西武秩父線(せいぶちちぶせん)は、埼玉県飯能市の吾野駅と同県秩父市の西武秩父駅とを結ぶ西武鉄道の鉄道路線である。路線名に「西武」を含む。駅ナンバリングで使われる路線記号はSI。池袋線の事実上の延伸区間であり、池袋線とともに池袋 - 西武秩父間を結ぶルートを形成している。池袋線の飯能 - 吾野間と直通運転している(特急・快速急行・急行は池袋駅まで)。特急レッドアロー号の案内などにおいては、当線内も池袋線とする表記が見られる。当路線は西武有楽町線と同様に、「西武」を含めた「西武秩父線」という路線名である。各駅の路線図などでも「西武」が省略されることはなく、「西武秩父線」と表記されている。なお、秩父地方には当路線より先の明治・大正時代に秩父鉄道秩父本線(通称「秩父線」)が建設されている。武甲山から産出する石灰石を原料とするセメントの輸送と沿線の観光開発を目的に建設され、1969年(昭和44年)に開業した。正丸 - 芦ヶ久保間で正丸峠を越える山岳路線で、同区間に存在する正丸トンネル(延長4,811m)は、山岳トンネルとして建設当時、日本の私鉄最長であった。西武ホールディングスの筆頭株主であるサーベラスからはリストラ策として当路線の廃止が提案されている。これに対し、2013年(平成25年)3月25日に上田清司埼玉県知事や沿線の首長は「生活鉄道」であるとして存続を要請した。同年5月、秩父地域1市4町の自治体・商工団体・観光協会や埼玉県は「西武秩父線利用促進協議会」を結成し、利用促進を目的にした様々な事業に取り組んでいる。戦前に吾野まで達していた池袋線を1969年(昭和44年)に武州鉄道との競合の末、延長したものである。当路線の開業により、西武鉄道では従来にない列車の運行を開始した。開業と同時に特急専用車両5000系「レッドアロー」を投入し、池袋 - 西武秩父間で全席指定の有料特急の運行を開始した。また、一般車両についても、25‰以上の連続勾配のある当路線を走破するため、大出力モーターに発電ブレーキや抑速ブレーキを装備した101系が投入され、電車の機構面でも一大エポックをもたらした。貨物輸送においても、東横瀬(貨) - 池袋・国分寺・高麗間でセメント輸送のための最大1,000tの重量貨物列車が設定された。そのため、国鉄EF60形電気機関車に準じた性能を持つ民鉄最大のE851形電気機関車が新製投入されたが、1996年(平成8年)の貨物輸送終了とともにその役目を終えている。貨物輸送は、セメント(東横瀬駅構内にある三菱鉱業セメント)・砂利輸送列車と三菱鉱業セメントでの生産機材に使用する重油を輸送するためのタンク列車(タキ1500形・タキ45000形・タキ9800形タンク車を使用)があった。セメント列車はタキ1900形タンク車が使用された。同工場向けの重油列車・砂利輸送列車は当初東横瀬駅 - 池袋駅間の運転であった。セメント列車は池袋駅より国鉄山手貨物線経由で隅田川駅・南甲府駅・南橋本駅まで西武所属のワフ101形併結のまま運転されていた。重油列車は池袋駅より国鉄山手貨物線・東海道線を介して神奈川臨海鉄道の横浜本牧駅および総武線と外房線蘇我駅を経由して京葉臨海鉄道の浜五井駅まで運転されていた。砂利輸送列車は、池袋駅から赤羽線経由で板橋駅、山手貨物線経由で隅田川駅へ運転されていた。なお、武蔵野線が開業した後の1976年に西武の受け渡し駅が池袋駅と国分寺駅から新秋津駅へ集約されると西武線発着駅が池袋駅から新秋津駅へ変更となり、セメント列車は廃止まで、重油列車は1982年に燃料変更で消滅、砂利輸送は板橋駅と隅田川駅から酒折駅へ発着駅が変更となった。なお、一時期は小鹿野町を経由して西武系リゾート施設の多い長野県北佐久郡軽井沢町まで路線を延伸する構想もあったが、実現はしなかった。西武秩父駅の構造はその名残りといわれている。現在、西武観光バスが西武秩父駅から小鹿野町方面へのバスを運行している。運転系統としては完全に池袋線と一体であり、有料特急の「ちちぶ」が池袋駅発着、各駅停車が飯能駅発着で運転されている。土曜・休日は、池袋駅発着の快速急行・急行も運転される。なお、土曜・休日の早朝には所沢発の西武秩父行き特急がある。1988年12月までは池袋駅発着の急行や準急(飯能駅 - 西武秩父駅間は各駅に停車)が終日にわたって運転されていた。現在は、池袋発小手指行きの準急1本が西武秩父行きとして臨時延長運転を行なっている。その他、春の芝桜シーズンや毎年12月3日の秩父夜祭り、横瀬車両基地でのイベント開催時には臨時列車が運転されることがある(西武新宿発着の臨時列車もある)。1976年から1993年までは新宿線からも西武新宿駅発着の特急「おくちちぶ」が土休日に1往復運転されていた。2014年7月には、21年ぶりに同区間に臨時特急「おくちちぶ」が運転された。このほかにも同年のGWや夏に新宿線内急行、池袋線内快速急行の臨時列車が運転されている。また、西武秩父駅構内に設けられた秩父鉄道との連絡線を介して秩父鉄道秩父本線の長瀞駅・三峰口駅まで直通運転を行っている。併結運転される長瀞・三峰口行きの列車は、連絡線の配線の関係で西武秩父駅の一つ手前の横瀬駅で分割されて続行運転となり、長瀞行きは西武秩父駅に入らず直接秩父鉄道御花畑駅へ乗り入れ、三峰口行きは西武秩父駅で向きを変えて秩父鉄道に乗り入れるという特殊な運行形態をとる。土曜・休日には池袋駅から秩父鉄道へ直通する快速急行も運行され、秩父への観光輸送に貢献している。長瀞行きの列車は直通開始当初から1992年3月30日までは野上駅までの運転で、1992年3月31日から2007年3月5日までは寄居駅まで運行していた。運転区間が寄居駅まで延長されたのは東武東上線からの直通列車が廃止されたことに伴うものだが、年々利用が減っていたこともあり2007年からは直通開始当初よりも一駅短い長瀞駅までとなった。各駅停車については4000系の4両編成、またはこれを2編成組み合わせた8両編成による運用が主体で、4両編成の列車は一部を除いてワンマン運転となる。また、土曜・休日には新2000系・20000系・30000系が1往復乗り入れており、これらの車両はワンマン運転に対応していないため車掌乗務となる。2013年3月改正では、飯能駅10時13分発各停西武秩父行きと、西武秩父駅16時28分発快急池袋行きがこれに該当し、日中は横瀬駅に留置される。現在は10両編成は入線しないが、かつて5000系が多客期に6両編成と4両編成を連結して10両編成で運用に入ったことがある。また、10両固定編成である東急5050系4000番台が試運転目的のため入線したことがある。なお、2017年春から40000系の10両固定編成を用いた座席指定列車が土休日に運行開始する予定である。25‰の連続する急勾配が存在する路線であるが、抑速ブレーキ車のみ入線可能といった制限は開通当初からない。この点は東武日光線や富士急行線などにも共通する。回生ブレーキを装備した車両は、試運転やイベント時などをのぞいて入線していなかったが、2007年12月3日より吾野変電所および正丸変電所で環境配慮型蓄電装置の運用が開始されたため、回生ブレーキが失効するおそれはなくなり、本格運用が可能となった。6000系・9000系は10両固定編成しかないため、入線できない。2000系は新宿線にしか配備されておらず、入線実績が1997年(平成9年)の横瀬車両基地イベントの送り込みと、2015年(平成27年)の団体臨時列車の2度しかない。2012年12月9日を以て101系・301系の運用は多摩湖線及び多摩川線のワンマン以外は終了しているため、現在は見ることが出来ない。当路線では、2007年3月18日から「PASMO」(Suicaも利用可能)を導入しており、西武秩父駅は自動改札機、その他の駅は簡易ICカード改札機を設置して対応している。なお秩父鉄道線では利用できないので、同線に跨って乗車する場合はあらかじめ自動券売機で乗車券を購入する必要がある。長瀞行き電車で、西武秩父駅と同一駅扱いである秩父鉄道御花畑駅で下車する場合も同様である。
出典:wikipedia
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