性同一性障害(せいどういつせいしょうがい、英:Gender Identity Disorder, GID)・性別違和は、『生物学的性別(Sex)と性の自己意識(Gender identity、性自認)とが一致しないために、自らの生物学的性別に持続的な違和感を持ち、自己意識に一致する性を求め、時には生物学的性別を己れの性の自己意識に近づけるために性の適合を望むことさえある状態』をいう医学的な疾患名。やや簡潔に『性の自己意識と生物学的性別が一致しない状態』とも説明されている。その病状を持つ者は性同一性障害者(せいどういつせいしょうがいしゃ)、GID当事者(ジーアイディーとうじしゃ)などと呼ばれる。また日本などにおける診断名のみならず、身体的な性別と性自認が一致しない人に対する幅広い表現としてトランスジェンダーという言葉がある。なお、体の性の変異に関わる性分化疾患、性的指向に因る同性愛や性自認によるものではない異性装とは根本的に事象が異なる(後述参照)。診断分類である『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)の、2013年の第5版(DSM-5)は、性別違和(せいべついわ、英:gender dysphoria)という新しい診断名を用いている。ただし日本精神神経学会では診断名としては「性同一性障害」を使用していると報道された。
性同一性障害ではなく性別違和に改称する動きがある。人は、『"自身がどの性別に属するかという感覚、男性または女性であることの自己の認識"』を持っており、これを性同一性という。大多数の人々は、身体的性別と性同一性を有するが、まれに自身の身体の性別を十分に理解しているものの、自身の性同一性に一致しない人々もいる。そうした著しい性別の不連続性(Disorder)を抱える状態を医学的に性同一性障害という。過去には一般に性別は身体や染色体によって決まるもので身体の性と性同一性は一体のものと考えられてきたが、生まれつき染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態にある性分化疾患の症例を研究するうち、性分化疾患の場合、身体の性と性同一性はそれぞれ必ずしも一致しない場合があることがわかった。性同一性障害は、何らかの原因で、生まれつき身体的性別と、性同一性に関わる脳の一部とが、それぞれ一致しない状態で出生したと考えられている。このため、性同一性障害を抱える者は、自身とは反対にある身体の性別に違和感や嫌悪感を持ち、生活上のあらゆる状況においてその性別で扱われることに精神的な苦痛を受けることが多いとされる。そうした、終生まで絶え間なく続く苦痛のない、普通の生活を送るために治療を要し、時に身体や生活上において、自身と一致する性別への移行をすることがある。日本では、こうした性同一性障害を抱える人々への治療の効果を高め、社会生活上のさまざまな問題を解消するために、平成15年7月16日に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律を公布し、翌年に施行している。この法律により、定められた要件を満たす性同一性障害者は、戸籍上の性別を変更できるようになった。日本国外では、多くのヨーロッパ諸国、アメリカやカナダのほとんどの州で、性同一性障害者のために、1970年代から1980年代より立法や判例によって法的な性別の訂正を認めている。日本を含めこれらの国の法律は、性別適合手術を受けていることを要件としているが、新たに21世紀において立法したイギリスとスペインでは、性別適合手術を受けていることを要件とせずに法的な性別の訂正を認める法律を定めた。性同一性障害は、Gender Identity Disorder の訳語であり、医学的な疾患名である。国際的な診断基準として、世界保健機関が定めた国際疾患分類 ICD-10、米国精神医学会が定めた診断基準 DSM-IV-TR があり、医師の診察においてこのいずれかの診断基準を満たすとき、性同一性障害と診断する。日本の性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律では、同法における「性同一性障害者」の定義を、としている。日本における性同一性障害の診断と治療の指針である日本精神神経学会「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン (第3版)」において、とある。性別違和症候群 (gender dysphoria) は、元来、性転換症 (transsexualism) よりも、広範な概念を持つ。1980年のDSM第3版で性同一性障害 (gender identity disorder) が診断名として採択された。2013年のDSM-5(第5版)では再び性別違和(同じ gender dysphoria だが症候群がない)の診断名となった。性別違和の用語は、が、2006年に()と改称されるまで性同一性障害と同意の内容を示すのもとしてアメリカ精神医学会を中心に使用されてきた。なお「gender dysphoria」の中の「dysphoria」は違和感を意味し、ギリシャ語の「δυσφορια」に由来する(悪や苦痛を意味するδυσと、耐えることを意味するφοροςとの合成語で「不快」の意味)。現在も性別適合手術を受けていなくても当事者の法的性別変更を許可した英国のにおいて当事者に言及する際用いられているほか、オランダなどで米国の精神医学の紹介に関して性同一性障害の別称としてこの「性別違和症候群」という表現が用いられている。「性同一性」とは、医学界における “Gender Identity” への伝統的な訳語であり、『"男性または女性としての自己の統一性、一貫性、持続性"』『"自身がどの性別に属するかという感覚、男性または女性であることの自己の認識"』という意味をもつ。その他の訳語として「性の自己意識」「性の自己認知」「自己の性意識」「性自認」、カタカナ表記として「ジェンダー・アイデンティティ」があり、いずれもほぼ同義である。より一般的でわかりやすい表現として「心の性」がある。人々のうち大多数の者の性同一性は、生物学的性別と一致する。身体が男性で性同一性は男性、身体が女性で性同一性は女性である。人々のうち性同一性障害を抱える者の性同一性は、生物学的性別と一致しない。身体が男性で性同一性は女性、身体が女性で性同一性は男性である。この『同一』とは、「心の性と身体の性が同一」という一致不一致の意味ではなく、アイデンティティー(同一性)、「環境や時間にかかわらず等しく変わらない」という意味においての『同一』である。性同一性障害は、性同一性そのものに異常や障害があるわけではなく、また性同一性が“無い”わけでもない。性同一性障害を抱える者も、そうでない大多数の者も、一様に人はそれぞれに性同一性を持っており、いずれも概して正常である。大多数の者は性同一性と身体の性とが一致し、生来からそれを疑うことなく意識しないほどに至極当然であるため、自身の性同一性を客観的に実感したり認識したりすることが難しい。性同一性は、性的指向(恋愛の対象とする性別)とは切り離すことのできる概念であり、性同一性がどちらの性別であるかに関して、性的指向はその基軸にはならない。性的指向は相手がいることで成り立つが、性同一性はあくまで自分一人の問題、自己の感覚や認識である。人は物心ついた頃から、おおむね幼年期や児童期頃には自己としての性を認識するが、その多くは他者に恋愛感情を持つことで初めて認識するわけではない。性同一性は、単なる「男らしさ、女らしさ」とも別である。たとえば女性的な男性がすなわち性同一性が女性というものではない。「自分は男らしくない男性」と自覚していても、自己としての性の意識が男性であれば、性同一性は男性である。性同一性(性の自己意識・自己認知)の概念は、性分化疾患(生殖器や性染色体などの身体的性別が非典型的な状態)の事例を解釈するため提唱されたことに始まる。多くの性分化疾患の当事者を長期にわたって見守るうち、身体とは別個にある「性の意識」、いわば「その人自身の真の性別」とも言えるその存在を認めるよりほかない事例がいくつも生じたのである。この「性同一性」の概念が提唱された際、たとえ性分化疾患とはいえ、どこかに性別を客観的に判定し得る基準があるはずと考えられてもきたが、同じ性染色体の構成や内外性器の形態であっても、単純にファルスの長さだけでは性の判定はできない。当事者の性の意識は性染色体や内外性器からも独立していることがわかり、けっきょく性別は本人の自己意識によって決定するほかない。性分化疾患を患った乳幼児に対する手術にいち早く警鐘を鳴らした学者らは、「脳も、性に関わる器官と認めなければならない」「人間の脳は男女差のある性的二形のものであり、乳幼児の性別を決めるという重大な決定がその後の本人に幸せをもたらすかは予測できない」と勧告した。以上の事例や経緯によって、「性同一性(性の自己意識)」の存在、そして「身体の性」と「性同一性(性の自己意識)」はそれぞれ別個であり、ひとえに「身体」が人の性別を決定づける根拠とはならないことが明らかとなった。性同一性障害を有さない大多数の者においても、もし出生してまもなく反対の性に手術を施され、戸籍も扱いもその性別にされた場合、性別の不一致による苦悩や困難に直面する可能性が高いといえる。一つの例え話として、もし仮に人生半ばで何らかによって自身の身体の外観を失い、性別を外から判定できず、家族や知り合いもいない、戸籍などの証明書も消失した場合、周囲に対してどのように自身の性別を認めてもらうか。「自分は男性・女性だ」と自己の性の意識にしたがって訴え、それを何とか受け入れてもらうしかない。その〈男性〉としての、〈女性〉としての認識や感覚、そして自身がそれを信ずる確信は、はたしてどこからやってきて、どこに起源があろうか。人の性同一性の形成は、環境要因による後天的なものか、生物学的な要因による先天的なものかは長く論じられてきた。この論争において有名な症例として「"ジョン/ジョアン症例 The “John/Joan” case"」がある。性同一性の形成の決定的な要因は明らかとなっていないものの、この症例によって、生まれる前の生物学的な要因が関わっていることは確かであるといえる。また、脳には胎児期の性分化によって生じる構造的な男女の差があり、その一部には性同一性との関連が示唆され、性同一性は胎児期の性分化においてほぼ形成される先天的なものとみられている。胎児期における性分化(男性型・女性型への分化)の機序は極めて複雑かつ数多くの段階をたどる。その過程は、一つでもうまく働かないと異常を起こし得る至妙な均衡のうえに成り立っており、性分化疾患の多様な事例など、人の性は必ずしも想定される状態に性分化、発達するとは限らない。胎児の性分化では、性腺や内性器、外性器など、身体のさまざまな部位の性別が決定された後、脳にも構造的な男女の差を引き起こす。男女差が認められるいくつかの細胞群のなかには、性同一性に関わっていると推定できる箇所がある。もし、性分化疾患とは違って身体は典型的な状態に発育する一方、脳が部分的にその身体とは一致しない性への性分化を起こしていたと仮定すると、出生時には難なく身体によって性の判定がなされ、身体も典型的に成長し、家庭や社会においても疑いなくその性別として扱われることになるが、おそらく本人の性の自己意識はそれとは別の性となる。性同一性障害は、性の自己意識と生物学的性別とが一致しない状態である。生物学的な要因が推測されており、何らかの原因によって、脳と身体とがそれぞれ一致しない性別へ性分化し発達したものと考えられている。このため、自身の身体の性への違和感や嫌悪感、性の自己意識に一致する性への一体感や同一感を、強く持続的に抱くこととなる。性同一性障害を有する者は、「本当は男性」「実は男性」等といった、身体の性別、出生時に判定された性別を基準とする言われ方に対して嫌忌することが多い。性同一性障害を抱える者は、もし生来から自身の性同一性と同じ性別の身体で生まれてさえいれば、何ら違和感を持つこともなく普通にその性としての人生を過ごしてきたはずであり、人格や自己の性が“途中で変わった”わけではない。当事者は「異性になりたい」のではなく、「本当は女性(男性)なのになぜ身体が男性(女性)か」という極めて率直な感覚を胸中に持っていることも多く、当事者自身にとっての「本当の性別」とは、まさしく自分を自分たらしめる自己意識にしたがった性別である。FtM にとっての「本当の性別」は男性であり、MtF にとっての「本当の性別」は女性であり、だからこそ現にその性別としての人生を過ごしているといえる。性同一性障害の当事者の一部には、上記の概念のうち主として「同性愛」あるいは「ニューハーフ」と重なることはあるが、これらはその個人としてのありかたの一つであり、多くの当事者は上記の全ての概念と重ならない。諸々の概念はそれぞれとしての事象であり、それぞれとして明確に区別して考える必要がある。性同一性障害を抱える者は、性の自己意識と身体の性とが一致しない以外は一般の人々となんら変わりはない。そして多くの当事者は、性の自己意識に基づく性別での普通の生活をすることを第一義としている。身体的性別も公にしたがらないため、いたずらに自身が性同一性障害の当事者であることをわざわざ周囲の人に告げることもない。とくに、戸籍上の性別の変更をすでに終えた当事者の場合、自身が性同一性障害であったことすら意識せず平静な日々を送っていることも多い。性同一性障害の当事者が世に表立つことはほとんどないため、大多数の人々は性同一性障害の実際を目にする機会は少ないといえる。インターネットによる情報収集の際にも、言うまでもなく信頼性のある資料に当たることが大切である。インターネットは玉石混淆のメディアであり、医療機関や専門医、当事者有志による適正な解説もある一方、専門医でも当事者でもない者が、性同一性障害の実際を知らぬまま、誤解を基盤とした差別や偏見、狭く限られた個人的な体験による私感や私情等を根源とする言葉が存在することもあり得る。性同一性障害を専門の一つとするある医師は、インターネット上での性同一性障害に関する情報において、なかには誤謬のあるものや、悪質な嘘偽りも多く存在する、との旨を記している。また、インターネットの匿名性においては、実際に性同一性障害との医学的な診断を受けたわけでもなく「自分は性同一性障害」と自称することも容易である。現在「性同一性障害」という、名こそ広く知られているが、その反面、この疾患名を知る人々の全てが、必ずしもこの疾患概念を正しく把握しているとも限らない。とくに同性愛や男装、女装との混同など、いまだ正しい認識があまねく浸透しているとは言えない。そのような状況にあって、ある者が「性同一性障害」という言葉を用いた時、もしくはある者が「自分は性同一性障害」と自称した時、その者が、同性愛や趣味による男装や女装のことを性同一性障害だと誤認して用いている場合もあり得る。医療者において、性別違和を主訴とする症例を「primary」と「secondary」(「一次性」と「二次性」)にわける分類がある。また、日本では「中核群」と「周辺群」(Core & Periphery groups) という分類もある。この二つの分類法は、内容は一見すると似ているが、それぞれの概念や発祥、経緯等が別々で、同一にはできない。医師によって分類の定義がやや異なることがあり、かつ過去において定義の変遷を経ているが、おおむね以下のような分類となる。原因は解明されていないが、『身体的性別とは一致しない性別への脳の性分化』が有力で、これが主たる原因と考えられている。人の胎児における体の性分化(男性化・女性化)の機序は極めて複雑であり、数多くの段階をたどる。その過程は、一つでもうまく働かないと異常を起こし得る至妙な均衡のうえに成り立っており、多くの胎児では正常に性分化し発達する一方、性分化疾患におけるさまざまな事例など、人の体の性は必ずしも想定される状態に性分化、発達するとは限らない。胎児期の性分化では、性腺や内性器、外性器などの性別が決定された後、脳の中枢神経系にも同様に性分化を起こし、脳の構造的な性差が生じる。この脳の性差が生ずる際、通常は脳も身体的性別と一致するが、何らかによって身体的性別とは一致しない脳を部分的に持つことにより、性同一性障害を発現したものと考えられる。男女の脳の差が明らかになるにつれ、この生物学的な要因を根拠づけるいくつかの報告がある。ヒトの脳のうち、男女の差が認められる細胞群はいくつか存在し、そのうちの分界条床核と間質核の第1核とが、人の性同一性(性の自己意識・自己認知)に関連しているとみられる示唆がある。分界条床核と間質核の第1核は、女性のものより男性のものが有意に大きいが、生物学的男性の性同一性障害当事者 (MtF) における分界条床核や間質核の第1核の大きさを調査した結果、女性のものと一致していた。また、性ホルモンに関わる遺伝子に特徴が示されている研究結果もある。性同一性障害の症状のその原因は、『性の自己意識と身体の性との不一致』による。単に性別違和を感じることがすなわち性同一性障害ではない。単に、性格が「女っぽい」「男っぽい」から性同一性障害、個人の性分として「男らしいこと」「女らしいこと」が好きあるいは嫌いだから性同一性障害、といったものでもない。性同一性障害の診察や診断は、その知識を持つ医師によっておこなわれる。上記の症状や診断基準の一覧を用いて、たとえば自分で一つずつ照合するだけでの医学的な診断はできない。また、ほんの僅かでも自身の性別に違和感があったり、少しでも性役割に抵抗を感じたりすることをもって、ただちに「自分は性同一性障害」と断定したり思い込むのは的確ではない。周囲の者が知識もなく安易に「それは性同一性障害」と仕向けることも適切ではない。思春期におけるさまざまな変化や、何らかのきっかけによって、一時的に性の意識が混乱する場合もあり得る。いずれにしても、性別違和とその苦悩が強く持続的である場合は、専門医療機関による診察を受けることが適切といえる。実際に性同一性障害を有する者は、幼児期や児童期の頃からすでに何らかの性別の違和感を覚えることが多い。性同一性障害を抱える者それぞれに個々の境遇や心境などがあるため、さまざまな経緯や状態がある。性同一性障害は、自身の身体への強い嫌悪感、日常において常に反対の性役割を強いられる等の精神的苦痛から、うつ病、摂食障害、アルコール依存症、不眠症などの合併症を患うことがある。また、過去に自殺企図や自傷行為の既往があることが多く、性別の不一致の苦悩が甚だ深刻なものであるといえる。国際的な診断基準として、世界保健機関が定めた国際疾患分類 ICD-10、米国精神医学会が定めた診断基準 DSM-IV-TR がある。診断と治療のガイドラインとして、国際的な組織である Harry Benjamin International Gender Dysphoria Association による『"Standards of Care for Gender Identity Disorders, sixth version"』。日本では、日本精神神経学会による『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』があり、2002年に第2版、2006年に第3版、2012年の第4版が発表されている。日本精神神経学会『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』では、診断はおよそ次のようにおこなわれる。性同一性障害の診察や診断には、そのことに関する正確な知識、充分な理解を持つことが望まれる。また治療者は受容的かつ共感的な態度が要求される。治療者側が、性同一性障害についての心性を理解できず、陰性感情を抱き、受容的共感的な態度が保持できない場合は、性同一性障害に対する治療者として不適切であり、治療をおこなうべきではない。性別違和が一時的なものではなく、持続的なものであるかを確認するため、ある程度の一定の期間をかけて診察をおこなう必要がある。性別違和や性別移行の願望などを訴えるものが必ずしも性同一性障害とは限らない。他の精神疾患や関連しない性のありよう等によって、類似の症状、訴え、外観を持つことがあり、正確な診断をおこなうために慎重な鑑別が必要である。鑑別すべき疾患として『統合失調症』『気分障害』『発達障害』『Transvestic fetishism』等、鑑別すべき性のありようとして『同性愛』『異性装』等がある。性同一性障害の診断と治療の指針である日本精神神経学会「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン (第3版)」では、社会への適応のサポートを中心とする精神科領域の治療と、身体的特徴をジェンダー・アイデンティティと適合する性別へ近づけるための身体的治療(ホルモン療法、乳房切除、性別適合手術)で構成される。性同一性障害に対する診断と治療への理解と関心、充分な知識と経験を持った医師らによる医療チーム(診療科はおもに精神科、形成外科、泌尿器科、産婦人科など)が診断と治療をおこなう。性同一性障害の診療の始めが精神科領域の治療であるのは、おもに精神的サポートや助言、当事者の「人生をどのように生きるか」などの希望を明らかにするため、除外診断をおこなう等のためにある。身体的治療は、精神科領域の治療の後も性別の不一致による苦悩が続き、本人自らが身体的治療を希望する場合において、医療者による適応の判定を経て、本人の自己責任と自己決定のもとに選択する。身体的治療への移行は、精神科領域の治療と性同一性障害の診断の確定を省くことはできない。なお、性同一性障害に対し、「心のほうを身体の性に一致させる」という治療は、以下の経験的、現実的、倫理的な理由によりおこなわれない。精神科領域の治療としては、当事者のQOL(生活の質)の向上を目的として次のようなことを行う。これらの診療は性同一性障害かどうかの診断と重なる部分もあるので、平行して行われることも多い。身体的治療にはホルモン療法、乳房切除、性別適合手術がある。当事者の身体的性別とは反対の性ホルモンを投与することで、身体的特徴を本来の性(性の自己意識)に近づける治療。ジェンダー・アイデンティティに一致する性別での社会生活を容易にするとともに、身体の性の不一致による苦悩を軽減する効果が認められている。性ホルモンの投与によって、身体的変化のほか、副作用をともない、また身体的変化には不可逆的な変化も起こり得る。ホルモン療法の開始にあたっては、性同一性障害の診断の確定のうえ、性ホルモンの効果や限界、副作用を充分に理解していることや、新たな生活へ必要充分な検討ができていること、身体の診察や検査、18歳以上であること等のいくつかの条件がある。FtM に対してはアンドロゲン製剤を、MtF に対してはエストロゲン製剤などを用いる。投与形態は注射剤、経口剤、添付薬があるが、日本においては注射剤が一般的に使われる。添付薬に次いで注射剤が副作用が少ないが、長期にわたる注射のために、注射部位(多くは三角筋あるいは大臀筋)の筋肉の萎縮を引き起こすことがある。生物学的女性へのアンドロゲン製剤、および生物学的男性へのエストロゲン製剤の投与をおこなった場合、次のような変化が起こり得る。なかには不可逆的な変化もあり得る。(※ 特に、生物学的男性における精巣萎縮と造精機能喪失。生物学的女性における声帯の変化)医学的対処を求めて受診する性同一性障害患者の中には、早急なホルモン療法の適用を望む者も多いが、ガイドラインにそった治療においては、精神科領域の治療と性同一性障害の診断、ホルモン療法の適応判定を省くことはできない。他方で、男性化した身体は不可逆的であることから、せめて女性化を促すのではなく単に男性化を一時的に停止させる抗男性ホルモン剤の使用はより広く特に未成年者に認められるべきであるとする見解もある。FtMの場合、アンドロゲンを投与しても乳房の縮小はほとんど起こらないので乳房切除術が必要となる場合がある。乳房が小さい場合には乳輪の周囲を切開して乳腺など内部組織を掻き出し、余剰皮膚を切り取る方式をとる。これは瘢痕が目立たない。乳房が大きい場合や(乳房を不快に思って圧迫するなどにより)下垂している場合には、乳房の下溝に沿って皮膚を切開する方式を用いる。乳頭は一度遊離させて適切な位置に移植する必要がある。瘢痕が目立つことも多い。外科的手法によって本来の性(性の自己意識)に合わせて形態を変更する手術療法のうち、内性器と外性器に関する手術を「性別適合手術」("sex reassignment surgery
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。