希望(きぼう)は、静岡県所管の財団法人静岡県総合管理公社が運航していた高速フェリー。テクノスーパーライナー実験船「飛翔」を転用したもので、東海地震などの非常時に備えた防災船でもあった。2005年の運用廃止後、売却を模索するも廃船となった。テクノスーパーライナーのTSL-A船型の実験船として、三菱重工業と三井造船の共同設計で三菱重工業長崎造船所で建造された。実験終了後、静岡県が防災船に購入し「希望」と命名した。平時はカーフェリーとして使用されていたほか、東海地震発生など非常時の活用が期待されていた。航海速力は時速40.0kt(約75km)と、船舶としては速い。旅客定員260人、普通車30台(または大型バス5台、普通車10台)。燃費は軽油1リットルで8メートル 。伊豆半島は道路事情が悪く、特に観光シーズンは渋滞が発生しやすい。また、半島ゆえの地形から海路を短絡できる船舶航路は有用とされてきた。このため、従来より静岡市清水区(旧:清水市)と伊豆市(旧:土肥町)を65分で結ぶエスパルスドリームフェリー(駿河湾フェリー)が運航されてきた。本船は県が購入後の2005年9月まで、清水港と下田港を結ぶフェリーとして利用されていたが、同年10月以降は原油価格高騰のため、運航が休止された。その後、海上自衛隊による災害時の輸送体制が確立されたことにより、本船は多額の経費をかけて維持する必要がなくなったことから売却されることになったため、同年度中に航路は廃止された。航路廃止後の2006年3月24日、清水港から係留先である横浜港に向かった。その後しばらくの間、同港に係留され売却先を探すことになった。しかし県は、三菱重工業と締結していたガスタービンエンジンのリース契約を解除することで合意したため事実上、廃船が決定した。2007年2月19日、船体の売却先を決めるための入札が行われたが、参加した2者とも入札金額が予定価格の4,000万円に満たず、落札されなかった。その後、同年3月12日に落札予定価格を2,000万円に引き下げたうえで改めて入札が行われ、横浜市中区の不動産会社が落札した。一方、同船のエンジンについては、県がアメリカの会社へ売却のための契約交渉を行っていた。しかし、船体の落札者は同月29日、エンジンの「買い戻し」が確認できるまでは購入契約を延期したいとの申し入れを行ったため、県は落札を無効とした。こののち県は、同船を中古船舶としてではなく廃船(資源)として処理することとなった。同年5月、県は三菱重工業に対し本船を約658万円で売却した。県は、技術流失防止対策のほか解体費用の面などを総合的に判断した結果、同社への売却が最良の選択としていたが、同社は売却発表から5日後、同船を解体しないまま神奈川県内の産業廃棄物(産廃)処理業者に約4,000万円で転売した。これに対し、解体条件付で入札を実施しなかった県の対応に疑問を呈する声や、産廃処理業者の手に渡ったことで技術流出防止の目的が失われたとする指摘もある。客室は普通席のみ設置(モノクラス制)されていた。なお、船内後方に売店とトイレが設置されていた。
出典:wikipedia
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