『ドラゴンクエスト』()は、1986年(昭和61年)5月27日にエニックス(現: スクウェア・エニックス)より発売されたファミリーコンピュータ(ファミコン、FC)用ロールプレイングゲーム。通称は『ドラゴンクエストI』(ドラゴンクエストワン)(概要を参照)。日本では同年内にMSX、MSX2にも移植された。その後、リメイク版としてスーパーファミコン(以下SFC)用ソフト『ドラゴンクエストI・II』、ゲームボーイ(以下GB)用ソフト『ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』に収録されている。2000年代以降にはフィーチャーフォン用アプリ(iアプリ、EZアプリ、S!アプリ)、スマートフォンアプリ(Android、iOS)としての配信も行われるようになった。2011年(平成23年)9月15日に発売されたWii用ゲームソフト『ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』に、FC版がSFC版『I・II』などと共に収録されている。北米では、1989年5月にNESで『Dragon Warrior』として任天堂から発売され、後にGB版『"Dragon Warrior I & II"』にも収録されている。以降、特記がない限りはオリジナルのファミリーコンピュータ版について述べる。家庭用ゲーム機では初となるオリジナルタイトルのロールプレイングゲーム。のちに続編が次々と発売され、『ドラゴンクエストシリーズ』と呼ばれるようになった。本作の正式タイトルは『ドラゴンクエスト』であるが、続編が発売されて以降、本作はシリーズ第1作であることから便宜上『ドラゴンクエストI』(ドラゴンクエストワン)と呼ばれることもある(リメイク版では正式に『ドラゴンクエストI』の呼称が使用されている)。キャッチコピーは「今、新しい伝説が生まれようとしている」。エニックス主催の第1回ゲーム・ホビープログラムコンテストで出会った堀井雄二と中村光一が、千田幸信と共に訪れたアメリカのアップル社展示会「アップルフェスト」で当時アメリカでブームだったRPGに感化されて発案・企画した。疑似マルチウィンドウ型のメニュー、パソコン用RPG『ウルティマ』に代表される二次元マップのカーソル移動を基盤としたキャラクターの移動、同じくパソコン用RPG『ウィザードリィ』に代表される対話式の戦闘モードなどといったスタイルを、当時の技術レベルでの512kbit(64KB)という、2000年代ごろにおけるフィーチャーフォンの待受画像1枚分相当のROM容量の中で実現させた作品である。シナリオ・ゲームデザインは当時集英社の『週刊少年ジャンプ』(以下『ジャンプ』)にファミコン関連の記事を執筆していた堀井雄二、キャラクターデザインは同じく『ジャンプ』で『ドラゴンボール』を連載していた鳥山明、ゲームミュージック作曲は当時CM音楽などを主に手がけていたすぎやまこういち、プログラミングは当時天才少年と言われていた中村光一率いるチュンソフトが担当し、各メンバーやエニックスとの懸け橋として千田幸信が各所を飛び回った。タイトルロゴデザインは、『ジャンプ』の読者コーナー「ジャンプ放送局」のレイアウト担当であった榎本一夫が手がけた。開発期間は約5か月であり、マスターアップ直前にプログラム再構成により納期を1週間先延ばししたため、デバック作業は堀井雄二やチュンソフトの全メンバーのほか、福嶋康博を筆頭にエニックス社員全員を総動員して行われた。。当初、本作は単発作品であったため、詳しい人物設定や背景像などはなかったが、ゲームのシリーズ化に伴い、後続作品との関連性を持たせるため、後からさまざまな公式設定が追加されている。後に発売される『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、本作との関連が深く、この3作は合わせて「勇者ロトの伝説シリーズ」と呼ばれるようになった。本作がヒットした影響もあってタイトルに『ドラゴン』とつくファミコンソフトがこれまでに30本も発売された。社会現象を巻き起こした『ドラゴンクエストIII』の発売後には、本作『ドラゴンクエスト』の小説化やゲームブック化に加えドラマCD(CDシアター)化も行われている(『小説ドラゴンクエスト』、『ゲームブックドラゴンクエスト』、『CDシアター ドラゴンクエスト』を参照)。また、2003年(平成15年)に発売された体感ゲーム機『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』は、本作のストーリーをアレンジし、キャラクターデザインを一新させたゲーム内容となっている。移植・リメイク版については他機種版の節を参照。プレイヤーの目的は、伝説の勇者「ロト」の血を引く勇者として、「竜王」にさらわれた姫を救い出し、そして竜王を倒すことである。その目的を達成するためには、敵キャラクターであるモンスター(魔物)を倒して経験値とゴールド(このゲームの世界の通貨)を稼ぎ、レベルを上げ強い武器・防具を購入してプレイヤーキャラクターを強くし、探索範囲を徐々に広げていき、また、町の人々から情報を得て、それをヒントに重要アイテムを手に入れて謎を解く必要がある。ゲームスタート時に主人公の名前を決定する。この主人公は説明書などのテキストにおいて「あなた」という呼び方が何度も使用されている。また、このとき決めた名前により初期ステータスとレベルアップ時のステータス上昇パターンが変化する。このシステムは『ドラゴンクエストシリーズ』では本作にのみ見られる。主人公にはHP・MP・力・素早さ・経験値・ゴールド・攻撃力・守備力のパラメータが存在する。経験値が一定値に達するとレベルが上がり、ステータスが上昇したり呪文を覚えたりする。最高レベルは30。ゴールドはこの世界の通貨で、後述のさまざまな店で使用する。主人公の装備品は攻撃力を上げる「武器」と守備力を上げる「鎧」「盾」の3種類で、入手した武器や防具は自動的に装備され、それまで装備していたものがその場で売却または破棄されるシステムになっている。本作で主人公がMPを消費して使用できる魔法の呪文は全10種類で、最初は一つも覚えていないが、レベルが上がると1種類ずつ順に覚えていく。道具の代用になるもの(その効果は道具と若干異なる)や、回復呪文、敵の行動を封じる補助呪文、攻撃呪文などが存在する。これらは敵モンスターが使用してくる場合もある。主人公はアイテム(道具)を持つことができ、道具にはHPを回復する「やくそう」、暗い洞窟内を照らす「たいまつ」、敵モンスターとのエンカウントを回避する「せいすい」、守備力を上昇させる「りゅうのうろこ」、ラダトーム城へ帰還する「キメラのつばさ」、扉を開く「かぎ」などがある。アイテムは基本的に使い捨てで、このうち、「やくそう」「かぎ」は道具とは別個で、それぞれ6つまで所持できる。移動画面は主人公とその周囲を真上から見下ろした「トップビュー」となっている。フィールドマップには町やダンジョンなどのオブジェクトが散在しており、そこへ主人公を移動させると自動的に町やダンジョンに入場する。逆に町やダンジョンから外へ出た場合には自動的にフィールドマップへ移動する。フィールドマップには平地や森、砂漠などさまざまな地形が存在し、移動しにくい(移動時に若干のウェイトが生じる)山や、岩山や海など移動できない地形、入るだけで主人公のHPにダメージを与える毒の沼も存在する。本作のみのシステムとして、ダンジョン(洞窟)の内部は完全な暗闇であり、何もしていない場合は主人公のいるブロックしか画面に表示されず、道具「たいまつ」または「レミーラ」の呪文を使わなければ周囲の地形が見えない。このように可視範囲が限定されるシステムは『ウィザードリィ』など当時の多くのRPGに見られたが、難易度を不要に上げるだけのものとなっていたため、次回作以降は最初から部屋を見渡せるよう変更されている。移動画面ではメニューコマンドウィンドウを開き、以下の8つからコマンドを選択できる。以上のコマンド形態は、「かいだん」や「とびら」コマンドの自動化、「とる」を「しらべる」に統合、『V』以降の「べんりボタン」の導入など、続編が制作されるたびに一つのコマンドにさまざまな役割を持たせるなどして整理されていき、整理されたシステムを採用した続編以降に発売されたリメイク版においては本作のコマンドシステムは用いられなくなっている。町には、戦闘で使う武器・鎧・盾を扱う武器と防具の店、「やくそう」などのアイテムを扱う道具屋、「せいすい」のみを扱う聖水屋、前述の「かぎ」を扱う鍵屋などの店がある。これらの店では、入手したいアイテムに対応する価格分のゴールドを払うことにより、その武器・防具やアイテムを入手する(買う)ことができる。不要なアイテムを道具屋で売り、ゴールドに替えることもできる。ほかに、宿屋では、宿泊してHPとMPを最大値まで回復することができる。宿泊料金は町により異なるが、スタート地点のラダトームから離れると高額になる傾向がある。フィールド上、ダンジョン(ロトの洞窟を除く)、廃墟の町など、敵のいる場所を歩いていると、突然画面が切り替わり、敵モンスターとの戦闘になる(ランダムエンカウント)。戦闘が発生した場合は戦闘ウィンドウが開き、モンスターのグラフィックが表示され、戦闘用の効果音が流れ、地上の場合のみ戦闘背景も表示される。本作での戦闘は常に主人公と1体のモンスターによる1対1である。これは本作がRPG初心者に向けたゲームとして設計されているためである。自分の行動を選択できる状態になるとコマンド入力待ちとなり、武器で攻撃して相手のHPを減らす「たたかう」、呪文を使用する「じゅもん」、アイテムを使用する「どうぐ」、敵から逃げ出す(必ず逃げられるわけではない)「にげる」の中から自分の行動を選択して戦闘を行う。本作ではプレイヤーや敵のステータスに関係なく、各ターンで基本的にまず主人公が先手となり行動し、続いて敵が後手となり行動する形で、どちらかが倒れる(HPが0になる)まで主人公と相手が交互に行動を繰り返していく。ただし、戦闘開始後、主人公が身構えるより早く敵が襲ってくる場合があり、そのときはターン開始前に一度敵の攻撃を受けてから各ターンを繰り返す。呪文「ラリホー」の効果で眠っている状態だと行動はできず、目が覚めるまで相手側が一方的に攻撃する。行動の結果は常にメッセージウィンドウに表示され、どのように戦闘が進んでいるか確認できる。敵のHPを0にできればその敵を倒したことになり、その敵に応じた経験値とゴールドを入手できる。逆に主人公のHPを0にされた場合は敗北となるが、ゲームオーバーとはならず、スタート地点であるラダトーム城まで戻される。所持金が半分になるが、経験値やアイテムはそのままの状態で継続できる。本作はRPGという性質上、ゲームを始めてからエンディングを迎えるまでに時間がかかるが、バッテリーバックアップなどの記録機能を実装していないため、一度ゲームを中断して電源を切ったあと、パスワードを入力することで次回にその続きからプレイできるようになっている。中断するときは、ラダトーム王に話しかけることによって画面に表示される「復活の呪文」と呼ばれるひらがな20文字のパスワードを書き留め、次回ゲームを開始するときに画面にパスワードを正しく入力すれば、中断したところから冒険を再開することができる。ただしパスワードを1字でも間違えるとゲームを再開することはできない。復活の呪文は次作『ドラゴンクエストII』でも登場する。なお、復活の呪文には現在のHP・MPの値や、宝箱のアイテム取得済みのフラグなどといった詳細な情報は記録されず、復活の呪文を入力してゲームを再開した場合はHP・MPは必ず最大値となる。宝箱の中身は、ダンジョンから一度出て、また入り直すと自動的に復活する。そのため、宝箱の中身を何度でも取ることができる。本作は、シリーズで唯一のバッドエンディング(事実上のゲームオーバー)が存在し、特定のイベントにおいて「はい・いいえ」の選択を誤ると文字が赤くなり、マップが真っ暗となって画面が完全に停止し、ゲームの続行が不可能となる。その寸前にパスワードを教えてもらえるが、このパスワードを入力すると、レベル1、経験値・ゴールドが0で武器防具・道具を全く持っていない状態でスタートする。スーパーファミコン版以降のリメイク作においては、当該イベントで選択を誤った場合のみすべてが夢の中での出来事ということになり、リムルダールの街の宿屋に強制的に戻されるように変更されている。手持ちの武器を手放す文章と選択肢が追加されており、さらに「夕べは随分とうなされていた」と宿屋の主人にも心配されるが、主人公のステータスや所持している道具はイベントを行った時点から一切巻き戻されず、武器が実際に失われることもない。このバッドエンディングについて、音楽を担当したすぎやまこういちは近年、雑誌のインタビューで「わかりやすく言えば、あそこで「はい」と答えてしまうようなズルい政治家を生み出してはいけないんです」と、反保守層が政権を握ることに警鐘を鳴らすことで、当該イベントでの選択がプレイヤーに対し“祖国愛”を確かめるものだったと再評価している。なお、このバッドエンディングを迎えた後のアレフガルドを描いた『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』が、2016年1月28日に発売された。作品中に登場する重要な道具を挙げる。北米版『Dragon Warrior』では、日本の『ドラゴンクエストII』以降と同様にキャラクターが横や後ろを向くことができるようになり、フィールドの白い海岸線のグラフィックが追加されるなどビジュアル面も多少変更されている。このほかに日本版『ドラゴンクエストIII』以降と同様にバッテリーバックアップが搭載された。なお、これ以外のゲームシステムやシナリオは日本版と変わらない。ローカライズは、当時HAL研究所に所属していた岩田聡(前任天堂社長)が担当した。本作の舞台であるアレフガルドは、かつて大魔王の手によって闇に閉ざされていたが、大魔王は伝説の勇者ロトによって倒され、魔物たちも光の玉によって封印された。それ以来アレフガルドは平和が続いていた。月日は流れ、ラダトームの王であるラルス16世がアレフガルドを治める時代に、アレフガルドに再び邪悪な者が現れた。その名は竜王。竜王はラダトームから光の玉とローラ姫を奪い、アレフガルドは再び魔物の徘徊する世界となった。竜王に戦いを挑んでいった者はいたが、生きて帰ってきた者は一人もいなかった。そして、ローラ姫もどこかに監禁された。そんな中、ある予言者が、勇者ロトの血を引く者が竜王を滅ぼすであろうと予言した。そして予言どおり、ロトの血を引く勇者が現れた。彼こそが本作の主人公=プレイヤーである。アレフガルドと呼ばれる国が舞台となっている。アレフガルドの「アレフ」はギリシャ数字のアルファのことで、総じて「始まりの国」を意味する。なお、「ファミコン神拳」で本作の製作が発表された段階では、「アレフランド」という名称であった。 ファミコン版とほぼ同じであり、復活の呪文も互換性があるが、エンディングで王と共に勇者を迎える兵士達がこのシーンのみのオリジナルデザインであったりするなど、グラフィックやサウンド面において若干の相違点がある。FC版のストーリーを基に、操作性やグラフィック面など多くの点を改良したリメイク作品。FC版発売から7年後の1993年に『ドラゴンクエストII』と合わせて1本のソフト『ドラゴンクエストI・II』として発売された。町の人の台詞なども一部が変更・追加された。1999年に発売。SFC版と同様、『II』とセットで1本のソフトとなり、ナンバリングタイトル初の携帯ゲーム機用ソフトでもある。SFC版に準拠した移植だが、GB版ではオープニングと、その場でゲームを中断する「中断の書」機能が追加されている。2004年から配信を開始したフィーチャーフォンアプリゲーム。SFC版・GB版での変更点が反映されているほか、呪文を覚えるレベル・次のレベルアップまでの必要経験値・レベルの上限(他機種はレベル30までだが、フィーチャーフォン版はレベル50まで上がる)の変更が行われている。また、移動中に「メッセージスピード変更」や「たびのこころえ」などのあるウィンドウを開くことができるようになった。グラフィックやシステムは『スーパーファミコン ドラゴンクエストIII』をベースとしており、SFC版『I・II』よりもさらにグラフィックの質が向上している。プレイヤーキャラに限り一部の用語が変更され、「キズ」が「体力」に、HPを回復させた時は回復した後の値がメッセージに表示され、完全に回復した場合は「全快した」と表示される。敵モンスターの場合は他の作品と表記は変わらない。2011年9月に発売。FC版の『II』・『III』、SFC版の『I・II』・『III』とセットで収録。中断機能が追加されている。2013年11月28日にAndroidおよびiOS向けに配信開始したアプリケーション『ドラゴンクエスト ポータルアプリ』から購入・起動する方式。グラフィックはフィーチャーフォン版をベースに縦長画面対応させたもので、タッチパネル上の仮想コントローラにより移動や指示を出す。BGMはオーケストラ版。当初は半マス単位での移動など2010年代の感覚では難のある操作性だったが、2014年2月15日のアップデートで1マス単位での移動になるといった改善がされている。本作で使用されたROMの容量は512kbit(64KB)と小さいため、主にゲーム中使用されるテキスト部分においてデータ量の削減のためにさまざまな工夫が行われている。カタカナは50音すべてが搭載されておらず、文字種を限定した上でアイテム名や魔法名などを付けていた。具体的には、使用したカタカナは以下の20文字である。イ、カ、キ、コ、シ、ス、タ、ト、ヘ、ホ、マ、ミ、ム、メ、ラ、リ、ル、レ、ロ、ンこれに濁点(゛)と音引き(ー)を組み合わせ、全てのカタカナ表現を行った。(以上ガンガンコミック「ドラゴンクエストへの道」112ページより)実際にはカタカナの「ヘ」「リ」は平仮名の「へ」「り」に似ていることを利用し、そのままカタカナの「ヘ」「リ」に代用し、18文字分の文字キャラデータでカタカナ20文字を表現した。グラフィックに関しても、容量を考慮した仕様が目立つ。主人公をはじめとするキャラクターには横や後ろを向いたパターンが用意されておらず、前向きのグラフィックのみである。このため、プレイヤーから見ると横方向に歩くときも前を向いたまま歩いているように見え、当時は俗に「カニ歩き」と呼ばれた。ほとんどのキャラクターが反転表示で2コマのアニメーションを行っていたが、王様、姫、竜王は完全な左右対称・静止画であった。本作が出る前のファミコンのゲームソフトは、前年に発売された『スーパーマリオブラザーズ』に代表されるようなアクションゲームが主流であった。開発当時『週刊少年ジャンプ』でライターを務めていた堀井雄二は、同誌の主な読者層であった子供たちにRPGの面白さを伝えるという目的で本作を開発した。そのため本作では、RPGに馴染みの無い子供たちにゲームのやり方を理解してもらうための工夫がなされている。小学生を集めたテストプレイ時には、主人公はラダトームの町とラダトームの城の中間地点のフィールド上からのスタート位置であったが、町や城に入らずフィールド上をさまよい、主人公がすぐにモンスターにやられてしまうという子供が続出した。想定外の事態に開発者は悩まされたが、あえて開始時にラダトーム王の王室に閉じ込めるアイデアが採用された。鍵の掛かった扉が階段の手前にあり、宝箱から鍵を手に入れないと王の部屋を出られないようになっているが、これは「とる」を使って宝箱を開ける、「とびら」で扉を開ける、「かいだん」で階段を降りるといった基本操作を学習させたり、「はなす」で王や兵士たちの話を聞き、主人公がこれからどうすれば良いのか目的を理解させるためである。レベルが1から2になるのに必要な経験値は開発当初は「20」に設定されていたが、レベルアップの爽快感を味わってもらおうという目的で「7」に引き下げられた経緯がある(こののとして)。また先述のようにHPが0になってしまってもゲームオーバーにはならず、ゴールドを半額失うだけで経験値と所持品はそのままの状態で再スタートが可能であるが、この方式はそれまでのRPGにおける戦闘敗北のリスクがあまりに高いと思われたため導入されたもので、所持金が半分になっても経験値やアイテムが残っていればRPG初心者でも何とかゲームを進めていけるという考えから採用された。この方式はその後のドラゴンクエストシリーズにも受け継がれ、他のRPG作品でも多く採用されている。「つよさ」によるステータス画面も、当時のファミコンユーザー(すなわちRPG初心者)に配慮して開発された。一般にRPGはプレイと共に主人公の強さが変化するが、当時のPCゲームでは実際にプレイすることでプレイヤーが主人公の強さを体感できれば、開発するほうとしては詳細な情報を表示せずとも十分だった。しかし、家庭用ゲーム機で遊ばれる状況を想定した場合、友達や兄弟などの観戦者を伴って迷路や謎解きを話し合いながら協力して進めていくというプレイスタイルが予想されたことから、プレイヤー以外の初心者にも主人公の強さを知ってもらうために詳細な「つよさ」画面を作ることにしたという。ゲーム誌「ファミリーコンピュータMagazine」の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、25.02点(満30点)となっている。また、同雑誌1991年5月10日号特別付録の「ファミコンロムカセット オールカタログ」では、「RPGをメジャーにした1作」、「ドラゴンクエスト、この名前を聞いたことのない人はおそらくお年寄りぐらいのものでしょう。ファミコン界のみならず、社会現象としてまで取り扱われ、大ブームを巻き起こしたドラゴンクエスト・シリーズ。その第1作目がこのゲームである。RPGというものの存在をこれで知った人も多いはず。アクションやシューティングが苦手だった層にまでファミコンのファン層を広げた。画面上にウィンドウを開いてコマンドを選択する方法が目新しかった」と紹介されている。その他、同付録の巻末に収録されている「ロムカセット部門別BEST5」では、音楽3位、操作性1位、オリジナリティ2位を獲得している。スーパーファミコン用衛星データ放送受信機「サテラビュー」の音声連動ゲームとして、1996年に日本国内でセント・ギガが放送した。データ放送を運営した任天堂による雑誌広告やチラシでは、行列を作るスライムの絵とともに「"並んでもゼッタイ買えない、ドラクエ。"」のキャッチコピーがアピールされ、サテラビューの普及を牽引するキラーソフトとしての期待が込められた。放送日時は1996年2月4日から同年3月1日、土曜日を除く18:00-19:00の1時間。同年4月末から5月にかけても再放送された。1週間につき1話の物語が放送され、全4話で構成された。途中参加はできるが放送時間外にプレイすることはできなかった。ゲームプログラムはSFC版『ドラゴンクエストI・II』をベースとし、新たに制限時間、同時放送されたラジオ音声と連動したイベントを追加した。ゲーム上ではラジオドラマに合わせ「フィールド上の天候が変化する」「洞窟内でたいまつが不要となる」「主人公のステータスが上昇する」など様々なイベントが発生した。プレイヤーは1時間弱の制限時間内に主人公のレベルアップを行い、各話ごとに設定された目標までシナリオを進めるとともに、「しあわせのメダル」を集めることが目的だった。ラジオ番組冒頭では堀井雄二が登場し、ドラゴンクエストの開発秘話やシリーズに対する想いを語るインタビューシーンが放送された。本編のラジオドラマでは細川ふみえがローラ姫を演じた。彼女の起用は当時サテラビュー向けラジオ番組のパーソナリティを担当していたことによる。ゲーム終了後には主人公のレベル、シナリオの進行状況、集めたアイテムなどの成績を暗号化したパスワードが表示され、ランキングイベントに参加する際はこれをはがきでセント・ギガへ郵送、またはファクシミリにて送信する。番組を終了しデータ放送受信メニューへ戻る際には前年12月に発売された『ドラゴンクエストVI 幻の大地』の広告が表示された。†は廃盤。
出典:wikipedia
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