片親による子供の拉致(かたおやによるこどものらち)とは、片方の親が子供を連れ去ること。「連れ去り」という表現に激しく反応する弁護士がいるが、taking awayに対応する一般的な日本語である。別居、里帰り、家出と区別する必要は必ずしも無く、日本では子の面会忌避や面会拒否、引き離し等様々な言葉で表されるが全て片親による拉致である。債務不履行と判例で認められる場合もあるが、延々に片親の都合により子供の面会を拒否でき、別居親があきらめる場合が多い。離婚の前後を問わずいつでも起き、親が子供を自己の所有物とする瞬間である。又、法的、文化的には子供を盾にすると表現される場合あるが、ジュネーブ条約で禁止されたHuman Shield(人間の盾)では諸外国より誤解を受ける可能性があり、拉致(Abduction)が理解されやすい。日本はハーグ条約加入前においては、別居時に子どもを日本に連れて行くことは「拉致」とはされていなかった。家庭裁判所は虐待の事実など養育上の不適格要素がない限り、親権者による拉致よりも現状維持の原則を優先する。家事事件は事前に調停を行うことが家事審判法18条によって定められているので、裁判を起こしたとしても拉致行為が遡って追及されることはない。従って、ハーグ条約の及ばない国内においては親権者による拉致行為はした者勝ちとなるのが実情である。日本では刑法第224条の未成年者略取誘拐罪により犯罪とされる。父親が強引に子供を連れ去った事件では略取にあたるとの最高裁判所の判決が出ている。日本では最初に子供を養育現場から連れ去っても警察は誘拐として取り扱わないが、その後に連れ戻す(連れ返し)と誘拐として取り扱う。最初の連れ去りは問題なしという矛盾した態度で刑事司法が望むが、家庭裁判所がこれを違法と認定する場合もある。別居時に子の監護について話し合わないで子供を連れて別居して奪い合い、刑事事件、調停、審判、民事訴訟となるケースが多い。日本では面会交流は実際には間接強制としてしか強制されず、親権の侵害が刑事事件どころか民事としても裁判で完全に解決されることは稀である。但し、最高裁第2小法廷では、親による有形力を行使した子の連れ去りに関し、違法性の判断は微妙である。「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(ハーグ条約)に日本は2013年(平成25年)、批准を決定し、国会で加盟が承認された。欧米諸国では批准している国家が多い。また米国では特に、片方の親が独断で子供を連れ去ると「誘拐」の刑事罪に問われる。このことに関連して、海外で外国人と結婚した日本人が子供と共に日本へ帰国し、外国人の配偶者から「誘拐」で訴えられ、国際手配される事例が相次いでいる。ただし、インターポールでは、両国で犯罪として認められる行為のみ強制逮捕が行われるのと、米国以外の国で親による子供の拉致を刑法で犯罪としている国はほとんど存在しないので、インターポールのデータベースには登録されるが実際に国際手配されるわけではない。山下美加は著書『私が誘拐犯になるまで。』(2010年、サンクチュアリパプリッシング)において、自身が誘拐犯として国際手配された体験を詳細に述べている。このため国内離婚・国際離婚に関わらず、離婚や別居の場合、親の一方が勝手に日本に連れ帰ると、もう一方はほとんどの場合泣き寝入りとなり、自分の子供と会えないという状態になる。面会交流調停、監護者指定審判、子の引渡し審判程度であるが、連れ去り親に優先権があり実効性には疑問が残る。その際には、複数の面会交流調停、再調停、無効確認請求事件(人事訴訟法)で争う他、法的手続きは残されていない。日本では夫婦の両方が親権を望む場合最初に子供を連れ去り別居すれば離婚調停でも優位に交渉ができる。裁判所の調停では子供と同居する親が離婚するまで子供に会わせないと言えばそのとおりに調停員が片方に伝えるので子供を使った人質交渉が可能である。その他にも別居中子供に会わせる条件として金銭を要求すればその要求を調停員を通じて片方に伝わり交渉の余地を与える。だが面接交渉の調停は別居中も利用できるし、子供を使った人質交渉に応じなくても別居中でも面接交渉は認められている判例は多数あるのでそのような子供を使った人質交渉には調停員の説得があっても応じるべきでない。離婚調停で取決めしても面接交渉は忌避が可能であるので十分気を付けるべきである。司法ではこのような「会わせないのが原則、面会はなるべく短時間で、少ない頻度電話や写真送付でも可」という運用を行ってきた。しかし、世間一般の常識が変わる中、「面会はなるべく頻回且つ長時間、会わせるのが原則で、制限するのはよほどの理由があった時、これらを守らないことこそが虐待であり、子の福祉に反する」と運用を変えるのは自分たちが、今まで児童虐待を主体的且つ積極的に行ってきたことを認めることになる。そのため司法が自身の保身のため司法の運用が変わっていないのが現状と認識されてきたが、実際家庭裁判所の運用は近年劇的に変わってきている。(平成22年水戸家庭裁判所 事件番号:(少ハ)400006号)子供は、片親を失うだけではない。片方の祖父母や親類を失い、玩具、ペット、親しい友人、先生、慣れ親しんだ遊び場、行きつけのお店などを失うのである。また、「日々の日課」や「安全の感覚」や「片親が所属する文化」も失う。最も会いたい片親に会わせてもらえないなど「同居親との信頼関係」も失う。子供は、連れ去りにより「安心の愛着」を維持することが困難になる。また、分離不安を持つことが多い。さらに、連れ去った親の不倫・不貞が絡んでいる場合は突然見ず知らずの他人の大人との同居生活を余儀なくされる事も多く、身体的・精神的虐待の引き金にもなりうる。子供は連れ去った同居親によって、一人の人間として尊重されるのではなく、交渉を有利にし、仕返し、恨みのような感覚で引き離しをするための一つの道具として扱われる。同居親は、逃走と隠匿により子供と非同居親との接触を妨げるだけでなく、たいていの場合、立場を利用して子供の精神をコントロールして、非同居親との関係を子供の精神から内的に消し去ったり、非同居親へのいわれのない憎悪や恨みや恐怖を植えつけようとする。こうして、連れ去りは子供の精神に悪影響を及ぼす(片親疎外•洗脳虐待/AC)。連れ去られたことによる精神的ダメージは目には見えにくいが、たいていの場合、子供の心に、生涯消えない傷を残す。片親疎外(PA)は児童虐待であり、同居親のモラルも問題である。子供を連れ去った後には子供への虐待が多く行われ、洗脳虐待(AC)もこれに含まれる。精神的虐待であるから、これもDVである。連れ去った後で23%の親が、子供への身体的虐待をしていたという調査がある。連れ去った親にとって、子供が邪魔になることがある。また連れ去った親にできた新しいパートナーは、子供にとっては他人である。身体的虐待や性的虐待が行われることがある。動物では子殺しが起きる状況である。人間では子殺しが起きない反射として(虐待の末の子殺しはしばしば起こるが)、子供が自己の自由な意思を殺し、依って健康な心的発達が害されるのである。子の連れ去りにより、子供は誰の目も届かない状況に置かれる。連れ去られた子供の全てが、ストックホルム症候群のようになるとは限らない。ハーグ条約では、国境を越えた連れ去りに対して、原則的に元の居住国に強制的に連れ戻す措置が取られる。現在、世界の主な先進国をはじめとして89カ国が批准しており、我が国も近日中に批准予定である。南北アメリカ大陸諸国やヨーロッパ諸国では、親による子供の連れ去りを、felony(軽犯罪に当たらない犯罪)やserious climinal matter(重大な犯罪行為)であるとして、厳しい処罰の対象としている。ウイスコンシン州から子供を連れ去った日本人の母親のケースでは、25年の刑が求刑された。このケースは現在では司法取引により刑の執行猶予の状態となっている。日本の在外大使館は、在外邦人に対して注意を呼びかけている。連れ去った親が、子供を他の親に会わせないのは、子供のことを考えるからではなく、怒りによる仕返しである場合が多い。「子供を連れ去り、子供と非監護親との接触を妨げ、子供の精神をコントロールして、子供の心から片親の存在を消し去ろうとする行為」は、最も悪質な児童虐待であると考えられている。。これが処罰の対象となる理由である。日本では合法であるとの考え方は過った一般論であり、当然家庭裁判所の勧告、面会交流調停、審判と、謄本が出来上がっていくだけである。尚、面会交流調停は個人で2000円程度で申し立てることが可能で、特に回数制限がある訳ではない。片親疎外は明らかな児童虐待であり、家庭内暴力であるから、DVである。1932年に制定された連邦誘拐法は、リンドバーク法と呼ばれたが、片方の親が、他方の親から子供を奪う行為は、誘拐とされていなかった。1970年代以前は、親による子供の誘拐は、多くの州で違法とされていなかった。その頃までは、親は、親権を持っていない州から子供を「合法的に」誘拐して、自分にとって望ましい親権を得ることができる別の州に移動することが可能であった。1968年以前には、別居や離婚に際して、子供を連れ去った親には、親権が与えられるチャンスが際立って大きくなった。法制度が州によって異なることに対処するために、1968年に「子どもの親権の扱いを統一する法律案(UCCJA)」が作成された。現在、ほとんどの州でUCCJAは成立している。連邦誘拐予防法(UKPA)は、1980年成立したが、UCCJAを国家全体で守るよう要求している。Huntington博士は次のように述べた。「我々は、長い間、親が子供をどのように扱っても、それは全く問題がないと考えていた。我々は、長い時間をかけて次第に、親として許される行為と、児童虐待やネグレクトとを区別していった。子供に対する罪で親を告発することが可能なのかという議論を通じて、もし親が子供に対して犯罪を犯すのなら、児童虐待で告発することが可能である、いやしなければならないということを、我々は理解するに至ったのである。子供が持つすべての権利は、子供への非人間的な扱い、深刻なネグレクト、身体的・性的虐待などの状況において評価されなければならない。我々は、子供の連れ去りを、最も悪質な児童虐待であると評価しなければならない」 。一方日本では、1974年に尊属殺人法定刑違憲事件により、被害者が親であるか子どもであるか、他人であるかによって命の尊さ、罪の重さに大小をつけるのはおかしいとの見地から、この加重規定が刑法より抹消された。偽DV事案でも多いが、女性から男性に向かう暴力と、男性から女性に向かう暴力を、精神的、身体的、経済的暴力と区別する必要性はあっても、大小をつけるのはおかしいとも言うことができる。加害者と被害者の2言論に陥り、一般論として被害者は女性なのであるが、実体的被害は親にあるのではなく、子どもにあることが忘れ去られている。連れ去る親は、配偶者ないし元配偶者に対して、極めて強い敵意を持ち、相手を動揺させ、攻撃し、コントロールするために、子供を利用するのである。連れ去る親は、周囲の人を頼っている子供の信頼感を悪用して子供を支配する。これは、児童虐待の基本的な定義の一つそのものである。1974年に成立した「連邦、児童虐待の予防と治療の法律 (CAPTA)」は、子供への非人間的な扱いを、次のように定義している。「子供の健康や福祉が障害されたり脅かされる環境の下で、子供の福祉に責任を負う人間が、18歳未満の子供に加える、身体的または精神的な傷害、性的虐待、ネグレクト、非人間的な扱い」。たいていの子供の連れ去りは、この定義にあてはまる。
出典:wikipedia
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