『serial experiments lain』(シリアルエクスペリメンツレイン)は、グラフィック+テキスト形式の雑誌連載企画・アニメ作品・ゲーム作品が同時進行・相互関連して制作されたメディアミックス作品である。雑誌ではAXで1998年3月10日から11月10日まで連載、テレビアニメはテレビ東京で同年7月6日から9月28日まで放送(半年遅れでテレビ大阪・テレビ愛知でも放送)され、第2回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞した。ゲームはプレイステーション(PS)用ソフトとして同年11月26日に発売された。『存在は認識=意識の接続によって定義され、人はみな繋がれている。記憶とはただの記録にすぎない。』という世界観のもとで繰り広げられる、14歳の少女・玲音(lain)をめぐる物語。リアルワールドとコンピュータネットワーク・ワイヤード(Wired = 繋がれたもの)に遍在する「lain」という存在について。ゲーム版とアニメ版では、登場人物もストーリーも"lain"という存在を除いて大きく異なる。雑誌連載されたグラフィック+テキストは、キャラクター原案の安倍吉俊による画集『an omnipresence in wired』(オムニプレゼンス=遍在)に未掲載分を含めた完全版が収録されている。長らく絶版だったが、ワニマガジン社より『yoshitoshi ABe lain illustrations』として描き下ろし分を追加して再版された。脚本の小中千昭によるアニメ版シナリオ集『scenario experiments lain the series』(シナリオエクスペリメンツ・レイン)なども出版されており、パイオニアLDCからは、『Serial experiments lain BOOTLEG』と題したデスクトップアクセサリー集も発売された。当初、主人公レインの英語表記は未決定で「lain」と「rain」が検討された。安倍吉俊によるスケッチ等では試験的に2種類描かれたが、結局1997年3月頃に「lain」に決定された。高度に発展したネットワーク社会 - 現実と区別のつかない仮想空間といったよくある物語と逆に、本作は「仮想世界(ワイヤード)と区別のつかない曖昧な現実(リアルワールド)」に注目する。各登場人物が語る「真実」も、それが事実の保証はない。主人公玲音の世界は、身近な人間や友人に関する内容で占められており、作品そのものが玲音自身の主観の影響下にある構造である。こうした客観の不在性は、ネットワーク、コミュニケーションといったものの性質をリアルに描出しており、視聴者もまたlainという作品、岩倉玲音と繋がった『ネットワーク』にコネクトしていくことを強いられる。放送当時はアニメーション制作にデジタル環境が導入されはじめた時期である。3Dモデリングによる無機的な表現が目立つ一方で、脚本の小中千昭が撮影・Macintoshで編集した手触りのある画面が使われたり、時には実写がそのまま利用されたりと、あらゆる情報媒体が混在している。小中によると、放送に堪えられるクオリティの内容をパソコン上で作れるようになった始まりが1998年当時であり、そこに最先端の機械好きが集まって自分でやれることを全てやったのがlainである。本作の独特なカラーと雰囲気はそうしたハッカー的な色彩の強い環境から生まれている。このウェザーブレイクシリーズもDVDに一部、BD-BOXでは全て収録されている。本作の製作者にはコンピュータマニアが多く、実在のコンピュータやOSが数多く登場する。例えば、後半に登場する初代iMacは本放送の開始直前に発表されたばかりの機種である。他にもアップルネタ、NeXTSTEPネタ、BeOSネタなどが随所に見られる。コミュニケーション用コンピュータネットワーク端末「NAVI」(ナビ)が普及した現代、中学生の岩倉玲音は、死んだはずの四方田千砂からのメールを受け取る。その日以来、玲音は見えないはずのものを見るようになる。四方田千砂のメールの言葉に興味を持ち、大型の「NAVI」を手に入れるが、それ以来更に奇怪な事件に巻き込まれていく。物理世界(リアルワールド)と電脳世界(ワイヤード)、二つの世界・二人の玲音(lain)が混濁し錯綜する果てにあるものは?-人は誰しも“繋がれて”いる-・-私は遍在する-放送後発売されたビデオには安倍の描いた、シュールなギャグ4コマ漫画がついていた。この4コマは安倍の画集にも収録されている。テレビ放送版とDVDなどではオープニングとエンディングの演出が多少違うほか、ウェザーブレイクもDVDなどには全ては収録されていない。2010年10月には、ベータカムとして残されていた1998年当時のSD素材を利用し、手作業で高解像度化を施したBDボックスが発売された。品質の悪い素材しか残されていないパートもあり、制作は非常に苦労するものであったという。アニメ版とほぼ同時進行で、ソニーマガジンズの雑誌『月刊AX』に連載された。アニメ版話数にあわせ、ゲーム版との橋渡し的な意味も込めて作品のイメージや世界観などをイラストとテキストによるカットとして構成したもの。後に出版された画集『オムニプレゼンス(遍在)―― Lain 安倍吉俊画集』(ソニー・マガジンズ 1999年)では、新たにカットが追加されている。LAYER:01から13 のサブタイトルは、テレビアニメ版の各話サブタイトルと共通である。パイオニアLDCから1999年に発売された限定版ファンディスク的位置付けの2枚組CD-ROM。竹本晃作曲のテレビシリーズ本編で使用された音源のほか、ミニゲーム、壁紙などのデスクトップアクセサリーが収録されている。本製品は、「BOOTLEG=海賊版」の名の通り、制作スタッフから流出したデータを第三者が転売したものという演出がなされており、パッケージも無地のボール紙に手書き風のラベルが無造作に貼られただけの簡素なものとなっている。公称ジャンルは「アタッチメントソフトウェア」。企画の中ではもっとも早く進行しつつ、発表は最も遅く、雑誌連載終了後の1998年11月末である。CD2枚により構成されている。プレイヤーは、ネットワーク内に散らばった lain に関する記録を集め、断片的な記憶をたどって lain の日常生活と彼女の秘密に近づいてゆく。ゲームの内容は、音声ファイルと映像ファイルの再生の繰り返しという独特のスタイル。ファイルの内容には、玲音の日記、柊子の日記、カウンセリングの記録などがあり、特定のファイルにアクセスすることで新しいファイルやネットワーク領域へのアクセスが可能となる。ゲームの中でできることはあくまで「ファイルの再生」までであり、それぞれの情報が持つ具体的な意味まではほとんど窺い知ることはできない。「物語の結末を記録したファイルの再生」が一応のエンディングではあるが、物語の全容を理解するためにはプレイヤー自身が頭の中で情報を整理する必要があり、そこから導かれる結論の正当性もまた、各々の判断に委ねられている。なお、本作の開発スタッフの一部は、同じく「アタッチメントソフトウェア」である「NOёL」シリーズの開発も手がけており、両作品の間には「現実世界と仮想世界の境界が曖昧になるようなプレイ感覚(ただし方向性は正反対)」「断片的な情報を元に全体図を想像する楽しみ」「観測システム『思い出君』の存在(本作ではネットエージェントプログラム、NOёLでは自動追尾式浮遊カメラ)」といった共通点を見ることができる。年齢制限はかかっていないものの、一部に過激な映像や表現が存在する。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。