賞で作品賞を獲得するなど、国内外の映画賞において群を抜く数の映画賞を受賞した。映画の主人公ロッキーが、生き甲斐を持てずに彷徨い続ける日々から一夜にして栄光を掴んだように、主演と脚本を担当したスタローンも、無名俳優から、この作品の大ヒットで一躍スターダムに上り詰めるという、二重写しの快挙となった。不器用で口は悪くも根は優しいロッキーと、ボクシングジムのトレーナーであるミッキー、親友のポーリー、そしてポーリーの妹で後に恋人となるエイドリアンが織り成す人間味溢れるドラマや、ビル・コンティ作曲の が多くの観客の心を掴んだ。低予算での製作であり、主人公であるロッキーさながら、限られた条件の下、やれることはなんでもやったといった風な力作で、それが映画の世界観にとっては好結果となっている。ベトナム戦争への軍事介入を機に台頭したアメリカン・ニューシネマにより、ハッピーエンドや英雄へのアンチテーゼが最盛を極めたが、本作品の出現が「個人の可能性」「アメリカン・ドリーム」への憧憬を再燃させ、アメリカン・ニューシネマの終焉を決定的なものとした。キネマ旬報では、委員選出、読者選出共に外国語映画で1位となった。エイドリアンのペットショップはユニバーサル・スタジオ・ジャパンのニューヨーク・エリアで再現されている。『ロッキーのテーマ』を始め、シリーズの中で使用された音楽に対する評価は高く、以下のとおり様々な場面で使われている。
出典:wikipedia
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