神宮前駅(じんぐうまええき)は、名古屋市熱田区三本松町にある、名古屋鉄道(名鉄)の駅である。駅番号はNH33。駅名の由来となった熱田神宮の東側に位置する名鉄主要駅のひとつ。名古屋本線および常滑線が乗り入れており、以前より両線乗換駅としての役割を担っていたが、金山方面の複々線化による常滑線全列車の金山駅乗入れ、および金山総合駅の整備によって同駅の利便性が向上したため、乗換拠点としての役割は金山駅へと移りつつある。ただし、運転面としては依然として重要な役割を担っている。瀬戸線を除く運転の管理を行う運転指令所が駅ビル内に併設されているほか、名古屋本線や名岐間支線などを担当する名古屋乗務区(2005年(平成17年)に名古屋運転区、名古屋車掌区を統合して発足)や知多半島方面を担当する神宮前乗務区が配置されており、一部の列車を除き運転士や車掌が当駅で交代する。また、知立乗務区と犬山乗務区に所属する乗務員も本線直通運転時は当駅までを担当している。当駅は名鉄のみの単独駅で他鉄道路線との連絡などは行われていないが、当駅のすぐ横を東海旅客鉄道(JR)東海道本線が並走しており、駅北約500mの場所には熱田駅がある。また駅西方から南方にかけて名古屋市営地下鉄名城線が通っており、駅南約700mほどの位置に伝馬町駅、熱田神宮を挟んだ西側に神宮西駅がある。知多半島西岸を発祥とする愛知電気鉄道(以下愛電)は1912年(明治45年)2月18日に傳馬町まで開業。その後同年(大正元年)8月1日には秋葉前まで、翌年8月には神宮前まで路線を伸ばし、常滑 - 神宮前間の路線全通をみた。同駅は単線跨線橋で東海道本線の西側から東側に渡った場所に設置され、愛電本社(後の名鉄本社)も建設された。跨線橋の前後は大きくカーブ(半径100m)し、勾配も27.8‰と急だったため20km/hの速度制限があった。わざわざ東海道本線を跨いだのは貨物連絡および名古屋方面延伸や有松線建設を見越したものだったが、同跨線橋および運河橋の建設費が膨大となり愛電は経営難に陥った。同社は経営改善のために有松線の建設を急ぐことになる。先述した理由により東海道本線東側に設置された神宮前駅だったが、名古屋電気鉄道(市電)熱田線からの乗り換えは運河に架かる御田橋や東海道本線踏切を通る必要があり、不便だった。そこで愛電は駅本屋を西側に新設することを計画し、1934年(昭和9年)5月1日に西口駅舎を設置した。 他方、貨客輸送の増加とともに単線跨線橋の線路容量不足が表面化していた。特に貨物輸送は当時貨車授受設備が東口側にしかなかったため、単線跨線橋を渡らざるを得なかった。これを解消するため愛電(合併で1935年(昭和10年)より名鉄)は1942年(昭和17年)7月10日に傳馬町(1946年(昭和21年)休止)から複線路線を西口駅舎へと伸ばし、常滑線列車を西口ホーム(通称:西駅)へと発着させた。 これにより単線跨線橋を渡るのは貨物列車と築港線直通の列車に限定された。なお、1944年(昭和19年)には西駅側からの国鉄渡り線も設置されている。西駅を建設した当時は旧名岐鉄道と連絡する東西連絡線を西駅と結ぶ計画だったが、後に変更され1944年(昭和19年)9月1日に東側から新名古屋へと結ぶ東西連絡線が開通した。1948年(昭和23年)5月12日には名岐線(西部線)が電圧1500Vに昇圧。常滑線列車も1950年(昭和25年)7月以降は次第に単線跨線橋を渡って名古屋本線や犬山線へ直通するようになり、再び単線跨線橋の線路容量が問題となった。反対に貨物列車と築港線直通が西口発着となる。駅南方では国道1号の平面交差も問題となっていたため、名鉄は跨線橋の架け替えを兼ねて付近の高架化および線形改良を行うことにした。まず1955年(昭和30年)12月16日に国道一号を立体交差化された。その後1962年(昭和37年)12月16日に現在の複線跨線橋へと架け替えられ、勾配は以前と比べて増した(27.8‰→33.0‰)が、カーブの半径は緩和(100m→300m)された。この時点ではまだ西駅への線路は残されており列車の発着も継続していたが、その後のダイヤ改正で旅客の定期・不定期運用が廃止されて貨物専用駅となった。だが、名古屋臨海鉄道の開業に伴い貨物業務も同社へと移譲され、1965年(昭和40年)9月2日には神宮前駅での貨物連絡運輸が廃止され、西駅も廃止された。西駅廃止後、西口は1979年(昭和54年)11月10日に出改札業務が終了し、駅舎は解体された。跡地は1983年(昭和58年)9月になって駅ビルが建設され、現在に至っている。神宮前 - 金山(金山橋)間の複々線化は、東西連絡線開通間もない頃より本線東部・常滑線の混雑緩和のため構想されており、市道跨線橋も複々線化に対応した構造となっていた。複線跨線橋へ架け替えられたことにより同計画も本格化し、関連事業として神宮前駅の配線変更が1984年(昭和59年)8月26日に実施された。この変更で以前は1・2番線が名古屋本線、3・4番線が常滑線の路線別配線だったのが、現在の方向別配線へと変更された。また、この配線変更で3番線に存在したダブルスリップスイッチが解消され、ホーム長が6両分しかなかった3・4番線は豊橋・常滑方面に40m延長し、8両対応化された。配線変更に当たって常滑線の複線跨線橋をそのまま使用したため、以前は3・4番線に繋がっていた常滑線線路を2・3番線へ繋ぐことになり、結果として2-4番線は豊橋・常滑方面が図のようにやや曲線状になっている。また、3・4番線は名古屋本線との立体交差のために勾配があったのに対して1・2番線は水平だったため、新たに2番線から立体交差させるためホームの嵩上げが行われた。営業を継続しながら嵩上げを行うため、工事では油圧ジャッキを用いてプラットホーム全体を支え、配線変更と同時進行で実施された。その後1990年(平成2年)4月1日には金山 - 神宮前が複々線化され、現在の配線が完成した。1階がプラットホーム、2階が改札口となる橋上駅舎を有している。改札口は1ヶ所。自動券売機、改札機、精算機を備える。自動改札機は東芝製が設置されており、ICカードmanacaが使用可能。バリアフリー設備としてはエスカレータが2本のホームの各堀田・豊田本町方の階段部分と、駅舎への入り口に上り方向のものが設置されている。エレベータは改札を入り、トイレの奥に各ホームとを結ぶ所にあるが、改札外のエレベータはパレマルシェ神宮のものを利用することになっており、東口にはない。島式ホーム2面4線の地上駅。1番線は名古屋本線豊橋方面からの、2番線は常滑線からの名鉄名古屋・名鉄岐阜方面行きの列車が発着し、金山方面からの列車は常滑線方面が3番線、名古屋本線方面が4番線に発着する。両ホームは跨線橋で結ばれており、常滑線方面と名古屋本線の豊橋方面を相互に利用する旅客が乗り換えに利用できる。なお、特急および快速特急の乗り継ぎについては、中部国際空港 - 岐阜系統と豊橋 - 新鵜沼系統との接続が考慮されている。かつて運行されていた豊橋と中部国際空港とを結ぶ特急は、当駅の構造上折り返すことが出来ないことおよび利便性などの理由から、隣の金山駅で方向転換を行っていたため、当駅に2度停車していた。平日の朝を中心に、名鉄名古屋方面からの当駅止まりの列車も存在する。3番線から名鉄名古屋方面へ折り返せるように片渡り線が設置されているが、通常は使用されないため、車両は大江駅や豊明検車支区などへ回送される。何らかのトラブルが発生した時も当駅で打ち切られることがあるが、同様の理由で大江駅や太田川駅のほか堀田駅や鳴海駅まで回送される。回送列車、団体列車、試運転列車も旅客列車と同じく当駅で乗務員の交代を行うため、運転停車する。回送列車の場合自動放送では、「回送電車です。ご注意下さい」と放送される。北西方へ(金山駅まで1駅間)は方向別複々線。複々線相互の転線ができないため、多くの場合この複々線の内側線は、常滑線の延長・金山駅乗り入れ線として運用されている。発車標はLED式2段表示。以前はソラリー式2段表示(それより昔の1980年代後半頃までは行灯式表示)のものが使われていた。特急列車乗車位置表示は金山駅とは異なり更新されておらず、以前よりデジタル式のもの(東岡崎駅・知立駅・名鉄岐阜駅などでも見られる)が使われている。案内表示には隣接する金山駅・名鉄名古屋駅と同じく、日本語の他に英語・中国語・朝鮮語・ポルトガル語の表記がある。名古屋本線の鳴海駅方面や常滑線から本線・名鉄一宮駅方面や犬山線・津島線に直通する列車の中には当駅で種別変更を行う列車が多数設定されている。特に、昼間帯の津島方面への直通列車はすべて当駅で種別変更を行っている。なお、逆の方向への列車が種別変更をする場合はすべて名鉄名古屋駅(かつては栄生駅で実施していた列車もある)で行うため、鳴海駅や太田川駅方面へ向かう列車で当駅で種別変更する列車は1本もない。かつて、駅のすぐ北側には、名鉄名古屋本線・常滑線とJR東海道本線を含めた8本の線路をまたぐ踏切(JR東海御田踏切と名鉄神宮前1号踏切)があり、いずれの路線も本数が多いため開かずの踏切となっていた(特にJR東海側は通過列車に合わせて比較的長い遮断時間となる)。なお、歩行者は踏切横にある歩道橋の利用が可能であるが、利用者はあまり多くない実情があった。遮断時間を可能な限り短縮するため、手動で遮断機を上げ下ろしする踏切となっており、更に踏切全体を3つに区切って別々に動かせるようになっていて、「全開」・「閉鎖」の他にその内の一部の踏切だけ上げられる「半開」があった。これは、自転車・歩行者のみが通行できるように遮断機を半分だけ上げるものである。しかし2007年、この踏切で2度にわたり「半開」状態で列車が進入・通過をする事案があった。列車は神宮前駅を発車した直後で速度が出ていなかった上、踏切を通過する歩行者や自転車がいなかったため一人も負傷者を出さなかったが、重大事故につながるインシデントであったことから、以下のような安全対策をとることになった。2度目の事故発生後、名鉄は名古屋市と話し合いを進め高架線に切替えて踏切を撤去する意向を示していた。また、列車の誤通過を防ぐために1・2番線に速度超過検知用のATS線上子を多数設置した。しかし、安全対策もむなしく2008年11月に死亡事故が発生し(これ以前の2002年などにも死亡事故が発生している)、中日新聞社会面でも大きく報道されるなど社会的影響もあった。その後、この踏切は廃止が決定し、従来の歩道橋は廃止のうえ旧道路付近にエレベーター・スロープ付きの歩道橋を新設することが計画された。当初は2010年に完成する予定であったが延期になった後、市および名鉄とJRの協議がまとまり、2012年7月1日をもって踏切は廃止となった。廃止の後、自転車が通行可能な歩道橋が整備され、2016年度末に供用を開始する予定である。なお、踏切廃止後は車両の通行が不可能となったが自転車を除いて特段の代替路は整備されず、既存の道路(熱田陸橋・秋葉アンダーパス)を経由する必要がある。また、現存の歩道橋は事業の進捗に合わせて撤去される。1974年までは西口の前に名古屋市電の熱田神宮前電停があり、乗り換えが可能であった。当駅の駅前(道路の反対側に熱田神宮)にあり、名古屋市営バスの路線が発着している。かつては名鉄バス(バス停名は神宮前。後に市バスの神宮13に変更)も鳴子方面へ発着していたが現在は廃止されている。2012年に運行終了となった名古屋競馬場への無料送迎バスも発着していた。東口より北へ約200mに位置に所在している。
出典:wikipedia
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