遺留分(いりゅうぶん)とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合をいう。被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には相続開始とともに相続財産の一定割合を取得しうるという権利(遺留分権)が認められる()。また、子の代襲相続人にも遺留分権は認められる(・2項・3項・)。遺留分権を有するこれらの者を遺留分権利者という。民法の相続規定は原則として遺言によって排除しうる任意規定であり、相続財産は被相続人が生前処分や死因処分によって自由に処分することができ、推定相続人の相続への期待は権利として保障されないのが原則である。しかし、相続が相続人の生活保障の意義を有する点、また被相続人名義の財産には相続人の潜在的持分が含まれていることが多く、これを顕在化させる必要がある点などにかんがみ、相続財産の一定割合については、強行規定として、遺留分という相続財産に対する権利が認められる。遺留分は、被相続人の処分によって奪うことができない。ただし相続廃除や相続欠格に該当した場合は、この限りではない。遺留分は被相続人の兄弟姉妹以外の相続人にのみ認められ、被相続人の兄弟姉妹に遺留分はない()。なお、子の代襲相続の場合の代襲相続人にも遺留分は認められる(・2項・3項・)。したがって、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人とその代襲相続人が遺留分権利者となる。遺留分の割合は相続人(遺留分権利者)の構成により以下のように異なる。これによって算出される被相続人の財産全体に占める遺留分の割合を抽象的遺留分という。そして、遺留分権利者が複数いる場合、遺留分全体を民法の法定相続分の割合に従って分配することになる。この各遺留分権利者が取得することになる遺留分を具体的遺留分という。遺留分を放棄した者には遺留分は帰属しないことになる。相続の開始前における遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要である(1項)。共同相続における遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない(同条2項)。遺留分は被相続人の財産を基礎として算定されるため、まず、算定の基礎となる被相続人の財産の範囲を確定することが必要となる。算定の基礎となる財産は被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して算定する(1項)。具体的な遺留分の額については、遺留分算定の基礎となる財産額にで定められた遺留分の割合を乗じ、遺留分権利者が複数であるときは遺留分権利者それぞれの法定相続分の割合を乗じ、さらに、遺留分権利者が特別受益財産を得ているときにはその価額を控除して算定する(最判平成8年11月26日民集50巻10号2747頁)。遺留分とは(一定の遺族に留めておくべき相続分)を定めた制度であって、ここにいう一定の遺族とは、配偶者、直系卑属、直系尊属を指す(民法1028条)。遺言によって、被相続人の自由な財産の処分を保障する一方で、残された相続人の生活を保障するため、遺留分制度を設け、一部制限している。明治民法下では、家督相続が中心であり、もっぱら遺留分制度は、戸主の自由な財産処分を制限して、家産を散失を防ぐことが目的であったが、昭和22年の家族法改正を経て、家督相続は廃止された。しかし、遺留分制度はほとんど手を加えられることなく残った。そのため、現代の遺留分制度は相続人の平等を保障する(均分相続の原則)、被相続人の遺贈や生前贈与など、特定の相続人に財産を集中させようとする意思を制限する機能を有することになった。戦後の遺留分の機能を積極的に肯定する意見も多かったが、近年の高齢化社会では、子が相続する時点で、すでに子は生活基盤を築いて(子も高齢になって)おり、遺留分を生活の保障とする見解には疑問が生じている。遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から、1年間行使しないときは、時効によって消滅する(前段)。相続開始の時より10年を経過したときも同様である(後段)。前段の「減殺すべき贈与があったことを知った時」とは、贈与・遺贈があったことを知り、かつ、それが遺留分を侵害して減殺できるものであることを知った時をいうとするのが判例である(大判明治38年4月26日民録11輯611頁)。なお、は遺留分減殺請求権そのものを対象とする規定であり、遺留分減殺請求権が行使された結果として生じた目的物返還請求権はの消滅時効にはかからない(最判昭和57年3月4日民集36巻3号241頁)。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。