口裂け女(くちさけおんな)は、1979年の春から夏にかけて日本で流布され、社会問題にまで発展した都市伝説。2004年には韓国でも流行した。マスクをした若い女性が、学校帰りの子供に 「私、綺麗?」と訊ねてくる。「きれい」と答えると、「……これでも……?」と言いながらマスクを外す。するとその口は耳元まで大きく裂けていた、というもの。「きれいじゃない」と答えると包丁や鋏で斬り殺される、と続く。この都市伝説は全国の小・中学生に非常な恐怖を与え、パトカーの出動騒ぎ(福島県郡山市・神奈川県平塚市)や、北海道釧路市・埼玉県新座市で集団下校が行われるなど、市民社会を巻き込んだパニック状態にまで発展した。1978年12月初めに岐阜県で噂が起こり、マスコミに初めて登場したのは1979年1月26日の岐阜日日新聞とされる。次いで『週刊朝日』1979年6月29日号に記事が掲載され、1978年12月初めに岐阜県加茂郡八百津町で、農家の老婆が母屋から離れたトイレに立った際、口裂け女を見て腰を抜かしたという噂が紹介された。1979年6月21日、姫路市の25歳の女がいたずらで口裂け女の格好をし、包丁を持ってうろつき、銃刀法違反容疑で逮捕された事例もある。1979年8月、それまで全国を席巻していたこの噂は急速に沈静化した。これは夏休みに入り、子供達の情報交換=口コミが途絶えたため、とされる。宝暦4年(1754年)に美濃国郡上藩(現・岐阜県郡上市八幡町)での農民一揆の後に処罰された多くの農民の怨念が、特に犠牲者の多かった白鳥村(現・郡上市)に今なお残っているといわれ、これがいつしか妖怪伝説となって近辺に伝播し、時を経て口裂け女に姿を変えたとの説がある。また明治時代中期、滋賀県信楽に実在したおつやという女性が、恋人に会うために山を隔てた町へ行く際、女の独り身で山道を行くのは物騒なので、白装束に白粉を塗り、頭は髪を乱して蝋燭を立て、三日月型に切った人参を咥え、手に鎌を持って峠を越えたといい、これが都市伝説のモデルになったとの説がある。同様に岐阜県でも、明治または大正時代に女性が同様の姿で峠を越えて恋人のもとへ通ったという話がある。前述の新聞記事にもあるように岐阜県を発祥地とする説においては、岐阜では発祥当時、小学校でも比較的裕福な家庭の子供のみが学習塾へ通っていたため、あまり財力のない家庭が子供に塾通いを諦めさせるために「夜道を歩いていると口裂け女に襲われる」と夜の外出を怖がらせた話がルーツとされることが多い。岐阜県美濃加茂市近辺の教育熱心で怖い母親の姿が由来だとも言う説のほか、愛知県で、母親が娘にした話が様々な変化を伴いながら、全国に広まったとする説など諸説ある。ジャーナリスト・朝倉喬司の調査によれば、岐阜県での最初期の噂では、その正体が精神病院からの脱走者として語られており、1970年代に大垣市で座敷牢に閉じ込められていた精神病女性が夜ごとに外出し、精神に異常を来たしているために口紅を顔の下半分に塗りたくり、それを見た人が驚いたという話や、多治見市の著名な心霊スポットのトンネルで精神病の女性が徘徊して子供を脅かしていたという話が元になったといわれ、その後も精神病と口裂け女を結びつける事例の報告は多い。いずれにしても、中京地区、特に岐阜県近辺が発祥である点はほぼ一致している。1990年代に入り、整形手術や医療ミスなどの話題が出るに伴い、再び広まり始め、整形手術に失敗し理性を失った女性が正体であると語られた。またCIAが噂の広がり方を検証するために流した情報だという説もある。ほかにも、岐阜県で1968年8月18日に発生した飛騨川バス転落事故現場の川から白骨化した頭蓋骨が発見され、それを復顔したところ口が耳まで裂けており、口裂け女はその亡霊だという説がある。前述の通り口裂け女の話は韓国でも流行したが、日本統治下にあった頃の朝鮮半島ですでに口裂け女の話があったとの説もある。日本統治下の頃、雪の夜にマスクをした3人の女性が家を訪ね、「誰が一番きれい?」と聞き、1人を選ぶとほかの2人に殺され、マスクをはずすと3人とも口が裂けていた、という話が2001年に採集されている。口裂け女から逃げるには様々な方法があると伝えられている。江戸時代の怪談集『怪談老の杖』には、江戸近郊にキツネが化けた「口裂け女」が現れた、との話がある。江戸時代の読本『絵本小夜時雨』の記述では、以下のようにある。口裂け女の噂が流行した1979年には、銀座のホステスの間で、口を手で覆って「私、きれい?」と客に聞くサービスが流行した。客は、「べっこう飴」や「ポマード」と答えなければならなかった。また、「口裂け女」の単語をもじって、おしゃべりな女性のことを指す「口先女」という言葉も生まれた。
出典:wikipedia
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